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GOMA28

Author:GOMA28
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レヴェナント: 蘇えりし者

The Revenant001

The Revenant
アメリカ
2015年

マイケル・パンク『蘇った亡霊:ある復讐の物語』原作
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督・脚本
坂本龍一、アルヴァ・ノト音楽
エマニュエル・ルベツキ撮影


レオナルド・ディカプリオ、、、ヒュー・グラス
トム・ハーディ、、、ジョン・フィッツジェラルド
ドーナル・グリーソン、、、アンドリュー・ヘンリー
ウィル・ポールター、、、ジム・ブリッジャー
フォレスト・グッドラック、、、ホーク

これも実在の人物~事実を描いたものだという。

昨日見た映画がお子様ランチに思えた。
まずは、レオナルド・ディカプリオの究極のサバイバル劇としか言えまい。
(映画は小手先の演出でどうにかなるようなものではないことをつくづく思い知った)。
自然の力と不屈の生命力、そこに亀裂を入れるように入り込む資本主義文明の相克の構図で展開する。
本質力で圧倒する映画である。
この強度は他の追従を許さない。

『バベル』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の監督である。
撮影のエマニュエル・ルベツキがキーパーソンか?
(おお『ゼロ・グラビティ』の撮影監督であった!)
これほどの自然を捉えた映像を観た事がない。
まるで自分がその中にいるかのような錯覚を受けるリアリティなのだ。
これは役者の演技の質にもよるところが大きい。
坂本龍一の音楽も映像に非常に調和していた。
また、インディアンの役者の数も多く、重要な役柄を担っていた。(単なる西洋人の対象ではない)。

タルコフスキーを想わせる映像である。
彼の映画(サクリファイスノスタルジア、、、)に対するオマージュを感じる。
骨太の大作である。

圧倒する大自然のなかで、死の淵から蘇ったヒュー・グラスの凄まじい生への執念が描かれてゆく。
ある種のドキュメンタリーであり、無慈悲な自然へのリアクションの姿でもある。

残酷な自然の象徴でもあるグリズリーとの死闘、インディアンに追撃され谷に落ちた後で馬の臓腑を掻き出して防寒に役立てるなど、、、生肉を食ったり(ディカプリオはベジタリアンであったはず)、極寒の川原で裸になったり、泳いだり、ただひたすら圧倒されるばかりである。
そして自然をひとつの生命体として見るファーストネーションであるインディアンと、自然破壊をしつつ資本主義文明の先頭を走る毛皮ハンター達との闘いも熾烈なものだ。双方とも多大な犠牲を出すが、ハンター側は次々に音もなく降り注ぐ弓矢で33人が犠牲になる。

新天地の開拓等といえば聞こえは良いがジョン・フォードの描く明るいヒーローの世界とは大きく異なる。
文明の名の元に人間が行ってきた環境破壊と貧しすぎる認識による残虐な行為の負の部分があからさまに描かれてゆく。


語り草になっているという英雄ヒュー・グラスは、インディアンにやられたのではなく、大きなクマに襲われ瀕死の重傷を負うのだ。
クマ~グリズリーのCGはもう見事と言うしかない。(それに応じるディカプリオの演技も勿論)。

もはや体の動かないヒュー・グラスは仲間(フィッツジェラルド)に見捨てられ、父を守ろうとした一人息子もその男に殺されてしまう。
グラスにとってそのひとり息子だけが生きがいであった。
彼はグラスとインディアンの妻との間に生まれた混血児である。
その為に、グラスは彼に「透明になって生きろ」と白人のなかでも生き抜く知恵を授けていた。

彼は復讐を誓いそれを原動力として蘇り、凄まじい生命力で生き続ける。
(この場合何より精神力のなせる業に違いない。幾ら肉体が強靭でもこの短期間でのあの回復は無理がある)。
この渾身の演技は、ディカプリオ史上最高のものだろう。
彼自身この物語のコンセプト自体に深い共感を抱いていることがよく滲み出ている。
(彼は環境問題にも煩く、車もプリウスを初代から乗り継いでいるなど徹底している)。

しかし自然からの激しい試練を受けているうちに、グラスの精神にも変化が訪れる。
夢の中に現れる光景に、彼が復讐の先にある大いなるものに繋がってゆくことが暗示される。
宿敵と相まみえて、漸く決着を付ける時が来た。
死闘の末、まさにいま復讐を遂げんとするとき、彼方からインディアンの一行が静かに迫り来る。
「復讐は神の意思に任せる」と、グラスは最後にインディアンの酋長の手に委ねる。

酋長はそのフィッツジェラルドの首をひと掻きして殺し遺体をそのまま川の水に流す。
そのありさまを呆然見守るグラス。
復讐は遂げてしまうと最早生きる意味も失うものだ。
ゼロ・ダーク・サーティでもビンラディンを一心に追い続けた捜査官が漸く対象の殺害を成し遂げた後、それまでの精気を失って鬱いでしまう。
彼女の場合、目的があくまで、そこに留まり続けたためだ。

このアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督も実際に息子を亡くしている。
最も大事なものを失って、初めて自分が成るべき者となった、と語っている。
このグラスはどうなのか、、、。
雪の中に彼の妻の幻想が現れエンドロールへと繋がる、、、。

終始広大な自然のもとでの人間の孤独が詩情豊かに残酷に描かれていた。


わたしにとって、衝撃の1作であった。






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