ロバート・フランク

これはまた静かなインパクトを湛えた写真ばかりなのですが、一番引っかかった写真は「ニューヨーク」です。
ほの暗い残照のなかニューヨークを突っ切りまっすぐに延びる道路。
両端にはビルの下、夥しいシミの様な人影がならんで歩いてゆく。
残照と共に揺らいで消え去ることは分かっている。
ひとつ残る道路に果てはない。
いやすぐ先で突然途切れて虚無をむき出しにしているのかも知れない。
そんな茫洋とした道路。
こんな虚しい道路はなかなか観ることはできないです。
勿論、観るものの精神状態でまたは価値観で見え方などどうにでも変わると言われるかもしれませんが、この道路にはまったく活力に満ち希望に輝くものなど見えない。
すべてが終わった後の未来の記憶の果てに浮かび上がる道路。
すべてそんな想い出を呼び起こすような写真ばかりです。
REMやDinosaurJr.の音でも抒情的過ぎるような荒涼とした。
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