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命をつなぐバイオリン

WUNDERKINDER001.jpg

WUNDERKINDER

ドイツ
2011年
マルクス・O・ローゼンミュラー監督

エリン・コレフ、、、アブラーシャ(バイオリニスト神童と呼ばれる)
イーモゲン・ブレル、、、 ラリッサ(ピアニスト神童と呼ばれる)
マティルダ・アダミック、、、ハンナ(バイオリニスト2人の友達)
グドルン・ランドグレーベ、、、イリーナ(アブラーシャ、ラリッサそしてハンナの優れた音楽教師)
コンスタンティン・ヴェッカー、、、シュヴァルトウ親衛隊大佐
カイ・ヴィージンガー、、、マックス・ライヒ(酒造工場社長、ハンナの父)
カテリーナ・フレミング、、、ヘルガ・ライヒ(ハンナの母)
ミヒャエル・ブランドナー、、、 アレクシー(マックスのウクライナ人の部下)

「命をつなぐバイオリン」って何だ?
ちょっと酷すぎる。
「神童」のままがよい。
ドイツの誠実な自己対象化による総括のひとつの成果でもあろう。
決して薄っぺらい反戦映画・反ナチ映画にはなっていない。


アブラーシャ、ラリッサ、ハンナ、3人の子役は皆、自分で演奏している。
そこがまた素晴らしい!役者としても十分に凄い上に、、、。
アブラーシャの迫真のバイオリンだ!
その才能に憧れ、地元で酒造工場を経営している富豪のライヒ一家の娘、ハンナも彼らの先生の下で勉強に加えてもらうようになる。
バイオリン映画の傑作と言えば「北京バイオリン」があるが、こちらはあのような迫り来る父子の感動の物語、というタイプの映画ではなく、体制(戦争)によって翻弄される神童の過酷な運命を淡々と描写してゆく。
途中でリコーダーやギターで、3人がラリッサの作曲した「友情の曲」を奏でているところは痛々しくも微笑ましい。
とても抑えた表現で戦闘場面などの派手さ(アクション)などもないが、かえって張り詰めた心的緊張感は強い。
またそれぞれの登場人物が色濃くソリッドに描かれている。
アブラーシャやラリッサを教え育てる音楽教師の誇り高い凛とした姿、「ボルシェビキにファシズム、体制に反抗したくもなる」と彼らに援助を惜しまないウクライナ人アレクシーなど、信条をしっかりもち、妥協しない人物像は印象に残る。

スターリン政権下のウクライナという国の深刻な事情には胸が詰まる。
本当は、共産党の宣伝を兼ねたものとは言え、アメリカのカーネギーホールでアブラーシャとラリッサのコンサートが催されるはずであった、のだが急に政局が激変したのだった。
彼らの家族もアメリカにわれわれの才能を見せつけてやれと意気揚々であったのに。
独ソ不可侵条約を破りドイツがソ連に進攻してくる。
当初はハンナの家族を森に匿うアブラーシャ達の家族という構図であったが、ドイツの支配下にソ連が置かれる立場となると、今度はハンナ一家がユダヤ人でもあるアブラーシャ、ラリッサ達を匿う番となる。
そんななかで音楽を通し固く結ばれるアブラーシャとラリッサとハンナの3人の瑞々しい友情。
ほんのひと時の詩的で美しい微睡みのような時間は、惨たらしい現実を殊更に際立てる。
3人は文字通り体制に無残に引き裂かれてゆく。

この映画「神童」の神童たる所以であるが、最後にアブラーシャ(バイオリン)とラリッサ(ピアノ)が完全に完璧な演奏をすることで、ナチスから命を保証しようという機会を与えられる。
ヒムラーの誕生祝賀会のコンサートであった。
自分の家族を攫って強制収容所に連行した相手を祝う会である。

これは、一般のドイツ軍関係者にとってはコンサートであろうが、二人の神童にとっては、耐え難い拷問に等しい。
最初は、とても順調に曲を弾きこなして一曲目が終了したが、会場のドイツ将校と目が合った途端ラリッサの脳裏には、
強制収容所に送られていった家族の姿や直前この男から受けた脅しの場面がフラッシュバックされててしまった。
そのため、引き終わる間際に彼女はピアノに突っ伏し嗚咽してしまう。
会場のハンナの両親の声を殺した叫び。そしてハンナの祈りも虚しく、、、。
アブラーシャは命を助けられるがラリッサは処刑される。
才能によってではなく、彼女の強い感受性・脆弱さによって、、、。

ハンナも言葉が出なくなり、筆談でコミュニケーションをとっていた時期があった。
戦時における日常のショック症状からである。
このような戦況下が、こどもにとってどれだけ過酷な時間となろうか。

結局、バイオリンが何であったのか、、、。


年老いたハンナのコンサートに友の形見の楽譜を持って現れた老人は、もうバイオリンはあれ以来全く手にしていないと謂う。
美術品の修復を仕事にしていると、、、。



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この映画、キャストが圧倒的に凄いというに尽きる。

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