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アイアムアヒーロー

I Am a Hero

I Am a Hero
2015年

花沢健吾「アイアムアヒーロー」コミック原作
佐藤信介監督

大泉洋、、、鈴木英雄(漫画家)
有村架純、、、ひろみ(女子高生)
長澤まさみ、、、小野つぐみ(看護師)
片瀬那奈、、、徹子(英雄の彼女)

何のこともない日常から描かれる。
思いっきり冴えない情景である。
主人公の生きる環境とアイデンティティを知らせる導入である。
誰もが自分の思い描くようには生きれないという事実の反復。
諦観漂う生活。

鈴木英雄は売れない漫画家である。
新作を編集者に見せるも相手にされない。
同棲する彼女、徹子も彼に愛想をつかし、彼は家を追い出される羽目に。

翌日、徹子からの昨夜のことを詫びる電話が入るが、酷く体調が悪そうであった。
心配した鈴木が部屋を覗きにいくと四肢の動きがバラバラで有り得ない身のこなしをする、彼女がいた。
そして驚く鈴木に、変わり果て恐ろしい形相の彼女が襲いかかってきたのだ。
腰を抜かしながらも何とかしのぐ鈴木であったが、人間業ではない圧倒的な腕力で窮地に追い込まれる。
しかし彼女は、彼に噛み付く寸前に柱を噛んで歯が全て抜け落ちてしまう。
噛まれても、彼は血も出ず軽症で済む。徹子は結局、変わり果てた体のまま絶命する。
(彼女がウイルスに犯されZQNと化しても歯を落とすことで彼を救ったのかも知れない、と感じさせた)。

忽然と日常が破られたことを知らせるアラームの如く、空には多くの軍用ヘリが不安を煽るように横切ってゆく。

呆然としたままアトリエに行くと、確実に何かが起きてしまったことが分かる生々しい惨状が繰り広げられていた。
仕事仲間は皆、ウイルス感染で全滅してしまう。
頭を砕けば、そのゾンビは死ぬこともここで知る。

鈴木はたまらず外に転げ出ると、完全にいつもの街ではなかった。

この映画のゾンビはこれまでの映画作品のどのゾンビより人間であった頃の記憶を残しており、腕力や身体能力は高い。
かなり敏捷であり、街を逃げ惑う人々は、猛獣に襲われるように否応なく犠牲になってゆく。
ウイルスは公平に人を襲い、恐らく空を逃げているひと握りの特権階級以外は、同等に危険に身を晒していると想える。

逃げ惑う鈴木は女子高生ひろみに出逢い彼女のスマフォで調べると富士山に行けば助かることが分かる。
気圧と気温との関係か?ゾンビはZQNと呼ばれることも知る。
藁をも掴む気持ちで、タクシーで一緒に逃げる。
だが、タクシーは事故に合い、彼らは森をとぼとぼ歩いてゆく。
途中で鈴木は、ひろみの首にZQNに噛まれた跡がある事に気づく。相手は赤ん坊のZQNらしく発症するまで共に過ごすことにする。この辺から2人の間の信頼感は逆に増してゆく。「ヒデオちゃんといれば大丈夫な気がする」、、、しかし彼女にもその症状が出現してしまう。だが、異常な腕力は見せるも鈴木に対し危害を加えることはなかった。彼女は人間のまま踏みとどまりZQN特有の身体能力も秘めている、ハイブリッド誕生か?

漸く普通の生きた人のいるレジスタンスのアジトみたいな施設(元ホテル)に到着するが、過激なセクトを想わせる統率がしかれていた。
上下関係の元で上に立つ者が権力を自分に良いように行使し、残虐な制裁もメンバーに加えていた。
それがところどころにある焼死体であることが匂わされる。

これはとてもリアルな現場である。
恐らく実際でも、こうなることだろうと思われる。
ここにこそレジスタンスが必要であった。

小野つぐみ(偽名でヤブと名乗る)に出逢う。
彼女はただひとりレジスタンスの資質をもっている。
つぐみは患者を見捨てて逃げ込んできた看護師であるという罪悪感を胸にしまいながら逞しく生きていた。

ここで、異様なZQNたちの生態?が見られる。
彼らは生きていた~人であった頃の思いを只管反復して彷徨っていた。まるで可視化された霊界みたいだ。
特に、大学陸上部のZQNは、常に走り高跳びをし続けていた。
その為か、頭部の上半分がなくなっている。
丁度、脳にあたる部分だ。(それはないと思われる。何故なら体はそれとして腐敗せず生きているのだ。その代謝維持コントロールを統括するのは脳である。頭を打ち砕くと死ぬのなら、その頭とはどの部分なのか、、、)。これは、取り分け不思議なZQNである。しかも非常に怖い存在だ。人のいるホテル屋上にまで達する不安を常に醸している。後に実際に音楽の力で勢いを増し、飛んできて上の人間を全滅させる。(本源的な身体力を活性させる「音楽」が活用されている。ここでは悪意による操作であるが)。
ZQNのVFXは見事なものだ。これについては、海外映画に全くひけをとらない仕上がりだ。

彼ら人間たちの組織にも不公平感から亀裂が走り内紛が起きるが、それが元でほぼ全員がゾンビ化することになる。群がり襲いかかる彼らに鈴木、つぐみ、ひろみは追い詰められてゆく。しかしつぐみの悲痛な呼びかけで漸く、鈴木の「君は僕が守る」(彼のボツになった漫画のベタな文句)の自覚により、彼は銃を取る。(クレイ射撃が彼の趣味なのだ)。
鈴木英雄は、ここでついに英雄となり、次々にZQNの頭を銃で吹き飛ばしてゆく。
ほぼ、百発百中で。ここがこの映画のクライマックスであろう。
大泉洋、ホントに頑張った(笑。
最後に異様極まりない強敵、陸上部ZQNをやっとのことで倒し、3人で車で脱出する。
鈴木の顔が車のリアウインドーに強烈に射し込む太陽光に霞んで、エンドロール。


ひろみの存在が余りに中途半端ではないか、、、?
折角ハイブリットとして新たに覚醒した(有村架純としては二役目に入った)のに、ほとんど何の役回りもなく、つぐみに保護されているだけであった。腕力は間違いなく3人の中で飛び抜けているにも関わらず、、、。
まあ、アジトの性悪なリーダーにボウガンで頭を矢で刺されていたのだから、それどころではなかったか。
(いや、それで助かっていることの方が不思議か、、、脳幹に刺さっていないから大丈夫って、そういうもんでもないだろう)。
呑気に自動車で街へと脱出したが、ひろみをすぐにまともな病院に連れて行かなければ危険であろう。


どうも、「頭」が(むず痒く)気になる映画であった。


極普通の小市民的な男が、女子高生を守るために勇敢な男にならざる負えなかった過程が丁寧に細やかに描かれていて、そこは良かった。究極的な事態に追い込まれ苛烈な負荷をかけられただけではヒトは何も変われず、そこにひろみやつぐみを守りたいという明瞭な目的意識が加わりはじめて変身できるという、真っ当な真理が示されていた。ひろみが最後まで大人しくしていたのも、鈴木を奮い立たせる為であったところも勿論ある。
彼女も鈴木を英雄にしてあげたかったのだ。
小野つぐみも彼を大いに見直す。
有村架純と長澤まさみである!
これから先は、、、鈴木にとって「モテキ」か(爆。


諸星大二郎と山岸凉子を夢中になって見ていた頃と違って、最近はマンガは全く手に取らない。
この作品も見てはいない。
映画自体の鑑賞には、原作のイメージはかえって邪魔になることが多いと思う。
時折、内容が独創されていたり、逆の結末であったり、単に題材を借りている程度の関連だったりもする。
形式的に表現形体が全く次元を異にするのであるから、端から別の物であるしかないのだが。
この作品を観て、マンガを見たいとも思わない。
少なくとも比較は出来ない。

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