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オリヴァ・ツイスト

Oliver Twist001

Oliver Twist
1948年
イギリス

デヴィッド・リーン監督
チャールズ・ディケンズ原作

ジョン・ハワード・デイヴィス、、、オリヴァ・ツイスト
ロバート・ニュートン、、、ビル・サイクス
アレック・ギネス、、、フェイゲン
ケイ・ウォルシュ、、、ナンシー
フランシス・L・サリヴァン、、、Mr.バンブル


アラビアのロレンスの監督の作品。
大きなスケールの非常にこってりした物語。
少年オリヴァ・ツイストの数奇な運命を辿るもの。

彼の境遇は、教区救貧院から葬儀屋、スリ一味、富豪の邸宅(祖父の家)と変えられてゆく。
そう、全て外部の力に翻弄されて過酷な経験を次々に味わう。
何故、母親が夜逃げ込むように授産所にやってきて彼を産み落とさねばならなかったかは、一切語られない。
彼を産むと直ぐに母は死んでしまったため、彼女の首にかけられていた黄金のロケットも奪われてしまう。
そのことは、産まれた男の子のその後の悲惨な運命を決定した。
人間の赤ん坊ほど危うい存在はない。
自然界においても人間社会にあっても、極めて脆弱で保護を必須とする立場だ。
泣き声に対応してくれる確かな善意がなければ、まずまともに生きながらえることはできない。

孤児院の強欲な老婆の手にロケットが渡り、オリバーと勝手に名付けられた彼の素性は隠蔽され家畜同然の暮らしを強いられる事になる。
人にとって最も大事なものは、常に情報であった。
ヒトという生命体も情報系にあり、また社会という外部情報系を内在化しつつ生活を反復している。
その意味からも、レッテルがどう貼られるか一つで大きな境遇(選択の自由)の差ができる。

この時期の少年少女を扱った映画に出てくるキリスト教の収容施設は、どれもキリストの名を借りた劣悪極まりない拷問施設であった。ここでも”God is love”とか”God is truth”などという白々しい看板が抜け抜けと貼ってある。(聖書からの引用文句であろうが)。
同様の内容が幾つも重なれば、実際もこんなものであったという見当が充分につく。(実話によるものもかなりあった)。
という事は、ひとつ何かの拍子にレールを外れると、救済という名目の飛んでもない世界が大きな口を開けてる事になる。
一度そこにハマると、運良く救い出されても、彼のようにまた連れ戻され、更に泥沼に引きずり込まれる危険性が大きい。
そこがキリスト教施設であろうと盗人のアジトであろうと、、、。
どのような階級であってもそれぞれ個々に差異があり、幸せなど個人的な価値意識によるものではあるが、このような施設とギャング集団は、一方向的な主従関係にあり全く自由も権利もない過酷な環境である事に違いはない。
ここにる少年たちは単に、ここを離れて行く場所を持たないだけで寄り集まっているだけなのだ。


しかし現代にも、離れようとしてもそこから脱することのできない磁場というものは、いたるところに存在する。
何と言うか、人間的弱さと孤独に耐えられないこころの隙間に、その場所の吸引力があると思われる。
それに加えて個人の情報リテラシーの度合いであろう。
その個人の中に、確かな次の場所(考え)が生まれれば、ある日盗みに出かけるフリをして逃避する事は可能だ。
ここで問題なのは、それを考える場所が今現在の場所にほとんど生じないという事だ。
それで、多くのケースの場合、外部の者に発見され連れ出されるまで、出ることが叶わぬのだろう。
構成員が経験・教育の無い少年(少女)であれば、尚更のこと。

ただ、オリバーの場合、ひとつだけ得なことがあった。
それは、容貌である。
これは、もしかしたらギリギリの状況において、命の保証にもなり得るものかも知れない。
彼は劇の中では、容貌に優れ、少し憂いを含んだ高貴な雰囲気を湛えた少年ということである。(うーん。そうだったか?)
これは、葬儀屋でも盗人集団でも使いようによっては、利用価値が高くなろう。
スリに間違えられた際に出逢う富豪の男性にも、その容貌によって保護され可愛がられた。
彼がその老人の孫であることが分かるのは、その後の事である。

なかなか、これは肝心な事かと思える。
女性なら尚更かも知れない。
だが、常に保護されるかといえば、可愛さ余って憎さ100倍でもある。
オリバーを見かねて、かの老人に彼の情報を教えたために、ナンシーは愛人であった悪党サイクスに殴り殺されてしまう。
裏切られた際の逆上は殊の他大きいものだ。

最後の民衆が1団となって警察とともに、オリバーが捕らえられている悪の巣窟になだれ込んでゆく場面が圧巻ではあるが、また恐ろしい民衆の一面でもある。
ここでは、それによってオリバーを始め盗人として育てられた身寄りのない少年たちを救う事にはなったが、情報の誘導による動きである。いや何となく集団の勢いに便乗して乗り込んでいる者たちも少なくない。
これは、現代ではより注意が必要である。
情報リテラシーの問題は非常に深刻になっている。


ともあれ、オリバーの波乱に満ちた人生は見応えたっぷりであった。




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