幸せのレシピ

No Reservations
2007
アメリカ
スコット・ヒックス 監督
キャロル・フックス 脚本
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ 、、、ケイト・アームストロング(フランス料理店料理長)
アーロン・エッカート、、、ニック・パーマー(副料理長の後任、専門はイタリア料理)
アビゲイル・ブレスリン、、、ゾーイ(亡くなった姉の娘)
パトリシア・クラークソン、、、ポーラ(レストランオーナー)
ボブ・バラバン、、、セラピスト
噺が自然に流れる。
余り無理が感じられない。大きな起伏もない。
観る事に抵抗がないのですんなり観れた(笑。

こういうしっかり出来ていて、サラリと鑑賞可能な映画は良い。
やたら重くて暗いのだけど内容的にそれ程でもない映画って結構多いしね。
ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』(2001)のリメイクだそうだ(そちらも観てみたい)。
キャストも良い。
主演の3人は言う事なし。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズってこういう優秀な出来る女が似合う人だわ。
アーロン・エッカートはチャラいんだけど、やるべきことはしっかり熟す頼れる男が似合う。
アビゲイル・ブレスリンは多感な複雑な心境を見事に演じていた。なかなかのもの。子役は凄い子が多い。

やはりまだ幼い娘だと母を失くして叔母に引取られるということは、親しい間柄であっても難しいことだろう。
しかもシングルマザーの母との結びつきは大変強い。
母に拘り他を拒絶することは分かる。
多くのファンを持つ有名料理長のケイトの作るゴージャスな料理もほとんど食べない。
そう、子どもは食べないことで抵抗を示す。
(食べることは相手を認め、従属することにも繋がる)。
姪もこころをなかなか開かないが、ケイトの方も産休の副料理長の代わりでやってきた腕の良いニックに対しこころを開かない。
確かにケイトとニックは性格的にかけ離れている。拘りが強く自閉的な完璧主義の彼女とオペラを厨房に流して唄いながら料理をする明るく社交的な彼は直ぐに打ち解けるようには見えない。ただしお互い腕は認めあっている。
まあ、新しい人間関係の構築はそう容易いものではないことは分かる。
このゾーイとケイトは、頑固で似た者同士かも知れない。
ゾーイはずっと母との思いを大切にして何かと籠ってしまう。
ケイトは自分の作りあげた厨房に誇りを持ち自分の統制からはみ出る他者の存在は認められない。
能力は認め合っていても気持ちの問題は大きいものだ。

だが、その気持ちの解れる発端が、厨房に姪を連れて行った時に、ニックのまかないパスタをゾーイが凄い勢いで食べたことだった。
こうした料理の映画である。充分予想がつくものだが、そうした王道的流れである。
この予定調和は心地よい。やはり料理でいかないと。
ゾーイがニックに馴染み、ケイトも彼に対しこころを開けば、良い感じに展開するが、その通りに進む(笑。
間に子供が入るのは強い。
このような義理の関係は難しいと思うが、子どもとの関係ひとつで、どれ程の事が解消し、上手く流れ出すか。
良い形でこころを開く場が成立する事が肝心である。
アメリカでは(欧米では)職場の上司がセラピーを受けなさいと言えば受けなければならないのか。
ケイトもポーラの命令でセラピーを受けていたが、セラピストがなかなか渋い気の利いたアドバイスをくれる人であったのも救いか。
「自分で作ったレシピがベストだよ」。
それだけでなくケイトの新作料理の評価もしてくれるのだから得難い人である。

結局、ゾーイが間に入る形で、何度も別れる危機に瀕したケイトとニックは、これまでの高級レストランを飛び出し~解放されて、新たに3人で経営するビストロを始めることに。当然腕が良いので大繁盛である。
絵に描いたようなハッピーエンドとなった。
良いと思う。
こころを開けるひとには思い切って開くこと。
頼れる人には気軽に頼る事である。
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