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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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パソコン受難

Moonwalker004.jpg

今日、わたしのメインで使っているパソコン3台中2台が揃って不調。
と言うか正常に~まともに使えない。
その為、今入力中のWin11マシン一台で心細くも当面の間、何もかもやらねばならぬことに、、、。

更に長女が使っているWin11ノートがわたしが気づいた時には水浸し状態になっていたのだ。
まさに目を疑う、悪魔の仕業としか言えないような光景。
ノートを持ち上げたらザブザブ中から水が零れ出るではないの。危うく気を失うところであった。
しかし、筐体の水をよく拭き取り、裏側を開き丁寧に水分を吸い取り電源を入れると普通に起動するのだ。
キーボード側からコーヒーなど零すとまず100%やられてしまうが、激しく濡れていた割にはダイレクトにそこに零さなかったらしい。
ドーターカードは無事であったようだ。
相変わらず何をしでかすか予測不能のデストロイヤーではあるが、不幸中の幸いと謂えようか、何だかよく分からないが起動するのでよしとしたい。今全く暇がない為、考えないことにする。

StrawberryMoon001.jpg

これ以外はUBUNTUとChromeBookとホントにサブに使っているWin11が2台(データ整理と管理用)と持ち運び専用のキーボード着脱可の10インチWinが一台(余りに遅いストレス発生機が)あるのみ。
ここ10年来起動すらしていない、MacやWinXPのワークステーション等数台あるが、それらはもう使う予定はない。
こころの余裕がないのだ。しなやかな遊びこころが戻れば起動ボタン押すかも。
(娘の学校では、一人一台ChromeBookが学習用に宛がわれているが、わたしにとってこのOSは使いにくい。実は過去わたしが一番楽しかったOSはBeOSであった。実用で使ってはいなかったが。今はもうないみたい)。

ホントはM2プロセッサーのMacとかが欲しいのだが、今はとっても大変な時期なので、それは考えないことに。
考えると時間と金が必然的にかかるのは自明なので、何も考えずに暫くは過ごす以外にない状況、、、。
(最終的にはMacに戻りたい気持ちは大きい)。

少し時間に余裕が出来たら、不調のメイン機に違うOS入れようかと思っている。
UNIX系になるが。
勿論、MacOSもそうだが、こちらはハード込みであり、とっても高い。憧れだが(笑。
以前は、Macしか持っていなかった時期もあるが、何だかとっても懐かしく栄光の時期であったような気もする(爆。

昔は余裕があったからな~
最近は、ブログ記事にも余裕がない。


どこかで何とかしないと。
なるようにしかならんけど(笑。



Moonwalker002.jpg






ラ・ヨローナ ~泣く女~

The Curse of La Llorona001

The Curse of La Llorona

2019
アメリカ

マイケル・チャベス 監督
ミッキ・ドートリー、トビアス・イアコニス 脚本

リンダ・カーデリーニ、、、アンナ・テイト=ガルシア(ケースワーカー)
ローマン・クリストウ、、、クリス・ガルシア(息子)
ジェイニー=リン・キンチェン、、、サマンサ・ガルシア(娘)
レイモンド・クルス、、、ラファエル・オルヴェラ(エクソシスト)
パトリシア・ヴェラスケス、、、パトリシア・アルバレス(ラ・ヨローナに子供を殺された女)
マリソル・ラミレス、、、ラ・ヨローナ(悪霊)
ショーン・パトリック・トーマス、、、クーパー刑事
トニー・アメンドーラ、、、ペレス神父


なんでも『アナベル 死霊博物館』と『死霊館 エンフィールド事件』の間に位置する「死霊館ユニバース」6作目に当たるという。そうなのか。といってもよくわからんのだが。

The Curse of La Llorona002

1673年のメキシコで亭主に浮気された女が復讐のために子供二人を溺死させ自らも命を断つ。
その女が悪霊となり、水のあるところに現れ子どもたちを拐って溺死させるという。
自分の泣き声を聞いた子供がターゲットとなるそうだ。

舞台は1973年のロサンゼルス。
アンナは自分がケースワーカーとして面倒をみているパトリシアが自分の子供を学校にもやらず家に監禁しているということで、訪問し閉じ込められている部屋から子どもたちを解放する。
母親は虐待容疑で警察に連行されてしまう。
しかしパトリシアは飽くまでも子どもたちを泣く女から守るためだったと主張する。
その夜、彼女の二人の子供は保護施設から出て川で溺死体で発見されることに。
パトリシアはアンナをひどく憎む。

The Curse of La Llorona003

この悪霊、泣く女の場合、水については特に大きなプールのある家でなくとも、バスタブでも大丈夫らしい。
しかも近くに川があればそこでも目的は達せられるようだ。
つまり自分の泣き声を聴かせられれば、特に水環境で支障の出ることはなく、ほぼそのまま溺死に持って行ける。

自分の子供がアンナのせいで殺されたとするパトリシアは教会で泣く女にアンナの子供を捧げると必死に祈る。
それにより、泣く女の次のターゲットが定まった。
こんな感じで決まっちゃうのね。
泣く女への復讐とかは一切考えないらしい。
恐らくそれは自然現象に近い災いであり、守っているところをその渦中に投げ出した思慮のないアンナに対する怒りであろう。そこはよくわかる。アンナは全く他者の意思などお構いなく独善的に事務的に彼女たちに接した結果がこれである。
子供殺害の容疑もかけられるが証拠不十分でパトリシアは釈放となる。

The Curse of La Llorona004

ガルシア家では、白ドレスの恐ろしい形相の女が泣き声を聴かせながら子どもたちを襲うようになる。
最初のうちはなんとか逃げていたが掴まれた腕には酷い火傷跡が残っていた。
クリスが泣く女に酷い目に遭い医者に連れてゆくとその腕の傷からアンナは警察に通報されてしまう。
不条理な事態に投げ込まれた者に対する世間一般〜法の不寛容さを初めて身を持って知るアンナ。
何があったか子どもたちに聞きただすが怖くて二人は何も言えない。
しかしサマンサがバスタブで襲われているところに駆けつけ、母ももろにその恐ろしい女を目の当たりにし腕にもしっかり子供と同じ火傷跡をつけられる。
アンナの常識は吹き飛び、直ぐに3人で教会に駆けつけるが、正式なエクソシストを発動するまでには手続きもあり最速2週間かかるねと言われる。このお役所対応では到底持たない。
そこで教会と意見対立して去った神父でいまは民間で不正規エクソシストをしている男を紹介される。

The Curse of La Llorona005

最初は勿体ぶって断るが、サマンサが袖を引っ張りお願いする姿をみて承諾となる。
しかし如何にも胡散臭く今ひとつ頼りになるのかどうかという感じの男。
色々なアイテムを用意して家に向かい儀式と準備を執り行い夜を待つ。
既に取り憑いていることからじらさず普通に現れ、エクソシストが色々と手を打ち応戦してゆく。
真剣に対応し、見た目と違い真面目なエクソシストだと分かるが、、、
ここでも例外ではなく多くのこの手の映画と同様、エクソシストは酷い目に遭う。
これは定番だから仕方ないが、フリーとなったパトリシアまで襲ってきて泣く女に加勢し彼は銃で撃たれてしまう。
散々である。幸い急所は外れていて最後の十字架攻撃をアンナとの連携で成功させるが。
それまで、急にドンと現れ凄い音でも脅かされお化け屋敷的な怖さを堪能させてもらうことに。
しかしわたしは本質的にお化け自体が怖くないので単純に脅かされて驚く反射的な反応レベルに終わった。

The Curse of La Llorona006

精神的な怖さとは無縁のお噺である。力技の応酬であった。
ただ、他者の気持ちや思想に無頓着で独善的に自分の考えを押し付けるアンナにとり、この経験は良い薬となったか?
最後にこの不正規エクソシストにえらく感謝していたが、まあ異なるパラダイムを尊重することは、ケースワーカーの仕事には肝心なことかも知れない。他者には他者の事情がある。





アマゾンプライムにて











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さがす

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片山慎三 監督・脚本
小寺和久、高田亮 脚本

佐藤二朗、、、原田智
伊東蒼、、、原田楓(智の娘)
清水尋也、、、山内照巳(指名手配中の連続殺人犯)
石井正太朗、、、花山豊(楓の彼氏、クラスメイト)
森田望智、、、ムクドリ(山内に自殺幇助を依頼した女性)
松岡依都美、、、蔵島みどり(楓の担任)
成嶋瞳子、、、原田公子(智の妻で楓の母、筋萎縮性側索硬化症)
品川徹、、、馬渕(果凛島に住むみかん農家)


結局、何を探したのか?

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視座を変えてシーンの絡みを立体的に見せていた。
娘の気持ちと山内と言う人間、そして父のそれが交錯し、活き活きと伝わるため、噺の説得力は充分。
交差点では、父が娘を確認するところは幾つもあったが、娘が父を知る部分が然程あった気はしない。
父も母の存命期には娘そっちのけで介護に明け暮れていたきらいはあったようだが。

最後、父が何をしたかは分かったとしても彼が何者かなど分かるはずもない。
何をしたかは警察も調べる。
分った気で、いい気になられても困るところはあるのだが。
この娘の担任、とても献身的で責任感もあり良い人だと思うが、娘の態度には呆れる。
とてもひねくれていて共感できずそのまま。家庭環境から孤独で淋しいことは分かるが。
彼氏の扱いも何とも言えない。
父と山内との関係を悟るきっかけとなる携帯電話を顔認識もパスコードも介さず確認できてしまう点は気になった。

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清水尋也と言う役者はよく見るが、こういう役が多い気がする。
何かを秘めていて得体の知れない雰囲気を強く纏っているから、こういった役のオファーが来やすいのか。
今回もピッタリだった。
ホントに死にたいと思ってる奴なんかいないと嘯いていながら安楽死により救ってあげましょう、などと言って智をそそのかし仲間と言うより手下として使うところなど、(いつも通り)悪だね~と感心した(智も妻の公子を殺されながら従ってゆくのもどうなのか)。

智にしても妻に死にたいと懇願されても自ら手は下せず山内に委ねるまでの心境は充分察することは出来るが、その後何でSNSアカウントを沢山用意して山内に死を望む人の紹介業みたいなことを始めるのか、、、。まず死にたいと思ってもその前に介すべきクライシスホットラインなどもあるはず。それを期待して敢えて相談してくるクライアントもいたのでは。
このオヤジも特別な闇を抱えている事は分かる。

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その闇の部分が活性するのが、一度殺しの最中で警察官のパトロールに引っ掛かり放り出して逃げることとなったムクドリのケースがあったが、再び彼女がSNSで300万の報酬で安楽死を求めて来た際に、山内出し抜き作戦に出るところ。
ムクドリが用意する300万と山内の懸賞金300万を自らのものとしようという魂胆である。
山内が指名手配となったところで、いつまでもこの男と絡んでいては当然自分も危ない。
以前経営していた卓球教室を娘の為にも再開し出直したい。

彼を信用させムクドリの持参金を独り占めする、、、。
という事で、正当防衛を装い、山内をふいにハンマーで殺しムクドリから得た金を奪い、自分の腹を包丁で刺し警察に連絡と言う手筈を取る。
この過程が決して冷静な犯行というモノではなく、終始山内にビクビクしながら金をくれるクライアントとは言えムクドリには馬鹿にされてこき使われ、おまけに山内に殺されたはずのムクドリがまだ瀕死で生きており腹を刺してそれどころではない智に、しっかり殺してくれと這いずって頼んで来る。死力を振り絞って首を絞めてどうにか終わる。
だが、それで終わりではなかった。その後確認して驚愕・落胆するのは、札束の表と裏だけ本物で、中身が白紙であったのだ。
ムクドリも只者ではない(ケチったのではなく単に金がなかっただけらしいが)。
何とも言えない哀愁が漂う。これは佐藤二朗でなければ絵にならないのでは。

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山内も完全に冷酷無比の殺人犯を逸脱する面は描かれている。
彼が智に反旗を翻されハンマーで殴り殺される時、彼が用意していた青いクーラーボックスが弾みで倒れ、中から冷えた缶ビールがゴロゴロ出て来た。これは智が報酬の件で山内に意見した際に取り敢えず仕事が片付いたところでビールを奢りましょうと言っていたものである。殴られる時も意外という表情をしていた。下に見てはいても智に対し一種の信頼感は寄せていたことは感じられる。

結局、智としては、警察からは表彰され報奨金は手にするが、本来は600万手に入るところ306万であった(トホホ。
恐らく卓球教室再開費用に賄えなかったのか、例の山内の仕事を彼がまだ引き継いでいるのだった。
(それは不味いなと思ったが)。
明らかにその辺怪しいと思っていた娘が父のアカウントにメールすると案の定予想していた返事が戻って来た。
これで確証を得た楓と父との卓球が始まる(取り敢えず柔らかめのラリーか)。
しかしこのやり取りがとてもリアリティがない。
ホントにこのふたり卓球やってるのかなと言う気がして来て妙な気分になる。
娘が唐突に父の真相を知っている。どんな人間か分かっていた、みたいなことを告白し、一回ラリーが途切れる。
そして再開した時、球が消えて音だけになってしまう、、、。
娘が「迎えに来たで」(だったか?)と言ってパトカーのサイレンが聴こえるが、これも何処で鳴ってるのか定かでない。
ここに到着するパトカーとはとても思えない非現実的な音である。

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ただ、この家の卓球を介した関係性はこれをもって消滅したと思われる。
ホントに卓球していたとは思えない、ラストの空疎な非現実感。
このやり取り、別の場面でなされていたのでは。
彼氏はどうなるのか知らぬが。


今日で3500記事になった。今一つ気が乗らなかったが、、、。






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返校 言葉が消えた日

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Detention
台湾
2021

ジョン・スー 監督・脚本

ワン・ジン、、、ファン・レイシン
ツォン・ジンファ、、、ウェイ・ジョンティン
フー・モンボー、、、チャン・ミンホイ
チョイ・シーワン、、、イン・ツイハン
リー・グァンイー、、、ホアン・ウェンション
パン・チンユー、、、ヨウ・ションジエ
チュウ・ホンジャン、、、バイ教官


1960年代台湾が舞台。
言論統制が敷かれた「白色テロ」時代真っただ中。
40年に渡る戒厳令の敷かれた恐怖政治の時代である。
当然、描けば恐怖空間となろう。そう、とてもダークなトーンに染まっていた。
そのなかでの切ない恋愛と連帯。

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翠華中学では「読書会」が秘密裏に一部の生徒と教師により行われていた。
本が禁止され隠れて朗読、写本する人々を描く映画はかなりあるが、、、。
見つかったら(密告されたら)当局に連行され処刑となる。
しかしここでは放課後部活みたいに和気あいあいに開かれているのには若干違和感を持つ。
確か資料室を使っていたが、ちょっと無防備な感じは否めない。
こちらがハラハラしてしまうではないか。

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こうした行為は途中でバレるとは思うが~恐らく鍵を管理する用務員あたりとか~ここではチャン・ミンホイ先生に恋心を抱いている女子生徒のファン・レイシンが彼の恋人であるツイ・インハン先生に嫉妬し、禁書を読んでいることをバイ教官に密告したことから発覚。
秘密の「読書会」メンバーは拷問を受け、自白して生き残ったウェイ・ジョンティン以外、全員処刑されてしまう。
このことに耐えられず彼女も死ぬ。

ヒロイン、ファン・レイシンの視座から描かれてゆくが、終盤彼女は既に亡くなっている事に気付く。
彼女の心象風景である。各シーンの時制や(象徴的な)歪みも納得できる。
彼女によって生かされたウェイ・ジョンティンの語りに最後は引き継がれる。
刑に処せられる為に牢獄を出て行くチャン・ミンホイ先生から最後に彼に託された約束を果たすところでは思わず胸に込上げて来るものが抑えられない。
チャン先生の描いた水仙の絵の額裏に隠されていた一冊の本とそこに挟まれた手紙である。
それを亡きファン・レイシン(の霊)に手渡す。
ここで初めて彼女は閉じ込められていた学校~悪夢から解放され昇天出来るのだ、、、。

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何でもこの暗く陰惨な映画の原作的なものは、ホラーゲームであるというからビックリ。
この史実ネタをホラーゲームにという発想も何とも言えないが、それに興じるゲーマーはどういう意識でやっていたのか。
かなりヒットしたゲームらしい。それを基に作った本作もかなりの大ヒットだったみたいだが。
ヒロインのワン・ジンは若くして小説家としても有名らしい(若過ぎるが)。

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確かに(彼女の悪夢の)幻視的なシーンは少なからずあり、当局の象徴的フィギュアとも謂えるクリーチャーが読書会の生徒や鍵をタバコ欲しさに貸した用務員を殺すところなどオカルティックであり、クリーチャー自体がホラー仕立てである(造形的に今一つの出来に思えたが)。全体に象徴的シーン~絵は多い。ホラー的ではある。
どうしても学校を抜け出せず無限に回帰する悪夢~自責の念と圧政の恐怖に苦しみ悶えるストーリーは陰惨だ。
だがこれは今現在も続く現実のホラーに相違ない。

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また観たいとは思わないが、一度は観ておきたいとても切ない作品。
台湾って今も大変であることが、ウクライナやガザの戦争で霞んでしまっているが、大丈夫なのか。





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グレートウォール

The Great Wall000

長城 / The Great Wall
2016
中国、アメリカ

チャン・イーモウ 監督
カルロ・バーナード、ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ 脚本
マックス・ブルックス、エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコビッツ 原案

マット・デイモン、、、ウィリアム・ガリン
ジン・ティエン、、、リン・メイ隊長
ペドロ・パスカル、、、ペロ・トバール
ウィレム・デフォー、、、バラード(ウィリアムの相棒)
アンディ・ラウ、、、ワン軍師


単純に面白い。
エンターテイメント作品として充分愉しませてくれる。
過度なスリリングさやショッキングなシーンは抑えられており、雄大なスケールを何より大事に描いていた。

The Great Wall002

饕餮(とうてつ)という中国古来の怪物が当然のように現れ大迫力だった。
単体でも凄い獰猛で敏捷で怪力だが、その数が途轍もない。
流石は中国。兵士も怪物も数で圧倒してくる。

わたしの大好きな「初恋のきた道」のチャン・イーモウ監督であるが、こちらは既に観ている中ではスケール的に「LOVERS」や「HERO」タイプの作品だ。

万里の長城を中国人が築いたのは、この饕餮の(60年周期の)来襲を防ぐためであった。
いよいよ時期的に饕餮に対する備えに入るときに、西洋人ふたり組が紛れ込む。
このふたり、中国から黒色火薬を持ち出し、国に帰り荒稼ぎをする目的であった。

The Great Wall001

だが、彼らも饕餮に襲われ長城を守護する禁軍に一度は捕らえられる。
しかし予定より早く襲ってきた饕餮を見事な戦いぶりで退けた働きが認められ、軍の一員として迎えられることに。
休む間もなく体制を立て直した饕餮の群れの第二派が大変な勢いで押し寄せて来た。
ウィリアムたちは自分も死にたくない為に闘うが、途中まではいつ黒色火薬を盗みトンずらするかのタイミングをみている。
だが、リン・メイ隊長の影響もあり、ウィリアムは信頼に基づいた人間関係の尊さに目覚めて行く。
相棒のバラードは、計画通りに火薬を盗んで逃げるが、ウィリアムは残り、リン隊長と共に饕餮を殲滅する大義のもと闘う意思を示す。

The Great Wall003

そこから先は、もう人間対怪物の攻防が演出も巧みに描かれてゆく。
この饕餮は、以前現れた時より知力がアップしており、奸計を巡らすほどになっていた。
禁軍の長年練り上げて来た何通りかの戦法で応戦するも、奇想天外だがちょっと現実味のないものも見られる。
何でバンジージャンプめいた体勢から戦えるのか、壁を降りながら背を向けて戦うのは明らかに不利ではないか、とか、、、。
戦隊が色で識別されているところは壮麗で、流石にチャン・イーモウ監督だと感心した。
作戦の点でも負けたりもし、シャオ将軍が倒されたことで、リンが将軍に昇進することに。
禁軍も饕餮は磁石により活動力が低下することに気付く。
作戦上、磁石と火薬の巧妙な利用が肝心となる。
ウィリアムは彼女を助け機転を利かせ得意の弓矢で好戦する。

The Great Wall005

怪物も女王の指示で組織的な統制のもと動くため大変手強い。
軍隊の隊列さながらに動く。
女王に食料を兵隊たちが口移しに補給しているところが如何にも獣らしくて妙にほのぼのしたり。
壁の高さだけでなく気球による移動や攻撃など戦闘空間が変化に富み飽きさせない。

最後は、捕まえた饕餮を磁石で眠らせ身体にダイナマイトを沢山つけたところで起こし、でかい肉をたらふく食わせて女王のところに戻させる。
当然、奴は女王にその肉を提供しようと近づいて行く。
ウィリアムとリンは高い塔の上に登り、正確無比な彼の弓矢でダイナマイトを狙いタイミングよく爆破させようとする。
再三、連中の守備に阻まれるが、最後の弓でここぞとばかりに口を開けた女王に肉を補給せんとする時に見事成功。
女王が爆死することで、夥しい数の饕餮が一斉に死に絶えてゆく。
登った塔から崩れ落ちてゆく饕餮の群れなど、この辺のVFXは壮観である。獰猛の造形も申し分ない悪の極みであった。
(これ程卑劣な顔のクリーチャーも見たことない)。

The Great Wall004

兎も角、スリリングさもあるが、何よりスケール感で愉しませる映画であった。
主演のマット・デイモンとジン・ティエンのバディ振りはなかなか爽やかで素敵である。
よくあるアクションアドヴェンチャーもののような恋愛には発展しないところも潔い。
マット・デイモンとウィレム・デフォーのバディにはむさ苦しさを覚えた(笑。別にこれはこれで良いが。

気楽に愉しむには持って来いの作品と謂える。




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すみれ人形

sumire001.jpg

2008

金子雅和 監督・脚本
竹久圏 The Spectacrewz 音楽

小谷建仁、、、文月(すみれの兄、腹話術師)
松岡龍平、、、螢介(幼馴染、すみれの恋人)
遠藤裕美、、、すみれ
綾野剛、、、猟奇殺人鬼
山田キヌヲ、、、蜜子(ストリップ小屋の受付)
マメ山田、、、手品師


金子雅和監督の「映画美学校」卒業制作だという。
学生らしい作品に思えた。自分の趣味をありったけ注ぎ込んだという感じの映画であった。
しかし、タルコフスキーの卒業制作には遠く及ばない。
(ちょっと丸尾末広の漫画のイメージを感じた)。

キャストでは、猟奇殺人犯の綾野剛ではなく、マメ山田に惹かれた。
この味のある役者を知っただけでも観た甲斐はあった。
小人の手品師で渋い個性的な役者である。
彼の活躍する映画を他にも観てみたい。
(綾野剛も面白かったが)。

物語の設定と世界観は、、、「腕」へのフェティッシュな執着。
暗く怪しいストリップ小屋~見世物小屋空間と廃墟と樹木と秘密めいた森。
不在のファム・ファタール?と(球体関節)人形~ハンス・ベルメールほどのインパクトはない。
この辺の要素を詰め込み、動かすとこんな感じになるか。

いやもう少し特異で微妙な設定により起動して特異なサブルーチンに飛んで行く。
妹が片方の腎臓を兄に提供し退院した日に猟奇殺人犯に襲われるという、、、何とも特異な。
彼女は右腕だけ残し、本体は見つからないまま5年が過ぎる。
その間、弟の文月はすみれという名の人形の腹話術を見世物小屋でしながら妹を探し続けていた。
そして先輩に無理やり連れて行かれたストリップ小屋で受付(元踊り子)の女性が妹にとても似ていることに気付く。

何とその女性も右腕を失っていた。明らかに運命的な出逢いを感じる文月。
蜜子と文月は関りを深め、彼女が舞台に復帰するのを手伝う。
彼女の右腕役を彼が見事に果たし舞台は盛況であった。
更に文月は行方をくらましていた幼馴染で樹木医を目指していた螢介に再会する。
彼は廃墟で、腕を失った女性に木で作った義手を接ぎ木のように接合する医者をしていた。
そしてこともあろうにすみれを木で再生しようと企んでいるのだ(すみれの遺体を隠したのも螢介であるという)。
もう単に狂気の世界であるが、狂気でない人がそもそもいない映画である事にこちらも気付く。
(だがその狂気自体に何と言うか重みが無い)。

文月は螢介の実験や企みに対し激しく拒絶反応を示す。
蜜子が木の腕を付けて貰う事を嫌悪する。正気じゃないと詰め寄るが、基本どちらも正気ではない。
そしてあのように舞台で息の合った絶妙な二人羽織を披露していた間であるのに、突然文月は蜜子をすみれ人形で惨殺してしまう。
そこの場面があやふやで今一つ観難かったのが残念(こういうところが散見される)。
もう少し動きの精細なディテールが欲しい。
蜜子の死体を人形みたいに腹話術で喋らせるのはもうここではインパクトはなかった。

終盤は、死んだ蜜子とやはり殺し合う文月と螢介、木で作られ復活を待つ?すみれ人形と、、、血生臭い展開が矢継ぎ早に続くのだが。
螢介が文月から腎臓を抉り出し、すみれの木の手に握らせるところなども含めどうも安易な流れに見える。
最後に文月は自分の右腕を切り落とし、木のすみれはレバーを手にしたまま燃えてしまう。
この締めに至るまでの流れが、演出とかの問題より本自体の、つまり内容的にしっくりせずとても軽く感じるのだ。
何を描こうとしているのか。何だかおどろおどろしく終われば良いみたいな。
雰囲気はともかく、物語自体の出来が、かなり粗雑。と言うよりもそもそも物語が書けていたのか。
主演の個々のキャラも実に曖昧なもので、終盤でナニコレ状態になっている。

雰囲気だけで押しても成り立たない。
そんな映画か。




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トラが今朝、帰って来た。
昼過ぎに何とかシャワーで洗い水気を取ってはれて復帰ということに。
かなりたくさん食べ、グウグウ眠る。
外でどういう状況であったかが分かるというモノ。

落ち着いたと思ったら夜に悪戯三昧。
これまでは阻止してきたのだが、食卓のテーブルに乗って娘用に作っておいたパスタを見事に汚く食い散らかした。
外に出ていた分、野生が復活した感もある。
元々躾の出来ていない、爪を出す、何でも食い破る癖のある2歳猫を引き取ったこともあり、その後直すと言うのは無理だと思う。

フリーにしないことを心掛けたい。






20日の朝から、、、

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依然、トラが家には入らない。
やはり猫には感じられるのだ。
邪気が。

この磁場に辟易して、外の空気を吸いに出たのだ。きっと。
ただし、「餌と水だけは頼んだぜ。後は気ままにやってくさ」。
と言う感じの石荒裕次郎でも小林旭でもよいが、出掛けてもう5日目である。
長女の部屋の小窓からの脱走だが、二階からどうやって降りて行くのか。

なかなか根性が座っている。いや野性的と言うべきか。
今日もお昼ごろ、二度ほど庭に現れ、わたしと網戸越しに話を交わした。
お互いにニャ~にゃー言っているうちに向うが納得したのか、また尻尾を立てて立ち去った。

また少し後で、弱い声でニャーニャー声は聞こえたのだが姿は見せなかった。
寒くなる前に、戻って来てほしいが、こればかりは分からない。
彼の気持ち次第だし、こちらの家の風通し具合の問題でもあるか。
お互いに対等な関係であり、トラの意思に任せたい。

友人のO君は、猫は自分の持ち場のパトロールを時折するものだと言っていたが、、、
ちょっと今回はパトロール以外の要件も大きいように思える。
家の中では運動不足にもなりがちだし、波動も悪いし、リフレッシュしたいのは当然だ。
他に目的もあったかも知れない。
だとすれば、まだそれが達成できていないのだろう。
ヘラクレスみたいに12の難業に挑んでいる最中かも知れないので、暫く餌と水だけ替えて待つつもり。
餌はしっかり食べているが、トイレを何処で済ませているかは謎。
流石に寒くなって来るし、早く要件を済ませて欲しいところ。

猫砂の取り換えと飛び散ったのを掃除する手間がこのところ無いのは助かっている。
トイレ砂関係はちょっと面倒なのだ。
面倒と言えば、毎度、戻って来た時のお風呂である。
これは嫌がるし大変。
しかし洗った後の毛並みのフサフサ感はトラもとっても気持ちよさそう。
やはりたまには風呂~シャワーも浴びたい、はず。

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冬は暖かく過ごしたいものだ。
(暖冬らしいが)。



ヘラクレス

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Hercules
2014
アメリカ

ブレット・ラトナー監督
ライアン・J・コンダル、エヴァン・スピリオトポウロス脚本
スティーヴ・ムーア『Hercules: The Thracian Wars』原作

ドウェイン・ジョンソン、、、ヘラクレス (ゼウスの息子)
イアン・マクシェーン、、、アムピアラオス (予言者、ヘラクレス配下)
ジョン・ハート、、、コテュス王(トラキアの王)
ルーファス・シーウェル、、、アウトリュコス (スパルタ生まれのならず者、投げナイフの名手、ヘラクレス配下)
アクセル・ヘニー、、、テュデウス (斧の二刀流、ヘラクレス配下)
イングリッド・ボルゾ・ベルダル、、、アタランテ(俊足の弓使い、ヘラクレス配下)
リース・リッチー、、、イオラオス(ヘラクレスの甥、語り部、ヘラクレス配下)
ジョセフ・ファインズ、、、エウリュステウス王
トビアス・ザンテルマン、、、レーソス(レジスタンスの戦士)
ピーター・ミュラン、、、シタクレス(トラキア軍の将軍)
レベッカ・ファーガソン、、、ユージニア(コテュス王の娘、アリウス王子の母親)
アイザック・アンドリュース、、、アリウス(トラキアの幼い王子)


ドウェイン・ジョンソンはこの映画の主役に就くに当たり、「僕はこの役を演じるために生まれてきた」とまで言ってのけたそうな。
確かにはまり役とは思うが。

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マッチョマンにとりヘラクレスは尊い人には違いあるまい。
そのヘラクレスが腕利きの仲間を引き連れ、暴れ回るというもの。
もうドウェイン・ジョンソンのこたえられないほどの恍惚感も分かる。

神の子と謂っても半分人間ではある。
ゼウスと人間の女との間の子であり、妻のヘラが怒り狂ってヘラクレスを殺そうとするが赤ん坊のくせに襲ってきた蛇を退治してしまう。長じるにつけその強さは比類なき者となる。
エウリュステウス王から12の難業を命じられるが、それを成し遂げてしまい、甥のイオラオスにより世に広く伝承され神格化されることに。彼の名を知らぬものはいない、、、。

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そのヘラクレスのもとに、トラキアの王女ユージニアが我が国を反乱軍から救ってほしいとやって来る。
報酬ならいくらでも払うという。取り敢えずヘラクレスの体重と同じ金貨が提示される。
金が大好きなアウトリュコスが大乗り気となり結局引き受けることに。
何故かこの時点でヘラクレスは傭兵の身分となっている。何があったか映画では語られていなかったような。

さてトラキアではほとんど兵士が残っておらず、農民などの素人をかき集めた兵であった。
そのためヘラクレスが基礎から鍛え上げることになる。
最初の戦では半分の兵を失う痛手を負ったが、本腰を入れたヘラクレスチームのプログラムで立派な軍隊に仕立て直す。
このタイミングでヘラクレスたちが、兵士分の優れた武具を大量に調達して渡すのだが、どうやって製作できたのかビックリした。
数に勝るレーソス率いる軍勢を整然とした戦法で打ち破る。
コンパクトに纏っていたがかなりの迫力はあった。
ヘラクレスとその一団も各々の特技を生かし大活躍を果たす。
大群相手のひとり弓矢のアタランテは異彩を放ってカッコよかった(ほぼマーベルのヒロインである)。
兵隊の守備力が格段強化されたことで、勝利をものにし報酬も手にする。

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しかしである。
捕らえられたレーソスがお前は圧政者の下僕に成り下がった。悪の手先を働いたと罵る。
勝利の宴会の際、ユージニアに聴きただすと、息子を人質にされトラキアを自らの意のままにするためヘラクレスを利用するよう仕向けられたという。レーソスたちはそれに対するレジスタンスであった。仕えた王コテュスこそが民の敵であったのだ。
ヘラクレスは騙されたことを悟り、自ら鍛え上げた兵力であったがこれを取り除き、トラキアを解放せんとする。
一度は捕らえられるが怪力を発揮して脱出し、コテュス王に歯向かい最後の闘いに打って出たヘラクレスたち。
この時、自分の妻子を殺した相手がコテュス王と手を組むエウリュステウス王であったことを知る。
最後の難行を自覚するヘラクレス。エウリュステウス王を家族の仇として葬る。

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ヘラクレス一行は孤軍奮闘するが、圧倒的に多勢に無勢である。
ここでずっと仲間として闘ってきたテュデウスを失う。
しかし本来の自分の怪力に覚醒する彼は、階段の上から巨像を倒し、多くの兵士やコテュス王を薙倒してしまう。
CGも充分に使われたスケール感たっぷりのスペクタクルであった。
また、マッチョなヘラクレス他、兵士がわんさか出てもつれ合う映画であるが、女性もしっかりそれぞれの役割を果たす。
その辺のバランスも良い。

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兎も角、ヘラクレスがどれ程、強さを見せつけるか、充分個性的な彼の仲間がどんな活躍するかを愉しむ映画である。
噺自体は、良い王だと思って仕えてみたが実は飛んでもない悪であったことに気付くというひと捻りだけだが、文字通りの少数精鋭で飛んでもない数の兵を相手に圧巻の戦闘振りを披露した。
王が吹っ飛んだ後、相手側兵士は皆がヘラクレスに対し兜を脱ぎ跪いて「ヘラクレス」と唱和し敬意を表す。

ヘラクレスたちがまさに、マーベルのスーパー軍団であった。
ちゃんと女性兵士もいて横並びだともうそれにしか見えない(笑。
何も考えずに愉しめる面白い映画である。
こういうモノもないと困る。




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悪夢探偵2

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2008

塚本晋也 監督・脚本
黒木久勝 脚本
川原伸一 音楽


松田龍平、、、影沼京一(悪夢探偵)
三浦由衣、、、間城雪絵(京一に助けを求める女子高生)
韓英恵、、、菊川夕子(悪夢に出るいじめられっ子)
光石研、、、京一の父
市川実和子、、、逸子(京一の母)
松嶋初音、、、アキ子(雪絵の友人)
安藤輪子、、、睦美(雪絵の友人)
内田春菊、、、雪絵の母(キャリアウーマン)
北見敏之、、、夕子の父


「悪夢探偵2 」となっているが、「悪夢探偵」の続編と言う訳でもない。
独立した作品として観られる。

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こちらは、影沼京一自身にスポットを当て彼の内面の葛藤や苦闘が幼少期から描かれる。
(彼の母親は彼を幼いころからずっと恐れ続けた。尋常でない家庭で育ったことは確か)。
彼の人の心が読める能力も災いした。
かなりしんどい人生を送って来たことが分かる。
(この続編と言うか3は流石に厳しいだろうと思った)。

人の内面が覗けてしまっては、世の中怖くてストレスフルでやってゆけまい。
気持ち悪いこと甚だしいだけ。現実が悪夢ではね、、、
何処かに隠遁するしかない。(現在の京一は近所の子供たちに見守られてボロアパートに住んでるみたいだが)。

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オマケに人の夢の中にも潜入出来ることが知れ、悪夢探偵と呼ばれ重宝に利用しようなんていう輩がいてはたまったもんじゃない。
ここでも図々しい女子高生が友達から聞いたと言っていきなり訪れ、わたしの悪夢をどうにかして欲しいと訴える。
そこに現れるのが、自分がこれまでさんざん虐めて学校に来れなくしたクラスメイトなのだ。
身勝手にも程がある。先ずは先方を訪ねて陳謝することが先であろう。
(この手のクズはわたしの近辺にも沢山いる。加害者のくせに被害者ぶっている頭の悪い連中だ)。
こういう輩がいるのだから金をしこたま請求すればよい。
費用から断念するのも出て来れば助かるというもの。

他人の夢に入ると、彼自身の身体にもかなりダメージが残るらしい。
ろくでもない奴らの為にキツイ仕事を引き受ける必要などないのだが、、、。
今回は、自分自身の問題繋がりでその仕事に関わることに。
その悪夢に出て来る菊川という女子が、京一の母にとても似ていることで、彼自身未だに悩まされている母との関係を解決することにもなるのではと思われた(菊川とは何者かということに惹かれたのだ)。

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その娘も彼の母も人の心が読め、恐怖に満ちた悪意と邪気渦巻く気色の悪い世界に苦しんでいた。
両者ともに常に「怖い怖い」と世を恐れて暮らしていたのだ。
京一の母はそれに耐えきれず、彼がまだ幼いころに首を吊って自殺してしまった。
京一も母の喪失とその資質を引き継いでいることで苦しんでいる。
そんなことにお構いなく彼を頼って来る自己中の偽善者たちに対し「あ~いやだ、いやだ」を連発する。
ここは、あなたの悪夢を消し去りましょう~とかいうスーパーヒーローとは全く異なり好感が持てるところ。
是非、金も取るべき。
(それにしてもこの人、何で食っているのか不明)。

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悪夢~心象風景を扱っていることからVFXも多用されるが程よい感じでマッチしていた。
菊川の描いた絵も悪夢の先の光景へと上手く繋がっていた。
母役の市川実和子の存在~演技も大きい。
大変危うい域の上でかろうじて生きているのがよく分かる。
京一の父、光石研も雰囲気が諦観そのものに染まっていた。

一緒に菊川を虐めた他のふたりは変死したのに、間城は結局、影沼京一によって助けられる。
(しかし2人が何によって殺されたのかは定かでない。あの悪夢の主は何者か。菊川は怖がっていただけなのだ)。
間城も生き残ったが「聞こえる者」となってしまった。つまりこの先は京一や彼の母と同じ苦しみを背負う身となった。
それこそ報いだ。人の痛みを知るべき。

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京一は菊川を何とか身を挺して救い、彼を恐れ続けて死んだ母親との和解にも繋がった。
母が京一のリクエストでハンバーグを楽しそうに作る後姿を幻視する光景がそれを物語っている。
ある意味、母の呪いから解けた京一が号泣する場面、まさに浄化される気分であった。


松田龍平がホントに物悲しい悪夢探偵そのものに思えた。
この2の方が面白かった。よく出来ていて、何より彼が良い仕事している。
そう言えばこの監督さん、自分も俳優として暴れ回る人だった。




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ベイビーティース

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Babyteeth
2019
オーストラリア

シャノン・マーフィー監督
リタ・カルニェイ脚本・原作『Babyteeth』
アマンダ・ブラウン音楽

エリザ・スカンレン、、、ミラ・フィンレイ(難病の少女)
トビー・ウォレス、、、モーゼス(薬中の孤独な少年)
エッシー・デイヴィス、、、アンナ・フィンレイ(ミラの母、元ピアニスト、精神を病む)
ベン・メンデルソーン、、、ヘンリー・フィンレイ(ミラの父、精神科医)
エミリー・バークレイ、、、トビー(向かいの家の妊婦)
ユージーン・ギルフェッダー、、、ギドン(ミラのバイオリンの先生)
エドワード・ラウ、、、ティン・ワー(バイオリン教室に通う幼い少年)
ザック・グレック、、、アイザック(モーゼスの弟)
ジョージナ・シムズ、、、ポリー(モーゼスの母)


ひりつく辛口のラブロマンスであった。

兎も角、痛々しい。
親子、恋人共に悲痛の人生である。
他人事とは思えない。

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しかし病に悩まされてきたミラと親に拒絶されて孤独に生きて来たモーゼスが、共に愛に恵まれたことだけは確か。
それが救いである。
だが余りに苦しい。苦しみ抜いた果てのこと。

人生とはこれ程辛い道程なのだ。
そのまま認めるだけ。
だって、その通りだから。実際、この通りだから。

冒頭のミラとモーゼスの出逢いの場面は、彼がもうやってらんねえ、と電車に飛び込もうとしたところから始まる。
ミラはその場面に出くわし鼻から大量に出血。
ここから始まるのだから、しんどい。

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この難病で多感の高校生の娘に親に完全に見切りをつけられた少年が付き纏う事は、親にとって居た堪れないことであった。
はっきり両親は、この少年を嫌っている。
だが、次第に病状が悪化する娘にとり必要な存在であることが分かって来る。かつらをしていても全く気にしない彼が。

少年は家を追い出されて住む場所がない。
父親は自分の気持ちを抑えて彼に家に住むように促す。
娘の生を少しでも延ばしたい一念である。

娘への対応を巡り夫婦間での諍いも絶えない。
父も母も娘の為を思いやることがぶつかってしまう。
その間にも娘の病状は進む。親にとっても地獄である。

娘は隠していたが、モーゼスは彼女の母に新しいしこりが見つかったことを知らせてしまう。
こんなことからも恋人同士もぶつかりギクシャクする。
母はショックから余計に精神状態が悪くなる。

精神科医である父は娘へのモルヒネ、妻への睡眠薬・精神安定剤、娘の彼氏への薬の処方箋~調剤をその都度することになる。
混迷と重苦しさが一時解かれたような、ミラのバースデーパーティー。
そこでミラと母がバイオリンとピアノで演奏する曲が素晴らしく美しい。

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妊婦が産気づき途中で演奏が中断され参加者が皆席を立ち出て行く。
ミラとモーゼスの最期の夜となった。
彼女はベッドでもう朝まで耐えられないからあなたに殺して欲しいと枕で窒息させてくれることを懇願する。

もう自力で息をするのが苦しいと、、、
でも彼に出来るはずがない。
意を決して枕で顔を抑えつけるが彼女が反射的に暴れて失敗する。

彼女のベイビーティースがこの時抜けた。かなりの体力を失い、そのまま眠る。
ミラは夜明け前4時ごろに清々しい表情でトワイライトの空を観に行く。
そのまま戻り息を引き取った。

翌朝、モーゼスは彼女が亡くなったことを告げる。
母は激しく取り乱し何故わたしたちに最期のお別れをさせなかったのかと激しく彼を詰るが父は静かに彼女に遺体に寄り添う。
母とモーゼスは抱き合いながら激しく嗚咽する。

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映画のラストは、この直前にミラ親子とモーゼスそして彼の弟と共に砂浜でひと時を過ごすこの世ならざる光景が広がる。
死を前にした海辺の光景とはこういうものか、、、
そこでミラは父にモーゼスをよろしくねと囁く。父は涙を堪え頷く以外にない。

そうだ、この海辺であったか。彼女が最期に観に来た場所は。





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ゴジラVSコング

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Godzilla vs. Kong
2021
アメリカ

アダム・ウィンガード監督
エリック・ピアソン、マックス・ボレンスタイン脚本
東宝『ゴジラ』エドガー・ウォーレス、メリアン・C・クーパー『キングコング』原作

アレクサンダー・スカルスガルド、、、ネイサン・リンド(元モナークの地質学者)
ミリー・ボビー・ブラウン、、、マディソン・ラッセル(ゴジラの理解者)
レベッカ・ホール、、、アイリーン・アンドリューズ(モナークの人類言語学者、コングの監視役)
ブライアン・タイリー・ヘンリー、、、バーニー・ヘイズ(「大怪獣の真実」を配信する陰謀論者)
デミアン・ビチル、、、ウォルター・シモンズ(エイペックス・サイバネティクスのCEO)
小栗旬、、、レン・セリザワ(芹沢猪四郎博士の息子、エイペックス・サイバネティクスの主任研究員)
エイザ・ゴンザレス、、、マイア・シモンズ(ウォルターの娘、社の重役)
ジュリアン・デニソン、、、ジョシュ・ヴァレンタイン(メカオタク)
カイル・チャンドラー、、、マーク・ラッセル(マディソンの父親、モナークの生物学者)
カイリー・ホットル、、、ジア(髑髏島の先住民イーウィス族の少女、聴覚障害、アイリーンの養女)


『キングコング対ゴジラ』1962以来59年振りの対決らしい。
そのせいか?結構派手にやってる。
そしてメカゴジラと来た。これもまた懐かしい(もっと強く成っていたが)。

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いや~脚本がマーベル畑の人みたいで、如何にもと思った(笑。
大味で大雑把で大らかな作品である。
行き当たりばったりでコミカルテイストタップリ。
出て来る人々も漫画の登場人物そのもの。
VFXは造形、質感、動き、構図ともかなりのものであったが、何とも筋が安易。

その何だったか、「エイペックス・サイバネティクス」社が秘密裏に途轍もない悪巧みをしているのだが、それがメカゴジラの製作なのだ。以前、ゴジラに倒されたキングギドラの頭の一つをコントローラーにしてそこに小栗旬が座して白目をむいて精神接続を果たし、操ると言うのだが、それがまだ不安定で難しく試験中であった。しかも現在の状況ではパワーは40%しか出せない状況で、地球の地下の空洞にあるエネルギーの補充が必要だとか。まだすぐに起動できないのに無理やりボスがしてしまう。そのお陰でメカゴジラが主体的に動いてしまい、最初の犠牲者がどうよと大威張りしているボスであった。何とも(背後からコントロールを失ったメカゴジラが迫ってくるのに気づかないところが面白くて噴出してしまった。一番の演出(爆)。
ゴジラがいち早くその企みに気づき、「エイペックス・サイバネティクス」社に攻撃を掛けていたのだが、それを知る人は誰もいない。
ゴジラがいきなり暴れ出したとして攻撃する政府軍とこれには何か事情があると踏み調査を始めるトリオが出て来る。
バーニー・ヘイズとマディソン・ラッセルとジョシュ・ヴァレンタインの3人。マディソンは前作でもヒロインでゴジラに救われた少女。

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一方コング側にも精神的に繋がる少女がおり、コングと手話で話す。彼女もかつてコングに命を救われた。
コングとゴジラも通じ合うところもあるようで、彼らはかなり知能は高い。
それに引き換え、地下で凄いモノを作っている割にセキュリティーがまるでなってなく、素人3人組が冗談言いながら中枢まで普通に入りこんで来るというのはどうか。
輸送ポッドに3人乗りこんでいれば重量エラーでアラートが鳴るとかしてもよいはずだがそのまま到着。
まさかねと思うが、監視カメラもないのか?基地内もポッド内も何処にも。
住民全体を避難させましたと言ってる割にメカゴジラが暴れ狂っている状況下で、キャーキャー逃げてる民衆も沢山いたが、ご愛敬か。
この辺の大らかさはマーベルコミックに通じる感じはする。

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地球空洞説と言うのは聞いたことがあるが(実際に隙間はあるのだが)、そこに入ると重力反転現象が起こるそうだ。
大気圏外に出るよりずっと大変そうだった。身体にかかる衝撃が物凄い感じ。やめた方がよい。わたしに関係ないが(笑。
ニュートンの万有引力の法則から見れば、空洞がもしあれば、内部は無重力になってしまい、そこの地表には人が住むことはできない。何故か反転した先で普通にコングがリラックスしていた。

この空洞から大きなエネルギーが取り出せるということで、ネイサンやウォルターたちが色めきだっている。
空洞はコングの故郷でありそこに戻る事をジアからコングに伝えてもらい、彼らはコングの帰巣本能に委ねてその場所に赴く。
そこは「地底旅行」のジュール・ヴェルヌもビックリの凄い場所としか言えないようなところ。
だが、観終わってからどんなところだったかほぼ思い出せない(爆。

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何と言っても見どころは、ゴジラとコングのバトルと、異様に強いメカゴジラをゴジラとコングのタッグでやっつけるところだ。
これを観るためにこの映画を観ているのだし。
他は基本的に気にするところではない。
とくにふたりのタッグはなかなかスリリングで、別れ際も渋くて良い。
王者の貫禄は充分であった。

いよいよ浜辺美波がヒロインで登場する「ゴジラ-1.0」が控えている。最初期ゴジラの続編みたいな、「シン・ゴジラ」とは全く異なる凄まじいものが観れそう。
最近の怪獣物はどれもレベルが高い。
CGの造形力のアップは大きいものだ。

Godzilla vs Kong005

この映画も怪獣は良いが、その他のディテールをしっかり描けていれば、パシフィックリムばりのものになったかも。
そうそう小栗旬は、ほぼ白目をむいてメカゴジラとの同期を図っており、それに失敗して絶命というかなり呆気ないものだった。
わたしはそこそこ楽しめた。





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秘密の森の、その向こう

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Petite maman
2021
フランス

セリーヌ・シアマ 監督・脚本

ジョゼフィーヌ・サンス、、、ネリー
ガブリエル・サンス、、、マリオン
ニナ・ミュリス、、、母
ステファヌ・ヴァルペンヌ、、、父
マルゴ・アバスカル、、、祖母


「小さなお母さん」
確かに、、、。
自分と同年齢の幼い親と遊ぶという過激な経験、その親が本質的に良い人間なら、価値ある体験となろう。
子ども同士のやりとりである。最高に楽しいものになる可能性はある。
だがキチガイであればたまったものではない(勿論わたしであれば、激しく拒絶。この物語自体成立しない)。

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祖母の家が森を挟んで端と端とにあるような特異な空間を形成していた。
(この映画の仕掛けは基本これだけである。小屋を中心におく、対称的に位置する同じ祖母の家)。
ネリーは祖母が亡くなり、一人住まいであった彼女の家の整理に訪れていた。
ネリーと父を残し、一足先に母はその家を出る。物語は母不在のその秘密の森での出来事である。
何とも言えない喪失感の漂うトーンの映画であった。

8歳とは何か。
わたしは猫のように生きていた(トラがまた今朝から旅に出た)。
この世よりも他の系からの情報を受けていたように思う。

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ネリーは森でマリオンと言う母と同じ名前の同い年の少女と出逢う。
その少女は、森の中に秘密の小屋を作るところであり、ネリーに協力を頼む。
4本の支柱を基に建てる母の語っていた小屋そのものである。
ふたりは直ぐに親しくなり、ネリーはマリオンの家に招かれて遊びに行く。
その家のお母さん、つまり亡くなったばかりの祖母にも出逢う。
(ある意味、気味の悪い体験ではあるが)。

このネリーの不可思議な経験は、受け容れられる。
わたしの身にもこんな風な奇妙な現象は起きていたと思う。
そうでなければ生き残ってはいまい。
(多分、絵を描くこととビートルズを聴くことを通して入って来るものが主。真昼の陽光からことばが聴こえたこともある)。

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森に小屋を作ったことは、ネリーは母のマリオンから聴いて知っていたが、実際に自分が同い年のマリオンと一緒に作る。
母の追体験を彼女が何故するのか。構造的に反復する円環にいるような噺ではあるまい(陳腐なSFとなる)。
(とは言え、マリオンの祖母の名がネリーであると言われると、何か変な意図も感じてしまう)。

秘密基地は人生にとって、とても大事だ。
友との秘密の共有が生活をワクワクさせる。しかしその小屋の事をネリーが母に尋ねたとき、彼女はとても素っ気なかった。
何の病なのか。マリオンは3日後に病院で手術するのだと言う。
マリオンの母(ネリーにとり祖母)は杖をついていた。彼女もそうならぬ為の手術だと言う。ネリーの母は杖は以前ついていたようだ。
ネリーは母から杖をもらっていた(という事は必要なくなったのだ)。
一方、ネリーの方も片付け要員の父(それ以上の役割はない人)から3日後に引っ越すことを告げられていた。
ネリーはより深くマリオンを知りたいため、お泊り会を望む。

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片付けが早く終わったため、一日引っ越しの日が前倒しになる。
しかしネリーはマリオンの家に泊まる約束を取り付けていた。
父は彼女にまた今度と言って断りを入れるが、ネリーは彼に「今度は無い」と告げる。
そうだ、常に今度は無い。
絶対に無い。経験的にもないが、、、「さよなら」だけではない。
マリオンが病院から戻って来られようが、そのままであろうが、今度などというモノは原理的に無い。
(しかしここでネリーはマリオンの母に「さよなら」を言う事が出来る。事の始まりはおばあちゃんにそれを告げることが出来なかったという喪失感にあったのだから)。

別れが近づいた時、ネリーはマリオンにわたしはあなたの子供よと告げる。
マリオンがネリーに未来から来たのかと聞くと、彼女は「後ろの道から来た」というところ唸った(笑。
母マリオンは今何歳かと聞くとネリーは31歳だと答えた事で、現マリオンは自分が31歳で母を失う情報を得る。
マリオンの病院に行く時間となり抱き合って別れを惜しむが、ネリーがもう完全に片付いた祖母の家に戻ると何故か母が床に座っていた。もう一度ここを観ておきたかったと言う。ネリーは母マリオンに良い時間が過ごせたことを告げ抱擁する。

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ジョゼフィーヌ・サンスとガブリエル・サンスが双子の姉妹という事は、一目で分かる。
(うちも双子だが、二卵性の為か、似ても似つかないどこが双子だ?と言う双子だ)。
まあ、仲がよさそうで、それが自然の何気ない所作にも現れていて微笑ましい。
何となくの動きも含め上手く演出・編集がなされているようで、無駄は感じられない無理のない良い演技にまとめられていた。
監督の手腕か。またこの監督の映画は観ていたい。





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物語から逃れて

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ふたつほど邦画を観てみた。
つまらなかった。
物語に息詰まる。垢に塗れた物語に。
わたしもまた「物語」に囚われているから、尚更。共振して怒りが迸る。

確かにわたしの幼少時を絡めとった物語は最悪であった。
勿論、輻射し続ける過去が更新をやめないが。
肝心なことであっても手放してよい。
どうでもよいことにすらまだ関わっていて、、、ものに取り巻かれている。いや憑りつかれているのだった。

親がまだ生きていようが、意識の外に捨てればよい。
これはまた我が子にも謂えること。
歴史を否定し、何にも囚われずジャンプ
暗闇で。

何も求めず。
猫の時間を跨ぐ。


嗚呼、忘れていた。
何で忘れていたのか、、、。
もうとっくの昔に人間辞めたはずなのに。
これは滑稽だ。

もう猫でもなく。
柿でも、月でも、通り雨でも、地の底に眠るミミズでもない。
勿論、シュルレアリズムではない。そんな暇はない(どんなことばもワザとらしい)。
眠る時間だ。

暫く、夢を見ていなかった事に気付く(ホントに生きて来たのか)。
悪夢にすら見放されてきた。
明日は違う扉を思い切り開く。
既に何かに成る気すら無く。


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オーメン666

The Omen001

The Omen
2006
アメリカ

ジョン・ムーア 監督・製作 
デヴィッド・セルツァー 脚本

リーヴ・シュレイバー、、、ロバート・ソーン (米国人外交官)
シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック、、、ダミアン・ソーン(悪魔の子、ソーン夫妻の養子)
ジュリア・スタイルズ、、、キャサリン・ソーン(ロバートの妻)
デヴィッド・シューリス、、、キース・ジェニングス (フリージャーナリスト、カメラマン)
マイケル・ガンボン、、、ブーゲンハーゲン (ブレナンに紹介された神父)
ピート・ポスルスウェイト、、、ブレナン神父
ミア・ファロー、、、ベイロック夫人 (家政婦、ダミアンの下僕)


見事に何の変哲もない1976年『オーメン』のリメイク版であった。

The Omen002

同じものを二度見せられた感じ。
だが、前観たモノ程のインパクトはなかった。
(わたしも前観たと謂っても「オーメン」2016年の10月に観ている。それ程覚えていないが、見事に思い起こすほど既視感の塊であった)。
例のピタゴラスウィッチ的な流れは健在で妙な安心感はあったが、、、。

The Omen003

オリジナル作を観た際には、それなりによく出来ていたという感想を持ったのだが、、、
ほとんど前作の焼き直しみたいなリメイク、わざわざ作る必要がどこにあるのか、とっても疑問。
通常、オリジナル作がよく出来ていて、そのオマージュ的にリメイクするのならば、今の感覚とズレていて合わなくなった部分を自然なシチュエーションに変えるとか、小道具面でも、電話をスマホやメール、ビデオチャット等に変更する等、最小限でも色々とあろうが、ほとんど何も変更はなかった。
ブレナン神父の殺され方と、ロバート・ソーンとダミアンの最期のシーンは変えようがないだろうが、その他はどうにでもなるはず。

The Omen004

勿論、改悪にならぬような充分な構想を練る必要があるが、逆にそれをしなければ何の意味があるのか。
リメイクがほぼ違う役者で撮り直しましたみたいでは、面白くも何ともないではないか。
しかも前作より出来が良いとは思えない。
どう考えてもオリジナルの方が面白かった印象がある。

何と言うかこの映画、タメが無くてさらっとどんどん進んでゆく。
分っていても遂に来た~っみたいな起伏~ボリュームが無くて、知っている流れをただなぞって行くみたいな。
ああそうだったと思いながら進んでも演出や本が凝っていれば、以前と同様のショックを受けたり感慨に浸ってみたり出来そうなものだが、そういう感情が一切湧かない。

The Omen005

ダミアン少年とブレナン神父はあれで良いと思うが、他のキャストは、どうもイマイチという感じ。
何と言うか、淡白なのだ。リーヴ・シュレイバーは確かに頑張ってはいた。
汗をかいて疲労してる感じはしたが、深く葛藤し動揺が隠せないという混迷した雰囲気には今一つ。
だから最期のシーンへの雪崩れ込みのインパクトも薄れてしまって、、、。
まあ、実質こちらも同じストーリーに乗って来てしまっているので、常に先が見越せてしまうデメリットによる作用は大きい。
ミア・ファローはとても巧みに恐ろしい雰囲気を漂わせており、上手いと感じたが、、、。

リメイクの在り方を考えさせられる作品であった。
(しかしこれまでリメイク版はかなり観て来たが、必ず何か+アルファがあり魅力的なものに仕上がっていた気はする。勿論、オリジナルの方が良いと感じるものも少なくないが、そこにしかない何かを感じるものは多かった)。

The Omen006

これは、観る必要のないリメイク作品であった。
以前の「オーメン」の記事に書いていた通りである(笑。

ここに出て来る犬は悪魔の手先であった。
とてもしっくり来ていた(笑。



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リトルプリンス 星の王子さまと私

Le Petit Prince001

Le Petit Prince
フランス
2015


マーク・オズボーン監督
イリーナ・ブリヌル、ボブ・ペルシケッティ脚本
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』原作

        :声
飛行士 、、、ジェフ・ブリッジス
女の子 、、、マッケンジー・フォイ
お母さん 、、、レイチェル・マクアダムス
キツネ 、、、ジェームズ・フランコ
ヘビ 、、、ベニチオ・デル・トロ
バラ 、、、マリオン・コティヤール
教授 、、、ポール・ジアマッティ
ビジネスマン 、、、アルバート・ブルックス
うぬぼれ男 、、、リッキー・ジャーヴェイス
王様 、、、バッド・コート
星の王子 、、、ライリー・オズボーン
ミスター・プリンス 、、、ポール・ラッド


あの薔薇の声にマリオン・コティヤールを使ってるの?何と贅沢な、、、。

Le Petit Prince002

完全に大気圏内の重力に支配された噺であったが、それはそれでよいとして。
寓話のひとつ。
これの原作の感想を中一のときに書いて表彰された覚えがある(笑。
作文と絵では度々何をか貰っていたのを思い出した(爆。

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、よい小説を書いていると思うが、この童話は大して面白くなかった。
かえって、大人が感心するような類の感想は書き易かった。
子供の頃、それを狙って書いたものだ(笑。
別に大人だけが打算を働かせる訳ではない。
寧ろ、大人になってから努力によって子供は獲得されるものだ。ピカソの謂うように。
(明瞭にそれを語っていたのは、エルンスト・マッハだったか)。

Le Petit Prince003

まさか子供は純粋無垢だとかいう幻想を信じてる人はいまいが、赤ん坊だってタブララサで生まれ出て来るわけではない。
胎内でかなりの間、親のことばは聞いている。
少なくともうちの娘よりわたしの方がずっと子供だ。それは確信している。

「本当に大切なものは、目に見えない」というのは物理的に言って全くその通りだ。
それを何とか、霧箱の軌跡や重力波で捉えてみたり、電子顕微鏡、超高感度カメラや電波望遠鏡、赤外線、等でその在り方を確認するとかして自然界のイメージを深めてはいるが、やはり何らかの形で知覚することが人々の認識に繋がり易い。
勿論、論理により導かれるがイメージを寄せ付けない世界像は成立する。しかしそれを認識するには、何らかの形象~言語を必要とする。
還元操作をしてもイメージ可能な、そう比喩が必要とされる。
それにより曖昧になったり歪みは不可避であるにせよ。それとも詩か。
確かにその意味で詩ばかり書いていた時期もある。

Le Petit Prince004

勿論、この物語での「目に見えないモノ」とは、非視覚的な表象を指している。
それは誰が観てもそう思うところだが、、、それが意識の在り方、感情~価値観の場としても。
もともと見えないモノ~何であるかは分からない~名付けようもないモノは、というより場は確かに在る。
ダークマターのような在り方で。
身体性として。わたしを制限し支えている。

Le Petit Prince005

そしてその場を活性したら、世界は変貌するはず。
この物語、そっくりこの少女の心象世界としても成り立つ。
面白い子だと思う。





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キャッツ&ドッグス

Cats Dogs001

Cats & Dogs
2001
アメリカ、オーストラリア


ローレンス・ガターマン監督
ジョン・レクア、グレン・フィカーラ脚本


ジェフ・ゴールドブラム、、、ブロディー教授(犬アレルギー研究家)
エリザベス・パーキンス、、、ブロディー夫人
アレクサンダー・ポロック、、、スコッティ・ブロディー(息子)
トビー・マグワイア(声、、、ルー(ビーグルの子犬)
アレック・ボールドウィン(声、、、ブッチ(優秀なエージェント犬)
ショーン・ヘイズ(声、、、Mr,ティンクルズ(猫のボス)


CGを表情の表現に駆使した犬・猫・ネズミ映画。如何に人の言葉を自然に喋らせるかである。
破綻は無く安心して入りこめた。擬.人化にも見ているうちに馴染んで来た。
何より猛獣でないのが助かる。ホントよ。

Cats Dogs002

犬アレルギー薬の開発を進めているブロディー教授を世界征服を企む猫組織から守る犬たちの活躍を描く。
ブロディー家で任務に就いていたエージェントが猫に誘拐されてしまった為、後任をつけることになったが手違いで素人のルーに決まってしまう。

彼は組織からもブロディー家からもほとんど認められず過ごすが、その人徳ではなく犬徳から次第に信頼を得てゆく。
エージェントとしての自覚も持ち、仕事も息子との関係も出来て来る。
こういう流れは極めてフォーマットに嵌った王道の流れだが、上手く描けていればそれはそれでよい。
但し、両者ともに普通に英語喋るまでは良いとして、人の助けを借りず、あの近未来的テクノロジーをどうやって開発・製造したのよ。この荒唐無稽さは、もう少し説得力持たせて欲しいところ。

Cats Dogs004

犬を滅ぼし人類を葬り自分たちの世界を作ると言う猫であるが、猫は元々それほど人間にべったりの生き物でもないし、このまま飄々と生きて行けばよいだけの事であろうに、、、。
具体的に、猫組織は博士の研究により犬アレルギーの人間がいなくなれば、今よりもっと人類と犬が仲良くなってしまうことを妨害しようとしている。

有史以前から犬と猫は争ってきた関係とか言っているが、そんな歴史聞いたことない。
共通する先祖を持つ間柄であるし。
猫はネコ目ネコ科ネコ属、犬はネコ目イヌ科イヌ属に分類される。どちらもネコ目である。

詳しいことは忘れたが、以前教育TVで言うには、ミアキスという動物が草原に出て行ったものが犬となり、森の中に残ったものが猫になった、という事であった。
草原に出て行けば自ずと隠れる場所のないことから、体格も大きく筋肉質となり走る速度も得て、集団行動をとりリーダーも生まれる動物になって行く。
森に残れば、枝から枝へと移動する平衡感覚や敏捷性、瞬時に獲物を捕らえる鋭い爪などが発達することになり、小型でしなやかな身体を獲得して行った。単独行動で、気ままな生活振りもよく分かる。
特別な状況でなければ、両者がわざわざ闘う必然性はない。

Cats Dogs003

ペットで犬猫両方を飼っている家は少なくないが、大概お互いに余り気にしないか仲良しに暮らしている。
犬と仲が悪いと一般に言われているのは、サルだろうが、これも怪しい。
とっても仲良しの犬サルも実際にいるし。

この映画、一方的に猫が腹黒の飛んでもない悪で、犬は陰ながら人類を守る人にとっての正義の味方となっている。
猫はどれも兎も角悪そうな風情。顔は勿論。犬は正直で純粋みたいな。
まあ、犬猫バトルを愉しませるための単純な敵味方設定であるが何だこれという感じもある。
恐らく見る人の半分は、猫派ではないか。
しかし両者を善悪に役割分担しようと思えば、自ずと犬は権力の犬とか言われ人間に従順な味方の立ち位置に収まり、猫の気ままで神秘的な雰囲気は、人より自然につく感じはハッキリとある。

Cats Dogs006

だから猫派のわたしも気にはならなかった。うちのトラもその意味では結構悪である。悪戯も激しいし。言う事も聴かない。
人との関りも完全にマイペース。ただわれわれはそこに魅かれているのだ。不思議な在り方を日常に接続してくれる。
犬のようにフリスビーで遊べなくともこれもまた充分な相棒である。
能力もほぼ互角だろうし。ただ人への依存度は犬の方が大きいと思う。

何の噺だ。
ともかく悪者猫から人類と犬を救った犬組織の噺か。
ネズミはただ猫に利用され兵隊にされるところであったが、後で猫は恨まれるのでは。
猫とネズミは明らかに捕食関係にあると思う。

Cats Dogs005

昨日の猛獣映画と違い、何の心配もなく思い切りのんびり観られた(笑。





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ROAR/ロアー

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ROAR

1981
アメリカ、南アフリカ

ノエル・マーシャル監督・脚本
ヤン・デ・ボン撮影

ノエル・マーシャル、、、ハンク(動物保護活動家で研究者)
ティッピー・ヘドレン、、、マドレーヌ(ハンクの妻)
ジェリー・マーシャル、、、ジェリー(息子)
ジョン・マーシャル、、、ジョン(息子)
メラニー・グリフィス、、、メラニー(娘)
キャロ・マティヴォ、、、マティヴォ(視察員、ハンクの理解者)


きっと松島 トモ子やムツゴロウ先生もびっくりだろうね。
こんな映画のオファーに乗る人って、、、動物好きとかいう理由では理解不能。
余程度胸の据わった命知らずか極端なサヴァイヴァル愛好家か自殺願望でもなければ、これに加わる気持ちがわからない。
ホラー・パニック映画がちゃっちく思える(爆。しかも筋立てはコメディである。猶更恐ろしい。
(ティッピー・ヘドレンは、アルフレッド・ヒッチコック監督の『鳥』で主演を務めており、これが結構趣味に合っているのかも)。

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CG一切なしの狂気の猛獣映画。
今なら100%CGで面白おかしく作るところだが、これは完全実写でCGでもここまで踏み込むまいと思えるところまで生身の人が猛獣とじゃれあう映画。227頭のライオン、トラ、ヒョウに加え獰猛な象まで出てきて暴れ狂う。
70のキャストとスタッフが怪我で入院したそうだ。
死人が出なかったのは奇跡かも。
しかも1700万ドルの製作費に対し200万ドルしか回収できなかったという。
(完成までに11年かかったことも痛かったはず)。
単に危険な映画を作れば人が喜んで観るとは限らない。とてもコミカルな筋書きだが見ればどれほど危ないか誰でも察する。
こわ面白い映画だが、流石にドリフだってやらない。

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タンザニアが舞台。
ハンクは、ライオンやトラなどの野生ネコ科動物の研究と保護を熱心に行っている獣医。
随分、彼ら猛獣とも馴染み、単身赴任で頑張ってきたが、そこに家族全員呼ぶことに。
しかしハンクが家族を迎えに行ってトラブルに巻き込まれ彼が不在の家に着いた家族は、家の中で猫みたいに普通に暮らす彼らに遭遇しパニックに陥り逃げ惑う。
すると面白いからじゃれつく。真剣に逃げ惑う。色々な所に隠れたりもする。
更に面白くなって絡みつく。家族にとっては恐怖のサヴァイヴァル鬼ごっこである。
そしてボートを見つけ必死で川を渡ろうとするが、何故かライオンよりずっと獰猛な象に襲われボートはめちゃくちゃに壊される。
息子もバイクで逃げだし、助けを呼ぼうとするが、ライオンやトラやヒョウたちに遊ばれて結局、家に戻ってくることに。

獰猛なネコ科の動物たちが群れを成してどかどかと好奇心一杯に人間にじゃれ絡みつく。
よくこんな本に了解してキャストが集まってきたなと感心したが、ジョンとジェリーはノエルの実の息子。
メラニー・グリフィスはティッピの実の娘である。
当時ノエル・マーシャルとティッピー・ヘドレンは夫婦であったという。
やはり理解者は家族だけだった?!
分かる。他人では死んだら責任取り切れまい。家族で団結して頑張ろうと、、、。

ROAR000.jpg

それにしてもよくやったものだ。
しかもやたらと長い。
いつまでこんなんやってるつもりだ、と途中で言いたくなる。
しかし終盤に凄い展開が待っていた。
動物保護と真っ向から対立する毛皮商人でもあるハンターが、ハンクの保護する猛獣たちを狩りに来るのだ。
ここで驚くのは、彼らが何頭ものトラやライオンをライフルで撃ち殺すのだが、撃たれた猛獣はちゃんと死んだふりしていることだ。
目をつぶって血まみれになってしっかり横たわっている。
大したものだ。

これは何とか助演賞でも出してもらいたい。
あんなに動いていた奴がおとなしくしているのだ。
ハンターも一番気の荒い役のライオンに食い殺されるのだが、ホントに食われずに済んだところが凄い。
この辺の演技というか匙加減どうやったのか。

そして漸くハンクが家に帰りつき、みんなとても良い奴だと伝えたところで、あれほど逃げ惑っていた家族全員が猛獣とスキンシップしてにこやかに戯れている。このスウィッチのオンが突飛すぎるきらいはあったが、、、。
最後は動物保護映画であることをしっかり示して終わり。


はっきり言えることは、今後二度とこうした映画は作られない。
CGで能天気な映画は作られるだろうが、これほどの犠牲を強いて動物保護映画が作られることは絶対になかろう。
うちのトラがやたらと可愛く見えた。この先、彼に対するわたしの接し方も変わってゆくはず。
まあ、一度は見てよい映画かも、、、。

「猛獣映画・撮影の惨劇」という撮影の裏を見せる映画もあるという。さぞ悲惨なものだろう。見たくはない。





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ケイコ 目を澄ませて

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2022

三宅唱 監督・脚本
酒井雅秋 脚本
小笠原恵子 「負けないで!」原作

岸井ゆきの、、、小河ケイコ(聴覚障害を持つプロボクサー)
三浦友和、、、会長(荒川ボクシングジム会長)
三浦誠己、、、林誠(荒川ボクシングジムトレーナー)
松浦慎一郎、、、松本進太郎(荒川ボクシングジムトレーナー)
佐藤緋美、、、小河聖司(ケイコの弟)
中原ナナ、、、花(聖司の恋人)
中島ひろ子、、、小河喜代実(ケイコの母)
仙道敦子、、、会長の妻
足立智充、、、記者
渡辺真起子、、、五島ゆみ江(五島ジム会長)
中村優子、、、会長の主治医


お勧めもあり観てみた。
良かった。キャストもぴったりだったが、ヒロインと会長は文句なし。
役作りが素晴らしい。BGMのない演出は正しい。
16ミリフィルムで撮っているという。確かにざらついた感触が効いていた。

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プロボクサーである。
聴覚障害であると、ゴングの音、セコンドの指示、レフリーの声は聴こえないのだ。
相当なハンデに違いない。
しかし、他人の余計な言葉が聞こえず、下らぬストレスから身を守れるところは大きい。
日常的には、五分五分というところか。情報の煩わしさと価値との天秤では。
安全性が気になる。しかしこの身体でボクシングをしているのだ、きっと目が良いはず。

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何故、ボクシングを選んだのか。
とても小柄なのに。リーチをとっても不利だ。
しかし抱えきれない怒りを胸に秘めている。
これは、表現行為か格闘技でもやらなければ潰れるか暴走してしまう。
わたしは幼いころから自動的に絵を描いていたことで何とか助かった。
いや助かってもいないか(笑。はっきり、助かっていない(爆。

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小河ケイコは実際に闘うにあたり、自分の怒りや攻撃性を拳に込めて相手に打ち込むというスッキリした運動だけではなく、恐怖心や不安に震えながら自分の宿命に立ち向かう気持ちがありありと窺える。
(怒りや攻撃性は脆弱さや不全感に帰するところは大きい)。
しかし彼女らしく生きるにはこのスタイルに必然的に導かれたのだ。
誰もがたまたまそうなってしまったと思っている自分は、なるべくしてなった結果であると思う。
人は自由ではない。手足の自在性から推察して自分の行動に関してもそう幻想しているだけのこと。

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自分に寄り添ってくれる信頼する会長そしてジムはもうなくなる。
独りいつものランニングコースに佇んでいると、、、
試合で自分を打ち負かした相手がやってきて、真直ぐな目で彼女にお礼の挨拶をするのだ。
きっとこの時から彼女のボクシング人生の第二章が始まるのだろう。
新しいジムに籍を移して、、、。

プロボクサーがヒロインだが、ボクシングそのものやスポコンを見せる映画ではない。
とは言え、聴覚障害の女子プロボクサーの存在そのものを観た感がある。

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岸井ゆきのという日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞している女優を初めて知ったのだが、わたしは彼女がホントに聴覚障害のプロボクサーかと思っていた(笑。それくらい真に迫っていた。
やはり知らない凄い女優はまだまだいるのね。
しかし才能のある人誰もに好機が来るとは思えない。
大変な世界だね。




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次元大介

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2023

橋本一 監督
モンキー・パンチ 原作
赤松義正 脚本

玉山鉄二、、、次元大介(天才ガンマン)
草笛光子、、、矢口千春(伝説のガンスミス、現時計屋)
真木ことか、、、水沢オト(アデルに狙われる声を失った少女)
真木よう子、、、アデル(泥魚街のボス、超えを失い義足の殺し屋)
永瀬正敏、、、川島武(元傭兵、アデルの腹心)
さとうほなみ、、、瑠璃(娼婦、川島の恋人)


川島武って何者なの?
この人だけ人ではないぞ。何なのよ。ホントに。
(まあ、次元も弾の当たらなさから謂えば、似たような次元だが(笑)。
アデルはギリギリサイボーグか、、、。未来のイブみたいな超越的な気品もあり素敵であった。

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次元は、愛用のコンバット・マグナムに僅かな不具合が見つかり世界一のガンスミスを訪ねて犯罪者の街「泥魚街」にやって来る。
しかし伝説のガンスミス矢口千春はその稼業から足を洗い、既に時計屋の経営者となっていた。
更にそこで、水沢オトという幼くして酷いトラウマを抱え声の出なくなった少女と出逢う。

この辺、ニヒルで渋い次元がこのことばを失って泣いてばかりいる少女と馴染んでいく時間がこのドラマの進展に重なる。
無骨な男の繊細な少女に対して行く姿は、ある意味定番フォーマットか。
自分の手帳を渡し彼女に返答や気持ちを書かせる。
彼女のこれまでの辛い過去を綴った文章には彼もこころを痛め、彼女に笑い顔を取り戻させようと心に誓う。
この辺の人間臭い次元は、ルパン三世枠では描きにくいところのはず。

オトがアデルの手下に連れ去られるところから後半の山場へとテンポよく流れる。
同時に、不可思議な存在である川島武とその恋人瑠璃のこれまた人間臭い関係も丁寧に描かれてゆく。

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最後の敵陣への単独乗り込みは、全く策が無く自殺行為に思えるが、川島武に散々手古摺るもラスボスまで行き着く。
(変わった策を弄さないとしても、普通何かの仕掛けや、援護射撃者や特別な武器くらい用意するだろう)。
あんなに集団でマシンガン撃たれてもヒョイと身を交わして掠り傷もなく次元のピストルだけは一撃必中なのよ。
これなら正面から独り乗り込んでゆくのも分かる気もするが。
そして建物の中に入りこもうという時に千春の運転するバスが間に入り、入院中であった彼の相棒コンバット・マグナムメンテ終了が手渡される。

基本的に、これがあれば彼は無敵らしい。
ただ、用意された銃弾の数がちょっと少なめであった。
次々に激しいガンアクションで装備バッチリの敵を倒してゆき、伝説の早打ちで知られ車椅子でありながら10人以上の殺し屋をあっという間に片付けるアデルに対峙する。

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彼女は自分が進めている人体実験に適合する個体として水沢オトを最後の頼みとしていた。
アデル自身幼少期に人体実験で脚と声を失っており、彼女なりの理想の世界を作りそこでオトは幸せにすごすことができると次元を諭す。しかしそれでオトの笑い声が聴けるとは思えないと言い、彼は正面から対決姿勢を貫く。
ふたり同時に発砲するが彼女の弾道は(ワザと)逸れていた。
自分とオトを同一視していたアデルは次元に彼女を託すつもりであったのだろう。
(それで弾切れのコンバット・マグナム用の弾を事前に彼にひとつ渡したのだ)。
かつての自分が救われると。
撃たれた時、そんな安らかな表情がみてとれた。

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永瀬正敏演じる川島武がアニメからそのまま出て来た二次元的な感じであった。
あの反則的な変身能力って何なのか説明がないのでポカ~ンと見ているしかないわね。
女優陣は皆、キャラがしっかり造形されていて説得力あった。
草笛光子のアニメ風演技と演出もこの物語にはフィットしており、90歳で矍鑠とした演技には感心するばかり。
真木よう子演じるアデルは哀しみを秘めた洗練されたサイボーグのようで美しかった。
何と言っても車椅子でのクールな戦闘シーンである。このシーンは比較するものがないスタイリッシュで圧倒的なバトルシーンであった。
そしてやはり子役の真木ことかである。その存在感、既に充分凄いが、将来が楽しみな女優だ。
しかしこの年齢層の凄い子役が多すぎる気はするのだが、、、才能があるのに出番がない子が結構出そうで、、、要らぬ心配か。
飯尾 夢奏に雰囲気が似ている。つまりどうしてもイメージの被る子が出て来るだろうな、という感じ。
厳しい世界だ。

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次元大介がポッチャリしていたのは、いいのね?
わたしは一向に気にしないが、、、。

アクション監督が「ベイビーわるきゅーれ」の園村健介 監督であった。
きっとアデルの車椅子アクションに響いているはず。


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白雪姫 あなたが知らないグリム童話

Blanche comme neige001

Blanche comme neige
2019
フランス、ベルギー

アンヌ・フォンテーヌ 監督・脚本
パスカル・ボニゼール、クレール・バレ脚本
グリム兄弟『白雪姫』原作

ルー・ドゥ・ラージュ、、、クレア:(ホテルの従業員)
イザベル・ユペール、、、モード(ホテルの経営者。クレアの継母)
シャルル・ベルラン、、、ベルナール(モードの愛人)
ダミアン・ボナール、、、ピエール(クレアを救った男)
ダミアン・ボナール、、、フランソワ(ピエールの双子の弟)
ジョナタン・コエン、、、サム(獣医)
リシャール・フレシェット、、、ギルボー神父
ヴァンサン・マケーニュ、、、ヴァンサン(喘息持ちのチェリスト)
パブロ・ポーリー、、、クレマン(シャルルの息子同然の青年)
ブノワ・ポールヴールド、、、シャルル(村唯一の書店の店主)
オーロール・ブルータン、、、ミュリエル(村の呑み屋の女主人)
ローラン・コルシア、、、ヴァイオリニスト
アガタ・ブゼク 、、、スラブ人女性(モードを唆してクレアを殺そうとする)


白雪姫と魔女と7人の小人は、取り敢えず出て来る。
ただ、それらがシッチャカメッチャカ。揃っていれば、後何やろうと自由よ、みたいな脚本。
これグリム兄弟『白雪姫』原作なんてこじつけない方がよいわ。
イザベル・ユペールが出てくれば何か凄い映画とは限らない。いやある意味凄いに違いないが。

Blanche comme neige002

亡くなった父親が経営していたホテルを継いだ継母のモードの下で従業員として働いているクレア~白雪姫。
愛人のベルナールがクレアにちょっかい出していることに切れてスラブ人女性に相談する。
そんなら亡き者にしましょと話が進み、その女性がクレア抹殺に向かう。
何なのこれ?まあ、実の娘じゃないしねえ。

面白いのは、クレアが五条悟みたいにあらゆる攻撃を逸らしてしまう能力を持っていること。
スラブ人女性が彼女を誘拐し事故死に見せかけ殺そうとするも上手く行かず、手っ取り早く銃殺に及んだが、森で狩りをしていた男に誤って撃ち殺される。
その男は前科があるため、面倒事は困ると直ぐに家に追い返そうとするが、彼女は何故か帰りたがらない。
命が狙われたことは確かであり、そのまま戻る事の危険性を察知したのか。
(その代わり警察沙汰にはしないことにする。遺体は上手く片付けたのね?)

Blanche comme neige004

その後、義母が彼女からの電話で(彼女は義母が黒幕とは知らない)その地にやって来ると再会を喜ぶ。
義母のモードはここでクレアが信じられない程、解放されて活き活き輝いていることに戸惑い更に憎たらしくなる。
その田舎での生活、しかも兄ちゃんたちとの生活をクレアは心から楽しんでいるのだ。
クレアは既に仕事に就いていたが、日曜日に彼女とピクニックに行く約束をした。
そこでお約束の毒リンゴをモードはクレアに食べさせようとする。だがそこに現れたクレマンに対する義母の態度に不満を持ちクレアはリンゴを置いて彼の後を追う。モードに放り投げられたリンゴはリスが食べてコロッと死ぬ。

Blanche comme neige005

その後、パーティーで義母は、毒入りワインを呑ませようとするが、またしてもクレマンが彼女にぶつかり毒入りの方が床に落ちてしまう。
もうこうなったらという勢いで義母は、クレアを強い酒で酔わせて一緒に激しく踊って踊って踊りまくる。
モードは極めて冷静であり酩酊状態で散々グルグル回されたクレアはもう支え失くして歩けなくなり、モードの車で会場から去って行くことに。
モードは少し前にもクレアを崖から突き落とそうとしてバイクの神父にタイミングを外されたことがあったが、ここでは上手くカーブで振り落とすことに成功する。よくもわたしの愛人まで奪ったわね、と捨て台詞と共に。
車を停めて確認するがクレアは谷底で横たわっていた。

Blanche comme neige006

やり遂げたということで感慨無量のモードは教会に行き祈りを上げるが、蝋燭に火を点すと何とそれが自分のドレスに燃え移り焼け死んでしまうのだ。
まるでクレアの呪いのような、、、何と恐ろしいクレア。
そしてクレアは翌日、病室で眠っていると、7人の小人がお見舞いにやって来ていた。
彼女は皆が心配そうに見守る中で、晴れやかな笑みを浮かべて目覚める。
あんな谷に落とされたのに顔に痣も掠り傷ひとつない。
ターミネーターだった。

彼女の吹っ切れてすっ飛んだところは、彼女を最初に救ったピエールとその双子の弟フランソワ、獣医のサム、本屋の息子みたいな青年クレマンの4人と次々に関係を持ってしまう事。凄く狭い村であるがところかまわず、屋外でもどうどうと、、、。更に度々告白に訪れる教会のギルボー神父や村唯一の書店の店主シャルル、バッハをクレア(ヴァイオリン)と一緒に弾く仲のチェリストのヴァンサンにも非常に好意を持って迎えられる(シャルルは度を越しているが)。
これで完全に7人の小人だ。

Blanche comme neige003

結局、自分の愛人さえ魅了してしまう若くて魅力に溢れる美しいクレアに嫉妬して狂った義母のモード~魔女の復讐劇であったが、普通の人間ではない~白雪姫クレアの前にあえなく燃え尽きてしまったという何なのこれ?と言う映画である。

ともかく白雪姫は人を完全に超えた超人的存在であることを描く映画であった。
そして精神的にも人間ではない(それを謂ったら義母も似たようなものだが)。
ただすっ飛んだ何者かである。
恐ろしい。
グリム兄弟がこれ観て面白がるかしら、、、。まず、ないと思う(爆。




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聖なる泉の少女

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Namme
2017
ジョージア、リトアニア

ザザ・ハルバシ 監督・脚本

マリスカ・ディアサミゼ、、、ツィスナメ/ナメ:通称(娘)
アレコ・アバシゼ、、、アリ(父)
エドナル・ボルクバゼ、、、ギオルギ(息子:正教会の神父)
ラマズ・ボルクバゼ、、、ヌリ(息子:イスラム教指導者)
ロイン・スルマニゼ、、、ラド(息子:唯物論者の教師)


超絶。静謐。稠密。
最近、系外惑星で水を湛えた岩石惑星が見つかっている。
その光景を思い起こすような、、、原風景。
音楽が神秘的に胸に染み入る。松明行列に奏でられる詩。
タルコフスキーレベルの作品。飛んでもないモノに当たった(笑。

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ジョージアのアチャラ地方の山間にある村に古くから伝わる癒やしの泉を代々守る一家。
息子たち3人はそれぞれ(思想的に)独立して家を出て行き、残った娘ナメが「癒し手」として後を継ぐことに。
しかしこれは娘にとっては、外には出られない、勉強も結婚も許さぬ残酷な宿命を負わせることでもある。
泉にはどれくらい長く棲み付いているのか、白い鯉みたいな魚が棲んでおり、その魚の様子も注意深くみていた。
(恐らく泉の水質保持の為のチェック装置でもあるはず)。

自分は「他の子とは違う」と言われ、自らもそう思い込む。
いや思い込もうとする。
だが、既に普通に生きたいという意識あってのその思いであろう。
心底そう思っていれば、そんな自分に言い聞かせるような気持になるまい。

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泉の水の効能にも疑問が過る。
病が水で治癒するのは、彼らの免疫の力による自然治癒に過ぎないのではないか。
出て行った兄たちとも時折逢うが、正教会の神父、教師、イスラム教指導者、、だったりする。
皆基本、合理的な考えを持つ。(特に教師は唯物論者)。
その影響は少なからず受ける。
そして歳相応の女性としての感情。これも当然、自然のなせる業。引き裂かれる。

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泉に異変が起こりはじめた。
もうこの娘ナメの精神と自然とが一体であるかのような。
この娘が恋をすると魚の元気がよくない。ほとんど誰とも交際しないナメが治療で接したメラブという男性だ。
父も体調に変調をきたす。
水力発電所が建設されているのだった。同時性。あらゆることは同時に進む。泉の水位は下がっていた。
ナメは、一度死んで生き返るという。
ホントにそれを試みようとするが、その時は心を寄せるメラブに湖から助けられる。

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ナメは、ある意味、昨日の映画「少女バーディ ~大人への階段~」のバーディよりある意味、呪縛されている。
だが、自然と切り離されて生きるわれわれの喪失したものはまだ豊かに持っている。病んではいない。
父は恐らく、単に横暴な気持ちで彼女をこの泉の仕事に繫ぎ止めておこうとしているわけではないと思う。
息子たちが、捨て去って行ったものを彼女には継がせたかったのだ。
ナメも普通の恋よりも自然との繋がり、魚の体調が気にかかる。
やがて泉は枯れ、魚はナメによって器に入れられ保護されることに。
この代で泉の守り人の役目はおわるのか、、、。

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物語の最後、父と3人の息子と彼女の集う実家にあって陰鬱な時間の過ぎるときに、彼女は一人家を出て魚を入れた器を持ち湖に向かう。
何かを感じ、兄弟が彼女の後を追う。
父も彼女の名を呼びながら追ってゆく。
だが彼女は、湖に入り、水面を滑るように沖に進み、魚を放す。深い霧の中。
彼女も放たれたのか、、、死んで生き返るのか、、、
周囲には水力発電の音が響き渡っていた。

圧倒的な物質性。
醒めた意識と想像力を呼び覚ます。
タルコフスキーの映画の元素を用いて作っていることが分かる。
ロケーションは、見慣れた地球のものではない郷愁に彩られた。

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彼女の作った額入りの魚の彫刻作品。父が息子からプレゼントされた蜂蜜を水と一緒に美味いと言いながら流し込むシーン。
どちらも印象に残る。
このザザ・ハルバシ監督の作品、是非とも他のモノも観たい。




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少女バーディ ~大人への階段~

Catherine Called Birdy000

Catherine Called Birdy
2022
イギリス・アメリカ

レナ・ダナム監督・脚本
カレン・クシュマン原作
カーター・バーウェル音楽


ベラ・ラムジー、、、レディ・キャサリン/バーディ
アンドリュー・スコット、、、ロロ卿、父
ジョー・アルウィン
ソフィー・オコネドー
ビリー・パイパー
レスリー・シャープ


コメディだがニンマリさせて泣かせる傑作。
ヒロインが凄い。こりゃ大女優になるぞ。

Catherine Called Birdy002

13世紀のイギリス。
荘園の領主一家に生まれた14歳のレディ・キャサリンがヒロイン。
快活で率直でタフな女の子が暴れまくる。痛快だが、かなり泣ける。
この時代の人を縛り付ける力は強大で誰もがその柵に囚われている。
(勿論今も同様で、パラダイムによる限界のうちにある)。

キャサリンお嬢様は、鳥を飼っていて鳥のイメージに近いからバーディーと呼ばれているのか。
所謂、少女時代は、泥んこになって自由気ままにお転婆をして遊んでいたが、14歳となると微妙な立場に置かれる。
親の決めた婚姻の時期となる。、初潮がきたのを直隠しにしていたことがバレtからいよいよ。
様々な各地の金持ちが、求婚に現れることに、、、。
まだまだ遊びたい盛りの彼女は悪知恵を働かせて、父が引き合わせる求婚者を次々に退散させてゆく。

Catherine Called Birdy001

しかし家は荘園の領主とは言え経済的に逼迫していた。
娘を是が非でも大金持ちのところに嫁がせる必要があるのだ。
どのみち、この時代の娘は親が決めたところに嫁ぐ。
彼女の場合、地位のある金持ち限定である。

何人も彼女のところに馬に乗って遠路はるばる金持ちの求婚者がやって来るが片っ端断ってしまった為、ついにこれが最後というどこぞの領主がやって来るが、これまででもっとも下品で粗野な髭面男で、誰もが眉を顰める感じの相手であった。
しかしもう彼女には後がない状況である。
残り物に福はなかった(苦。

Catherine Called Birdy003

ただ、あんな髭面やだ~とか、もっとお家にいたい、使用人の幼馴染の方がいいとか、ふざけないでよもっと若い人紹介してとか、その手の要求なら分かるが、「女性は金銭と引き換えにやりとりされる“物”じゃない!」という主張がいきなり出てくると、現代目線の理屈だな~と思えてしまう。もう少し泥団子15歳少女に引き寄せた分析的批判ではなく反抗のことばの方がしっくりする。
ただ感性的にはこの子がいきなり今の時代に現れたらZ世代女子としてそのまますんなり嵌りそうにも想える。うちの娘とも同年だからよく分かる。この時期の瑞々しい生命力の発露に普遍性があってよい。そう願いたい。

とてもカッコ良い白馬の騎士の叔父がいるが、そういう飛び抜けた親類がいると余計に結婚相手を厳選してしまうきらいもあろう。
十字軍で世界中を遠征してきた叔父であり彼女の憧れの的だ。
しかしその叔父もうんと年上の金持ち女性と結婚してしまう。
なんとも解せないが、世の中全て彼女の思うようにならない事だけは確か。
だが、これだけ傍若無人に自由に振舞っても、父はおいたに対し手を引っ叩く程度で普段は結構優しい。
母と来たら時代を超越したような理解者でもある。
従者たちはこの腕白娘をとても慕い大切にしており、この時代の女子としては、かなり恵まれた環境にあると思う。
(少なくともわたしより遥かに恵まれている)。
愛されキャラであることに間違いない。今の時代なら家を飛び出して乃木坂に入ってもよいかも(笑。

Catherine Called Birdy005

彼女は、男は何でも許されるのにわたしは絞首刑の見物すらできないと度々愚痴を言っていたが、あれだけ悪戯しても許されているのだから恩の字であろう。
ただし、今の時代より女性に大きく圧し掛かるのが出産である。バーディも思いっきり不満を言っていたが、まさにそこである。
今とは比べられない程リスキーな大仕事であったし、恰もそれこそが女性唯一の役割みたいにみなされていたものだ。
お世継ぎである。いや名家でなくともそうだ。先の謂い方であれば、家の存続のための道具ではないわ、であろう。
そう、自由に「家柄」など一切気にせず、好きな人と結ばれて自然に子供が出来ればそれで良しという在り方を彼女は射程に入れて遊んでいる(笑。

多くの従者たちに涙され、例の最後の金持ち老人のところに馬車で嫁ぐ時、父上がやっぱりあんたのとこにはやれない。
と走る馬車を止めて娘の為に剣で決闘に及ぶ。周囲の者も「決闘です!」と言うノリで誰も止める者はいない。ある意味怖い。
この際、娘がやけに冷静で第三者的なのには、ちょっと違和感を覚えたが、、、。
日頃、この父上の剣術が如何に怪しいかよく知っているにも拘らず、である。頑張って、くらいのノリなのだ。
それで案の定腹を斬られ出血するが、ひるまず次の一撃で相手の腰痛を誘い、決闘続行不能となり娘を馬車から奪還する。
ほぼギャグであるが、ちょっとこの流れ~シーンは胸に来るものがあった。
娘としてはお父様には感謝するけど、このくらいで、謂う事聞くと思ったら大間違いよ、と家に戻っても相変わらずであった。
うちの娘とどっこいどっこいである(いやうちの方が酷いけど)。


Catherine Called Birdy004
*監督と、、、

面白い映画であった。





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奥様は魔女

I Married a Witch006

I Married a Witch
1942
アメリカ

ルネ・クレール 監督
ロバート・ピロッシュ 、マーク・コネリー 脚色
ソーン・スミス 原作
ロイ・ウェッブ 音楽

フレデリック・マーチ、、、ウォレス(ウーリー家の現当主)
ヴェロニカ・レイク、、、ジェニファー(ウーリー家に呪いをかけた魔女)
ロバート・ベンチリー、、、ダドリー(ウォレスの友人)
スーザン・ヘイワード、、、エステル(ウォレスの婚約者)
セシル・ケラウェイ、、、ダニエル(ジェニファーの父、魔法使い)
ロバート・ワーウィック、、、エステルの父(ウォレスの支持者)


戦争中に作った映画なのね。
文化的な余裕と言うか国力の余裕なのか。
エンターテイメントの価値を知っていると言うか、、、。

I Married a Witch005

昔TVでやっていた楽しいホームコメディ番組と違い、魔女狩りで焼き殺された魔女が蘇って、煙みたいな姿で父と共に復讐にやってくるというもの。それではオカルト~ホラー映画かと言うと、やっぱりラブロマンコメディにしか行かない。
あのTV番組の元型と謂えるか。

落雷で樫の木に封じ込まれて280年目の魔女が父と共に蘇り、かつて自分を告発したジョナサン・ウーリーの子孫であるウォレス・ウーリーのもとに直々に復讐のために近づく。
魔女狩りで焼かれる際にウォレス家代々の当主が皆愛に恵まれないように呪いをかけ、その通りの惨状をみている。
皆、自分と全く合わない相手と結婚し悲惨な家庭を営んでいた。
だが、蘇ったところで、直々に呪ってやろうという気持ちになったみたい。
彼らは煙になって何処にでも潜むことが出来、ヒトの身体にも乗り移れる。

I Married a Witch004

ジェニファーは美しい身体を得て、父と結託して現在の州知事候補で、明日結婚式を迎えるウォレスを散々な目に会わせようと近づく。
すでに口煩い花嫁ではなく自分に惚れさせようという事に、、、。
だが、うっかりウォレスに呑ませようとしていた魔法の惚れ薬を自分が呑んでしまい、ウォレスを愛してしまう。
支持者の父とその娘である婚約者の前で、仲睦まじい恋人同士のような姿を観られてしまう。
まあ元々もっとも自分に合わない相手が結婚相手なので、ジェニファーの方にウォレスも惹かれてしまうもの。
ここで早くも大スキャンダルで、明日の選挙も結婚式も台無しという流れとなるが、、、
絶体絶命の選挙は彼女が魔法で勝たせてしまう。しかし相手側の候補の票がゼロは無かろう。候補者自身も自分に入れてないことになる(爆。それはあんまりだ。

I Married a Witch003

しかし彼女がウォレスを愛してしまったことに怒った父は、彼女から魔法の力を奪ってしまう。
そして12時に元の木に戻れと言うのだ。魔法の力がないため父には逆らえない。
今度はウォレスとジェニファーの絶体絶命である。

ここでふたりで遠くに逃げることにしてタクシーに飛び乗るが、何と不気味な笑みを浮かべる運転手は彼女の父なのだ。
飛ばしてくれ、というと警官も追いつけないくらい飛ばすが、そのまま空を飛んでゆくのだった。
ちょっと可愛らしい絵本みたいなVFX。夜空を飛ぶタクシーなんて微笑ましい。
それで以前封印されていた木のところに着陸する。いや墜落か。

I Married a Witch002

そして最後のお別れという時に、父がお気に入りで入っている瓶に娘が栓をして閉じ込め、ふたりは無事結婚する。
この辺のタイミングがいまひとつしっくりこなかったが、ともかくハッピーエンドで、この先がTVのホームコメディへと繋がるような感じなのだ。明るいドタバタコメディ要素しか残らない。
ここで彼女が魔法の力を取り戻せば、もうあの「奥様は魔女」の世界となろう。

何だか分らんが、もとはウォレス家代々に渡ってに呪いをかけて憎んでおり、たまたま策略で惚れ薬を呑ませて苦しませようとしたのを誤って自分が呑んだだけである。その結果を受けて真実の愛とか言われてもどうなのか。
代々ウォレス家が幸せな結婚生活が送れなかったのも彼女の呪いのせいである。
呪いや魔術で事が進んで来たところに、愛は魔法より強いわとか言われても、その愛も魔法の力によるものでしょ、、、

I Married a Witch001

表面的には愛~正義とか謳っていてもその基盤は武力・戦力よと言われてるみたいな。戦時中だし。
やはり戦時中に、こんな映画を作ってる国には勝てないわ。




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ジャック・リーチャー: Never Go Back

Never Go Back007

Jack Reacher: Never Go Back
2016
アメリカ

エドワード・ズウィック 監督・脚本
リチャード・ウェンク、マーシャル・ハースコビッツ 脚本
リー・チャイルド『ネバー・ゴー・バック』原作
ヘンリー・ジャックマン 音楽


トム・クルーズ、、、ジャック・リーチャー(元米軍憲兵隊捜査官、元少佐)
コビー・スマルダーズ、、、スーザン・ターナー(米軍憲兵隊の少佐)
ダニカ・ヤロシュ、、、サマンサ・ダットン(15歳の少女)
オルディス・ホッジ、、、アンソニー・エスピン(米軍憲兵隊大尉)
ロバート・カトリーニ、、、モアクロフト(大佐。ターナーの弁護役)
ロバート・ネッパー、、、ジェームズ・ハークネス(将軍)
パトリック・ヒューシンガー、、、ハンター


とても不思議な出だしで、エッと思ったが何となく終わる。
面白い導入であった。
これ寅さんみたいに、トムもフウテンだしシリーズで続くのかしらと思ったら、今作で終わりだそうだ。

Never Go Back001

しかし何やら人情味ではないが面白要素が漂い、ハードボイルドでクールな二枚目からはちょいと逸脱した新鮮味は良いのだが。
渥美清みたいにフーテンだし。それを謂っちゃあおしまいだよ(笑。
でもこういうタフでヘビーなバトルアクションは歳から謂っても少し痛々しさも感じる。
だから、彼主演では、この噺はここまででよいと思う。

但し、若くムキムキなアクション俳優を起用すればよいというもんじゃない。
トムの哀愁と渋さあってのこのアウトロー物語である。
この味は、若いにいちゃんに簡単に出せるものではない。
かと言って老体に鞭打っては観る方も辛いもの。

Never Go Back002

そこそこ若く、厚みを感じる俳優に、シリーズとして続けるのならやってもらいたい。
こういうフーテンものではなくアウトローものには、きまって事件を介して運命的に出会う美女がセッティングされるが、今回の女性は然程、インパクトは覚えなかった。
役柄的にも、もう少し強くて切れてもよいような、、、。ちょっと全体的に抑え気味な本と言うか演出に思えた。
更に、トム~ジャックの娘だと出て来る女の子であるが、こちらもどうも今一つな印象。
トムが父親だったら、ああいう顔には到底ならないと思うし(苦。良い女優だとは思うが違うと思うところ。
ましてやお母さんがケイティ・ホームズばりであれば、もうホントの娘さん、スリ・クルーズのような飛んでもない美女であろう。
いっそのこと、彼女に出て貰えばよかろうに、とは言えまだ学生でそもそも女優でもない(笑。

Never Go Back006

ともかく今回は、ジャックが二人の女性に振り回され、敵と戦うよりも疲弊する噺だ。
そうであるならば、も少し魅力的な方が、、、娘は絵に才能が窺えるという点で光るものはあるか(映画で見る限りそれ程でもない)。
無鉄砲で手癖が悪く、いつも大事な時にハラハラさせるよくある子供パターンだが、やんちゃだが可愛げががも少し欲しい。
スーザン少佐は、アフガンで武器の密売を調べさせるため派遣した部下がタリバンではなくアメリカ軍に射殺されたことを知り、その真相を探ろうとしたらスパイ嫌疑がかけられ拘束されてしまうという設定だが、もう少しビビットな人が似合うような。
だが、ここでジャックが堅牢なシステムで管理された拘置所からスタイリッシュに彼女を脱出させ逃亡する場面はスリリングでよく出来てはいた。この映画前作もそうだが、脱獄・逃亡が洗練されていて素敵。

ただ全体に、キャストに今一つ乗れないモノがあり、いまひとつ入りこめなかった。
ジェームズ・ハークネス将軍役のロバート・ネッパーなど如何にも悪の黒幕感が溢れ出ていて良かったが。
しかしこういう人は日頃は如何にも立派な尊厳を湛えていて、実は極悪非道な顔を時折晒すという感じであろうが、如何にも悪そうな雰囲気が初めから漏れすぎだったかも。

アンソニー・エスピン大尉も直ぐにハークネス将軍に丸め込まれ、ジャック・リーチャーとスーザン・ターナーを追い詰める役であったが、その正義感はあるが軽い性格みたいなものはよく出せていた。終盤、2人に諭され陰謀を知る証人を前で射殺されたことで真相に気付き彼らに寝返るが、やはりとても軽めの人であった。この辺の人物造形はこの物語には合っていた。
やはりちょっと面白い雰囲気を持たせているのだ。

Never Go Back005

最後はやはり麻薬売買で儲けてましたというオチで、金儲けは薬なのね、大概。
アフガンで武器を間引きして横流しするくらいで大金は得られない。
ましてや武器の密売がバレたら政府との契約が切れて大損することになる。パラソースという軍事会社である。
それでもやっていたのは、武器の中に大量の麻薬を詰め込んで隠して商売していたからなのだ。
キャリアを失ったかに見えたスーザン・ターナーは昇進して復帰し、ジャック・リーチャーはサマンサ・ダットンに別れを告げてあてのない放ろうに戻る。
少女が彼の娘だと言うのは嘘であり、金を騙し取るための母娘の計略であった。だが、最後は和解し熱い別れとなる。
最後の最後に彼に抱き着いた娘が彼の上着のポケットに携帯を滑り込ませた。
夕日を浴びながら一人歩くキザなジャック。
その肩に羽織った上着から着信音が鳴り響き、驚いて見るとメールが届いていて、思わず笑みが出るエンディングは悪くない。寅さんテイスト。

Never Go Back003

かなり泥臭い殴り合いバトルが多かった。
あの娘の手癖の悪さは、治させた方がよかったと思うが、、、これでは後に不味いぞ。





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ミリオン・マイルズ・アウェイ ~遠き宇宙への旅路~

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A Million Miles Away
2023
メキシコ、アメリカ

アレハンドロ・マルケス・アベジャ 監督・脚本
ベティナ・ジロイス、エルナン・ヒメネス 脚本
ホセ・M・ヘルナンデス原作
カミーロ・ララ 音楽


マイケル・ペーニャ、、、ホセ・ヘルナンデス(移民初の宇宙飛行士)
ローサ・サラザール、、、アデラ・ヘルナンデス(妻)
ギャレット・ディラハント、、、フレドリック・W・スターカウ(宇宙飛行士)
ボビー・ソト 、、、ベト・ヘルナンデス(弟)
フリオ・セサール・セディージョ、、、サルヴァドーレ・ヘルナンデス(父)   
ベロニカ・ファルコン、、、ジュリア・ヘルナンデス(母)
ミシェル・クルージ、、、ヤング先生
サラユー・ブルー、、、カルパナ・チャウラ(宇宙飛行士)
エリック・ジョンソン、、、クリント・ローガン(研究所の上司)
ホセ・ヘルナンデス、、、ホセのヘルメットを点検する技術者



またアレハンドロ~という監督のおでまし。しかしこのアレハンドロさんはとっても(落ち着いて鑑賞できる)まともな映画を作る。
一安心(爆。
主人公で原作者のホセ・ヘルナンデスの半生を描くが、メキシコ移民の貧しい家庭で生まれ育った彼が宇宙飛行士になるまで、彼の父が提示した人生のレシピに従い構成されたもの。

因みに、Ⅰ:目標を見つける。
アポロ11号の打ち上げを見て、これだと思う。
Ⅱ:目標までの距離を知る。
距離感は漠然としているはず。
Ⅲ:道のりを描く。
先ずはNASAの研修生に選ばれることである。これまでに受かった者のデータを基に自分も同様のキャリアを身につけてゆく。
免許・資格・経験、、、能力だけでなく体力も付ける。万全の体制で臨む。
Ⅳ:方法が分からなければ学ぶ。
結局、受かったのは妻に諭され飛行機に乗って志願書を手渡してアピールしたことが功を奏したのか。
Ⅴ:達成したと思ったら更に努力する。
ディスカバリー号の搭乗員となる。目的は達成した。努力を充分した結果だ。
ISS国際宇宙ステーションに13日間滞在し、妻の作ったタコスも食べたそうだ。

あまり内容はレシピの項目に対応していなかった。
今一つ乗れなかったのは、この思わせ振りな項目のせいであろう。
それは特に必要はないモノだった。ただ全体の流れはよく分かるもので、それを愉しめば良い。

A Million Miles Away002

距離は、確かに普通に考えたら飛んでもない果てにあるように思えるのだが、結構楽天的に構えていたみたい。
多分無理だよと人には言いながら、論理的な能力を生かしてそれに近づいて行く。
ローレンス・リバモア国立研究所での成果で一つ弾みをつけて妻のアドバイスも効いた。

NASAの研修生に受かるが、そこから飛行士に選ばれるのはこれまた高いハードルがあった。
厳しい訓練を続けるなかで励ましてくれる信頼を寄せていた先輩がコロンビア号の犠牲となる。
政府もスペースシャトルの安全性が確保されないとこの後の飛行の可能性が無くなる事態となったが、思ったほどではなかった。
それ程期間を開けずに、次のシャトルの飛行が決まる。
長い年月を待ち続けて来た彼である。面接後搭乗が決まる。打ち上げは成功し、大気圏から真っ暗な宇宙に出て感無量のホセであった。
無事に任務を遂行し、帰還する。

妻はメキシコ料理レストランを宇宙センターの近くに出店しているそうだ。彼も度々店を手伝っていると。
現在、引退後は両親と建てた家でブドウ園を経営しているそうだ。
夢は、結局全て叶ったではないか。


シャトルの事故は、チャレンジャーの打ち上げ直後の爆発とコロンビアの帰還時の大気圏再突入に際しての空中分解の2回であった。(わたしの知る限り)。
大変痛ましい記憶に残る事故である。これにはことばもない。

A Million Miles Away004

ホセ・ヘルナンデスの自伝、再度簡単に振り返りたい。
収穫期に合わせてカリフォルニア州とメキシコを行き来する少年期は、小学校を幾つも経験することに。
移民用の席も用意されていたみたいだ。
その中で彼の能力に殊の外期待していた先生がおり、彼がその学校に来るたびに「おかえりなさい」と笑顔で迎えていた。
この先生は、家庭を訪れ両親にホセ少年が落ち着いて学業に専念できるように移動生活ではなく、定住農業を勧める。

ホセの為に両親は生活形態を変え、メキシコに家を建てることはお預けとなる。
カリフォルニアに定住し農家を始めることに。
彼は力を発揮しローレンス・リバモア国立研究所のエンジニアになるが、暫くの内は差別され正当な評価を得られない。
だが、誰もが難問と見做す問題の検証によりその有効な解決策を示したことで認められ、講師の立場を得る。
毎年NASAに宇宙飛行士の採用願書を送り続けながらも、この間に彼は最愛の妻となる女性に出逢う。
彼は妻に出逢った時に、自分は宇宙に行きたいことを告げるのだった。
最初は一笑に付されるが、彼女も真剣に彼をバックアップし始める。

A Million Miles Away003

しかし結婚後、子どもは5人となり彼は12回目のトライでNASAの研修生になるが、多忙さは半端ではなくなり妻の負担も高まる。
彼女はかねてよりメキシコの本格的料理を出すレストラン経営の希望を強く抱いており、それぞれの抱くビジョンが多忙と疲労の内で煮詰まる、この辺がよく分かった。
この各々の描く思いや葛藤が、ホセのディスカバリー号の成功で一気に昇華する。
(かつて気にかけていてくれた先生が「この時をずっと待っていたのよ。30年度どころじゃない」と搭乗する前の面会の場に現れた時点からもう急上昇していたが)。
こうしたブレークスルーはそうは得られない。
しかし何かないと暗く重い現状は打破されない。

そんな日常を喘いでいる人間は少なくないはず。




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アウトロー

Jack Reacher001

Jack Reacher
2012
アメリカ

クリストファー・マッカリー 監督・脚本
リー・チャイルド『アウトロー』原作(2005年の9作目「One Shot」とのこと)
ジョー・クレイマー 音楽


トム・クルーズ、、、ジャック・リーチャー(元米軍憲兵隊捜査官、現アウトロー)
ロザムンド・パイク、、、ヘレン・ロディン(弁護士)
リチャード・ジェンキンス、、、アレックス・ロディン(地方検事)
デヴィッド・オイェロウォ、、、カルヴィン・エマーソン(刑事)
ヴェルナー・ヘルツォーク、、、ゼック(ボス)
ロバート・デュヴァル、、、マーティン・キャッシュ
ジェイ・コートニー、、、チャーリー
ジョセフ・シコラ、、、ジェームズ・バー(元アメリカ陸軍狙撃手)
マイケル・レイモンド=ジェームズ、、、リンスキー
アレクシア・ファスト、、、サンディ
ジョシュ・ヘルマン、、、ジェブ


まあ何と言うか、トム・クルーズがやれば、そりゃ決まるわ。

Jack Reacher002

何か凄いモノ観た。という感じなのだが何観たのか定かでない(爆。
やたらとフィジカルなパワーが炸裂するスリリングな展開だったが、結局何だったのか、、、。
どういう物語であったのか、、、。

ペンシルベニア州ピッツバーグが舞台で、PNCパークを歩いていた人5人が次々に射殺される。
その向かいの駐車場でコインパーキングして、そこから逆光にも関わらず、正確に(無作為に)撃ち殺している。
薬莢を残し、コインには指紋を残し、繊維や何やら証拠となるもの勢揃いの為、直ぐに容疑者は捕まった。
ジェームズ・バーという元アメリカ陸軍所属イラン・イラク戦争での狙撃手である。
しかしホントに殺害が目的で完全犯罪を目論むなら、橋の上で背後からの日光を受けワゴンの中から狙撃を済ませそのまま逃げ去り証拠品など一切残さない手段をとるのが定石。元アメリカ軍人としては全く不合理な犯行である。

Jack Reacher007

そして彼は罪を認めず、「ジャック・リーチャーを呼べ」と弁護士に伝える。
その後、バーは護送車内でボコボコにされ昏睡状態で証言不可能な状況に追いやられる。
ジャック・リーチャーとは誰かとか言っているうちに、彼自らやって来た(何で?)

そこから颯爽と陰謀に立ち向かうニヒルなアウトローの噺が始まるというところ。
ジャック・リーチャーは、ジェームズ・バーは無実だと踏む。
証拠が余りに残され過ぎていて軍人の狙撃手とは思えない稚拙な犯行が不自然過ぎる。
その後の展開でも、ジャック・リーチャーという男、仮説を次々に立て実証される。
何でそれが分かるのという感じで、分かってしまう。

Jack Reacher003

背後からバッドで頭をぶん殴られてもひるまず相手を叩きのめす。腕っぷしの強さは半端でないが打たれ強くもある。
勿論、銃の腕前は凄い。そりゃ、トム・クルーズだもの。
カーチェイスして車がボコボコになってパトカーに包囲されかけてもスッと車を離れ、バスの乗客に塗れ涼しい顔で逃亡成功と、、、。この辺とってもクールで気持ち良い。トム・クルーズだもの。

この事件、ジェームズ・バーを傀儡としてもっと腕の良いスナイパーを忍ばせ、5人の内一人の殺害が目的で4人は目くらましのために殺害されたことが推理され、背後にはリーベンダウアー社が控えていることが割り出される。
この会社は、殺害された中のひとり、女性社長の建設会社の売却で揉めていたところでありそれにケリをつけるものであった。
(社長を殺す以外の方法は他に幾らでもあろうに)。
邪魔になったジャック・リーチャーも何度も襲われ、ジェームズ・バーの弁護士であるヘレン・ロディンにも魔の手が及ぶ、という分かり易い流れ。ジャックとヘレンは共闘関係を結ぶに至り、次第に信頼関係になって行く、分かっていてもワクワク観られる堅牢なテンプレ上を走る。

Jack Reacher005

こういう時に必ず現れる何と言うか道化師的な役割を担う者がここでも出て来る。
彼女が捕らえられた敵のアジトに突入する肝心な場面だ。
ジャックがバー以上の腕を持つ敵の狙撃手を割り出した射撃場のオヤジである。
このオヤジがジャックの後方援護をするのだが、かなり危なっかしい。
ちょっと変だが、役目は果たす。黒幕との内通者は刑事エマーソンであった。道理でそれまでの捜査がトントン拍子過ぎた訳だ。
兵隊は全員片付け、ゼックという実行グループボスとの対峙となるが、、、
この現場状況からしてこいつが自供しない限り、ジャックは逮捕され飛んでもない罪に問われる。
見込みないことを洞察しゼックを撃ち殺し、ジャックはヘレンに後を頼むと言い残し去って行く(爆。
思い切りがよくハードボイルドで気持ち良い。とは言え、、、
彼女の車は廃車にされ積んだ資料もどうなっている事か。この死体ゴロゴロの果し合いの後始末とバーの裁判を頼んでハイさよならとは何とも、、、。クールとか言ってる場合ではないな。
俺は常に移動して行くとか何とか言っているが、、、。突然現れあっという間に消える。やっぱりクールかも(笑。

Jack Reacher006

しかし車がしこたまボコボコとなる映画でもあった、、、。
こういう映画では仕方ないが勿体ない気はする。
トム・クルーズって結構、面白いことが分かった。




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リトル・シングス

The Little Things001

The Little Things
2021
アメリカ

ジョン・リー・ハンコック 監督・脚本・製作
トーマス・ニューマン 音楽

デンゼル・ワシントン、、、ジョー・"ディーク"・ディーコン保安官
ラミ・マレック、、、ジム・バクスター刑事(ロス市警)
ジャレッド・レト、、、アルバート・スパルマ(容疑者。電器店勤務)
クリス・バウアー、、、サル・リゾリ刑事(ディークのかつての相棒)
マイケル・ハイアット、、、フロー・ダニガン(鑑識)
テリー・キニー、、、カール・ファリス署長(ジムの上司。ディークのかつての同僚)
ナタリー・モラレス、、、ジェイミー・エストラーダ刑事(ジムの部下)
イザベル・アライザ、、、アナ・バクスター(ジムの妻)
ソフィア・ヴァジリーヴァ、、、ティナ・サルヴァトーレ(被害者になりかけた女性。証人候補)
ジュディス・スコット 、、、マーシャ(ディークの元妻、検死官)
グレン・モーシャワー、、、ヘンリー・デイヴィス署長(ディークの現在の上司)


ラミ・マレック出た~。フレディ・マーキュリー「ボヘミアン・ラプソディ」良かったわ。この再会だけで感無量とまでは行かないが、、、。

The Little Things007

終始、ジャレッド・レト演じるアルバート・スパルマにじらされ続ける映画。
もうそれだけ。
ともかくアクの強い人だからこういうの似合う。
モービウス」、「スーサイド・スクワッド」、「ブレードランナー2049」、「17歳のカルテ」で強烈な役を熟していたが、、、
これほどいやったらしい男もいまい。絶対関わりたくない人間。
しかし彼の印象が強くて他が何だかよく分からない、、、霞んでしまったではないの。

The Little Things005

最初は、デンゼル・ワシントンだから観ようという感じで、ポチっとしたのだが、何だかねえ~。
映画自体がもう有耶無耶な黒い霧に包まれてゆくものだから、、、
彼もまたドンドンモヤモヤしてゆく。
まあ、いくら待っても、いつものデンゼル・ワシントンは出てこない(爆。
最後のドラム缶のシーンくらいしかはっきりとは、覚えていないぞ。

The Little Things003

この映画が普通のクライムものと違うのは、最後まで真犯人が分からず仕舞い、というところ。
ディークにとっては、5年前?の猟奇殺人事件が未解決に終わり、その際誤って女性を撃ち殺してしまう。
これで15年連続の検挙率トップの実績がありながらキャリアを捨てることとなり、おまけに心臓病も患い、離婚もすることに。
今は片田舎の保安官であるが酷いトラウマを抱えている。そしてまたもや6人続く女性の猟奇殺人がロスで起きた。
ディークはたまたまロスに行った際にこの事件を知り、あの犯行手口に似ていることから、勝手に休暇を取って私服で捜査を始めてしまう。
あの事件に呪われていると言うか憑かれているのだ。

そして現在かつてのディークの椅子にいる若くて優秀な刑事であるジム・バクスターは、彼に強い関心を持つ。
(彼の上司は、ディークには近づかないように注意する。かつての同僚も疫病神だという)。
しかしディークに対する好奇心は大きくなるばかり。
その力を知りたいところと、この難事件にあたり彼の協力を取りつける。
非公式な相棒と言う形で犯人を追うが、、、。

The Little Things006

この捜査が、アルバート・スパルマという犯罪マニアのために撹乱される。
如何にも怪しいのだが、一向に尻尾が掴めない。
過去を洗っても、周辺を探っても、この男の住居に侵入してベテランディークが虱潰しに観ても「怪しさ」しか出てこないのだ。
犯罪の新聞記事、警察の無線傍受、犯罪マニアだけありグッズも資料も充実しているが、猟奇殺人の犯行に繋がる証拠が無い。
ディークが自分の家を探っていることを察し、警察に通報するなど、勘も良い。。
だが只管、如何わしい怪しい行動は目に付き、ふたりを翻弄する。

The Little Things002

真犯人でなければ、こういう鬱陶しく粘着的なオタクはホントに神経逆撫でして我慢のならぬ存在である。
しかも被害者になりかけた女性がこの男の写真に反応したり、肝心なところでジムの部下が面通しのタイミングを逸してしまうなど、この男に対するストレスは極大になって行く。
ディークもこの男に衝動的に掴みかかるが、周りに抑えられる。
だが、すでにデューク並みにこの男によって深みに嵌ってしまったバクスターは現在行方不明の女性のいるところを教えるという誘いに乗り、遠くの空き地に連れていかれる。
そこで彼は散々幾つもの穴を掘らされるのだった。ここに埋まっているかも、、、と。
ストレスと疲労と怒りがMaxとなる。こんなことをふざけ半分でされたらまともな判断が不能となるもの。
バクスターは揶揄われたあげく嘲りのことばに反応し不意にスコップで頭を強打しスパルマを殺してしまう。途方に暮れている場にデュークが駆け付け、そいつを穴に埋め、署に帰り奴は白だったと伝え休暇を取るように、更にこのことを忘れないと破滅するぞと諭される(自分のように忘れられないと破滅だということだ)。

デュークはスパルマの車で還り、彼のアパートのモノを全て運び出し、車はストリートギャングに渡し、庭のドラム缶で全てを燃やしてしまう。
結局、後はFBIが引き継ぎ捜査が始めからやり直されていた。
デュークはこの先も殺された犠牲者の亡霊に憑かれたまま生きてゆく事だろうが、バクスターもスパルマの亡霊に憑かれ偏執狂的に事件を追ってゆくことになるのかも知れない。

The Little Things004

何がどうなったと言ったら闇の迷路が深まったというところか。
救いは無いが音は良かった。
決して面白い映画ではない。
ジャレッド・レトのファンが彼の気持ち悪い演技を愉しむ映画か。
わたしのようにラミ・マレックとの再会をたのみに観てみる映画かしら。
作品そのものは面白くはないが(笑。





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マザーレス・ブルックリン

Motherless Brooklyn001

Motherless Brooklyn
2019
アメリカ

エドワード・ノートン 監督・脚本・製作
ジョナサン・レセム『マザーレス・ブルックリン』原作
ダニエル・ペンバートン音楽
トム・ヨーク『デイリー・バトルズ』主題曲


エドワード・ノートン、、、ライオネル・エスログ(私立探偵。トゥレット障害)
ブルース・ウィリス、、、フランク・ミナ(私立探偵、ライオネルの恩人でボス)
ググ・バサ=ロー、、、ローラ・ローズ(事件に深く関わる謎の女性)
アレック・ボールドウィン、、、モーゼス・ランドルフ(地元の政治家)
ウィレム・デフォー、、、ポール(身なりの貧しい初老の男)
ボビー・カナヴェイル、、、トニー・ヴェルモンテ
チェリー・ジョーンズ、、、ギャビー・ホロウィッツ(貧困層を支援する活動家)
マイケル・ケネス・ウィリアムズ、、、ジャズトランペッター:
レスリー・マン、、、ジュリア・ミナ(フランクの妻)
イーサン・サプリー、、、ギルバート・コニー(私立探偵。ライオネルの幼なじみで同僚)
ダラス・ロバーツ、、、ダニー・ファントル(私立探偵。ライオネルの幼なじみで同僚)
ジョシュ・パイス、、、ウィリアム・リーバーマン(裏社会の男)
ロバート・ウィズダム、、、ビリー・ローズ(ローラの父)


BGMのセンスがよく、エンディング含め全般に音が素敵であった。ジャズである。
それでいて?主題曲はレディオヘッドのトム・ヨークときた。やるねえ。
長い映画だが全く飽きない。ライオネル・エスログの動きに沿って物語が生成される。
本も良いが、キャストの卓越した演技によるところも大きい。
特に監督で脚本家でもあるエドワード・ノートンの主役熱演。圧巻だった。トゥーレット症候群。
不随意に言葉や動作が出てしまう。どんな場でも。何処へ行っても居心地よくない。
ちょいと、サリンジャーぽい感じもする。

彼は傑作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、「グランド・ブダペスト・ホテル」、「アリータ」で活躍しているが、バードマンは今更ながら凄かった。そうだマーベルのハルクもやったわね(笑。色々やってる。

Motherless Brooklyn002

1950年代、ニューヨーク。
カトリックの孤児院にいた4人の少年を引き取り、探偵に仕立て上げたボス、フランク・ミナが何やら交渉中の相手に殺害される。
唯一の恩人であり、家族とも謂えるボスを殺害した犯人をあげようと動き出すライオネル・エスログ。
その日の仕事についてはほとんど何も聞かされていなかった、ほとんど手掛かりの無い状態から、ボスの動きとことばを映像的に記憶することが出来るライオネルがパズルのピースを集めるように探って行く。まるでコマ送り写真みたいに脳裏で。

日常の端々でチック症状が奇声~変なことばと共に出ては、その度に謝りながら捜査をしてゆく。
面白かったのはバーで妖艶な女性の煙草にマッチで火を点そうとするのだが、摺った先から自分で吹き消してしまう。それを流石に4回やられたら誰でも怒って去って行く(嫌みでしかない)。
済まない、無意識にやってしまうんだ!と言っているが、無意識的に望んだことをしているようにも思う(笑。
しかしこの症状、生きている間ずっと付き纏うのだ。とても不自由で気を揉むはず。半ば本心だったりするから、、、猶更。

Motherless Brooklyn003

ニューヨーク市長よりも力を持つ影の実力者モーゼス・ランドルフが、公園を作りながら大変な黒人差別と横暴な開発事業を推進していたが、いつもフリークス扱いされているライオネルの力を見抜くところは、感慨深い。
ローラ・ローズも女性活動家で、知的で儚げな美しさが印象的であった。
彼女もライオネルに共感を深めてゆく。日々が闘いであることにおいて。

ファム・ファタールなのだ。
トゥーレット症候群も彼毎優しく包み込む。
ありのままで許される。
そんな場は、未だにわたしにはない。

また彼女の彼氏かと思われた黒人トランぺッターが実に良い味を出している。
演奏する曲も素晴らしいが(勿論吹替)。
彼も良きライオネルの共感者であり、理解者にもなっていた。
最後に二人を襲う殺し屋を大事なトランペットで殴り倒す(勿体ない)。

Motherless Brooklyn004

途中で探偵事務所の仲間の裏切りもある。
別に一枚岩でボスを殺した犯人捜しに専念することは強制できない。この捜査をやっていては事務所は持ちこたえられない。
ライオネルの執拗な追及は、ニューヨークで実際もっとも力をもつ男にまで繋がって行く。
レイシズムの塊であり、地位と名誉が全ての男である。既に市長よりも強大な権力を持っていたが。
彼は彼なりの壮大な展望をもっていた。そう現実的なビジョンと言うよりファンタジックな謂わば王国を作ろうとしていた。
所謂、完全な悪と片付けられない圧倒的な格を持っているのだ。

自分の恩人であるボスも良い人ではあったが、金目当で山を狙る欲にまみれた男であったことも認識する。
そんななかで、ライオネルにとりもっとも大切なものが明確になってゆく。
ファム・ファタールなのだ。やはりローラ・ローズの輝きが増してゆくのだった。
そりゃわかる(笑。

Motherless Brooklyn005

ライオネルの視覚的な記憶力は何度も過去を遡りピースを確認し直し一つのマップを完成させる。
フランクが帽子に隠した貸しロッカーの番号を見出すライオネル。
そこにはローラの出生の秘密が記された書類が。
彼のボスはそれを切り札にして大金をせしめようとして殺害されたのだった。
(そう、彼女はモーゼスと彼が泊まったホテル従業員であった母との間に出来た子であった。勿論、父にとり最高機密である)。

フランクを襲った連中が揃って今度はローラを襲う。
その前に彼女の育ての父を殺してから、、、。
ライオネルはローラのアパートに直行する。
終盤の急展開はなかなかのハードボイルドサスペンス。
ローラが植木鉢を殺し屋の頭上に落とし撃退して騒ぎは終息(笑。

Motherless Brooklyn006

フランクはライオネルに海辺の素晴らしいロケーションのコテージを残してくれていた。
そこで憩うライオネルとローラが何とも哀愁漂う大人の姿、、、。

エドワード・ノートンの絶妙のセンス。これは良い映画。音楽も冴える。





AmazonPrimeにて











ザ・キッチン

The Kitchen001

The Kitchen
2019
アメリカ

アンドレア・バーロフ 監督・脚本
オリー・マスターズ、ミン・ドイル『The Kitchen』原作

メリッサ・マッカーシー、、、キャシー・ブレナン
ティファニー・ハディッシュ、、、ルビー・オキャロル
エリザベス・モス、、、クレア・ウォルシュ
ドーナル・グリーソン、、、ガブリエル・オマリー
ブライアン・ダーシー・ジェームズ、、、ジミー・ブレナン
ジェームズ・バッジ・デール、、、ケヴィン・オキャロル
マーゴ・マーティンデイル、、、ヘレン・オキャロル
ジェレミー・ボブ、、、ロブ・ウォルシュ
ビル・キャンプ、、、アルフォンソ・コレッティ
アナベラ・シオラ、、、マリア・コレッティ
コモン、、、ゲイリー・シルヴァーズ捜査官


軽めで爽快な奴を観てゆったりしようと思ったのだが、呆れただけ。勿論、全員ゴロツキで結構なのだが、、、。
3人の3流ギャングの旦那がへましてFBIに掴り牢屋に入ってる間に、奥方が旦那の仕事を引き継ぎずっとデカいものにしてシマに君臨する噺なのだが、、、何で?というもの。

The Kitchen006

DCコミックからの映画化ということで荒唐無稽なのは基本としても、余りに内容的に雑。
ファンタジーであろうがコメディであろうが、そのなかでの流れ~展開に説得力、それなりの整合性は求められよう。
そうでないと、噺に着いて行けない。面白さを味わいようがない。
これは、無理だわ。

途中で、カンサス、フリートウッド・マック、ハート辺りの曲がかかっていたが、それが場面に合っていればワクワクするかも知れぬが、これにかかってもねえ。音の使い方にセンスがない。趣味悪い。
それ専門で聴きたいね。今はその気分でないけど。

The Kitchen003

虐げられた者が自分を見出し、活き活きと生きてゆくことは、勿論よいことに違いないが、、、
ここに出て来る女たちのやり方でそれが実現するなんて全く思えない。
思想的なものではなく、飽くまでも手法的にだ。
こんなんで、ギャング世界でのし上がれたら誰でも可能だろう。

もう杜撰だし隙だらけで行き当たりばったりの衝動的な行動で何ができるのか。
これまでDV夫に暴力を振るわれていた女性がおっつけ刃で銃をちょっとばかり習い死体処理のやり方を覚えたくらいで、実際の場で何ができるか。せいぜい護身に役立つくらい。
オマケに3人の足並みも揃わず、終盤には仲間のクレアがキャシーの判断ミスから撃ち殺されてしまう。
その前に皆とっくに殺されて川に放り込まれ海に流されていてもおかしくない。
平気で生きているのが不思議。その上、のし上がっているのが奇跡。
普通、こんなのにイタリアマフィアが対等に手を結ぶはずないでしょ。
グダグダなのに何となく上手く行っているような、、、そんなアホなという感じ。

The Kitchen005

しょうもない旦那たちが皆殺されるのは、ともかくとして、特に策と言う策もない彼女らがトントン拍子に上手く行くというのは頂けない。(3人のなかではルビーが過激で強気の案を出すがコンセンサスがとれない。この辺は人徳の問題もあるか)。
夫婦間がどうしょもないのは最初から分かるが、ここでは父~娘間の抱える問題・葛藤も入って来る。
まあ結局、自分は誰にも縛られずに自分らしく生きるの、と主張して終わり。特別な感慨もない。

この無防備で無鉄砲な彼女らの行動も、スーパーマンとバットマンが後ろ盾になってくれていれば、万全だがそういう噺ではない。
彼らが犯罪者の味方するわけないし。
そうそう、ハーレイ・クインなら雇えるかも。
しかし彼女が出た瞬間、ヒロインは持っていかれる(当然。

The Kitchen004

やはりスーパーヒーロー(ヒロイン)のいないDCコミックは、無理がありそう。
女優陣はとても頑張っていたが、やはりこれではキツイ。
ちっとも面白くなかった、、、時間の無駄。





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ブロー・ザ・マン・ダウン-女たちの協定-

Blow the Man Down001

Blow the Man Down
2019

アメリカ

ダニエル・クルーディ、ブリジット・サヴェージ・コール 監督・脚本
ジョーダン・ダイクストラ、ブライアン・マコンバー 音楽

メアリー・ベス・コノリー、、、モーガン・セイラー (妹)
プリシラ・コノリー、、、ソフィー・ロウ (姉)
マーゴ・マーティンデイル、、、  エニッド・ノーラ・デヴリン(オーシャンビューの主)
ジューン・スキッブ、、、スージー・ギャラガー (3人のおばあちゃんおひとり)
ゲイル・マグワイア、、、アネット・オトゥール (3人のおばあちゃんおひとり)
エボン・モス=バクラック 、、、ゴルスキ(エニッドに雇われたゴロツキ)
ゲイル・ランキン 、、、アレクシス(オーシャンビューの売春婦、海で見つかったディーの親友)
スキップ・サダス 、、、コレッティ (年輩の警官)
マルセリーヌ・ヒューゴ 、、、ゴ - ドリーン・バーク (3人のおばあちゃんおひとり)
ウィル・ブリテン 、、、ジャスティン・ブレナン(若い真面目な警官)
歌う漁師、、、デヴィッド・コフィン
デクラン・クロウリー、、、トーマス・キー


東欧の映画の雰囲気であった。特に漁師の渋い歌が何度も入るところなど、、。
メイン州の寂れた漁師の街の噺。凄いローカル臭漂うイースター・コーヴ。
アメリカとは思えない。雰囲気的に『ファーゴ』みたいな映画、、、。
3人のおばあちゃん+1(売春宿のおばあちゃんオーナー)がやたらと前面に出て来る。

Blow the Man Down003

コノリー姉妹の母の葬儀から始まるのだが、、、。
その夜ゴロツキに絡まれた妹が身を守るために、そいつを殺してしまう。正当防衛には当たるだろうが、どう判断されるか心配。
血塗れで還り、姉に相談すると、警察には内緒でふたりで始末することに、、、クーラーボックスに入れて海に捨てる。
同時期に売春宿に勤める女が銃殺された姿で海から発見される。警察はコノリー家所有の小型ボートを借り引き上げた。
(自分たちが捨てた死体ではなかったことに取り敢えず安堵するが油断ならない)。
姉妹はもうハラハラドキドキ、、、。しかも死体の腕切断に使った店(コノリー魚店)の包丁を現場(ゴルスキの小屋)に置き忘れてことに気づく。大事な商売道具であり、店のマークの入った思い切り危険なブツでもある。
次の日に妹が現場に探りに戻ると、包丁は見つけられなかったが姉にはもう捨てたと嘘をつき、男の隠し持っていた大金を見つけ思わず持ち還ってくる。(店は借金で首が回らぬ状態であった)。
警察もあちこち嗅ぎ回り始めたなか、、、
敬虔なクリスチャンの母が街の為にやっていた闇の仕事が姉妹の前に浮かび上がって来るのだった。

Blow the Man Down002

淡々と静かに物語は流れてゆく。
とても良いリズムで、所々で漁師の渋い歌がアクセントとして入る。
ここがアメリカとは到底思えない。
姉妹がともかくあたふたするが、これと言って妙案も浮かばない状況が続く。
妹はかねてからこの街を出て大学に進みたいと願っていた。
姉はこの街に愛着があり立ち去る気は無いのだが、、、。

Blow the Man Down006

そうこうするうちエニッドが、自分の手下のゴルスキが姿を見せぬものだから業を煮やして彼の借りた小屋に行くと、、、コノリー魚店の包丁を見つける。これはしめしめと言う顔。
その後、コノリー家に行き長靴の底を確認して彼女は確信する。やはりなかなかのものだ。
後にこの包丁を使ってコノリー姉妹を自分の商売に抱き込もうとする。
何を隠そう姉妹の母はこの女主人と組んでこの宿を経営していた過去を持つのだ。
(これには、プリシラは相当なショックを受ける。母を倫理観の塊のように思っていたからだ)。
ふたりはかつての仲間の娘である。
もっとも彼女らの母は街のこのような娘を守るためにその仕事をする協定を結んだのだが。
ここで明瞭にエニッドの当初の基本理念からのズレ振りが明らかとなる。
商売主体と成っていたことから金も貯め込んだ。金(小屋で見つけたもの)と包丁の交換要求を出す。

Blow the Man Down007

一番、驚いたのは、最後のシーンで、スージーおばあちゃんが例のクーラーボックスを洗っているのだ。
それを目の当たりにするコノリーシスターズの顔と言ったら、、、驚きから思いっきり安どの表情に変わる。
このおばあちゃんたち、この土地で起こる事、全てお見通しなのだ。
顔はいつも余裕ある笑顔で信頼できる存在だが、かなり怖い。
街にかつて売春宿を作る協定を結んだ女たちである。
港町と言うところからくる粗暴な男たちから女の身を守るための方策の一つであった。
しかし現在の主であるエニッドは、ゴルスキなどを抱き込みあくどい商売に手を広げており、おばあちゃんたちはオーシャンビューの幕引きを画策していたところである。

Blow the Man Down004

一体誰が売春婦ディーを殺害したのか?
ゴルスキやエニッドという極めて怪しい人物はいても最後まではっきりしない。
更にエニッドに対し複雑な心境を抱いているアレクシスは、主人の隠し金庫から親友であったディーの付け爪を発見し、犯人を彼女だと断定する。それまでも疑ってはいたが巧みに言い包められていた。
ゴルスキの車から発見された拳銃とトランクの血痕の警察の調べはどうであったのか。その辺が追いつく前に事は進展して行く。
コノリー姉妹がエニッドに金と包丁の交換に訪れた後、その経緯を聴いていたアレクシスがエニッドに枕を押し付けて窒息死させてしまう。
彼女は傍らにあった大金を掴んで高飛びか(この金は誰にも知られていない)。
このエニッドも代表で宿を引き受け、生涯独身で頑張って来た女性には違いなかった。

Blow the Man Down008

コノリー姉妹はまず店を何とか維持するためにこの地で頑張ることに。
ゴルスキの件はおばあちゃんたちが上手く処理してくれるはず。
どの映画見ても警察は常に一段、他よりおバカである。ここでは売春宿との柵もあるようだ。こういうの定番なのね。
おばあちゃんたちが得体の知れない存在でもあり魅力的であった。

主役のふたりの女優もしっかり役を熟していたが、おばあちゃんたちのハイパーな存在感が印象に残る。
よく出来たアメリカらしからぬ映画。完全に女性主役の映画だ。
好きな映画の一つになった。




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