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デイヴィッド・ホックニー版画展

David Hockney

町田市立国際版画美術館にて。11/23(水)まで。
ローカルなため最短コースをやや詳しく、、、。JR町田駅のターミナル口(多くの人が向かう出口方向と反対に向かえば間違いない)を出て、そのまま前方を目指して陸橋を降り、その勢いで道を一直線に歩けば5分程でたどり着く。(途中から道が急に細くなりそこで運悪くスレスレに走る車に轢かれなければ、嫌でも到着してしまう)。
オブジェなどを見ながらダラダラ長々と歩く通常コースもあるが、それについては美術館HPなどを参照。

隣の公園で遊べたりする。
ダイナミックな水の表情を楽める巨大な回転する彫刻(可動彫刻)がデンと据えられている広場である。
この美術館には「森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ」を5/21に観に来ている。
これは、顧みても奇跡的に充実した展示会であったと思う。
惜しかったのは独りか、美術愛好家(美術の好きな人)と一緒に行くべきであった。
そうしないと、落ち着いてじっくり集中して観ることが出来ない。


今回はこれまでさほど興味をもっていなかったポップアートなデイヴィッド・ホックニーである。
プールの版画(リトグラフ)でその作風に妙に強烈な印象をもっていたが、他に関してはほとんど知らない。
そんなところで、観てみた。
写真によるコラージュやコピー機を使った作品があったが、意外な感じはせずこういうのも流れから充分納得できるものであった。
また、男性モデルが多いな、と思ってきたのだが、実際男性モデルが多かった。
(別に詮索する気はない。キース・ヘリングをはじめ、ポップな人には多いケースだ)。
ビリー・ワイルダーの肖像がわたしにとってはとても印象的で、何か良いオマケに当たった気分であった。
ホックニー氏、写真によっては、顔がアンディ・ウォーホルにかなり似ている。

さて、作品展の内容であるが、、、リトグラフとエッチングが多く、アクアチントによる濃淡の表現も目に付いた。
それから写真コラージュやコピー機を印刷手段として利用したもので構成されていた。
有名な男性ヌードのあるプールの作品などは来ていなかった。
面白かったのは「スウィミング・プールに流れ込む水」という水自体に拘り、その多様な流動体の様式化を図ったと思われるリトグラフである。更に「リトグラフの水」というリトグラフの制作過程を一つずつ示したかのような意表を突いた連作もあった。
「スプリンクラー」という珍しく(どうなのか知らぬが)カンヴァスにアクリルで描かれた、彼らしい平面的で単純明快な絵もあった。(版画美術館であるが例外として展示か?)この奥行きのない具象空間というのは、絵画で観ても凄いものだ。

ちなみに、リトグラフではどうやら浮世絵の影響を受けている「太陽」など、デザイン調に可視化された「光線」とそれを受けている植物の葉の面―様子とも相まって大変明快で背景との対比も美しい作品である。
「雪」などに至ってはあからさまに浮世絵を取り込んだ日本情緒が窺える。これらはウェザーシリーズという位置づけらしい。
成る程、浮世絵から気象・空気の表現を抽出したか、、、。

ピカソに傾倒していただけのことはあり、遠近法の解体~ムーヴィング・フォーカスと、キアロスクーロ(明暗法)の単純化というか装飾化がはっきりと窺える。1点の視座から視界を物理的に統御せず、通常の立体・写実には関与しない明暗の付け方である。
極めて明るく鮮明で単純な平面的なフォルムが広がる。
これは、全体の版画作品に共通していた。
ムーヴィング・フォーカスとしてはっきり作品化されているのは、視点を僅かにずらして撮られた写真の細かい切り貼りで作られた作品である。
この技法の着想はとても面白い。
こういうことを初めてやったのがホックニーであったことを知った。
(一度考案するとすぐに真似されるのがこの業界である。この真似はかなり簡単でもある。広告でも見たことがある)。
この技法はまさにアイデア勝負というところか。
コピー機による印刷手法も彼の作品を見れば、すぐにやってみようという人は幾らでも出てきたはず。
トナーを一色ずつ使い刷ったようだ。
ただし、こちらの方は、あくまでもコピー機を使用した彼独自の版画であり、作画の点でホックニーはホックニーである。

単純で平面的で明快な色調を観ていくうちに、酔うように快感を覚える。
なかでも特にわたしが一番気に入ったのは「ホテル・アカトラン」シリーズであった。
ホテルの中庭であろうか。きっと色彩もこのように魅惑的なものであったことが、想像できる。
このホテル・アカトランの中庭をホックニー自身もいたく気に入り、シリーズものに仕上げたのだと想われた。
ムーヴィング・フォーカスがリトグラフとして美しく結実したものと取れる。
構図上の歪みなどが全く気にならないというより、それによって中庭の快感が(魚眼レンズ風に)圧縮され遺憾無くひとつの画面に描き込まれている。
また何よりも色調が素晴らしい。
全面が光に満ち満ちており、床(廊下)が真っ赤。黄色の柱(影の部分は青)。黄緑と黄色に輝く庭。
この作品を観るだけでも来た甲斐がある。


初期作品や童話の挿絵(「自分を二つに裂く」には、さすがに驚いたが)を観ているうちは、ふーんという感じで観て回っていたが、ピカソが題材として現れた「画家とモデル」あたりから俄然面白くなった。ピカソへのオマージュもあからさまに窺え、その影響力の大きさもよく伝わってくる。



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