あなたになら言える秘密のこと

The Secret Life of Words
2005
スペイン
イザベル・コイシェ 監督・脚本
サラ・ポーリー、、、ハンナ
ティム・ロビンス、、、ジョゼフ
ハビエル・カマラ、、、サイモン
エディ・マーサン、、、ヴィクター
スティーヴン・マッキントッシュ、、、シュリッツァー医師
ダニエル・メイズ、、、マーティン
ジュリー・クリスティ、、、インゲ
レオノール・ワトリング、、、ジョゼフの友人の妻
「言葉に秘められしもの」
凄まじくヘビーな運命を背負わされた女性の物語。
どんな経験を持とうと、生きているのなら生きねばなるまい。
わたしも生きるしかないので生きているし、敵は全て完膚なきまでに叩き潰していくつもり。
(基本、激しい悪意と害意と殺意しかない)。

ハンナは戦争で残虐の限りを尽くされ親友を含め周囲の多くの人の死の中で辛うじて生き残ったが、、、
自らが生き残ったことを恥じ、たった独りで生きて来た。死と隣り合わせに生きて来たその延長であるかのように。
確かに独りでこころを閉ざして生きる以外に生きる術はなかっただろう。
職場でも誰とも話さず、時間割通りの日常を送り、余暇など持たずに大変質素な食事を摂っていた。
舞台はイギリスである。彼女は外国人(クロアチア人?である)。
ハンナは4年間無遅刻無欠勤で務めた会社から一か月間の休暇をとるように言われる。
上司はパンフレットまでよこし強制的に何処かのリゾート地で休むことを言い渡してきた。
そこで、海洋の海底油田掘削施設で大怪我を負い酷い火傷で目の見えない状態のジョゼフの看護役に就くことに。
リゾートなど論外であったのだ。彼女にとり。
時折、彼女はカウンセラーに電話をするが一言も喋らずに切る。しかし彼女からだという事はカウンセラーには分かる。

掘削時に事故で大火事となるが自ら火に飛び込んだ友人を助けようとしてジョゼフはその姿になったという。
彼はその友人の妻に恋をしてしまった結果であることを心から悔いていた。
一方こころを閉ざしていたハンナも少しづつ自分のことを話すようになってゆく。
人を助けることで少しでも解れるものがあるのだ。
彼の目が一時的に見えない状態であったことも彼女を解放する助けとなったか。

彼女はカウンセラーの検診をずっと受けてはいたが電話には一切出ることは無かった。
喋らないのだ。
だが、ジョゼフが小出しに自分のこころにしまっていた秘密を騙って行く。
自分が海で働いているのに泳げない事、少年期に父親に海に投げ込まれたのに助けるべき父も泳げなかった事など、、、。
更にジョゼフが親友の妻に送った本の内容を語り、それが今のふたりの現状に重なる物語でもあり、彼女もこころを開いて行く。
彼女はついにカウンセラーにかつて話した虐殺の経験の一部を語る。

この悲惨さ残虐さは彼にとり想像を超えるものであった。
(まず普通、他人に話せるような内容のモノではなっかった)。
普段はお喋りのジョゼフも一言も返せない。
ただ彼女を抱き寄せ泣くばかりであった。
ヘリで運ばれ彼は病院に入院し付き添った彼女は無言でその場から立ち去る。
ジョゼフは漸く視力は戻り、大火傷の傷も癒え次の仕事を選ぶときになっていた。
当時の他の仕事仲間はチリの掘削現場に派遣されていたようだ。
ジョゼフはハンナを探し、彼女のカウンセラーと逢う。
そしてハンナと共に生きたいということを告げる。
カウンセラーはハンナの告白のビデオがありそれを見ることが出来るか彼に聞く。彼はそれを見ずに彼女に返す。
ジョゼフは彼女にはわたしが必要であり、わたしも彼女が必要だと宣言する(淡々と)。
(この確信はどこから湧いて来るのかは謎に思えたが、彼は揺ぎ無い気持ちであったようだ)。

職場帰りのハンナをジョゼフは待っていた。
彼女の置いて行ったバッグを渡し、石鹸を一つ貰ったことを告げる。
彼女はバッグを受け取り、足早に帰ろうとするが、彼は共に暮らそう、今すぐにと謂う。
そんなことをしたらわたしは泣いてその涙で部屋は一杯になると返す。
それならわたしは泳ぎを習い泳ぎ切ってみせると謂う。
家には彼女がキッチンに寛ぎ、外から2人の子供が楽しそうに走って来るのが窺える。
そんなエンディングであった。
残虐な体験内容がショッキングであったが、実際に行われていたのであれば、伝える意味はある。
最後はともかく、久しぶりの共感可能な映画であった。
UーNextにて
