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ペイチェック 消された記憶

Paycheck001.jpg

Paycheck
2003年
アメリカ

フィリップ・K・ディックの『報酬』を原作

ジョン・ウー監督
「レッドクリフ」でお馴染み

ベン・アフレック、、、マイケル・ジェニングス(エンジニア)
アーロン・エッカート、、、ジミー・レスリック(オールコム社社長)
ユマ・サーマン、、、レイチェル・ポーター(生物学者)


失った自分の記憶をヒント―ガジェットをもとに、手繰って奔走する物語。
こういう、アイデンティティが破壊された状態というのはかなり辛いはずだが、さほどの悲壮感は漂わない。
ただ、受け取るはずの金が受け取れない事と自分から送られた些細な物の入った謎の封筒の存在。さらに自分が関わったプロジェクトのIT企業とFBIに命を狙われていることで、焦って自分の記憶を探る。

この映画の見せ場は、、、
記憶とは何か、を考えさせる。
未来を知るということが齎す意味。
未来を見た自分が用意した日用品が次々に自分の身を守る備品と化してゆくところ。これはこれで楽しめる。

まず主人公マイケルの仕事が面白い。
IT企業から依頼を受けると、そのライバル会社の開発製品を元にして更に改良した製品を作り出して提供し稼いでゆくという、かなり際どい商売だ。(というより、はっきり犯罪ではないか)。
その商品開発期間の記憶は、その開発の秘密を守るため消されることになっている。これは相当ヤバイ。
何故なら、その間の記憶が消されるということは、彼にとってその間生きていなかったに等しいことだ。
これは単に記憶を失くしましたで片付く問題ではない。心身―存在に本質的に関わる問題だ。

われわれの物忘れ程度のことは、日常を形成する束の多くの事柄の内の、ちょっとしたことに引っかかるくらいだ(それでも書類や鍵であれば厄介なことになるが)。
しかもその事態は、最初から無意識的行為により、記憶自体にしっかり留められたことでもない。
われわれは、日常のほとんどの行為を身体が自動的なルーチンとして自律的にこなしていてくれている。
それが、意識的に行うべきところまで侵犯してしまったくらいのことか。通常、不注意と呼んでいるが。
普通、われわれが置いた記憶がない、などという時は概ねこんなものである。物忘れはほとんどそんなレヴェルだ。

3年の間に、篭って研究をしていようと様々な感情や思考、認識はあらゆる事象に対して開かれている。
実際、彼はレイチェルという研究者と恋におち、共に幸せな時間を共有していた。
この重要な時間は、どれだけの金とも等価交換できはしない。(何であっても等価還元はないが)。
ここでは、9000万ドルだかのストック・オプション報酬が決め手となるが、、、。
それでもマイケルのように、開発製造期間の3年間の記憶をそっくり消されるということは、存在学的に問題であるし、心身―精神に異常が出ても全くおかしくないものだ。
しかも神経シナプスを破壊するようなことを言っていたが、そんなことをしたらそれ以降の生活に深刻な影響を与えるだろう。
記憶の消去という事柄を余りに短絡視し過ぎている。
どちらかといえば、研究に携わった人間の記憶を消して外に放つより、その存在自体を抹消した方が企業にとってもその個人にとっても問題は出ないだろう。

このドラマは、まさにそこから始まってゆくのだが、、、。

また、マイケルが開発に携わった装置というのが、非常に強い重力場により光を曲げることで未来を観察するものだそうだ、、、
(それはよいとして、、、)、彼は未来を確認したことで、報酬を放棄し未来の自分が生き延びる為の品を19品自分宛に送る。
オールコム社から送られた殺し屋やFBIから命を狙われる度に、それらの品が上手く使われてゆくのが話しとしては面白いのだが、、、どういった未来を見たのか分からぬが、現実の流れを1箇所変えたところ、、、最初はタバコだったか、、、で異なる現実が生成される事は間違いない為、それ以降の筋道もガジェットも全く役には立たないことは断言できる。
違う現実を生きることとなるはず。
いろいろ用意した封筒を後生大事に持って逃げていたが、意味はない。
全てその都度、身近な物で対応・代用して切り抜けるしかない。
実際、それが出来る主人公だし。封筒の中身にさほど囚われる必要もなかった感じもするが、、、。
(しかし、それではこの物語が成り立たないか、、、?)

そして未来を観てしまい世界に伝えたことで、それを未然に防ぐための攻撃により、未来が壊滅的な事態に陥る事を知り、彼はその自分の3年間と引き換えに作ったマシンを破壊する決心をする。
が、予めハード的(ソフト上のウイルスではない)なエラーが出るように自分で設定しておいたそのマシンを使われる前に破壊するためにラボに決死の覚悟で突入したはずのに、そこでハードに手を入れエラーを解き、未来をひとつ観てみるか、、、ってどういう心境なのか?
しかも、レスリック社長もハードエラーの修理を彼らにさせろと言って、わざとマイケル、レイチェルを施設に侵入させる。
マイケル、レイチェルがこんなに呑気ではなく、当初の目的を直ぐに遂げていたらどうするのか?

どうも理解しかねる動きが度々主人公たちに見られ戸惑う。
しかしそれに沿って素直に見てゆけば、アクションは面白く描かれているため、飽きはしない。

報酬の金を放棄して自分の作った未来を観るマシンの存在に自らに気づかせる。しかも投げ出したその取り分をロトの大当たりで補填するというところは、なかなかの抜け目のないアイデアであった。
しかし、未来の生成の変化でロト番号だって変化する可能性の方が高いと思う。


記憶や未来―時間性を余りに安直に扱いすぎると、話がチャチになる。
この映画はそれを補うアクションの緊張があって、生理的には飽きずに面白く見続けることは出来た。





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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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