風たちの午後

1980
矢崎仁司 監督・脚本
長崎俊一 脚本
綾せつ子、、、夏子
伊藤奈穂美、、、美津(夏子のルームメイト)
阿竹真理
杉田陽志、、、英男(美津の男友達)
「ストロベリーショートケイクス」は、そこそこ面白かった記憶がある。
この作品が監督デビュー作という。

ずっと粗目のモノクロでラストにカラーになる。
自主制作映画~インディーズ映画だという。確かにそういう感触。
監督の意図は伝わるが、とっても冗長で耐え難い作品。
特に神経を逆撫でするのが音である。水滴の落ちる音、、、蛇口締める気ないのね。
そして何言ってるか分らぬセリフ。これまたダラダラ続くBGM.。

夏子がルームメイトの美津のことを好きになるが、それを言葉では言えない。態度ではそれとなくずっと示してはいるが。
今ならLGBT問題として大きく取り上げられ、あっけらかんと告白出来る気風にはなっているが、当時は難しい状況であった。
(パッと告白してしまえば、相手が全く受け付けないタイプなら、サッと諦めもつこうが)。
まあ、通常好きを伝えること自体、勇気のいるものである。それが性同一性が絡むとまさに相手次第となろう。
それでずっと片思いで耐えている。その過程で生活も乱れて来る。
この時間の流れが空間的に耐え難い。
そう不協和音をずっと聞かされているようなもの。そんな精神の崩れを感じる。
美津と関係を続けている男友達の英男から夏子を別れさせようと自分が関係を持ってしまう。
だがその為に彼女は妊娠してしまうのだ。美津はその相手を知らぬが。
物語の最中に夏子がしょっちゅう吐く。うんざりするほど吐く。

美津は夏子の妊娠を気遣い距離を置き離れてゆく。
最後はカラーになって花に敷き詰められた部屋で夏子は死んだように寝ており、ずっと赤ん坊の泣き声が続く。
そう、ひたすら気に障る音を流し続ける。
夏子の心理状況に同調するかのようなノイズを充満させる演出なのだ。
拷問映画というジャンルでもよい。

ルームシェアしていると、今彼氏が来ているとかを知らせるのにハンカチを一枚外に干すのね。
確かに分かり易い。
と言うか実際にやってる人も結構いるのでは。
当時としてはどうだったのか。
こういう映画は無理。この演出、本といい、、、。
切なさとか不条理に感じ入るという以前の生理的障害として。

何で「風たちの午後」なの。
AmazonPrimeにて
