ヌヌ子の聖★戦 HARAJUKU STORY

HARAJUKU STORY
2018
進藤丈広 監督
濱田真和 脚本
嘉屋正 高橋一行 音楽
吉田凜音、、、田原葵
久間田琳加、、、三好里奈
中山咲月、、、久保昭久(バンド「オリオン」のフロントマン)
糸瀬七葉、、、高梨歩美(「ヌヌ子」に憧れる女子高生)
横田真悠、、、清美サリー(カリスマモデル)
西岡 德馬、、、ハイジ(芸能の仕事の斡旋業)
内田 珠鈴、、、内田 紀代(歩美のパートナー)
シンガーソングライターの吉田凜音とカリスマモデルの久間田琳加のW主演に加え、やはりカリスマモデルの中山咲月と横田真悠と来た。女性陣の豪華さは凄いものだ(おっと中山咲月はジェンダーレスであった)。
「ヌヌ子」というデュオでモデル活動をしている田原葵と三好里奈の青春ドラマかと思っているとそう単純なものではなくなる。
ティーンのインフルエンサーとしてかなりの影響力を持つ彼女らであったが、事務所に所属しプロとしてやっていくかどうかを巡り、ふたりの友情も複雑になり葛藤から泥沼状態にもなる。聖戦というような昇華した域に達した感じはないのだが。
双子ファッションから「ヌヌ子」としたのは上手い。

ともかく、女優陣が綺麗である。
憧れのカリスマモデルの清美サリーの出番がちょっと少なすぎたが、あんまり出さない方が無難であったか。
(その方が神秘性は保てる)。
やはり久間田琳加は凄いと思った。何気ない表情でも際立つ。大したもの。
かつてロッテのガーナチョコのCMで浜辺美波と山田杏奈と一緒にトリオで出ていたがよくもまあ、この三人を集めたものだと感心したことがある。圧倒的カリスマトリオではないの。
吉田凜音はシンガーソングライターなのに芸達者で驚き。充分女優でもやっていけるではないか。どんどん出て来て欲しい。
「オリオン」というバンドは素敵であった。男性ヴォーカルの久保昭久がやたらとカッコよい。
平手さんレベルである。このままバンドやってしまえばよいのに、というくらい。
しかし妙に人間が出来過ぎていて、まあいいけど。こういう人も確かにいる。

「ヌヌ子」スタイリングを本田翼がやっていると。フ~ンと思った。原宿カルチャーが好きなのか。
西岡 德馬の吹っ切れ度は、潔かった。こういう人もたまにいるし違和感はなかった。
軽いノリで可愛さを武器にどんどん躍進して行くのもアリと思って観ていくが、そうも行かないようだった。
メディアに出るに当たっての当面の折り合いの問題と個人的なロードマップ作りの件か。
やはり色々と難しい芸能界でやって行くには、成りたいセルフイメージの更新とその手助けをしてくれるプロデューサー的な人は必要だろう。まあそれで皆事務所に入るのだろうけど。
田原葵には久保昭久がとても心強いアドヴァイザーに思えたが。
関りがどうも中途半端なのだ。もっととことん相談に乗ってもらうべきでは。曲まで作ってくれるくらい気にしてくれるのだし。

途中からこの「ヌヌ子」のふたりの言動~パーソナリティがどうも掴みにくくなる。
もっとシンプルに際立って来たお互いの個性を尊重し、共に頑張りましょうで、これまで通りに付き合えなかったのか。
里奈はモデルとしてブレイクが見えて来たのだし、こんなところでかつての憧れの人と自分を比べて落ち込んでる場合ではない。皆それぞれ違うのは当たり前だし。
葵もはっきり気にかけてくれる尊敬できる人物がいるのだ。経験をもとに音楽シーンで自己表出の道もあろう。
(まさに演者の本業になってしまうが(笑)。

しかし何でも試してみられる余地があるという事は、ワクワクして楽しいものだ。
こういう映画で何となく観ているだけでも気持ちはよい。
物語として、充分面白く気分の高揚も誘えるものに成り得た映画だと思うのだが、もう少し主演二人の人物造形のブラッシュアップが欲しかった。
特に三好里奈の方である。
途中から人格変わってしまったかのよう。
何だか不自然なのね。
ハイジさんとか、その辺の事情にもう少し絡んで貴重な噺でもしてくれても良い立ち位置に思えたが。

ともかく気になったのが、何でこれまで「ヌヌ子」の2人組で励まし合ってやって来たのに、自分の進路を考えだしたら里奈は何故あんなに相方に対して冷淡になれたのか。
当然、一緒に頑張って来ても個性と資質の違いは、はっきりして来る。久保昭久の謂うように考え~方向性の違いが明確になるにつけ自然に別れるのはよいことだろう。
将来に対し不安になり混乱するのも分かるし、自分に確信がもてなくなることもあって当然。
かと言って相方に対するあの態度は解せない。
それから清美サリーの自分の力で世界平和に貢献したいみたいなセリフ、マジで言ってるのか。
だとしたら、かなりヤバい人ではないか。
何にせよ、「世界」をどうするとか言うのはダサい。
いまやってる仮面ライダーもそうだが(笑。

最後の締めが意味判らなかった。これ大事な所だと思うが、、、
キャストの良さで観て来たにせよ、あれでは一体2人がどうなって行くの、という感じで消化不良に終わった。
もうちょっと何とかならなかったか、、、。もう少し作り込んだらとても受ける作品になっていたはず。勿体ない。
U-Nextにて