こっくりさん

2007
福田陽平 監督・脚本
大久保麻梨子
長崎莉奈
佐伯新
藤本ゆき
岡田由麻
ホントにあったシリーズ劇場版映画。
所謂、サスペンス映画的で、キャラもしっかり造形されていた。
結構煉られており、「こっくりさん」に興味を持つ女子高生心理や報道の姿勢を真剣に語りあったり、職場や学校の虐めの体質等々ちゃんと描こうという意欲が分かる。
親しい友人3人で「こっくりさん」をやって面白半分で何でもかんでも聞いていくうちに、首謀者が「この中に嘘つきはいますか?」という質問をしてから輪が崩れ関係性がおかしくなる。
どうやら恋愛絡みの腹に一物のある彼女が確かめようとしたようだ。
結局、理科室で疑いを持っていた彼女をカッターナイフで首を切って殺してしまう。
親友を殺した少女は精神鑑定で保護観察となる。
だが、その殺意はこっくりさんに憑依された結果のものだとひとり残った娘は報道アナウンサー~ヒロインに訴える。

その後、そのようなオカルト案件に乗り気でないスタッフやたんなる集団ヒステリーによるものとして距離を置くデスクなど報道スタッフに温度差があるなか、ヒロインは残った少女と何度も逢って真相に迫ろうとする。
助手の男性もインタビュー中のノイズや影の動きに異常を感に調べ始める。
デスクも絶えずヒロインに意見し忠告したり協力したり励ましたりしながら関わって行くが、合理的な考えは捨てない。
面白いのは、こっくりさんをやったことで予知~透視能力が身に付くと言うもの。
しかし、自分の死を予見するような形で幻視するもので事態を変えたり避けられるものではない。
それはキツイ。
分ったところで回避が出来なければ、、、つまりこっくりさんの呪いなのだ。
自分を自殺に追いやった人間が許せないということで、これがかつてのヒロインと関係して来る。
こっくりさんってコインでやるのではなく鉛筆でやるのね、
これが正式なやり方だと言っていた。

その報道チームは一人が殺人で逮捕されその他は皆殺されてしまう。大概最後に残るヒロインも。
「こっくりさん」した女子3人も皆殺される。最後の一人はもしかしたら生き残るかと思ったが。
何とも潔い。
こっくりさんの論文をかつて書き現在は精神病患者として入院している男も生き残ってはいる。
まあ、部外者であり女子高こっくりさん殺人事件には直接関係はない。
この人も含めこっくりさんをすると自分の死を確認する予知能力が得られるというのも何とも禍々しい結末だ。
こういうことはやらぬに限る。
長崎莉奈の女子高生もうちょっとどうにかならなかったか。
かなり厳しい演技であった。

ほんとうにあった怖い話「死者のブログ」
同「顔を見るな」
同「里帰りにて」
もついでに観てみた。
暇だからではなく、ちょっとましなものがないかと次々に当たってみただけのこと。
どれもフ~ンとは思ったがそれまで。
いずれも投稿者の謂う通りに若干ストーリーにするため脚色し再現したものと言うが、、、
「死者のブログ」は、嘘っぽい。亡くなった人のブログに不謹慎にも悪戯コメント書くなどもっての外だが、送信した途端にその母から返信が来て、告別式だったか誘われ、断ると職場や自宅にやって来る。そしてブログのAuthorも幽霊として押し掛けて来る。母もすでに亡くなっていて幽霊としてやって来たみたい(笑。
いくら何でもやり過ぎだし噺がシンプル過ぎる。何の捻りもない。馬鹿らしいの一言。
「顔を見るな」は、急に連れ出された心霊スポットで、2人が幽霊をホントに観てしまう噺だが、その幽霊が連れ出された方の男が殺した彼女だったというオチでそれなりに愉しめた。しきりにその幽霊の顔を見るな、と連れ出して憑かれた男に忠告したのは、そう言う理由だったのか。
とは言え、これホントにあった話なの?自分が面白半分で連れ出したスポットで、相手が既に恋人を殺害していて、その恋人の幽霊に助けを求められたって。どれだけ凶悪な友達と付き合ってるのかい、、、。噺としてはよく出来ていたが、ホントにあったとは信じがたい。
「里帰りにて」は、主演の女優さんがしっかりヒロインをやっていた(かなり良い女優に思える)。里帰りしたら義母が何かが出ると家にお札を貼って、異様な雰囲気になっており、いるはずの祖母が見当たらない。
結局、憑かれていた義母は急性心不全で亡くなり、祖母は既に亡くなっていて義母が自分で遺体処分し年金不正受給していたそうだ。家の先祖の霊がそれを咎めるかたちで現れたと投稿者は受け取っていた。
こういう噺はありそうなものに想える。義母がやたらと不気味だった。

やはり怪談もので面白いというものは稀ですな。
「こっくりさん」はサスペンス調であったためなかなか楽しく観ることは出来た。
AmazonPrimeにて