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アラビアのロレンス

Lawrence of Arabia 001
Lawrence of Arabia

1962年
イギリス
デヴィッド・リーン監督

久々に観た。やはり圧倒された。

ピーター・オトゥール 、、、トーマス・エドワード・ロレンス (考古学者、哲学者、軍人?)
オマー・シャリフ 、、、シャリーフ・アリ (ハリト族 ベドウィン の首長)
アレックス・ギネス 、、、ファイサル王子
アンソニー・クイン 、、、アウダ (ハウェイタット族 の首長)
ジャック・ホーキンス 、、、アレンビー将軍


砂漠の光景でこれほど凄味のあるものは見たことがない。しかも深夜、神々しい早朝(日の出)、昼の地獄の熱砂、夕日に静かに暮れる時間帯、全てを通して生々しく描かれてゆく。カメラのスケールがやはり尋常でない。
どこをとっても名シーンばかりであるが、アリの現れる場面など広大で幻想的な砂漠でなければ有り得ない。
また、夜の砂漠には、サンテグジュペリの孤独が深く影を落としていた。
トマス・エドワード・ロレンスは、フランス語・ギリシア語・ラテン語に通暁しており、 アラビア語もこの任務に着く以前に、しっかりマスターしてしまったという。5か国語がペラペラなわけである。
また、無類の読書好きで、何処にあっても常に本は手放さなかったらしい。
途轍もない読書量であり、研究熱心であったという。
映画でも、彼のプロフィールに読書をよくし、広い知識をもち、博学であるとあった。
この知の広がりの内に、アラブの諸問題もあったのか。

そして、オートバイを愛した。冒頭から彼の乗るバイクが猛スピードで飛ばし、自転車を避けきれず道脇に突っ込み、彼の葬儀から始まる。激動の人生の幕引きは、また大変呆気ない。
彼は高級で性能の素晴らしいブラフ・スーペリア を乗り回すのが好きだった。というより猛スピードで激走したのだ。何と言うか極限至上主義という感じでもある。
少年時代は自転車であったというからスピード所謂、異なる速度に身を置くことに関心が強かったのか。彼のひとつの信条は速度であったように思われる。
ともかく全てにおいて早い。また速い。(ラクダを操るのも早かった)。更に極限的状態に常に身を置く。そうしないと逆に生きれない、かのような、、、。そんな際立った資質を感じ取れる。
そして自転車でどこに行っていたかといえば、遺跡や博物館巡りであった。
繋がる。

トマス・エドワード・ロレンス、彼は当初、変わり者だが差別感覚が無く統率力と戦術に長けた頼りがいのあるファイサル王子の軍事参謀 として認知される。
それから2年間の恐ろしく濃密なドラマであった。
彼は実は複雑極まりない、特異な魅力溢れる人物であることが分かってくる。
カイロにて将軍からアラブの情勢把握の任務を仰せ使われる。
イギリスとしてはトルコードイツ(最大のライバル)同盟の牽制があった。イギリス、フランス、ロシアはトルコを叩きそこから美味い汁を吸うことで、とりあえずの利害は一致していた。

ロレンスは、いきなり参謀の能力を発揮し、ホウェイタット族を巧みに取込みベドウィン族とともに、ネフド砂漠を越えてアカバを襲撃する。誰もがまさか陸路を行くとは思っていなかった、後ろからの奇襲である。(大砲は海に向かっていた)。
彼はこの作戦の実行直前、ホウェイタット族の1人を殺傷してしまったことの落とし前として自分が命をかけて救ったベドウィン族の男の銃殺を余儀なくさせられる。
この時期にどうやら彼は精神をやられていた、、、。(又は彼の倒錯的な別の局面が目覚めたといえようか)。
アカバは陥落し、彼はアラブの人々から篤い信頼を勝ち得る。
彼は白い綺麗な首長の服を譲り受け身に纏う。彼の中のアラブがはっきり誕生した時である。

アカバ陥落の報告のため、ロレンスはシナイ半島(歴史上モーセしか渡ったことのない半島)を渡りきる。
当然、クタクタになりながらのカイロ到着であったが。
この精神力と肉体の強靭さはどこから来るのか。それともそれは強靭さというより、こころと体の極限的な酷使をすすんで行う彼の性向の成せる業か。
シリア戦ではヒジャーズ鉄道 のゲリラ的な列車爆破である。これを何度やったことか、、、もう趣味のレベルであったかも知れない。(忘れたが70回以上、彼が爆破しているはず)。ワジ・ムサの戦い 。

そしてこの時期、ジャーナリストに大きく戦勲 が取り上げられ、世界中に彼の名前が轟くことになる。まさに「アラビアのロレンス」だ。しかし彼は高揚し英雄気分を味わうと同時に自らの内に蠢く異常性にも悩まされはじめる。
たった一人の命にあれだけ拘ってきたのに、殺戮を楽しむ自分を今や認識し、戦慄を感じずにいられない。
これ以降、殺戮に恍惚感をもったり、ダルアー偵察 の際、オスマン軍に捕まりムチ打ちの刑などの拷問を受けるなど、かなりの精神におけるダメージに戦く。
ボロボロの衣服で夜放り出されるロレンス。この時はもうすっかり自信を無くしてしまう。
それを介抱するアリ。この辺になるとアリが陰日向にロレンスを見守る立場となる。
ロレンスの瞳に宿る狂気もめくるめく、、、。この辺はPeter O'Toole独壇場だ。
彼はこの精神的危機を癒すため、普通の生活に戻ろうとする、、、

エルサレムにて彼はアレンビー将軍に辞表を出すも 受理されず、すでにアラブの次なる戦いに送られる手はずとなっていた。
ロレンスはサイクス=ピコ協定について聞かされ、アラブの国が帝国主義国の野望に切り裂かれることを予期し、イギリス正規軍より早くダマスカス占拠へと急ぐ。
彼は金のためなら何でもする凶悪な連中を組織し進軍してゆく。
彼はその途上メギドの戦いで、また陰惨たる殺戮を結果的に指揮してしまう。

アラブ民族にとっても16Cから支配されてきたオスマントルコ に対する最大の決起となる。
ある種、この戦い全体がロレンスの文学的な特質(幻想世界)と重なっていた気もする。


アラブは基本言語は、セム語族であっても、民族としてのまとまりはない。
彼らは古くからの因縁を持つ互いに敵対し合う部族の集まりに過ぎなかった。これでは会議は愚か最低限の街の管理・秩序も保たれるはずはない。
アラブ国民会議をロレンス独りで組織しようにも、結局みんな砂漠に散り散りに去っていってしまう。
彼はアラブ人に対して、幻滅と懐疑の念でいっぱいになりながら大佐に任命され迷惑払いされて、失意とともに帰国してゆく。
イギリスにもファイサル王子 にも裏切られて。勿論、ロレンス自身分かっていたこととはいえ、、、。
アラブはそのまま政治家の手に渡る運命となった。

彼の乗るジープをバイクが素早く追い抜いてゆく。


これ程の大作がこの先作られるとは、思えない。
また、ここまでしっくりするキャストも集まらないと思う。
ピーター・オトゥールは本物より彼、ロレンスであったはずだ。
オマー・シャリフ もアンソニー・クインもアレックス・ギネスも実にリアルで活きていた。

Lawrence of Arabia002

Lawrence of Arabia003
トマス・エドワード・ロレンス本人


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