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インセプション

Inception001.jpg

Inception
2010年
アメリカ

クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作
ハンス・ジマー音楽


レオナルド・ディカプリオ、、、ドム・コブ(潜在意識から情報を抜き取る産業スパイ)
渡辺謙、、、サイトー(大富豪の実業家)
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、、、アーサー(コブの信頼する相棒)
マリオン・コティヤール、、、モル・コブ(ドムの亡くなった妻)
エレン・ペイジ、、、アリアドネ(夢の設計士、まだ学生)
トム・ハーディ、、、イームス(変装のスペシャリスト)
キリアン・マーフィー、、、ロバート・フィッシャー(サイトーに狙われている大企業の御曹司)
トム・ベレンジャー、、、ピーター・ブラウニング(フィッシャー社の実質的トップ、重役)
ディリープ・ラオ、、、ユスフ(鎮静剤の調合師、深層の夢の世界を安定させる)

「インセプション」そのままで良かった(笑。
発端、、、から「植え付ける」であろうか。

アリアドネってすごい名前だ。よくバッカスと一緒に描かれるギリシャ神話の女神ではないか、、、。
ちょっと意味深い名ではないか?

重層する夢
現実とは一体何であるか
(自殺者とは、本当の現実に生きようと願った者なのか)。

それをここまで作り込むか、、、という気迫に溢れた作品。
監督の渾身の一作だと分かる熱量を受け取った。
久々に映画を見ることが素晴らしい体験となったものだ。
映画という形式をもって、初めて実現可能な世界と謂える。

何より潜在意識の時間性を重層的に描き込んでいるところが素晴らしい。
空間はどの映画でもよく描きこまれるが、時間の要素についてはタイムマシーンとかタイムリープとか安直で稚拙なレヴェルに終わっているものがほとんどだ。
それらは、時間性そのものには触れず、単に過去や未来の空間―場面を並列して描いているだけのものである。
ここでは時間の存在学とでもいうものが潜在意識の層とともにアグレッシブにアクチャルに描かれていて、とても見応えがあった。

ドム・コブたちは、潜在意識から情報を抜き取る窃盗団みたいな仕事をしている。
「アイデアは形を持つと突き刺さる」ってすごく良くわかる、、、。
潜在意識は制御出来ないって制御できれば顕在意識だ、、、というところや、、、
コボル社という依頼主の会社の実体がほとんど明かされないのが、ちょっと物足りない部分もある。
が、気にかかる程のものではない。

面白いのは、対象の夢に入り込むと、そこに自分の潜在意識の侵蝕が起こり、場に混乱を与えるところだ。
ドム・コブは亡き妻モルが邪魔をするというが、結局彼の意識のせいである。
彼の企ては不可避的にモルには筒抜けで、一緒に夢の場を共有する仲間を危険に陥れている。
妻が落ち込んだ虚無と彼の罪悪感とは同じ場ではないか?
そして、インセプション、、、アイデアを植え付ける。
これが実に恐ろしい行為であり、その罪に彼は苦しめられてきた。
「望む場所へ行けるが、何処に行くかは分からない」
根付いた思考は、どのように生成展開してゆくかなど全く判らない。


夢の世界の設計士は構造のトリックを使い都市を丸ごと構築する。
ペンローズの階段のような構造を巧みに取り入れて作ってゆく。
街の多重空間の創出などさせ自在に遊べる、天地創造の醍醐味であろう。
しかしその構造に記憶の再現を嵌め込むと、夢と現の混乱が起きるというのも頷けた。
そんなとき自分独自のトーテム(一種のアイテム)が自分の存在する場を見極めるメルクマールになると、、、。
実に説得力あるきめ細かい設定だ。
フランシス・ベーコンの絵が壁に掛けられているところなども実に行き届いている)。

夢の層により時間の圧縮度とその同時性の展開場面は非常にスリルがあった。
時間の進み方が、潜在意識の層によって異なり、下層に降りるに従い時間は遅くなる。
何故なら深層にゆくほどこころ―精神の働きが加速するからだ。
確かに夢の世界の速度は速い。
この映画では、現実界の10時間が深層第1層では1週間、第2層においては6ヶ月、第3層では、10年とされていた。

車の橋桁からの落下の時間層とホテルでの一段下層のもの、そして富豪の金庫室のある雪山でのもっとも深い時間層での攻防。
コブは妻と更にその下の層にまで降りる。「わたしと一緒にここで暮らしましょう」
ここまで来るとまさに現実とは何か、その価値や実在すら判然としなくなる、、、。
(確かにコブがサイトーを迎えに行ったあの虚無の領域は、まさに特異点のような場かも知れない)。
時間自体が解かれてしまう場であるか、、、。

彼と妻が50年間かけて深層の場において建造してきた巨大な建造物が海に向かって次々に崩落してゆく、、、。
想いが無残に解かれてゆく、、、
その圧倒的な寂寞感。
VFXに実に魅了された。効果的とかいうレベルでなく。形式=内容のレベルにおいて。
カフェでの爆破もあんな風な新鮮な光景は初めて見た。

結局、サイトーの依頼である、富豪の御曹司の識閾下には「父の真似ではなく、自らの道を進め」がしっかり根付いたようだ。
作られた遺言状の下に隠されていた風車のアイテムこそが真のメッセージを誘発した。
潜在意識では感情は働かないとは言え、考えの発端はこのような深い感動による。
そのシンプルで原初的な熱量のないところから、それは生長しない。
そしてその結果がどうであろうと、、、。

「望む場所へ行けるが、何処に行くかは分からない」
コマが回り続ければそこも誰かの夢の中かも知れない。
やっとドムが念願の子供との再会を果たしたその世界も、、、。
彼が全てをふっきり向き合う現実の果敢なさ、覚束なさ、しかし掛け替えのなさが、このコマの回転の緊張に一気に収束する!
この稠密なテーブルの時間性はまさにタルコフスキーのあのテーブルではないか、、、(何故か涙が止まらなくなってしまった)。
そこにすでにコブはいない。(子供たちのところー現実に戻ることが出来たのだ)。
最後の最後の一瞬まで緊張の途切れない作品であった。


キャスト陣も皆、申し分ない。
傑作というしかない!



スパイダーマンは見ているが、これ程の作品を作る監督とは知らなかった。
余りに凄い!

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