ストレイト・アウタ・コンプトン

Straight Outta Compton
2015年
アメリカ
ジェイソン・ミッチェル、、、イージー・E
オシェア・ジャクソン・Jr、、、アイス・キューブ
コーリー・ホーキンス、、、ドクター・ドレー
オルディス・ホッジ、、、MC・レン
ニール・ブラウン・Jr、、、DJ・イェラ
ポール・ジアマッティ、、、ジェリー・ヘラー
役者オシェア・ジャクソン・Jrは、アイス・キューブの実子。
N.W.A.である。
わたしはこのムーブメントの主N.W.A.には1991年に出逢い”Niggaz4Life”に即、魅了された。
聴けば聴くほど魅力に気づき、感動したものだ。
同時期のパブリック・エネミーの”Apocalypse91TheEnemyStrikesBlack"も衝撃的であったが、N.W.A.は格別であった。
わたしにとっては、N.W.A.とパブリック・エネミーが象徴的存在であった。
このギャングスタ・ラップムーブメントの。
フォロワーも沢山出たものだ。(スタイル自体は真似しやすい。だがオリジナリティーの重みは彼らに遠く及ばない)。
アイス・キューブのソロも聴いていた。やはり1991年の”Death Certificate”かっこよさ(ホットさ)では最高であった!
『ストレイト・アウタ・コンプトン』は、N.W.A.のファーストアルバムでもある。
その歌詞とサウンドから警察やFBIの監視対象になるという、宣伝効果抜群の環境で売れまくったラップ(ヒップホップ)グループである。
治安最悪の土地コンプトン、下手なゴロツキなど居場所のない程の恐怖の無法地帯である。
社会への憤懣の蓄積は半端なものではなく、彼らの存在もギャングに負けない緊張感に満ちていた。
(こだわりのクリエーター集団ではあるが)。
彼らのライブを阻止するために警察が発砲までしている。
その為、メンバーは何度も逮捕されている。
白人だけでなく意識の高い?黒人(ハウスニガーか)からも批判されるが、彼らは自分たちは「生涯ニガー」”Niggaz4Life”を通すぜと宣言している。
プライドは決して失わない。自分を見失わない!
最初、わたしは、これらのグループにもっとシンプルでストレートなパンクのような政治表明を想像していたが、そのサウンドは実際に聴いてみると、非常に練り込まれたものであった。
サウンドはプログレッシブ・ロックそのものである。
勿論、クラシック要素をヘロヘロに取り入れた叙情派プログレなど一瞬に吹き飛ばす真の超重量級プログレである。
しかし、歌詞は韻も踏んだ耳に染込み易い強烈な反権力メッセージのアマルガムである。
(単純に内容は、犯罪そのものであったりもする。コンプトンそのもののドギツイ情景描写か)。
芸術など端から目指していないが、その凄まじいエネルギーは芸術の極みを追求したキング・クリムゾンの域に迫ってくる。
差異と反復そのものの強度を誇る。
最も過激な現代音楽か。
彼らはそのメッセージから必然的に物議をかもす。
警察官による無抵抗の黒人への暴行事件等に対しすぐさま激烈なカウンターをかます。
世間の話題に事欠かない。
フリークの数も半端ではない。
彼らを忌み嫌う連中も律儀に彼らのアルバムを買い、ヒステリックに踏み潰す。
グループ内部でも葛藤や軋轢が起きる。
金は儲かっていても、プロデューサーのギャランティーの配分に対する不満が爆発し優秀なソングライターであるアイス・キューブが脱退している。
(この問題は彼らだけでなく多くのグループに発生している、もっとも厄介な件だ。後にアイス・キューブとイージー・Eとドクター・ドレーの3人は和解するが、すでにイージー・Eの余命は幾何もなかった)。
トラブルは内外に後を絶たない。
暴力沙汰など日常茶飯事で、身の危険といつも隣り合わせで生きる。
コンポーザーのドレーの弟も喧嘩に巻き込まれで殺害された。
リーダーのイージー・Eは(ゲイではないが)エイズにより31歳で死んでいる。
(これも大きな話題となった。良くも悪くも天下のN.W.A.の中心人物である)。
彼らはジャーナリスト相手に話す機会も増え、だんだんそれらに対するメッセージもシンプルかつ洗練されてゆく。
特に、何故反社会的な歌で世間を煽るのかの質問に対し、、、
きっぱり「煽ってない」。
「われわれはみんなに声を与えただけだ」。
「われわれの詩は現実を映す鏡に過ぎない」。
すんなり、こんなことが言えるなんて、、、
やはり格が違う。
ドクター・ドレーがかなりのアーティストを育てていたことも知った。
フィルムの最後に、、、「言いたいことは言っていいんだぜ!」である。
シンプル極まりないが、何と説得力のあることか、、、まさにその通りだ!と初めて思った。
これを見て、これまでの100倍は過激になるぜ!とこころに誓った(爆。
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