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荒野の決闘

My Darling Clementine

My Darling Clementine
1946年
アメリカ

スチュアート・N・レイク原作
ジョン・フォード監督
ジョー・マクドナルド撮影


ヘンリー・フォンダ、、、ワイアット・アープ(牛追い、保安官)
リンダ・ダーネル、、、チワワ(酒場の情婦)
ヴィクター・マチュア、、、ドク・ホリデイ(病を持つ医者)
キャシー・ダウンズ、、、クレメンタイン(ドクの元恋人である貴婦人)

「荒野の決闘」という線で売りたかったのか、、、。
原題のまま下手に訳すと確かに厳しいものになるか、、、。
「いとしのクレメンタイン」では、ダメか?
”My Darling Clementine”余りに素敵な題名なのだが。

どうやら、元になる実話があったそうだ、、、。
しかし映画はあくまでも映画という芸術である。
それとして、鑑賞したい。


わたしは、西部劇というものを僅かしか観た事がないのだが、これ程詩情あふれる美しいものがあるとは知らなかった。
ジョン・フォードならではの詩情なのだろう。
選ばれた役者も皆、影と気品がある。悪役は狡猾な悪役に徹していたが煩くはない。
OK牧場の決闘も、いたって淡々とした静謐な流れの内に、語りと様々な想いと事物の交錯があり文学性すら感じた。

見渡す平原の絵も美しく、馬の疾走する様もひたすら美しい。
長閑な日曜日の光景も、小津の「東京物語」にも似たこの世ならざる美しさがあった。
「駅馬車」は、もっと激しい映画であった印象がある。
もう僅かな断片しか覚えていないため、見直さなければならないが。
この映画は、何と言うか、、、西部劇というより非常に繊細な恋愛ドラマに映る。
それもすこぶる純粋な。

善人と苦悩する者と悪者が、明瞭に描き分けられている。
とてもすっきりしていて、澄み渡った作品だ。
話の流れ、各人物の感情の変化も大変自然な説得力があり、共感できるものとなっている。
無理な展開や解りにくい設定が全くない映画を久しぶりに観た思いがするものだ。
ここはとても大切なところであろう。
アープのクレメンタインに対する微笑ましい一目惚れ。
病を抱えるドクの複雑で苦悩する心境。
チワワの女性としての一途でやるせない想い。
アープとドクの深まる友情。ドクの決闘への加勢までの流れ。
クレメンタインがあの街に残り学校の先生をやるという決心も分かる気がした。
すべての瑞々しい感情にそのまま同調する。


ワイアット・アープのクレメンタインに対する思慕の情には、シラノ・ド・ベルジュラックのような騎士道を感じさせる。
特にクレメンタインにやっとの思いでダンスを申し込むところは、朴訥で暖かいアープの人柄がよく出た場面である。
踊っている時の彼の子供のような嬉しそうな表情には、それを偶然見かけた彼の弟たちも呆れていた。
この辺には思わず失笑してしまった。
なかなか味のある人である。

ヴィクター・マチュアの哀愁に満ちた苦悩する表情―姿は、この作品を詩情の濃い重厚なものにしている。
そして何と言ってもカメラだ。
このカメラマンあってのこの美しい映画という気がする。
ポスターも見たが、面白い構図のポスターで、あのシーンを切り取るか、と唸るものであった。
ヘンリー・フォンダが腰掛けた椅子を後ろに反らせながら柱に右足をかけている。
思えばかなり絵として十分に考え抜かれた場面が多かったことに気づく。
OK牧場での決闘が、突然の駅馬車の乱入による、砂埃の中からの一発の銃声によって始まるところからして芸術的である。
また、銃撃戦などは変に芝居掛かってはおらず、非常にリアルな感覚であった。
実際、戦後間もなく撮られた映画である。監督の戦場での実体験も活きているのだろうか。
一度観たくらいでは、詩的で綺麗だという感想に終わりかねない映画であるが、少し細部に渡り見直さなければならない作品であった。


My Darling Clementine002
「あなたの名前が好きだ。クレメンタイン。」




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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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