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GOMA28

Author:GOMA28
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グランドホテル

Grand Hotel

Grand Hotel
1932年
アメリカ

ヴィッキイ・バウム原作「ホテルの人びと」を舞台劇にしたものを元にする
エドマンド・グールディング監督

ひとつの舞台に様々な人のドラマが組み込まれ展開してゆく。
それぞれの人間模様も興味深いが、その構成と流れが巧みだ。
このストーリー展開が「グランドホテル」形式と呼ばれるようになる。
所謂、群像劇である。(この作品、丁度良い人数に想える)。
しかしである。
当時、グレタ・ガルボとそのライバル、ジョーン・クロフォードが同じ場面に出てこない。共演はしていないことに驚く。
どちらも主役的立場の重要な役回りで、しかも出番も多いのに関わらず、、、。
脚本・演出が練られている。
とは言え何故、ふたりが同じホテル内で一度も出逢わないのか、、、。
ふたりともガイゲルン男爵にゾッコンであるし、偶然に出逢う(交錯する)可能性は高いはず。

グレタ・ガルボ、、、グルシンスカヤ(プリマドンナ)
ジョン・バリモア、、、、ガイゲルン(男爵)
ジョーン・クロフォード、、、フレムヒェン(速記者)
ライオネル・バリモア、、、クリンゲライン(余命幾許も無いプライジングの社員)
ルイス・ストーン、、、オッテルンシュラーク(医師)
ウォーレス・ビアリー、、、プライジング(モップ会社の社長)


第一次対戦後のベルリンの超一流ホテル「グランドホテル」が舞台。
ヒトラー台頭前夜という感じの束の間の平和を享受する人びとの姿が活き活きと描写されている。
元が舞台劇である為か、それぞれの人物のドラマの絡ませ方は絶妙である。
その展開に惹きつけられ最後まで一気に観てしまう。
これは見事という他ない。

グレタ・ガルボとジョーン・クロフォードを映画ではじめて観た。
ガイゲルン男爵が謎だ。
クリンゲラインになりたい!
蛇足で、プライジングのようなタヌキオヤジはどこにでもいる。

豪華なホテルの極限られた空間のなかだけで進行するが、面白かったのは、電話交換の女性たちの働く情景が俯瞰的にかなり克明に映される。その今は見れない前近代的な操作の所作に興味深く見入ってしまった。(これはフレムヒェンのタイプライターにも言えるが)。
この映画のドラマも全て情報のやりとりが鍵を握っており、実際彼らは電話をかけまくるし電報も重要な役を果たしている。
しかし、彼らのいる場はグランドホテルである。

当初、ガイゲルン男爵は複雑で謎めいた役柄のようで、グルシンスカヤの真珠のネックレスを狙っているところから、ルパン三世、、、ではなく007的なタフガイでもあるイメージをもっていた。
しかし、そうでもなく、ばか正直のピュアな性格であり思いやりに篤く、アクションもしそうでしない紳士なのだ。
部屋に真珠を盗みに入ったはよいが、そこで思い悩み死を覚悟するグルシンスカヤを最早ほっとけない(笑。
盗みそっちのけで彼女を気遣い、全てを打ち明けたうえで真実の恋に落ちてしまうのだった。
彼女もそんな彼に夢中になる。
男爵は純愛に身を捧げるタイプのひとで、暴力は好まず主役なのに余りに呆気なくプライジングに鈍器で殴り殺されてしまう。
えっこんなところで、こんなキャラに、、、?
わたしが映画の中で珍しく尊敬してしまった男クリンゲラインもこれに同意見である。
「よりによってプライジングごときに殺されるなんて、、、」無念に顔を歪めて独白していた。

主役がこれ程呆気なく殺される映画は、今観ても斬新で肩透かしをくった。
また、ホテルの誰もがグルシンスカヤにこのことを知らせず、次のバレエ公演に急ぐ車に乗せてしまうところも実に心憎い。

ほんの一時の滞在であるが、二人の魅力溢れる女性も恋によって大きく変化する。
グルシンスカヤはバレエに再度意欲が戻り公演を成功に導く。
フレムヒェンも金を最優先していたが、それを超える生きがいに賭ける。
ただグルシンスカヤの周囲との絡みがかなり限定的である分、やや彼女の内面の動きの描写が単純化され過ぎている気がした。
片やフレムヒェンは、男爵とプライジング、クリンゲラインと絡む。
その結果、かなり奥行のある人格に描かれている。

そしてわたしが誰よりも、感銘を受けたのは、クリンゲラインである。
およそこのホテルに宿泊するには身分不相応な労働者階級である。(その為安い部屋を宛てがわれ、部屋の交換を訴え最高級部屋に移る)。
病で余命幾許も無いと診断され、残された貴重な時間をグランドホテルでゆったり楽しく過ごそうとしてやって来たのだ。
他人事でない思いがして直ぐにわたしはこの人物に寄り添う。(わたしはホテルで寛げる身分では到底ない)。
だが、ホテルでガイゲルン男爵に良くされ、彼と懇意となり一緒にカジノではバカ勝ちし、フレムヒェンにはダンスを教えて貰う。初めて尽くめの体験にこれまでの自らの殻が打ち破られてゆく。
そうこうするうちにホテルの人々とも打ち解け、人生を堪能する歓びを知る。
そして、ガイゲルン男爵がカネに困って盗みを働きプライジングに殺されたことで、クリンゲラインはそれまで男爵の庇護下で従属的にやってこれたのだが、男爵もまた暗部を胸に抱えて生きてきたことを認識し、真に主体的に自立的に生きる意欲に目覚める。

彼がフレムヒェンを誘い、一緒にパリに向け出発する姿は、すでに誰よりも生命力に溢れているではないか。
見事に、グランドホテルで息を吹き返したと言えよう。
頼りがいのある男に再生している!
ガイゲルン男爵のお陰でもある。
(多分、病も治ってしまっているに違いない。彼が男爵の生命を引き継いだ形だ)。
この際、奥さんはどうする、などという野暮なことは考えまい。何せ死出の旅としてグランドホテルに向かったのだから、、、
帰らなくて自然である。


「グランドホテル。いつも同じだ。人々が訪れては去る。何事もなかったかのように」
と、Dr.オッテルンシュラークが騙る。
プロコルハルムの「グランドホテル」もそんな無情観に充ちている。

何よりクリンゲラインみたいに、自らの生を思いっきり生きたい。
あらゆる障害を完膚なきまでに叩き潰して!
気持ち良いだろうな(爆。

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