蟲師 Season1 1~12まで観た

2005
漆原友紀 原作
長濵博史 監督・シリーズ構成
桑畑絹子、伊丹あき、山田由香 脚本
増田俊郎 音楽
「The Sore Feet Song」Ally Kerr OPミュージック
声:
ギンコ(蟲師) 、、、中野裕斗
語り/声、ぬい 、、、土井美加
化野(あだしの) 、、、うえだゆうじ
淡幽(たんゆう) 、、、小林愛
1.緑の座
2.瞼の光
3.柔らかい角
4.枕小路
5.旅をする沼
6.露を吸う群
7.雨がくる虹がたつ
8.海境より
9.重い実
10.硯に棲む白
11.やまねむる
12.眇の魚
しかしアニメはホントに凄いね。日本の独壇場では、、、。
凄まじいクオリティには驚くばかり。体調がイマイチなのもあるが今日のところは12話までがやっとのこと。
Season1だけでも25話まであり、続編も22話であったか。その他に特別編が幾つもある。映画版もあったはず。
だが、アニメの基本的流れを知らずに映画版だけいきなり見てもこの世界観の深みを感じるのは無理な気がする。
ここは、まずはTV版の1話から徐々に沁みてゆくのが一番かと。
かなり前のアニメであるが充分に幻想的で美しい作画である。申し分ない絵であった。

確かにわれわれは圧倒的に巨大な(又は極小の)目に見えない構造~運動に組み込まれて現象している。
ここでは、世界を形成しわれわれに作用するも普通の人間に感知されない「蟲」という生命の系の根幹に位置するモノを中心において世界を描いてゆく。そこに様々な人間ドラマがタップリと絡む。主人公兼狂言回しがギンコとなるか。
大変なヴォリュームの物語であり、絡んでゆく人間ドラマが深くて切ない。
このドラマ固有の宿命がかなりの説得力を持つ。
(このドラマを通して蟲の存在が際立つのでもあるが)。

「恐れや怒りに目を眩まされるな。皆それぞれがあるようにあるだけ」。
まさにそうだ。ここから観極めてゆくしかない。
蟲師のギンコの冷静で鋭い洞察はその姿勢にある。
しかし人間的に(人間社会において)災厄の形でそれぞれの在り方がぶつかってしまうことがある。
そこに蟲師の出番が出て来る(余りに頻繁に起きすぎる感もあるが(笑)。
ちょっと諸星大二郎先生の妖怪ハンター的なカッコよさもあってなかなかのもの。
毎回よくネタに困らないなと謂う程、様々な角度、切り口で蟲と人間の交通(事故)が描かれる。

それぞれの系で自立して完結した生が自然に営まれてゆく。
独自のアイデンティティ~歴史が形成されて。
基本自分は自分(たち)の力で生きていると思って生活しているものだが。
それを内包するスケールの系から見れば相互作用する様々な異質な流れの必然的な結果に過ぎないことが判明する。
科学の発見の全てのめくるめく過程がそれであった。
個人的な(科学や数学なしの)想像力で刃が立つものではない。
デモクリトスのような大天才でもなければ到底無理な話。

この蟲師という超越者は、人間界に在りながら、蟲の世界も感知でき、誰も気づかぬ両者のぶつかり合い軋轢を見定め、その場を解く策と方法を知っている、又は見出してゆく独自の論理をもっている。
ある意味科学者の立場に近いが、一般的に認知されているわけではない異能者と謂えるか。
しかしこのようにはっきり人を救い感謝もされている分、報われてもおりマイノリティの辛さはない。
寧ろ、超脱しており違う価値をはっきり見出していても迫害の対象にしかならない溝に落ち込んでいる者がいる。
今はそうした者との共存が大きな課題であることが、顕在化して来ている。
ギンコが何者であるのかその少年時代の描かれる12話の「眇の魚」が何とも切なく感慨深い。
毎回が特別で、面白いアニメである。
是非とも全話観たい。
U-Nextにて
