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GOMA28

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蟲師 続章 1~特別編 後編まで。

musisi010.jpg
 
2014

漆原友紀 原作
長濵博史 監督・シリーズ構成
桑畑絹子、伊丹あき、山田由香 脚本
ルーシー・ローズ「SHIVER」OPナンバー


第一話 野末の宴
第二話 囀る貝
第三話 雪の下
第四話 夜を撫でる手
第五話 鏡が淵
第六話 花惑い
第七話 日照る雨
第八話 風巻立つ
第九話 潮わく谷
第十話 冬の底
特別編 棘のみち 前編
特別編 棘のみち 後編


ギンコ(蟲師) 、、、中野裕斗
語り/声、ぬい 、、、土井美加
化野(あだしの) 、、、うえだゆうじ
淡幽(たんゆう) 、、、小林愛


「みな、ただそれぞれが、在るように在るだけ」
人は人として蟲は蟲で在るのだが、所々で接触し捩れた関係に障りが出る。
その時、蟲師の登場となり解決されたりする(そのまま流されることもあるが、それが人の望みであったりもする)。
結果的に人間的な悲劇を見ようが、どちらが悪い訳ではない。
不幸な巡り合わせがあったに過ぎない。確かに想定外の自然災害を前に誰のせいかを議論しても虚しい。

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「血の通う実体を持つこと自体が力を持つことだ」が刺さった。
つまり何を成すことなくとも生きている事自体がその場に対し状態を変化させる作用を及ぼすことになるのだ(単に物理の話ではない)。
当たり前に思えて、兎角われわれは何らかの成果~価値を生み出さないと生きていても意味は無いような虚無感に囚われ無力化してしまうものだ。
家や共同体はそうした作用を齎す。
何と言うかそこで淋しくなってしまったり(爆。

わたしは帰属意識など何処に対しても微塵もないので元々知ったことではない。
だから蟲を呼んでしまうギンコみたいにノマドとして常に移動し続けるのが資質的にも本来的であったのかも。
どうした訳か、わたしは籠って寝ているのが好きなのだが(笑。
体質的には生活の営み方を間違えているのかも。

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ひとつこの物語に少しばかり馴染んで思うのは、ギンコはこの場面~結束点においてそのまま入って行くのか、退くのか、どう動くのかを適確に判断する。
自然を微細に読むことに長けているのだが、われわれはそうした生活をしていない為、関係ないと思ったら痛い目に遭うだろう。
われわれの身体の多くは自然に属する(かなり電脳化した部分はあれど)。
まさに自然を微細に読む姿勢がなくてはならない。
肝心な通り道、繋ぎ目にはしっかり注意を払わないと。
でないと、進むべき道を間違えるだけでなく、病気にもなってしまう、、、。
その辺が電脳生活者は鈍感になってる場合がある。

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ともかく、今日も沢山無理やり観過ぎたかも。
これも身体性から言って良いことではない。
もっとじっくりと味わいながら観るものだと思うのだが、、、
どうしても時間的な制限、限界がありいかんともしがたい。
しかし多少無理をしてでも、観たい気にさせるものだ。

ChatGPTには日頃から相談に乗って貰っていて、とても信頼しているが、こんな面白くソリッドで奇想天外な上に哲学的な噺って作れるのかな、、、。小説や詩も作れるそうだが。

われわれの自然~無意識である部分と電脳世界を繋いだところに面白い出口が見えそうなのは確か。




U-Nextにて










26話まで観る。

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たった今観終わるが、もう今日は終わり。
書く時間は無い(笑。
13話以降もどれも遜色ない出来。
凄い名作(シリーズ)があったものだ。
やはりアンテナは立てておくべき。

2005年の作品である。
これまで観なかったのが不思議。
やはりTVものは、全話観るとなると覚悟が必要となり、わたしのように常に突発的雑事に脅かされる身には重い。

特別編と続編も後日、観たいが、こんなに一日に10本以上観るような作品ではない。
一日一本じっくり味わって観るべきものだ。
だが色々とリズムを崩すファクターが多すぎて、コンスタントに物事は進まない。

ギンコの蟲を寄せる体質というのも興味深い。
確かに特異な流れを引き寄せる体質というのはある。
わたし自身がそうだ。
まあ、特異な環境に育った帰結ではあるが。

土地自体にも蟲の湧きやすい場所があるという。
そう思う。土地も生き物だ。

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ギンコにすれば、蟲とは「奇妙な隣人」であると。
実に謂い得ている。
好きでいるのも自由だが、うかつにこころを許せる相手かどうか分からない。
そして花や小動物や月や火や人に~自分の子供に、そっくりだったりする。
しかしそれらは「似て非なるモノ」なのだ。

場合によっては命取りとなる。
自分にとりもはやとっても大事な存在になってしまっていても、、、
相手は「ことばを覚えてしまった為に肝心な習性を忘れてしまった」こちらの命を奪う禍々しい他者であったりもする。
この辺の際どい絡みが実にスリリングなのだ。

ともにあるべき形であるだけなのに、障りが生じる。
そこにスポットが当てられる能力~異能をもっていても対処の仕方が異なったりもする。
蟲師の個性であり資質であり経験値であり人徳によるところだったりも。
様々なドラマの余地が生じるところ。

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しかしこの題材と着想は凄いものだが、その物語化も実に練れてる。
人間存在に対する考察が鋭い。
そして確かにこのような別の系と見えない作用は幾重にもあるのだという感覚を超えた認識を呼ぶ。
そう感覚や想像など全く覚束ないものなのだ。

必要なのは異質~異なる価値体系の論理。
いずれにせよ、外に出る事。


12分ではここまで(笑。



明日は特別編にでも飛んでみるか、続編に浸かるか。




U-Nextにて












蟲師 Season1 1~12まで観た

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2005

漆原友紀 原作
長濵博史 監督・シリーズ構成
桑畑絹子、伊丹あき、山田由香 脚本
増田俊郎 音楽
「The Sore Feet Song」Ally Kerr OPミュージック

               声:
ギンコ(蟲師) 、、、中野裕斗
語り/声、ぬい 、、、土井美加
化野(あだしの) 、、、うえだゆうじ
淡幽(たんゆう) 、、、小林愛

1.緑の座
2.瞼の光
3.柔らかい角
4.枕小路
5.旅をする沼
6.露を吸う群
7.雨がくる虹がたつ
8.海境より
9.重い実
10.硯に棲む白
11.やまねむる
12.眇の魚


しかしアニメはホントに凄いね。日本の独壇場では、、、。
凄まじいクオリティには驚くばかり。体調がイマイチなのもあるが今日のところは12話までがやっとのこと。
Season1だけでも25話まであり、続編も22話であったか。その他に特別編が幾つもある。映画版もあったはず。
だが、アニメの基本的流れを知らずに映画版だけいきなり見てもこの世界観の深みを感じるのは無理な気がする。
ここは、まずはTV版の1話から徐々に沁みてゆくのが一番かと。
かなり前のアニメであるが充分に幻想的で美しい作画である。申し分ない絵であった。

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確かにわれわれは圧倒的に巨大な(又は極小の)目に見えない構造~運動に組み込まれて現象している。
ここでは、世界を形成しわれわれに作用するも普通の人間に感知されない「蟲」という生命の系の根幹に位置するモノを中心において世界を描いてゆく。そこに様々な人間ドラマがタップリと絡む。主人公兼狂言回しがギンコとなるか。

大変なヴォリュームの物語であり、絡んでゆく人間ドラマが深くて切ない。
このドラマ固有の宿命がかなりの説得力を持つ。
(このドラマを通して蟲の存在が際立つのでもあるが)。

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「恐れや怒りに目を眩まされるな。皆それぞれがあるようにあるだけ」。
まさにそうだ。ここから観極めてゆくしかない。
蟲師のギンコの冷静で鋭い洞察はその姿勢にある。
しかし人間的に(人間社会において)災厄の形でそれぞれの在り方がぶつかってしまうことがある。
そこに蟲師の出番が出て来る(余りに頻繁に起きすぎる感もあるが(笑)。
ちょっと諸星大二郎先生の妖怪ハンター的なカッコよさもあってなかなかのもの。
毎回よくネタに困らないなと謂う程、様々な角度、切り口で蟲と人間の交通(事故)が描かれる。

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それぞれの系で自立して完結した生が自然に営まれてゆく。
独自のアイデンティティ~歴史が形成されて。
基本自分は自分(たち)の力で生きていると思って生活しているものだが。
それを内包するスケールの系から見れば相互作用する様々な異質な流れの必然的な結果に過ぎないことが判明する。
科学の発見の全てのめくるめく過程がそれであった。
個人的な(科学や数学なしの)想像力で刃が立つものではない。
デモクリトスのような大天才でもなければ到底無理な話。

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この蟲師という超越者は、人間界に在りながら、蟲の世界も感知でき、誰も気づかぬ両者のぶつかり合い軋轢を見定め、その場を解く策と方法を知っている、又は見出してゆく独自の論理をもっている。
ある意味科学者の立場に近いが、一般的に認知されているわけではない異能者と謂えるか。
しかしこのようにはっきり人を救い感謝もされている分、報われてもおりマイノリティの辛さはない。
寧ろ、超脱しており違う価値をはっきり見出していても迫害の対象にしかならない溝に落ち込んでいる者がいる。
今はそうした者との共存が大きな課題であることが、顕在化して来ている。

ギンコが何者であるのかその少年時代の描かれる12話の「眇の魚」が何とも切なく感慨深い。
毎回が特別で、面白いアニメである。
是非とも全話観たい。




U-Nextにて
















生温い夜風

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暑い分けでもなく涼しいという程ではない。
小雨が時折降ったり止んだり。
夜空自体が暗いという訳ではなく。

わたしは漆黒というものを知らない。
本当の熱さと冷たさも。
そして深さも。

全てが中途半端。
生温い。

眠りも浅い。
ありきたりな情報に窒息する。
何処に行きつけるのか。
こんな道程で。

鮮烈な目覚めを夢見て、また今夜も横になる。



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あなたになら言える秘密のこと

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The Secret Life of Words
2005
スペイン

イザベル・コイシェ 監督・脚本

サラ・ポーリー、、、ハンナ
ティム・ロビンス、、、ジョゼフ
ハビエル・カマラ、、、サイモン
エディ・マーサン、、、ヴィクター
スティーヴン・マッキントッシュ、、、シュリッツァー医師
ダニエル・メイズ、、、マーティン
ジュリー・クリスティ、、、インゲ
レオノール・ワトリング、、、ジョゼフの友人の妻


「言葉に秘められしもの」

凄まじくヘビーな運命を背負わされた女性の物語。
どんな経験を持とうと、生きているのなら生きねばなるまい。
わたしも生きるしかないので生きているし、敵は全て完膚なきまでに叩き潰していくつもり。
(基本、激しい悪意と害意と殺意しかない)。

The Secret Life of Words002

ハンナは戦争で残虐の限りを尽くされ親友を含め周囲の多くの人の死の中で辛うじて生き残ったが、、、
自らが生き残ったことを恥じ、たった独りで生きて来た。死と隣り合わせに生きて来たその延長であるかのように。
確かに独りでこころを閉ざして生きる以外に生きる術はなかっただろう。
職場でも誰とも話さず、時間割通りの日常を送り、余暇など持たずに大変質素な食事を摂っていた。
舞台はイギリスである。彼女は外国人(クロアチア人?である)。

ハンナは4年間無遅刻無欠勤で務めた会社から一か月間の休暇をとるように言われる。
上司はパンフレットまでよこし強制的に何処かのリゾート地で休むことを言い渡してきた。
そこで、海洋の海底油田掘削施設で大怪我を負い酷い火傷で目の見えない状態のジョゼフの看護役に就くことに。
リゾートなど論外であったのだ。彼女にとり。
時折、彼女はカウンセラーに電話をするが一言も喋らずに切る。しかし彼女からだという事はカウンセラーには分かる。

The Secret Life of Words004

掘削時に事故で大火事となるが自ら火に飛び込んだ友人を助けようとしてジョゼフはその姿になったという。
彼はその友人の妻に恋をしてしまった結果であることを心から悔いていた。
一方こころを閉ざしていたハンナも少しづつ自分のことを話すようになってゆく。
人を助けることで少しでも解れるものがあるのだ。
彼の目が一時的に見えない状態であったことも彼女を解放する助けとなったか。

The Secret Life of Words005

彼女はカウンセラーの検診をずっと受けてはいたが電話には一切出ることは無かった。
喋らないのだ。
だが、ジョゼフが小出しに自分のこころにしまっていた秘密を騙って行く。
自分が海で働いているのに泳げない事、少年期に父親に海に投げ込まれたのに助けるべき父も泳げなかった事など、、、。
更にジョゼフが親友の妻に送った本の内容を語り、それが今のふたりの現状に重なる物語でもあり、彼女もこころを開いて行く。
彼女はついにカウンセラーにかつて話した虐殺の経験の一部を語る。

The Secret Life of Words003

この悲惨さ残虐さは彼にとり想像を超えるものであった。
(まず普通、他人に話せるような内容のモノではなっかった)。
普段はお喋りのジョゼフも一言も返せない。
ただ彼女を抱き寄せ泣くばかりであった。

ヘリで運ばれ彼は病院に入院し付き添った彼女は無言でその場から立ち去る。
ジョゼフは漸く視力は戻り、大火傷の傷も癒え次の仕事を選ぶときになっていた。
当時の他の仕事仲間はチリの掘削現場に派遣されていたようだ。
ジョゼフはハンナを探し、彼女のカウンセラーと逢う。
そしてハンナと共に生きたいということを告げる。
カウンセラーはハンナの告白のビデオがありそれを見ることが出来るか彼に聞く。彼はそれを見ずに彼女に返す。
ジョゼフは彼女にはわたしが必要であり、わたしも彼女が必要だと宣言する(淡々と)。
(この確信はどこから湧いて来るのかは謎に思えたが、彼は揺ぎ無い気持ちであったようだ)。

The Secret Life of Words006

職場帰りのハンナをジョゼフは待っていた。
彼女の置いて行ったバッグを渡し、石鹸を一つ貰ったことを告げる。
彼女はバッグを受け取り、足早に帰ろうとするが、彼は共に暮らそう、今すぐにと謂う。
そんなことをしたらわたしは泣いてその涙で部屋は一杯になると返す。
それならわたしは泳ぎを習い泳ぎ切ってみせると謂う。

家には彼女がキッチンに寛ぎ、外から2人の子供が楽しそうに走って来るのが窺える。
そんなエンディングであった。
残虐な体験内容がショッキングであったが、実際に行われていたのであれば、伝える意味はある。
最後はともかく、久しぶりの共感可能な映画であった。



UーNextにて









愛欲のセラピー

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Sybille
2019
フランス

ジュスティーヌ・トリエ 監督

ヴィルジニー・エフィラ、、、シビル(セラピスト、小説家)
アデル・エグザルコプロス、、、マルゴ〔マルゴット・ヴァシリス〕(女優)
ギャスパー・ウリエル、、、イゴール(俳優)
ニールス・シュネデール、、、エディト
ザンドラ・ヒュラー、、、ミカ(監督)
ロール・カラミー、、、エディス
ポール・アミ、、、エティエンヌ
アルチュール・アラリ、、、カッツ


「愛欲のセラピー」なんていう邦題にすればウケるとかこれを付けた奴は思ったのかね?
引くわ。アホが。ともかく下品で趣味悪。

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つまりこのシビルという女性、自分が他人のセラピーをしつつ、自らもフラッシュバックで過去の恋愛体験などを咀嚼し自己セラピーも行っていたのね。
別れた彼氏ガブリエルとの恋でその時出来た娘もいる。

セラピスト続けていると小説書く時間が取れない。小説家としてやって行くことに決めたのだが。
セラピーは辞めようとしたのだが、どうしても切れないクライアントはそのまま継続して診ている状況。

そのなかのひとり、マルゴという売り出し中の映画女優の件は難航していた。
彼女は言い寄られた共演俳優と関係を持ってしまい、妊娠していた。
しかし彼女を妊娠させた俳優は監督ミカの彼氏なのだ。監督は彼との子供を欲していた。しかし監督よりも先に浮気相手との間に出来てしまったのだ。何でまたよりによって、と思うが、妊娠していたら撮影自体にも影響が出よう。
何でおフランスの人々は後先考えずに恋愛に浸るのだろうか、、、別におフランスに限らないが、、、。
ここで産んだりしたら女優生命も危ない。監督に殺されかねない。で、悩んでいた。
勝手にしろ、とわたしなら言い放つが(爆。

シビルもやってられないわ。という感じで、どうするか自分で決めなさいと突っぱねていたのだが、再三再四に渡り縋って来る。
現場でもどうにも演技に集中できなかったり、自殺未遂をして疾走してみたりで、撮影が予定通りに進まず混乱をきたしていた。
限界に来た監督に撮影現場まで来て、彼女を何とかしてほしいと懇願されては行かざるを得なくなってしまう。
未だこの時点で、手の焼ける新米女優マルゴが自分の彼氏の子供を身籠っていることは知らぬのだが。
相当デンジャラスな冒険ではないの、、、わたしなら絶対行かない。無理。
撮影場所は、孤島ストロンボリである。この場所わたしにも聞き覚えがある。確かイングリッド・バーグマンの有名映画のロケ地でもあったな、、、などと呑気に構えている訳にはいかなかった(ある意味当然)。

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シビルはこの地でかなり上手くマルゴを演技に乗せ、監督を安心させついでに監督の悩みも聴き両者の信頼を得る。
そして監督がマルゴに業を煮やして、船上での恋愛シーンに呆れ海に飛び込み島に泳いで帰ってしまった後、シビルがマイクを付けそのシーンを残ったスタッフと共に撮ってしまう。この場面の出来に監督も満足。更に信頼を深めることに。
この監督も何とも言えぬが、、、。

この小説家兼セラピストも何と言うかマルゴと同様の体質なのか、おフランス人特有の恋愛感覚なのか、酔ったところで浜辺を歩いたらイゴールに誘惑され関係を持ってしまう。このイゴールこそ問題の種ではないの?
その件で悩み母娘関係でトラウマを持ってしょっちゅう拗らせに来る姉に電話で相談するのだが、例のマイクがまだ生きていて、撮影中の監督、スタッフに知れ渡ってしまうことに。
監督は呆れ、マルゴはもうぶち切れてホテルのシビルの持ち物を破壊して大暴れ。
彼女は直ぐに島から引き返す。
それから二年だったか、彼女の小説は発売される。
何とあの時のいざこざをもとに書いた小説らしい(大丈夫か)。
この頃にはマルゴとも和解しており彼女も買って読んだという。自分だと分る部分については嬉しいと述べていた。
もう当時の事は、対象化して整理したのだろう。
姉は読んだといっていたが、明らかに読んでいないことがはっきりしていた。ただの拗らせ女。

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最後には「私の人生はフィクション。好きなように書き換えられる」とか開き直っているシビルであったが、、、。
幼い娘に「私、パパに似ている?」、「嫌いじゃない?」などと思いっきり切ない気持ちを味合わせて来たことを確認し、娘を抱き締めて終わり、、、。

何とも、、、そんな大した小説では無いなという事だけは分かる(笑。
主演女優はふたりともとても綺麗であった。
アデル・エグザルコプロスを久しぶりに観たが、もっと出番が欲しい。





U-Nextにて











ヘルレイザー2と3を観たが

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Hellbound: Hellraiser II
1991
トニー・ランデル監督
ピーター・アトキンス脚本

アシュレイ・ローレンス、、、カースティ・コットン
クレア・ヒギンズ、、、ジュリア・コットン(義母)
ダグ・ブラッドレイ、、、魔道士ピンヘッド./エリオット・スペンサー大尉
ケネス・クラナム、、、フィリップ・チャナード博士
イモゲン・ボアマン、、、ティファニー(自閉した少女)
ショーン・チャップマン、、、フランク・コットン(叔父)
ウィリアム・ホープ、、、カイル・マクレー(助手)
バービー・ワイルド、、、魔道士フィメール
ニコラス・ヴィンス、、、魔道士チャタラー
サイモン・バムフォード、、、魔道士バターボール

カースティーは事件後、精神病院にいる。周囲は彼女に耳を貸さない。夢の中で父が彼女に助けを求める。
そんななか、何と精神病院の院長チャナードは、キューブパズルの研究をしており、自閉少女ティファニーを使ってパズルを実行し魔導師を召喚してしまう。自分でやらなければ犠牲にならないと思ったか。
それから、4人の魔導師はほとんど事態を認識していない。前もそうだったが。
ここでも彼氏とフランクはちょいと出て来るが、例の義母のジュリアがしつこく出て来る(笑。
チャナードが自分の病院の患者を生贄にしてジュリアを蘇らせるのだ。要するに生き血があれば生き返る吸血鬼の類でもあるか。
ここでは、キイアイテムがマットレスである。マットレスに乗った生贄をマットレスに同化?したジュリアが襲い蘇るのだ。
まあ基本的にその後はグチャグチャの展開である。好きにやってというところ。

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Hellraiser III: Hell on Earth
1992
アンソニー・ヒコックス監督
ピーター・アトキンス脚本

テリー・ファレル 、、、 ジョーイ・サマースキル(テレビレポーター)
ダグ・ブラッドレイ 、、、 魔道士ピンヘッド/エリオット・スペンサー大尉
ポーラ・マーシャル 、、、 テリー(ジョーイの協力者)
ケヴィン・バーンハート 、、、 J.P.モンロー(クラブ「ボイラー室」オーナー)
ケン・カーペンター 、、、 ドク
アシュレイ・ローレンス 、、、 カースティー(ビデオテープ映像のみ)


ヒロインの悪夢がかなりのシーンを占める。
そこでのやりとりで事態~関係が分る部分が多い。
地獄から人の血で実体化して暴れている魔道士ピンヘッドとその前の姿であるまともな人、エリオット・スペンサー大尉との闘いにヒロインであるジョーイが絡む形に。
ここでは、ピンヘッドがかなり強いことが分かる。クラブで遊んでた男女全員を様々なやり方で惨殺するのだ。趣味は悪いが、それは前作からの引継ぎで。
新しい魔導師?いや、ピンヘッドの制作した魔物という立ち位置か、が沢山出て来て暴れまくる。
色々グチャグチャしてちぐはぐでもあるが何とか最後にキューブにクリーチャーたちを吸い込ませて一段落。

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基本、もうどうでもよい(笑。

2は、完全に1の続編であったが、3は新キャストで新たな展開?
ではあるが、2はもうハチャメチャで、訳が分からん。何でそうなるのばかり、、、ピンヘッドも本来の目的を3では忘れているような。
3は取り敢えず、2よりは物語がしっかりしてはいたが、ヒロインがどういうつもりで行動しているのかよく分からぬところは2と同様。
2は魔導師がどうのと謂う前に、ヒロインが不思議で何を考えてそういう行動に出ているのか、そちらに戸惑いスプラッター惨劇にも身が入らない。オマケにキューブの使い方(タイミングも含めた)。何なんだか、、、。
一番、何だかわからなかったのが、義母に姿を変え自閉少女を助けるところ。思わず何で?と口走ってしまった。
あそこどういう必然性と意味があったのか、さっぱり分からない。
兎も角、痛い気持ち悪い、ドクドクしい、所謂スプラッター度は、続編程上がっているように思える。
それが好きな人には、このシリーズは美味しいと思われる。

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まあ、どうでもよいか。
そう、1.2のヒロインも3のヒロインもなかなか素敵な女優であった。
でも流石にヒロインが頑張ったところで限界はある。
テリー・ファレルは「スタートレック」に出ていた。

もう観なくてよいね。
そう思った。



U-Nextにて




ヘル・レイザー

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Hellraiser
1987
イギリス


クライヴ・バーカー 監督・脚本
クライヴ・バーカー『ヘルバウンド・ハート』原作
クリストファー・ヤング 音楽

アシュレイ・ローレンス、、、カースティ・コットン(フランクの娘)
アンドリュー・ロビンソン、、、ラリー・コットン (フランクの弟)
クレア・ヒギンズ、、、ジュリア・コットン(ラリーの妻、カースティの義母)
ショーン・チャップマン、、、フランク・コットン (ラリーの兄、カースティの父)
ロバート・ハインズ、、、スティーヴ (カースティの彼氏)
ダグ・ブラッドレイ、、、魔道士ピンヘッド
グレース・カービー、、、魔道士フィメール
ニコラス・ヴィンス、、、魔道士チャタラー
サイモン・バムフォード、、、魔道士バターボール


「ルマルシャンの箱」という立体パズルがキイ・ガジェットとなる。
そのパズルを実行すると快楽が味わえると謂うのだが、魔導師が4体顕われ、肉体は引き裂かれ失われてしまう。
究極の快楽と苦痛を知るそうだ。少なくとも快楽を味わっているようには見えなかったが。
苦痛だけは感じられたが、、、。
そういうの好きな人もいるみたいだし、それはそれでよい。

Hellraiser002.jpg

まず「ルマルシャンの箱」というのが超然と存在する。
捨てても火に投げ込んでもびくともしないキューブであり魔物がちゃんと回収してはそれを使う人間のもとへ渡って行くようだ。
だが、その箱の由来や背景や目的は分からない。説明となるシーンはほぼないのだ。ただそれを使った者は人間界には戻ることは無理だ。身体が無いのではどうにもならない。

しかしここではラリーと謂う男が無理やり人を殺し血を吸って体を得てゆく。
血を吸い取る生贄男たちはフランクの愛人であるジュリアが誘惑して連れて来るのだ。
干乾びたからだから徐々に骨や肉が付き始め、段々人間の姿に近づき、最後は弟を殺して普通の人間と区別はつかない「弟の姿」となる。
これで良しと思ったところであったが、弟の娘カースティが父が殺されていることを知り、父だと思っていた者が魔物のフランクであることに気付く。

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そして父の姿をしたフランクと義母であり魔物フランクの愛人であるジュリアにカースティは襲われる。
しかもフランクとその愛人の義母から逃げる際に例のキューブを持ってきてしまう。
そして天性のキューブ使いであったか、キューブを回して実行してしまうのだ。
お前は「ルマルシャンの箱」で我々を召喚したなあ~と彼女のところに4魔導師が現れ、おまえも快楽を知りたいのか~と肉体を破壊しようとする。
わたしはそんなつもりじゃないわ。叔父のフランクが逃げたのよ、彼の居場所教えるからわたしに構わないで、と伝える。
何だこいつらフランクがなにやってるのか把握してないのか。
攻防戦となるが、魔導師は圧倒的である。しかしキューブパズルの申し子カースティは、キューブを回しながらエイっとばかりに一体ずつ魔物を封じ込めてゆく。こりゃ天才かも。その使い方をいつ会得したのかは分からないが、キューブを回転させながら、ついに皆封じ込めてしまう。これ以外に魔物の処理は不可能であろう。

Hellraiser001.jpg

ということで、 キューブパズルの得意な少女カースティの勝利に終わる。
この物語でも彼女を助けにタイミングよく乗り込んで来た彼氏のスティーヴは何の役にも立たない。
定番である。

そしてこの物語は、その7とかまで続いているそうだが、まず続編に繋ぐ、魔物が火の中から「ルマルシャンの箱」を取り出して夜空に消えていくところで終わり。
続きは、”2”を見ましょうということになる。
CGはほぼ無く、全部ウルトラQと同等の特撮勝負であったが、今のVFXに見劣りするようなクオリティーではない。
充分、頑張っていた。

2も観るかも。




U-Nextにて








フラッド

Hard Rain001

Hard Rain
1998
アメリカ

ミカエル・サロモン 監督
グレアム・ヨスト 脚本

モーガン・フリーマン、、、ジム(強盗のリーダー)
クリスチャン・スレーター、、、トム(現金輸送係)
ランディ・クエイド、、、マイク(保安官)
ミニー・ドライヴァー、、、カレン(教会関係者)
エド・アズナー、、、チャーリー(トムの相棒)
マイケル・グリアン、、、ケニー(強盗団)
ダン・フロレク、、、メーラー(強盗団)
ウェイン・デュヴァル、、、ハンク(ダムの管理人)
ピーター・マーニック、、、フィル(警官)
マーク・ロルストン、、、ウェイン(警官)


「フラッド」でも分かるが、原題の「ハードレイン」の方がこの場合、自然の無慈悲さはよく窺える。
インディアナ州のハンティングバーグは、大変な豪雨に見舞われ、町のほとんどが冠水し、上流のダムの決壊で洪水に見舞われる。
現金輸送車で各銀行から集めた金を巡り、水が凄い勢いで増水する間、輸送の職員、保安官たち、強盗の3者に教会のステンドグラスの修繕に当たった女性も絡み、激しい攻防が展開されるクライムアクションであり人間ドラマでもある。

Hard Rain004

CGは恐らく使わず、スタジオセットでこの洪水シーンを作った感じなのだが、、、。
水の迫力と熱演は凄かった。
セットの設営とその撮影、演技共にかなり大変だったろうな、と思うし費用も相当かかったはず。
銃は勿論、ボートによるアクションもたっぷりあり、余所見をする余裕はない。
とても良い出来だった。

最初は、現状に耐え地道に自分の職務を全うして頑張る人たちが描写されているかに見え、、、。
現金輸送車が大雨で路肩を外れ立ち往生してしまったと思ったものが仕組まれた罠であったことが判明する。
この降り続く豪雨と宙吊り状態の金の存在により、ひとの抑圧していた欲望が一気に頭をもたげたと謂うところか。
ドンドン嵩を増してゆく水にモノが流され削られ壊されてゆく状況の圧力に精神が蝕まれてゆく過程で。

Hard Rain002

強盗団のリーダーのジム、現金輸送係のトム、保安官のマイクの主演者たちは、申し分なかったが、ヒロインが今一つ馴染まなかった。その場にいる必然性があまり感じられないのと女優のオーラの問題。他にも相応しい女優はいくらでもいるように思えた。

ジムは、如何にも大物リーダー感があったが、結局、相手の保安官チームのあくどさにトムと組んで闘うこととなった流れは分かる。
しかも完全に狙いが同じなのだ。盗賊の逮捕ではなく自らがそれとなったのだ。よってはっきり敵である(爆。
トムは、増水した雨で動かなくなった輸送車が強盗団に襲われたとき、迷わず金を隠したのは命を守るための担保としてだろうが、歩きにくい水量のなか、逃げる速度を考えると微妙な判断に思える。普通ならそのまま逃げたら単に目撃者として撃ち殺されてお仕舞であろうし現金隠すのはクレバーであるが。

保安官は元は真面目で、任期満了するまで幾ら住民の不評を買おうと、責任を持って街を守る意志を持っていたことは窺えるが、ダムの決壊と共に大義はもうどうでもよくなり、輸送車の金を強奪して老後の安寧を確保しようと決める。尽くしてきたが報われない。もうすぐ任期を終える。先が心許ない。そこに益々激しく降り注ぐ雨、ついにダムの決壊とまで来た時に彼の中の何かも崩壊したのだろう。
われわれも日常生活が悉く上手く行かず、外的要因で流されたり紆余曲折して疲労困憊したりしているうちに、これまでの役割を全部投げ出してしまおうという衝動に駆られることはあろう(大概踏みとどまるが、このような持続する災害が堰を切ってしまうことはあるかも知れない)。

ヒロインの動きはどうにも取って付けたような感じで、とりあえずクライムアクション(+ディザスター)モノには女性も何らかの形でいれなければ、そしてパニック度、スリルを際立たせる役目を担って貰うというところだろうが、、、女優がしっくりこなかった。

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ハラハラ感はかなり高く、演出も凝っており、危機からの脱出も一発では上手く行かず、何度もトライ&エラーを繰り返して脱するところもなかなかであった。
最後の鬼と化したようなマイクの執念が怖さを充分に魅せていたが、トムに撃ち殺される。
このトムであるが、最初に現金を隠した時、明らかにこやつはどさくさ紛れにせしめる気だろうと思っていたが、ついに最後までくすねることは無く、州警察に渡すつもりであったようだ。ちょっと何か企んでいるような顔に終始思えていたのだが。
そして終盤は、トムとカレンを守り、悪の警官たちと渡り合ったジムに礼を謂い、彼を逃がす。
その際に笑顔と共に現金の入ったバッグ2つのうち1つをボートに乗せてゆく。

他の連中は金に振り回され皆命を落としたが、無欲のトムとカレン、欲はブレずに持っているが、流されず冷静で判断を誤らない盗賊のジムは生き残る。
わたしもモーガン・フリーマンが生き残ると嬉しい(笑。



U-Nextにて













涼しい夜

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次女の強い勧めで「地獄楽 1~8」まで観たが、ここで感想は無理。
この後の大展開が、分からないけどはっきりあるのだけは確かなので、今書くのは難しいというより意味が無い。
最近、Tvで観ている「水星の魔女」もそうだが、人間描写が深いね。
「Dr.Stone」などは、キャラ自体は魅力的だがドラマもとても単純でシチュエーションで愉しませるタイプだ。
地獄楽、葛藤し苦悩する人間がとても魅力的である。
誰にも肩入れ出来る。惜しまれるキャラが直ぐ死んじゃったりして残念だけど、、、。
そして不死の薬~仙薬を探しに行く島~「こたく」が余りに飛んでもない。
そこに飛んでもない連中で乗り込むと向うには更に途轍もない奴ら~天仙様が待ち構えていて、もう凄いことにしかならないが、、、。
キャラも場所も荒唐無稽なのだ。

しかしわたしが例えスーパーマンであったとしても、絶対行きたくない島である。
島の中心部に仙薬がありそれを飛んでもない(いくらでも体の再生する)天仙様とかが守っており、その薬は人間から作られているそうだ。ひとの体中に花が咲いている、、、。
出て来るクリーチャーがこれまたやたらと趣味が悪いキッチュな連中。
仏像や植物全般に趣味が悪すぎる。あんな変な島到底耐えられない。
1分いたら発狂するわ。
趣味が良いのはオープニングとエンディングの曲くらいか。

兎も角、このアニメは全部観終わったところで感想を書きたい。
展開が凄まじすぎる。絵~キャラも申し分ない。
凄く嵌ることは確か(うちのふたり娘はどちらもドはまりしている)。
日本のアニメの質の高さはホントに驚異。
ではなく、驚愕。(笑。

何と言うかそれはよいのだが、、、。
アニメ全話観ると謂うのも大変。
一度に観るのは体力的にシンドイ。
一話ずつ観るのはゆったり見られるにせよ、最初の頃どうだったか忘れている。

何に対しても、何においても、情報を得るということは、生半可なことではない。
科学モノの本やTVを見ていつも感服するのは、科学者たちの事象に対する真摯な姿勢と弛まぬ努力である。
あの姿を観ていると、ひとはこうであらねばと思う。特にあの継続と集中。
画家の対象に向かう姿勢もそうだ(何処に対象を定めるにせよ)。

気持ちがチリ散りで、常にあちらこちらに振り回されている身としては、沈潜する場が何より欲しいし貴重である。
最近では猫~トラが実にタイミングよくちょっかい出して来る。
子供がもう一匹増えた気もするではないか。
取り分け痛いもののひとつに、「ねえ、あれ何処に在るか知らない~」である。
これでわたしの一日がほぼ崩壊する場合があるのだ。

情報を持続的に集中して得る時の対極に追いやられる状況であろう。
翻弄されるばかりの日がここのところ続いている。
ここに創造や発見は無い。
良くって失くしたモノが見つかるくらい、、、。
(実は、まだ探し事が続いているのだ)。




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中国の植物学者の娘たち

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Les Filles du botaniste
フランス、カナダ
2006

ダイ・シージエ 監督・脚本
ナディーヌ・ペロン 脚本
エリック・レヴィ 音楽
ギイ・デュフォー 撮影

ミレーヌ・ジャンパノイ、、、リー・ミン(植物学の実習生)
リー・シャオラン、、、チェン・アン(チェン教授の娘)
リン・トンフー、、、チェン教授(植物学者)
ワン・ウェイグワン、、、チェン・タン(アンの兄)
グエン・ニュー・クイン、、、孤児院の院長


あの圧倒的な傑作「春夏秋冬そして春」でもそうだが、絶景のなかを舟に乗っての移動が毎日の生活。
ここでも「植物園」に行くのに舟で移動していた。
買い物行くにもそう。新聞を買うにも。

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そして、壮麗な湖面と空の対象のめくるめく景観に圧倒される。
その傍らでふたりの女性の秘め事が極めて危うく果敢ない美を灯す。
植物園の温室?が幻想的で怪しく官能的。
ふたりの女性もむせ返るような湿度と植物の放つ香に包まれ何ともエキゾチックで綺麗。

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だが、そこはホントに危うい小さなシェルターに過ぎない。
外界は、男尊女卑の家父長制度などと謂うレベルではなく。
この植物学者のオヤジは、娘を一生自分の身の廻りの世話の為に買い殺しするつもりか。
そして実習生を見初めたにせよ、彼女の意志などお構いなく強引に息子の嫁にしようとする。
粗暴で感性も想像力も微塵もない野蛮な息子。
だが、娘~妹も兄と一緒になれば私達も一緒に暮らせるわね、と謂うのは余りに世間知らずで浅慮。
ミンは子供を無理やり作らされることになるし、兄もいつまでも兵に出ている訳でもないだろう。
向うで出世して呼ばれてしまうかもしれないし。退役したら地獄ではないか。
縁を切ってふたりで逃げるしか手は無いのは明らか。結婚は何れにせよ軽はずみであった。

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しかし娘のアンも余りに長く、頑迷な父との二人暮らしが続き、共依存関係が成り立ってしまっていた。
単に封建的な家父長制から来る風習を超え、大変根深い相互の依存関係が成立しており、初めてこころのときめき踊る相手と巡り合ったにも関わらず、その勢いで手に手を取り逃避行という訳にはいかないのだ。
ここが厄介な所。
アンにとり父はまだともかく、植物園は命である。あの温室での薬物実験。あの湿った空間に充ちる麻薬のなかでの恍惚の眠り。
もしわたしでも、あの魅惑の環境はちょっと捨てられまい。この場こそ最大のネックであるか。
われわれは悉く身軽ではない。誰もが囚われ人なのだ。

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しかしあのポンコツゴリラみたいな兄と結婚するくらいなら、、、
あのお寺に逃げ込んで、尼僧みたいな立場でふたりで共に生きるとか無理かなあ。
孤児院の院長を頼り、ふたりで仕事のできる場を作ってもらうとか。
その過程で植物実験施設も作れる可能性はあろう。
才能も知識もあるのに世間知らずで何ともこのふたり勿体ない。

囚われの身の悲劇だ。
もっともミンの方は、父が中国人、母がロシア人で、地震により両親を亡くして幼少時、唐山孤児院へ預けられたという。
この根無し草であることから、誰よりも帰属意識は希薄である。
敢えて言えば孤児院の院長に恩義を感じているくらい。
ミンに身を任せアンは植物園に見切りをつけふたりで逃げるべきであった。

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父に隠れて温室の薬の煙の中で愛し合っているところを見咎められる。
当然、バレるのは時間の問題であろう。
ミンに刃物を持って、この魔物メ~と襲い掛かったところをアンに棒で打たれて昏倒。
このオヤジ普段、空威張りしている割にはダサい。
しかしここでふたりで夜逃げすることは出来なかった。
アンが、おとうさ~んと元に戻ってしまい、ふたりは裁判にかけられることに。
父は心臓病も抱えていた為に亡くなってしまったのだ。
裁判長はいとも容易く、人々を震撼させる自然に反した大罪が父を殺すこととなった、と述べ、判決を言い渡す。

Les Filles du botaniste006

極刑はない。何それ、と唖然である。
不自然って制度の方が遥かに不自然なのだ。
それに自然かどうかの問題ではない。
ミンは孤児院の院長に二人の灰を混ぜて湖に撒いてくれるように手紙を書き、例のお坊さんと共にそれが果たされた。

やはり寺に匿ってもらい、院長のところに泣きつけば何とかなったかも知れない。
勿体ない。
とても悲しいエンディングである。



U-Nextにて











水の中のつぼみ

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Naissance des pieuvres
2007
フランス

セリーヌ・シアマ 監督・脚本


ポーリーヌ・アキュアール、、、マリー(15歳の少女)
ルイーズ・ブラシェール、、、アンヌ(マリーの同級生)
アデル・エネル、、、フロリアーヌ(上級生の花形選手)
ワレン・ジャッカン、、、フランソワ(男子選手)


監督の処女作。
マリーは腐れ縁の同級生アンヌと普段はつるんでいるが、ある日アンヌの属するアーティスティックスイミングクラブの演技発表会の際、上級生で花形選手のフロリアーヌの姿に一目惚れしてしまう。
マリーは憧れのフロリアーヌに近づきたいが為、クラブに入り、彼女の演技を近くで見学させてもらう。

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しかしその条件としてフロリアーヌのお願いを聴かなくてはならない。
それが彼女が彼氏と逢いに行くときに怪しまれぬように彼女を家から連れ出し、落ち合う場所まで一緒に行き、彼女が彼氏と共に過ごす間外で待っていて、終わったら一緒に帰るというもの。

流石に何度か付き合ったところで、嫌気がさしてもうこんなことに付き合わない、とはっきり断る。
当然、そりゃそうだとこちらも思う。
アーティスティックスイミングの演技をしている時、終わってプールから上がり挨拶していたフロリアーヌは確かに綺麗で輝いていたが、日常生活や彼氏とイチャイチャしている時の彼女には特に魅力は感じられない。
マリーもそう思ったのではないか。
スターとは兎角、そういったものなのかも。

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しかしフロリアーヌの方がマリーを必要とするようになっていた。
彼女にこころを許していたのだ。
フロリアーヌは容姿が端麗である為、男子にやたらとモテ、周囲から妬まれていた。
その雰囲気に対する反発から殊更に人前で見せつけるなどして、孤立を深め苦悶しているところはある。
マリーには率直に話し、男性とも最後までは行けず、突き放して逃げて来てしまっていると告白する。
このことで、マリーとフロリアーヌの関係は深まる。

一方、ずっと一緒に何となくつるんでいるアンヌは独特の個性を持ち他者と広く付き合えるタイプではなく自閉的な特性をみせるぽっちゃり形である。マリーとフロリアーヌの美形に対し、逆の意味で目立つ方だ。
しかし性的な欲求はかなり強く、フロリアーヌのプールでの彼氏のフランソワを狙っている。
自分の世界に入りこんでおり、客観性はあまり感じられない。
幼児性もあり、オマケ欲しさに自分の年齢では頼まないランチを頼み、そのオマケで遊んでいるところをしみじみ見ていたマリーに、あんたは自分を巨乳だとか言ってるけど、ただのデブのガキよ、もううんざり、と呆れられる。
確かによく分かる。ネックレスを万引きしてフランソワにぬけぬけと渡しに行ったりもするのだ。

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それでマリーはフロリアーヌに更に接近することに。
しかし、男子との一線を越えられないフロリアーヌに、その最初の相手になって欲しいと懇願されたときは強く断る。
こころの準備などしているはずもなく単に驚いたにせよ、相方の不甲斐無さに呆れるうちに、それを引き受けることにする。
フロリアーヌのベッドでそれをするが、その後このふたりの関係はどうなるのだろうと思う。
マリーはフロリアーヌに対して恋愛に近い感情は抱いているのだが、フロリアーヌの性的な関心はやはり男子一般に向けられている。マリーのお陰でフロリアーヌは解放されてこれからは自由に気楽に男子と関われるようになったという感じである。
マリーとしてはそれが納得いかない。彼女の方から今度はフロリアーヌにお願いする。
フロリアーヌは直ぐに悟り、マリーを抱き寄せキスをする。「こんなの簡単よ」と謂って彼女は離れてゆく。

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丁度そのタイミングで、フロリアーヌに袖にされたフランソワがネックレスをくれたこともありアンヌをその捌け口にやって来た。その勢いでふたりは肉体関係を結ぶ。しかしアンヌは自分が愛されているとは感じていない。単にフロリアーヌに向けた欲望が果たせなかった為にアンヌを代用したに過ぎない。それは彼女も感知していた。

3人の少女たちのこころの動きが淡々と描写されてゆくのだが、不思議にマリーとフロリアーヌ、マリーとアンヌの関係はタップリ描かれるのだが、フロリアーヌとアンヌは全くない。フロリアーヌにとりアンヌは人には見えないのかも。
フロリアーヌはひとり恍惚の表情で踊っており、結局はフロリアーヌに振り回された形のマリーとアンヌは元のように寄り添い、プールにふたりで浮かんでいる、、、。
しかし最後にマリーの目が光り表情が何をか告げている。

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ソフィア・コッポラの描く女子よりこちらの方が瑞々しかった。ポーリーヌ・アキュアールはこれからが楽しみの女優だ。
この監督も処女作でここまで描けるとは、凄いものだが、処女作を超えるのは大変だとも謂われる。
今後に期待したい。



U-Nextにて












レア・セドゥのいつわり

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TROMPERIE / DECEPTION
2021
フランス

アルノー・デプレシャン 監督・脚本
フィリップ・ロス 原作
ジュリー・ペール 脚本

レア・セドゥ
ドゥニ・ポダリデス
アヌーク・グランベール
エマニュエル・ドゥヴォス
レベッカ・マルデール


レア・セドゥだから観た。
そうでなければ、観ない。

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「レア・セドゥの~」といちいちつける邦題のセンス、最悪。
やめて欲しい。

それから、長い。長すぎる。拷問に近かった。
恐らく、わたしの体調によるところだろう。
だが、長い。半分で充分。

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初老のアメリカ人作家と33歳のフランス人女性(イギリス人だっけ?)、ともに既婚者であるが愛人関係。
この設定で逢瀬の度におフランスらしい軽妙な会話を交わす。
それだけでどこまでも引っ張って行ける魅力が醸せる作品なのだが。

本来はそうなのだが、とっても長く感じるのだ。
レア・セドゥが部屋の詳細を目をつぶって描写するとその通りに部屋が生成されれていたが、、、
それが後に出て来る、カフカが生きた世界を記述したのではなく、彼が記述した世界に生きたとかいう会話に繋がっている。

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だが、本に書くために会話や情交したりするのも、その描かれた世界に少なくとも逆照射されるのは確か。
勿論作家はそうだが、そこに描かれた人も。
レア・セドゥはそれを読んで、当時の自分が何であったかが分かる。
確かにただ生きているのでは、そんなことは自覚できない。

何と言うか、いつも気づきというものは怒りと共にある。
そして世界と謂うより環界は、ことばによって生成される。
当たり前のことだが。

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このユダヤのアメリカ作家は、執筆用の部屋を持ち、そこで女性と逢っている。
妻は彼の創作ノートを読んでそれを察知している。
この部屋だけでなく、他の場所でも複数の女性と関係を持つ。
それは特に妻との不和と謂うものでもなく、彼曰く「文化的孤独」によるものらしい。

文化的孤独と謂うのはよく分かる。
と謂うより共感する。
別に彼自身に共感する分けでもないが、裁判所で糞フェミニストに吊るし上げられる場面では、わたしも怒りを覚える。
とは言え、この男の書いた小説など読む気にもならない。
それは確かだ。

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文化的孤独というのは、わかる。音楽を聴くのも確かに、そんな感情からだ。
このユダヤ作家にとり、それを埋めるのが、多くの女なのだ。
レア・セドゥがひとりいれば充分な気もするがな。
これほど、身体~ことばの強度のある女性はそうはいまいに。
その上で雑多な(と言っては失礼だが)数を求めても逆に希薄になってしまい創作にとっても逆効果とはならぬのか。
大きなお世話であるが。

そう、レア・セドゥ以外の女性の出た分で、うんと長く感じたのだ。
余計な分量に。とは言えカフカについての言説は彼が大學の授業で教えた女学生によるものだったが。
レア・セドゥと二人だけのあの部屋での対話劇でも充分に魅せる作品に成り得ていたと思う。わたしは。
つまり、レア・セドゥの身体~ことばだけで綴っても純度の高い物語は可能であったはず。


兎も角、長く感じた。
とっても長く感じた。
他の女や場面は、余計に感じた。



U-Nextにて








9人の翻訳家 囚われたベストセラー

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Les traducteurs
2019
フランス・ベルギー

レジス・ロワンサル 監督・脚本
ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン 脚本
三宅純 音楽

ランベール・ウィルソン、、、エリック・アングストローム(出版社社長)
オルガ・キュリレンコ、、、カテリーナ・アニシノバ(ロシア語の翻訳者)
アレックス・ロウザー、、、アレックス・グッドマン(英語の翻訳者)
エドゥアルド・ノリエガ、、、ハビエル・カサル(スペイン語の翻訳者)
シセ・バベット・クヌッセン、、、エレーヌ・トゥクセン(デンマーク語の翻訳者)
リッカルド・スカマルチョ、、、ダリオ・ファレッリ(イタリア語の翻訳者)
アンナ・マリア・シュトルム、、、イングリット・コルベル(ドイツ語の翻訳者)
フレデリック・チョー、、、チェン・ヤオ(中国語の翻訳者)
マリア・レイチ、、、テルマ・アルヴェス(ポルトガル語)
パトリック・ボーショー、、、ジョルジュ・フォンテーヌ(書店経営者、アングストロームの師)
サラ・ジロドー、、、ローズマリー・ウエクス(アングストロームの助手)
マノリス・マブロマタキス、、、コンスタンティノス・ケドリノス(ギリシャ語の翻訳者)


『デダリュス』という(覆面作家の)ベストセラー小説の完結編の9か国同時発売のために9人の翻訳家を大邸宅の地下室に集め、一日20ページ(全480)ずつ翻訳させてゆくという何とも言えない設定。
海賊行為と違法流出を恐れるあまりこういうことになったそうで、実例もあるという(驚。
(何とあの『インフェルノ』はそうした過程で出版を見たそうだ)。
当然、彼らからはネットに繋がる携帯など禁物。入り口で全て取り上げられる。

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毎日ネットにアクセスするのが呼吸するのと等しいわたしなど(多くのひと)は禁断症状が出るはず。
地下にはその分、シアタールームがあり、バーで呑んだりボーリングしたりプールで泳いだり、広い寝室で休んだり、高級ディナーを毎日食したり出来るのだが、2か月間の軟禁には違いない。しかし色々あって、そのまま翻訳が完了して本が出版される、でもドラマは幾らでも可能ではあろう。

そういう映画~物語も充分あり得る。
コメディでも行ける。作家たちの会話や各々の関係性やその深まり又は葛藤、軋轢、反発などドラマを生成して持ってゆくのや、、、
もっと膨らめた異化された形に発展させたり、、、小説の内容に即して彼らの話しも展開させてみるとか、、、色々と(笑。
だがここでは、ミステリーで死人(首つり自殺)も出て来る、飛んでもない修羅場へと直行となる。
「冒頭10ページをインターネットに公開した。24時間以内に500万ユーロの金を払え」といった脅迫メールが社長のもとに順次入って来るのだ。最後は全部流出させ8000万ユーロまで行く。株まで売って支払う羽目に。
当然、この邦訳家たちの中に、犯人がいるはずということで、皆が疑心暗鬼になり互いに攻撃的になる。
勿論、これだけの策を弄し完璧な環境を作ったはずが、原稿は流出、金は要求され社長は半狂乱となり怒りまくる。

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わたし的に一番ショックだったのは、オルガ・キュリレンコが血迷ったアングストロームに撃たれたことだ。
あってはならぬことでその後、病室で酸素マスクをしてベッドに横たわる姿があったが、助かったのかどうかは不明のまま。
(それはない)。
彼女のプールでヒロインの気持ちを体感しようと底にずっと沈んだままでいるシーンは幻想的でこの映画で唯一美しい絵であった。そんなこともあり、撃たれるなんてあり得ないのだ。ホントに。

このような事態を生んだのが、この翻訳家たちの中にこの作品の原作者が混じっていたことによる。
なんなのそれ、である。
それがどうやらこの出版社のせこい社長に対しての復讐の為の行動なのだ。
彼が書いたのだから、原稿を盗み出すとかコピーしてWebにアップするとかするまでもなく、元々自分の部屋に在りそれを自動で脅しながらアップし続ければよいだけの話。

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なのだが、奇妙に回りくどい単に鑑賞者にミスリードさせるためみたいな変な原稿の入った社長の鞄を電車ですり替えるみたいなシーンが盛り込まれる。
翻訳作業に入る前の時期のエピソードである。
これに絡んだのは、アレックス、チェン、ハビエル、イングリット、テルマ。つまり彼らは、翻訳で集められる前に知り合いであったことになる。

後日のアレックスとエリック社長の刑務所内のやり取りのシーンが何度も挟まれる。
どうやって小説を盗んだのかこれをエリック社長は聴きだそうとする。
翻訳家を監禁した罪とカテリーナへの傷害罪に加え、アレックスとの会話盗聴から警察はジョルジュ・フォンテーヌ殺害自白も得た。
この時、盗聴マイクを塞ぎ、何故あの段階で完結編の冒頭が暗唱で来たのかの問いに「それは僕が書いた小説だから」とバラす。
社長は、にわかにこれを信じなかったが、これで勝負がついた事となる。

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『デダリュス』の覆面作者オスカル・ブラックであった初老の書店店主は、代役に過ぎずそこに遊びに来ていた若者、それこそアレックス・グッドマンであったのだ。
彼が書いた『デダリュス』という作品が余りに素晴らしく、店主は直ぐに出版の手続きをしようとしたが、それを断る。
それを惜しんで出版を勧める店主に対し、アレックスはあなたが書いたことにするなら構わないという。
単に自分の才能をあなたに認めて貰えれば結構、という。その経緯と真相は2人の間だけの秘密であった。
アングストロームは全二巻の出版を自社からしていることから当然完結編もと思っていたら相手は違う出版社から出したいと言い出す。彼の経営方針と翻訳者に対する扱いが気に食わないと。
アングストロームは、大儲けの金蔓が無くなるのを恐れ、彼を突き落として殺害し原稿を盗み店を燃やしてしまう。、
アレックスは、店主ジョルジュ・フォンテーヌの敵討ちに翻訳者に紛れたのだった。自宅から自動で脅迫メールを送り付け原稿をアップする設定をしたうえで。
ふ~んと思ったが、、、

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何もオルガ・キュリレンコを撃つことは無かろうという、その一点に虫酸の走る映画であった。




U-Nextにて










RED/レッド

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RED

ロベルト・シュヴェンケ 監督
ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー 脚本
ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー 原作

ブルース・ウィリス、、、フランク・モーゼズ
モーガン・フリーマン、、、ジョー・マシス
ジョン・マルコヴィッチ、、、マーヴィン・ボッグス
サラ・ロス、、、メアリー=ルイーズ・パーカー
ヘレン・ミレン、、、ヴィクトリア
カール・アーバン、、、ウィリアム・クーパー
ブライアン・コックス、、、イヴァン・シモノフ
ジュリアン・マクマホン、、、ロバート・スタントン
リチャード・ドレイファス、、、アレクサンダー・ダニング
レベッカ・ピジョン、、、シンシア・ウィルクス
アーネスト・ボーグナイン、、、ヘンリー
ジェームズ・レマー、、、ガブリエル・シンガー


REDとは、引退した超危険人物を指すという。
年金生活者となった彼ら殺しのプロをわざわざ殺しに来た組織がCAIであり、そこを操る黒幕をやっつけようと言うもの。
何とも、、、ハチャメチャな。おじいちゃんたちのコスプレも決まっていた(爆。
芸達者な豪華キャストである。

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モーガン・フリーマンが死んだかと思ったら生きていて、良かったと思ったらまた死ぬが、またどこかでふいに出て来ると思って待っていたのだが、最後まで出てこなかったのは、何故?あそこでは死んでいないと思ったのだが。やっぱり死んだのか。一番の狸爺だと思っていたのだが、、、。
そこだけが気になった。

元CIAの凄腕エージェントのフランク・モーゼズが夜の自宅で突然武装集団に襲われるところから始まる。
なかなかの導入部。冷静沈着に最小エネルギーで、全員退治するところが如何に凄いおじいちゃんか充分分かった(笑。
(ここまで極端でなくとも、いつ何があるか分からないのがわれわれの世界だ)。

爽快な殺し屋集結の大銃火器アクションものかと思っていたが、それ程でもなく、勿論地味でもなく、年輩の元凄腕の殺しのプロフェッショナルたちが、経験と頭脳を活かしてどんどん敵の裏をかいて倒してゆくのだが、特に新鮮味はなかった。
兎も角、熟達した人は、一つ先が読めるという事だ。
そして充分に尖っている。
そうでなければ、しっかり生き残り、年金生活まで出来まい。
その上、フランク・モーゼズときたら可愛らしい彼女まで作っている。
(一緒に危険極まりない行動を通して親密になってゆくぱたんであるが)。

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基本、お達者なおじいちゃん、おばあちゃんがハッスルする中で、サラ・ロスとカール・アーバンの存在はこれはこれで良い味は醸していた。
こういう作品は、時々アメリカ映画で観るが、お達者クラブがまだまだ若いもんには負けないと頑張るというフォーマットも好まれるのだろう。

コミカルな面もあり銃アクションも面白かったが、スッキリ爽やかというところまでは行かなかった。
結局、彼らREDを始末する手先となって働いていたウィリアム・クーパーが最後の最後に、黒幕の仕業とその真相を知り、寝返る。
それでスッキリ事件は解決となるようだが、後始末が大変だなあといつも思ってしまうところだ。
そう皆、タフなのだ。
タフと謂えば、あんな危険極まりない弾丸が雨霰みたいに降り注ぐなかを彼女と一緒に切り抜けるというのも何とも言えない(笑。
メアリーは素人である。まず命が幾つあっても足りまい。そしてそんな狂気の行動を共にするうちに楽しくなってゆくのだ。そんなものか?
まあそこが面白い流れなのだが。

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ブルース・ウィリスのこういう演技がもう見られないのは残念だが、もうホントに年なのだ。
ヘレン・ミレンの貫禄も言うことなし。
モーガン・フリーマンはもうすっかり好々爺という域に入っていたが、、、。
ゆっくりゆったり残りの人生を愉しんでもらいたい。
そういう気持ちに自然になれる御話でもあった(笑。

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REDリターンズというのもあるらしい。
油断できない。





U-Nextにて













防災セット SHELTER プレミアム 2人用。
震度6以上は、28回。震度7以上は4回、3.11以降の地震。
首都圏もそろそろという専門家の声も。出来る事はしておきたい。
必要なものが最初から詰まった防災グッズセット!
自立するリュックに全て入っているので、持ち出しも軽快で楽。
地震にバッチリ備えておけば、他の災害時にも充分対応可能。


NOPE/ノープ

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Nope
2022
アメリカ

ジョーダン・ピール 監督・脚本・製作
マイケル・エイブルズ 音楽

ダニエル・カルーヤ、、、OJ(オーティスの息子)
キキ・パーマー、、、エメラルド・ヘイウッド(オーティスの娘、OJの妹)
スティーヴン・ユァン、、、リッキー・“ジュープ”・パーク(元子役。テーマパーク「ジュピターズ・クレイム」のオーナー/クリエイター)
ブランドン・ペレア、、、エンジェル・トレス(フライズ・エレクトロニックスの技術セールスマン)
マイケル・ウィンコット、、、アントラーズ・ホルスト(有名な撮影監督)
レン・シュミット、、、アンバー・パーク(ジュープの妻)
キース・デイヴィッド、、、オーティス・ヘイウッド・Sr.(OJ、エメラルドの父、ヘイウッド・ハリウッド牧場主)


ゲット・アウト」と「アス」は観た。どちらも緊張感たっぷりの傑作であったが、とりわけ「アス」の怖さは今でも印象に残っている(幼い頃に観たりしたらトラウマものだろう)。
本作も異様な空気の中、異次元のエイリアンが好き勝手に捕食して、こんなのホントにいそう。
(うちの猫も食うこと以外、特に何をするでもない、ように見える(爆)。
「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤがここでも主演。妹役のキキ・パーマーが大奮闘であった(笑。

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終始、音の演出と、何だか分からないが、一つだけ全く動かず半年空に留まっている雲という、謂われなければ分らぬ不気味さの飽和感が何とも言えないものだった。
兎も角、危ないものであるのが分かってから、身を案じて避難するのではなく、その危険な物体の映像を撮りそれで大儲けしようというチャレンジ精神旺盛な牧場経営の兄妹の奮闘が描かれる。
何しろ先代の牧場主の父はその物体の落としたコインが頭を直撃して亡くなってしまう。
メディアには、飛行機からの落下物による犠牲者と発表される。
それまでは、その牧場で育てた馬を映画に出して順調に商売してきたのだが、父がいなくなると、途端に経営難に陥り馬を10頭も手放す羽目となる。そしてお気に入りの主力の馬も手放すことになった時に、その馬を連れて行ったテーマパークにその物体が現れ、パークの人々を皆吸い上げ喰い尽くしてしまった。

ニュースでは、この突然の多くの人々の消滅を鉄砲水による自然災害のように報じていた。
まあ、自然災害みたいなものではあるが。

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ホームコメディの撮影現場でチンパンジーの起こした惨劇が挟まれる。
人々を吸い込み、最後にエメラルドの機転で宙に放たれたキャラ風船を食べさせられて爆発したそれが暴れまくった場がこの子役の長じたジュープがオーナーを務めるテーマパークであった。

兄妹は、監視カメラを設置して本格的にこのUFOらしき物体に狙いを定める。
ウマの買い戻しもかかっている熱のこもったプロジェクトだ。
そこに技術屋のエンジェルも加わる。
更に専門家で癖の強い気難しい撮影監督のホルストも引き釣り込む。
彼が最終的に狂ったようにのめり込み、遂にはそれに吸い込まれるがその最中もIMAXカメラで撮影を続けていた。
後で落下したフィルムからは貴重な映像が見られるはず。

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雲に隠れたUFOかと思いきや丸ごとエイリアンだったのね。
縄張り意識があって、目が合うと襲ってくる(向うに眼があったかどうか定かでないが)。
何でも食べてしまい最後はヘリウムガスの充填された巨大キャラクタ風船食べて爆発してしまうというお粗末。
これまで色々な金属片とか落下させていたのは、消化出来ないモノを下に落としていただけのよう。
面白いのは、この生物が捕食活動に出た時は、無電状態になり、その周辺の電気は全てアウトとなる。
電動バイクが物凄い速度で走っていたのがパタンと倒れてしまうのだ。
カメラにその姿を収めるにも手回しカメラで撮る。

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今思い出したが、この映画、「GHOST」、「CLOVER」、「GORDY」、「LUCKY」と章に分かれていた。
観る時にはそれらを意識しないで観ていたが、未だにその章分けが何であるか分かっていない。

最後にその実体を見せるエイリアン。確かに乗り物ではなく巨大な空に浮かぶ生物である。
なかなか見事なフィギュアだ。OJに“Gジャン”と名付けられたそれは、いよいよ脅威をふりまく。
この映画、広い大地の道脇に「スカイダンサー」が沢山フニャフニャ棚引いているのが印象的。
(これもGジャン観測用のツールとなっているか。電気が切れれば倒れてしまうから)。

最後はOJが囮となってラッキー(お気に入りの馬)に乗りGジャンを誘い出す。

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しかし最終的に、電動バイクで「ジュピターズ・クレイム」(例のテーマパーク)にGジャンを誘い込んだエメラルドの大活躍で、この大食いのクリーチャーは滅ぶ。
だがそうなるまでの経緯を彼女は、テーマパークの井戸から上空を撮影するカメラで逐一撮って行くのだ。
最後の最後まで、この何だか分からぬモノを撮ることに執念を燃やした彼らであった。
(ホルストなど完全に命と引き換えの撮影である)。


観終わってみて何だったのかよく分からない。長い映画で、途中知らず寝たところもある。
見逃した部分は、その内観直して確認はするつもり。
この監督特有の質感は堪能した。ドゥニ・ヴィルヌーヴのように、この監督ならではの確固たる雰囲気がある。名匠である。


U-Nextにて











ロニートとエスティ 彼女たちの選択

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Disobedience
2017
アイルランド、アメリカ、イギリス

セバスティアン・レリオ 監督・脚本
レベッカ・レンキェヴィチ 脚本
ナオミ・アルダーマン『Disobedience』原作
マシュー・ハーバート音楽 


レイチェル・ワイズ、、、ロニート・クルシュカ(NYの写真家、父はユダヤ教指導者)
レイチェル・マクアダムス、、、エスティ・クパーマン(ロニートの恋人、ユダヤ教徒)
アレッサンドロ・ニヴォラ、、、ドヴィッド・クパーマン(エスティの夫、次期指導者)
アントン・レッサー、、、クルシュカ(ユダヤ・コミュニティー)
バーニス・ステジャース、、、フルマ(ユダヤ・コミュニティー)
アラン・コーデュナー、、、モーシェ(ユダヤ・コミュニティー)
ニコラス・ウーデソン、、、ゴールドファーブ(ユダヤ・コミュニティー)
リザ・サドヴィー、、、ゴールドファーブ夫人(ユダヤ・コミュニティー)


The Cure の” Lovesong”が唐突に鳴ると二人は過去の時間に飛ぶ。
香りや場所、絵や写真もそうだが、音~音楽は特にその作用は強いと思う。
エンディングにもかかり、しみじみ聴き入った。かつてよく聴いていた音でわたしにとっても特別の意味を持つ。

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厳格なユダヤ教のコミュニティー。
ある意味、ここに全面的に身を任せてしまえば、結構楽に暮らせそうな気もする。
そんな顔をしている人もいるし。
だが戒律が半端ではなさそう。生まれてずっとこの環境ならそういうものだと暮らせるか。
しかし外界の情報は常に入って来るのだから、当然相対化して考えるはず。
ここではとても生きては行けないというユダヤ人も出て来るものだ。
物語は、その厳格なユダヤコミュニティーの指導者の娘が突然ある日消えてNYで写真家となっていたが、父の訃報を受けて帰郷したところから始まる。

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冒頭シーン、ラビが亡くなる前の講話で終盤、「選択」と「自由」をテーマにとり上げていた。
このコミュニティーで生きていれば生活・思想・信条全てが鋳型としてあり例外は認められない。
長い伝統をコミュニティーの成員に厳格に守らせ尊敬されて来たラビが最期に「選択」と「自由」を口にして亡くなる。
このテーマが噺全体の基調となって流れてゆく。

父の葬儀・告別に参加する為に還ったロニートに対し、コミュニティーの面々は皆しかめっ面で冷淡。
迎え入れてくれたのは幼馴染のドヴィッドと今や彼の妻となっているエスティくらいであった。
ロニートは、エスティがドヴィッドと結婚していることに驚きを隠せない。
コミュニティーの誰もがエスティとロニートとの関係を知っていたのだ。
ラビはこの件を知った際、神にわたしを殺してくださいと叫んだという(驚。

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ロニートは独りでここから脱したのであるが、エスティはコミュニティーに残った。
そしてそこで生きるために幼馴染の優しく賢いドヴィッドと結婚をした。ラビの勧めの下で。
だが、愛せるのは女性であり、ロニートであった。その後もずっと彼女の事を想い続けた。
これは辛い。だからラビの訃報も彼女がロニートに伝えたのだ(他の者はその気はなかったらしい。実の娘なのに)。
新聞にも偉大なるラビの死が掲載されていたが、子どもはいなかったと綴られている。
実家を売るつもりでもあったが、遺言で既に寄付されていた。
ロニートの立つ瀬は無い。何とも、、、。ユダヤ教とそのコミューンはこれ程のものなのね。

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しかし一番最初に惹き付けられたのが、2人きりになった部屋で何気なくつけたラジオからThe Cure の”Lovesong”が流れ出した時だ。
それまで疲労感たっぷりで、お互いに強張っていたエスティとロニートのこころから、かつての感情が急に瑞々しく迸るのだった。
確かにあんな環境下ではとても素直な感情など表せない。無意識的にも抑圧してしまうものだ。
だが、ここで2人は昔の2人に還る。
愛し合うが、直ぐにエスティは素面に~日常に戻る。彼女は現在、学校の教師をしており、とりわけ規範を体現していないとまずい立場なのだ。

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しかし一度戻った感情(情熱)~生命力は留められない。
校長や夫、周りの人々に批判されても自分の確固たる核を実感してしまっては法も何もあったものではない。
2人はそれを強く訴えるが、ドヴィッドは激しく抵抗を示し、ロニートがここに戻ってきたことで災難が起きたと彼女を責める。
彼の立場としても自分の妻の覚醒と謂い、新たなラビとしての責務からして、それを認める訳にはいかなかった。
しかし冷静に熟慮し、ラビの告別そして新たに後継者としてラビに就任する挨拶で、彼は前任者の最期のスピーチより「選択」と「自由」の件を取り上げる。
敢えて強調する。われわれは自由だ。そして妻を見詰めて、君は自由なのだ、と。
このシーンは流石に感動的な流れとなった。一時険悪な空気を孕んだ3人の関係であったが、その空気は払拭される。

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わたしは、エスティとロニートは手を取り合い、NYに行くのではと思っていたのだが、エスティには子供が出来ていた。
エスティはコミューンには残るが、これまでとは違う、互いにもっと自立した夫婦としての再出発となるはず。
ロニート1人で帰って行くのだが、エスティは子供の自由を守ることを誓う。
素敵な女優のW主演であった。
見て損はないが、ユダヤ教のコミュニティーの厳しさには、眩暈がした(笑。




U-Nextにて











ストレスボール❣
娘のイライラ解消用に購入(笑。ソフト、ハードの2タイプ。テニスボールよりほんの少し小ぶりで絶妙な触感で握り易く、パソコンのタイプ疲れや腱鞘炎のリハビリ、ピアノ演奏の疲れにピッタリ。まさにストレスフルな日常生活の必需品💛


チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

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Tulip Fever
2017
アメリカ、イギリス

ジャスティン・チャドウィック 監督
デボラ・モガー、トム・ストッパード 脚本
デボラ・モガー『チューリップ熱』原作
ダニー・エルフマン 音楽


アリシア・ヴィキャンデル、、、ソフィア・サンツフォールト( 豪商の妻)
デイン・デハーン、、、ヤン・ファン・ロース(画家)
クリストフ・ヴァルツ、、、コルネリス・サンツフォールト(ソフィアの夫、香辛料の豪商)
ジャック・オコンネル、、、ウィレム・ブロック(魚売りの青年)
ホリデイ・グレインジャー 、、、マリア(サンツフォールト家のメイド、ウィレムの恋人)
トム・ホランダー、、、ソルフ医師
ケヴィン・マクキッド、、、ヨハン・デ・バイ(チューリップの取引業者)
ザック・ガリフィアナキス、、、ヘリット(ヤンの助手、アル中)
ジュディ・デンチ、、、修道院長
カーラ・デルヴィーニュ、、、アナジェ(酒場の女スリ)


フェルメールの絵画から着想を得た映画とくれば、見ない訳にはいかない。
で、観てみた。確かに色調や構図ともにフェルメールの絵作りを意識しているのは感じられる。
コバルトブルーのドレスも含め。あのラピスラズリの色なのだ。
ストーリーもとてもこってりしていて、見応えがあった。

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球根ひとつの値段が邸宅一軒分というバブルには仰天した。
「チューリップバブル」という最古の経済バブルなのだ。17世紀オランダである。
チューリップの国とは言え、、、。

修道院育ちのソフィアは、香辛料で富を蓄えた豪商コルネリスと結婚し豊かな生活を送っていたが、彼が望む子供になかなか恵まれない。コルネリスは自分の築いた財産と名声を残す後継ぎを強く望んでいた。
夫に恩義を感じていた彼女も彼の子供が欲しいと毎晩お祈りを欠かさず務めていたがそのストレスもあったか時だけが虚しく過ぎてゆく。
そんな時、夫が夫婦の肖像画を描きたいと謂う。
この時期の経済力を蓄えた新興市民階級は皆その名声を誇る意味で肖像画をこぞって描かせたものだ。
フェルメール程ではないが、将来性のある野心的な画家ヤンを選び描かせるのだが、そこでソフィアと彼が恋に落ちてしまうのだった。

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このコルネリス、大人物なのだが、今一つ人の機微に疎い。
色々と若妻の怪しい言動や気配が感じられる場面で悉く気づかないのだ。
とても立派な良い人なのだが、鋭さが窺えず、これでよく豪商になれたものだ、という感は拭えない。
彼の洞察通り、チューリップより香辛料の方が手堅く将来的にも安定していることは確かであったが。

この目先の「チューリップバブル」乗っかった若者にマリアと毎日逢瀬を続ける魚売りのウィレムがいた。
サンツフォールト家のメイドの彼女との結婚資金を手にしたかったのだ。
バブルのお陰で予想を遥かに上回るチューリップ投資が成功し金を手にするが、サンツフォールト家からガウンで身を隠し貧乏画家の家に浮気に走るソフィアを自分の愛するマリアと勘違いして酒場で呑んだくれることに。
しかし後ろから何度も声をかけて反応しないことに疑問も感じないというのが腑に落ちない。何故もっとしっかり確認せず諦めるのか意味が分からん。かなりのおっちょこちょいには違いない。

そして酒場の女スリに全額掏られおまけに周りの荒くれにボコボコにされ海軍に入れられアフリカに飛ばされる羽目に。
何と悲惨な奴だ。マリアは彼が訪ねて来ないことで悲嘆に暮れる。既に彼の子を妊っていたのだ。

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そしてソフィアと熱愛の無名の画家ヤンも、「チューリップバブル」に乗っかる。
彼女を攫いインドに行くつもりである。何よりその為の金が欲しい。
途轍もない投資の種となるチューリップを修道院で大量に栽培、管理しているというのも凄い噺である。
修道院長がまさにマフィアのボスみたいな風格であったが、そんなオーラを持たないと務まるまい。

そして取引場の異様な熱気も狂気の沙汰に思える。
ここでも呑んだくれのヤンの助手が飛んでもないことを仕出かし、彼の財産は露と消えることに。
しかもマリアの生まれて来る子供を計画通りソフィアの子供として育てるのではなく、ソフィアは感染病で亡くなったことにして棺桶に入って脱出。金を得たヤンと共に国外へ、とは余りに虫が良い。
だからヤンが失敗して、ソフィアが自分の企てに慄き懺悔しようとする流れはよかった。
こいつら、一体コルネリスを何だと思ってるのか。ソフィアを亡くし悲嘆に暮れるだけで済まなかった。

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そのタイミングで残されたマリアのところにアフリカ帰りのウィレムが戻り、誤解が解けて俺たちの子だと感動されても、コルネリスはどうするの、である。いいように騙され続けて最後に残された子供まで失うことに。
しかし何と高潔な男であろうか、マリアとその相手の男に、その邸宅と財産を残し、自分は身一つでインドに渡るのだ。
彼がその地で再び成功を手にしたので安心するが、ある意味飛んでもない噺である。
一番得したのは、他ならぬマリアである。今や大邸宅の女主人であり、夫と何人もの子供に恵まれた幸福な家庭のシーンが描かれる。
長女は元主人の謂う通りソフィアという名であった。(自分の子として育てられることは何より)。

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ソフィアの方は修道女に戻り、その大聖堂の壁画を多少は有名になったものかヤンが依頼されて描いていた。
2人の目が合うが、死んだと思っていた彼女が生きていたことで彼はホッとした笑みを浮かべる。


デイン・デハーンって「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」の彼なのね。
主演女性二人が全くタイプの違う女優でコントラストが面白かった。
良い映画体験になったものだ。



U-Nextにて










ヤング≒アダルト

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Young Adult

ジェイソン・ライトマン 監督
ディアブロ・コーディ 脚本

シャーリーズ・セロン、、、メイビス・ゲイリー(児童小説家)
パットン・オズワルト、、、マット・フリーハウフ(メイビスの高校時代の同級生、足が不自由)
パトリック・ウィルソン、、、バディ・スレイド(メイビスの元カレ、ベスの夫)
エリザベス・リーサー、、、ベス・スレイド(バディの妻)
コレット・ウォルフ、、、サンドラ・フリーハウフ(マットの妹)
ジル・アイケンベリー、、、ヘッダ・ゲイリー(メイビスの母親)
リチャード・ベキンス、、、デビッド・ゲイリー(メイビスの父親)


シャーリーズ・セロンは確かに芸達者なのだが、役作りに入り込み過ぎるところが、ちょっときつかったりする。
わたしは、彼女の映画では、「イーオン・フラックス」が好き。ただひたすらカッコよい。これこそシャーリーズ・セロン(笑。
ここでは実にヤナ女をやっている。これはこれで様になっているが、、、。
「ヤング≒アダルト」って何なの?「ヤングアダルト」ではないか。変な小細工やめて欲しい。

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離婚後、故郷ミネソタに帰って来た作家のメイビス・ゲイリー。
この人ちょっと変。
子供が出来て充実していてあれこれ忙しい元カレとよりによってよりを戻そうなど、、、
相手は妻帯者というだけでなく赤ちゃんが出来て夫婦で頑張ろうというときに、元カレだった夫を誘惑して来るのだ。
自分が今孤独だからと言ってそれはない。

まあ、ベビー誕生の画像メールを送られて、過去が蘇り火が点いてしまったのかも。
何とも言えぬが。

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だいたい、昔の恋愛関係にあった人にそれを知らせ、パーティーなどに呼ぶか、普通。
しかもかつて妊娠して流産したことで別れた相手で、別に嫌いになって離れたという訳ではないらしい。
何年も経っていようと当時の気持ちが再燃することもあり得よう。
声などかけずにそっとしておくべきだろうに。

久しぶりに故郷に帰って来ても、高慢ちきな美女が偉そうにという感じの冷たい視線を浴びる。
都会に出て作家をやってることに対する、妬みもあろう。
それは仕方ないが、彼女も全く遠慮がなく、ズカズカ元カレの家庭に入り込んでくるのだ。
この神経も凄い。高校時代のカーストトップのノリのまま。
やはり精神的に大人になっていない感じはする。

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その美女で高慢なメイビス・ゲイリーに終始付き纏うのは、高校時代見向きもされなかった隣のロッカーを使っていたマット・フリーハウフである。
彼はスクールカーストどん底の男で、ゲイだと思われ悪ガキのリンチで足を砕かれ下半身に酷い怪我を負い杖でやっと歩けるありさまなのだ。実はゲイでないことが分かるが、その後はデブのオタクというレッテルでずっと酷い目に逢って来たと謂う。
気の毒な噺である。マイノリティー虐めは何処にでもあるもの。

メイビスがバディを奪うという計画も平気で彼にはばらす。
何とも思っていない相手だから何をぶちまけようが構わないという感じ。
流石にマットも呆れバディの家庭を壊すなんて飛んでもないと反対するが、意見を聞く気など端から無い。
田舎では孤独の身であり話し相手として、何らかの形でメイビスはバディともつるむことに。
彼はフィギュアと酒を造っており、彼の仕事場でたらふく酒も呑む。

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遂に赤ん坊の命名パーティーの席で、全く自分の誘いに乗らないバディに業を煮やし遂に妻であるベスの前で大爆発する。
これ程迷惑な噺は無い。周囲は唖然。
しかしやはり彼女をこんな晴れがましい場に呼ぶのもどうか。
かつての恋人の晴れやかな様子をわざわざ見せて彼女をへこますつもりだったのか、そうも受け取れよう。
彼女も彼女だが、呼ぶ方も周りの連中もどうかしている。
デブオタクのマットが一番まともか。
最後にその見向きもしなかったオタクにわたしバカやっちゃった~と泣きつき宥めて貰って帰って行く始末(爆。
おたくの彼の妹はメイビスを女神のように崇拝しており、こんな死んだ街からわたしを連れて行ってとお願いするが、あなたはここにいなさいとピシャっと言われる。
勿論、そりゃそうだろうが、何がどうにかなるでもない、メイビスひとりが空回りして皆を唖然とさせて去って行くだけの噺であった。
虚しさを非常にうまく演じるシャーリーズ・セロンであったが、、、わたしは、「イーオン・フラックス」の彼女の方がずっと良い(笑。





U-Nextにて









パディントン2

Paddington 2

Paddington 2
2017
イギリス、フランス

ポール・キング 監督・脚本・原案
マイケル・ボンド 原作『くまのパディントン』

ベン・ウィショー、、、パディントン(クマ)
ヒュー・ボネヴィル、、、ヘンリー・ブラウン(父)
サリー・ホーキンス、、、メアリー・ブラウン(母)
ジュリー・ウォルターズ、、、バード夫人(ブラウン家の親戚)
ヒュー・グラント、、、フェニックス・ブキャナン(俳優)
マデリン・ハリス、、、ジュディ・ブラウン(ブラウン家の長女)
サミュエル・ジョスリン、、、ジョナサン・ブラウン(ブラウン家の長男)
ピーター・カパルディ、、、カリー氏(ブラウン家の隣人)
ジム・ブロードベント、、、サミュエル・グルーバー(骨董品屋でメアリーの友人)
イメルダ・スタウントン、、、ルーシー叔母さん(育ての親のクマ)
サンジーヴ・バスカー、、、ジャフリ先生
ジェシカ・ハインズ、、、キッツ(新聞屋、オウムを飼う)
ベン・ミラー、、、ランカスター大佐
ロビー・ギー、、、バーンズ(ゴミ収集車のドライバー)
ブレンダン・グリーソン、、、ナックルズ(刑務所で一番凶暴な囚人、シェフ)
アーロン・ニール、、、スプーン(眼鏡の囚人、チョコケーキを作る)
ノア・テイラー、、、フィブス(囚人仲間)
トム・コンティ、、、ジェラルード・ビグルスウエード判事


昨日に引き続き、「パディントン2」を観てみた。
周りがイイ人ばかりで、ホントにファンタジーだ。
それから昨日、記事を書いた後で思ったが、丁度移民の立ち位置ではないか。
愛嬌のある愛される移民である。彼は。

Paddington 2 001

この続編は、ペルーで大切に育ててくれたルーシー叔母さんへの誕生日プレゼントに骨董品屋で「飛び出す絵本」を選んだところから始まる。ロンドンの各名所が飛び出る仕掛けとなっており、年齢を考えてペルーに残った叔母さんに是非ロンドンを感じて貰いたいという願いであった。しかしこれ一冊しかない貴重本の為、値段が高く、働いてお金を得ることにする。
しかしパディントンのことである。お決まりの失敗を次々にやらかす。
面白いのは、床屋のアルバイトで、後に世話になるジェラルード・ビグルスウエード判事の頭をバリカンで剃ってしまうところ。
彼の失敗は、必ず後の大事な事柄に絡んでくる。判事に睨まれたのはまずかった(笑。

Paddington 2 002

飛び出す絵本と自分のイマジネーションの融合する世界のVFXは見事であったが、相変わらずドリフのコントみたいな絡み縺れるハプニングもよく出来ている。
まあ、クマが主人公の噺なのだから、全編途切れないVFXの世界であるが。
もうここは、実に自然な流れを作っている。
街はカリー氏以外は皆がパディントンを暖かく見守っており、彼の自分の住処となっていた。
「飛び出す絵本」が盗まれその犯人にされ刑務所に入ることになるが、囚人たちの間でも直ぐに親和的な関係を取り結んでいる。
とは言え、こんなシンプルな関係性を実際に見ることはない。
余りに皆が単純すぎるのだ。

Paddington 2 003

その一冊しかない「飛び出す絵本」を盗んだのは、ヘンリーの会社のプラチナ会員でもある元有名舞台俳優のフェニックス・ブキャナンである。
彼の祖父がサーカスのスターから奪った財宝を隠した金庫の場所と開け方が記されているというその「飛びだす絵本」を盗み財宝を奪おうとしたのだ。

この「パディントン」という御話、親とか家族の繋がり~絆で、敵も味方も動いている。
(昨日のミリセント・クライド女史の無法振りも父の無念~名誉回復の意味もあった)。
街や刑務所でもそうだが、他の人との繋がりを大切にしている。
今回も家族が結束して真犯人を割り出し、パディントンが危機と分かるや救援に駆けつけるのだ。
このパタン余りに出来過ぎというかご都合主義的なのだが、端からクマが主人公の噺だ。何があっても納得してしまう(笑。

Paddington 2 004

今回もフェニックス・ブキャナン相手の攻防で、とてもスリリングな汽車を使ったアクションが楽しめた。
箱に入ったまま水中に落下し、これはもうダメかというときに、刑務所を脱獄してプロペラ機で上空を飛行していた3人がこともあろうにそこに着水して助けに行く。彼らのお陰で無事、救出され、真犯人も見つかった為、脱獄犯も出所である。
もっとも狂暴と謂われて恐れられていたナックルズは、有名なケーキ店を始め繁盛させた。
フェニックス・ブキャナンは、刑務所でミュージカルの主役をやって全盛期のような興奮を味わっていた。
この噺では、皆がWinWinなのだ(笑。
児童文学が元であるが、これで良いのか、、、。

Paddington 2 005

最後は、ご近所の親切な皆さんの粋な計らいで、ルーシー叔母さんをロンドンに呼び寄せてバースデーパーティーときた。
もうパディントン感激である。
(「飛びだす絵本は、証拠品として警察に押収されていた為)。
こちらも感動してしまった。分かっていながら、、、。




BSにて










パディントンだけでなくわたしも最近大苦戦していた「ホース」これ思いの他、扱いにくかったりするもの。
フルカバーの10mホース。軽量1.8㎏、コンパクトでグリップロックも効いて手にも馴染み易く、とても扱いやすい💛水漏れしだしたので買い換えたら大正解❣ガーデニング、洗車、亀の水取り換え、猫洗いにも活躍(爆。






パディントン

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Paddington
2014
イギリス、フランス

ポール・キング 監督・脚本・原案
マイケル・ボンド 原作『くまのパディントン』

ベン・ウィショー、、、パディントン(クマ)
ヒュー・ボネヴィル、、、ヘンリー・ブラウン(父)
サリー・ホーキンス、、、メアリー・ブラウン(母)
ジュリー・ウォルターズ、、、バード夫人(ブラウン家の親戚)
ジム・ブロードベント、、、サミュエル・グルーバー(骨董品屋でメアリーの友人)
ニコール・キッドマン、、、ミリセント・クライド(自然史博物館の剥製部長)
マデリン・ハリス、、、ジュディ・ブラウン(ブラウン家の長女)
サミュエル・ジョスリン、、、ジョナサン・ブラウン(ブラウン家の長男)
ピーター・カパルディ、、、カリー氏(ブラウン家の隣人)


ニコール・キッドマンがとても綺麗だった。
こういうファッショナブルな悪女が似合う。
スーパーウーマンなのに運の悪い人(笑。

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とても観易いホームコメディ。擬人化もここまで徹底すれば、ドラえもんと同格であるか。
イギリスの探検家がペルーの秘境で、知性のあるクマと遭遇して、ロンドンに来ることがあったら訪ねてくれと言って帰国する。
地震が起きて住めなくなった故郷を離れそのクマの甥は夫婦から聞いた噺を頼りにイギリスに密航してやって来た。
パディントン駅までやって来たが、誰からも相手にされず、途方に暮れていると、ある家族の奥さんに声をかけられ取り敢えず引き取り手が決まるまで家に置いて貰えることに。奥さんには親切にされるが、夫は子供たちへの危害が無いか心配で、早く追い出したい。
相手が取り敢えずクマなのだから、それが自然な感情だろう。
(普通のクマではないにせよ。「クマ」と呼んでしまえばクマとなろう)。

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知性がある動物は、イルカなど確かにいるが、このケースは別だ。
知性のある違う種ではなく単なるヒトでしかあるまい。
ことばが理解できて喋れて字も読み書き出来るのだ。イルカとは明らかに違う。他者性がまるでない。
外国人より近い存在ではないか。ちょっと文化の違いから歯磨きのブラシで耳掃除をしてしまったり、テクノロジーの不慣れがあって慌てるくらいのもの。田舎から出て来た親戚くらいの立ち位置ではないか。

ともかく可愛らしい縫い包みの姿なのだから誰にとっても、変な子に思えても危害を加える恐ろしさは微塵も感じさせない。
妙に礼儀正しいし。

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ただ面白いのは、ペルーに来た探検家を探すのだが、漸く探し当てた探検家の家に待っていたのが、彼の娘で恐ろしいサイコ剥製部長なのだ。
彼女は、まさにそのクマ、パディントンを剥製にして博物館に展示することを企んでいたのだ。
父が彼らが知性と文化を持つ種族と知り、剥製にせず学会に報告したため、彼は探検家の資格を剥奪されてしまったのだった。
彼女にとりこれはリベンジの機会であり、名誉挽回の悲願の成就のまたとないチャンスであった。
異様に美しい女性なので、隣人のカリー氏はたちどころに彼女に操られクマ捕獲の手助けをしてしまう。
しかし、パディントンを剥製にすると聞いて流石に仲の良い隣人ではないが、匿名でブラウン家に連絡する。
声を変えて違う名前で電話するのだが、バレバレなのが笑えるところ。

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それからエンターテイメントの見せ場となる。
自然史博物館の剥製部長ミリセント・クライドの魔の手を掻い潜ってパディントンが剥製にされる前に家族団結して救援に向かう。
何と言うかこの女性、単なる剥製部長というよりグリーンベレー~特殊部隊の隊員のような装備と身のこなしなのだ(笑。
ともかくスーパーウーマンと謂うところだろうが、運が無い(爆。
そこそこスリリングなアクションもあり今や一丸となったブラウン家を追い詰め、パディントンを手に入れるところまで来るが。
最後はまさにドリフのコントみたいな流れで、パディントンをブラウン家に奪還されてしまう。

パディントンは、まさに家~家族をロンドンの地に得た。
そのことをペルーの老人ホームに残して来た叔母に手紙に書いて伝える。
ミリセントは罰として奉仕の仕事が義務付けられ、これまたドリフのギャグみたいなシーンで終わり。
とても楽しそうなニコール・キッドマンであった。
(こういう役が結構、合っているのね)。

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完全に閉じて完結した箱庭的世界であった。
面白いとして観れば面白い。
続編も録画済み。
明日観るかも。




BSにて










SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー

SAD VACATION001

Sad Vacation: The Last Days Of Sid And Nancy
2016
スペイン

ダニー・ガルシア 監督
ダニー・ガルシア 、ブレット・ダンフォード 脚本

シド・ビシャス
ナンシー・スパンゲン
シルベイン・シルベイン
ケニー・“スティンカー”・ゴードン
ウォルター・ルー
オネスト・ジョン・プレイン
ハウイー・ピロ


以前から気にはなっていたが、ついに観た(猫と格闘しながらとなったが)。
監督のダニー・ガルシアは「ジョニー・サンダース」や「クラッシュ」の音楽ドキュメンタリーも手掛けている人。
「クラッシュ」の方は是非観てみたい。
ジョー・ストラマーのファンなので。この人のソング・ライティングは魅力的(デヴィッド・ボウイも彼を讃えていた)。

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セックスピストルズは実はほとんど聴いたことが無い。
パンクファンから言わせれば、風上にも置けない奴である(笑。
ジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)のその後のプロジェクトは聴いていた。
パブリック・イメージ・リミテッドは実に刺激的であった。
日本の誰だっけ、今名前が浮かんでこないのだが、前衛舞台演出家が、このグループの音楽を使っていたのを覚えている。
(いや脚本家の方だったか、いや舞踏家だったか。もう最近これだから)。
余り知られてないと思うが、彼は「クラフトワーク」のファンである。しかもシド・バレットともお友達だったとか。羨ましい(爆。確かにPiLは完全なポストパンク~オルタナティヴ・ロックとなろう。「キャバレ・ヴォルテール」(スリーマントラズ)と共に、中東の音みたいで、やたらとズッシリ来たものだ。
何の噺だ、、、?

SAD VACATION003

そうそう、セックスピストルズは実はほとんど聴いたことが無い、だった(笑。
「マイウェイ」をおちょくったパンクチューンはバスの中で聴いたことがあり、友人と受けまくったものだったが。
まともに彼らのサウンドに浸った経験はないのだ。
だからセックスピストルズの顔であるシド・ビシャスに思い入れとかないし。
よってその彼女のナンシー・スパンゲンとか、ほとんど分からない。

ただ、シド&ナンシーというフレーズは聴いていて、なんか仲の良いペアだったんだね、くらいに思っていた。
まあ、2人とも早く亡くなったのね。ナンシーは20歳、シドは21歳。(イアン・カーティスは23歳だったな)。
薬漬けの人生というか。薬漬けの波乱の人生か。
しかしドキュメンタリーに出演していた彼らの友人たちは、好きなようにやりたいことをやった人生だったと言っている人や、第二の人生を生きることも出来たはずと夭逝を惜しむ人もいた。まあ受け取り方は人それぞれである。
兎も角、どちらの母親も娘に幼い頃から薬を宛がっていたり、シドの方は母が幼少期からずっと中毒症状にあったという。
つまりまともな養育は受けてこなかった。2人もこのフィルムを見る限り四六時中、薬を打っていたみたいだ。
彼らにとり、生きることはこの方向性しかなかったと謂えるか。いや死に向ってこの方向性しかなかったのだ。

SAD VACATION004

最終的に、シドの死が母から渡されたヘロインによるものというのは象徴的で皮肉でもある。
薬から生涯逃れることは出来なかった。

シド・ビシャスという人は、その存在自体にカリスマ性があり、周囲の友人からはかなり愛されていたことが分かる。
多くの友人から心配されていたし、あのマルコム・マクラレンもナンシーの死で疑いがかけられた彼の裁判に大金で優秀な弁護士を雇うなどしたようだ。(実は映画にはなかったが、ミック・ジャガーもかなり彼の為に骨を折ってくれたそうだ)。
ナンシーはシドにホントに刺されたのかどうか、シドも自殺してしまい有耶無耶となってしまった(生前、シドはナンシーから心中をせがまれていたそうだ。ある意味その通りとなったのか)。
ナンシーの方がシドをダメにした悪者扱いをされていたが、どちらも近い友人たちは彼らのピュアな魅力を讃えている。
そうしたものだろう。

SAD VACATION005

ただ、セックス・ピストルズに疎いわたしにとって、思い入れが無い分、感情的に乗れなかった。
客観的に観ると薬ばかり打ってラリっては痴話げんかばかりしているペアでしかないのだ。
これはもうどうしょもなく。
(ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンは、わたしにとり、煙草と酒さえあればコンポーズにとって充分なイマジネーションが得られ、薬は全く不要と言っている人もいる。彼はパンクとは全く無縁の音楽家だが)。
そもそもパンクは、音楽と謂うより、そのスタイル~カリスマ性こそが重要であり、ファンの欲望を満たす鏡であろうとした2人の必然的な行く末であったとも謂えようか。
その点、ジョニー・ロットンはシドから見ればまるで人気はないが、音楽で自己表出したい欲望を持っていた為、パンク後も生き残ったのだろう。
ずっと後の事だが、アメリカのTV番組でシドのことに話を向けられロットンは、自分の事だけで精一杯で、誰もあいつを助けてやれなかった、と言って涙を見せていたそうな。
そうしたものだろう。



U-Nextにて










乙女の汚れた裸

BEZ DOTEKU001

BEZ DOTEKU
2013
チェコ

マテイ・フルパチェク 監督
ヤン・マザネツ 脚本

クリストフ・ハーデク
テレザ・ビトゥ
マリアン・ローデン
ペトラ・ルスティゴバ


チェコと謂えば、パペットや粘土によるアニメーション映画が直ぐに頭に浮かぶが、「イカリエ-XB1」というわたしの大好きな実写版傑作SF映画もある。
この映画も独特の暗く冷たい風合いでちょっと心地よい。
内容的には狂気を孕んだ陰惨な世界が描かれているが。
二つの並行世界を通して18歳の少女の精神世界を描くもの。

前半と後半でガラッと環境~場が変わるので、これは前半が彼女の現実世界で後半が心象世界という風に取って観るのね、とは思える。
彼女の家庭環境は、母の再婚で義父が入ってきた形のようだが、彼は母には嫌気がさしており、娘の彼女がいたく気に入っている様子。妻の不在の居間で彼女と義父は結ばれる(義父が一方的に結ぶのだが)。これが初めてではないようにも想われる。

母はその事態を知り、妊娠まで打ち明けられるが、娘はあなたにあげるからわたしとの仲は壊さないでみたいなお願いをする。
もうこの母はボロボロみたい。
娘は産婦人科で堕胎の処置をとる。
娘は義父が車で送り、大学に通ってはいるが、精神科医にも診て貰っている。
何となく彼氏らしき男子もいて、それなりに関わって来る女子の友達もいるが、彼女のこころの支えになるような存在ではないようだ。

後半の娼婦の館で、彼女は一番の稼ぎ手娼婦として強面オーナーに囲われている。
格登場人物は、精神分析的に関係付けられているようだ。
これは診察を受けている精神科医の分析の影響も反映されているか、、、。
オーナーは支配的で強欲な乱暴者だが、義父であろう(現実は包容力がある粘着的だがさも理解があるような振りをしているがこちらが本質といったところか)。
母は、もう病的で彼女を恐れていて意地が悪い年上の娼婦に当たるか(これはほぼそのままで娘からの復讐を恐れ彼女を貶めようとする存在だ)。
娼婦館の女性バーテンダーが親友女子となるか。観て見ぬふりをしている気の利いたセリフは言うが実際には頼りにはならぬところで、この対応関係であろう。
あの調子のよい白馬の騎士気取りの若い男は、学校のボーイフレンドか。娼婦館から連れて逃げると言って結局彼女を置き去りにして逃げてしまう。これが最も頼りにならない。

女性バーテンダーの隠し持った拳銃を奪い、高圧的で暴力的なオーナーに銃を向ける彼女。
これまで自分を搾取して支配し酷い目に遭わせてきた恨みと怒りをぶちまけ、引き金を引いたのだろう。
象徴的な親殺し。
彼女の抱え込んだ重くて暗い闇の娼婦館の心象世界は消え去る、、、。

兎も角、誰も頼れない、ということだ。
全くその通り。
自分で自分を救う他ないのだ。
(ここでは精神科医が手助けしてくれていたみたいではあるが)。

最後に穏やかな表情でソファーに座る彼女に対し、精神科医がもうこれ以上診察する必要は無いと述べている。
ハッピーエンドなのね(ちょっとあっさりに感じたけど)。
まあいいけど、、、。



U-Nextにて










ヌヌ子の聖★戦 HARAJUKU STORY

HARAJUKU STORY001

HARAJUKU STORY
2018

進藤丈広 監督
濱田真和 脚本
嘉屋正 高橋一行 音楽

吉田凜音、、、田原葵
久間田琳加、、、三好里奈
中山咲月、、、久保昭久(バンド「オリオン」のフロントマン)
糸瀬七葉、、、高梨歩美(「ヌヌ子」に憧れる女子高生)
横田真悠、、、清美サリー(カリスマモデル)
西岡 德馬、、、ハイジ(芸能の仕事の斡旋業)
内田 珠鈴、、、内田 紀代(歩美のパートナー)


シンガーソングライターの吉田凜音とカリスマモデルの久間田琳加のW主演に加え、やはりカリスマモデルの中山咲月と横田真悠と来た。女性陣の豪華さは凄いものだ(おっと中山咲月はジェンダーレスであった)。
「ヌヌ子」というデュオでモデル活動をしている田原葵と三好里奈の青春ドラマかと思っているとそう単純なものではなくなる。
ティーンのインフルエンサーとしてかなりの影響力を持つ彼女らであったが、事務所に所属しプロとしてやっていくかどうかを巡り、ふたりの友情も複雑になり葛藤から泥沼状態にもなる。聖戦というような昇華した域に達した感じはないのだが。
双子ファッションから「ヌヌ子」としたのは上手い。

HARAJUKU STORY002

ともかく、女優陣が綺麗である。
憧れのカリスマモデルの清美サリーの出番がちょっと少なすぎたが、あんまり出さない方が無難であったか。
(その方が神秘性は保てる)。
やはり久間田琳加は凄いと思った。何気ない表情でも際立つ。大したもの。
かつてロッテのガーナチョコのCMで浜辺美波と山田杏奈と一緒にトリオで出ていたがよくもまあ、この三人を集めたものだと感心したことがある。圧倒的カリスマトリオではないの。
吉田凜音はシンガーソングライターなのに芸達者で驚き。充分女優でもやっていけるではないか。どんどん出て来て欲しい。
「オリオン」というバンドは素敵であった。男性ヴォーカルの久保昭久がやたらとカッコよい。
平手さんレベルである。このままバンドやってしまえばよいのに、というくらい。
しかし妙に人間が出来過ぎていて、まあいいけど。こういう人も確かにいる。

HARAJUKU STORY003

「ヌヌ子」スタイリングを本田翼がやっていると。フ~ンと思った。原宿カルチャーが好きなのか。
西岡 德馬の吹っ切れ度は、潔かった。こういう人もたまにいるし違和感はなかった。

軽いノリで可愛さを武器にどんどん躍進して行くのもアリと思って観ていくが、そうも行かないようだった。
メディアに出るに当たっての当面の折り合いの問題と個人的なロードマップ作りの件か。
やはり色々と難しい芸能界でやって行くには、成りたいセルフイメージの更新とその手助けをしてくれるプロデューサー的な人は必要だろう。まあそれで皆事務所に入るのだろうけど。
田原葵には久保昭久がとても心強いアドヴァイザーに思えたが。
関りがどうも中途半端なのだ。もっととことん相談に乗ってもらうべきでは。曲まで作ってくれるくらい気にしてくれるのだし。

HARAJUKU STORY004

途中からこの「ヌヌ子」のふたりの言動~パーソナリティがどうも掴みにくくなる。
もっとシンプルに際立って来たお互いの個性を尊重し、共に頑張りましょうで、これまで通りに付き合えなかったのか。
里奈はモデルとしてブレイクが見えて来たのだし、こんなところでかつての憧れの人と自分を比べて落ち込んでる場合ではない。皆それぞれ違うのは当たり前だし。
葵もはっきり気にかけてくれる尊敬できる人物がいるのだ。経験をもとに音楽シーンで自己表出の道もあろう。
(まさに演者の本業になってしまうが(笑)。

HARAJUKU STORY005

しかし何でも試してみられる余地があるという事は、ワクワクして楽しいものだ。
こういう映画で何となく観ているだけでも気持ちはよい。
物語として、充分面白く気分の高揚も誘えるものに成り得た映画だと思うのだが、もう少し主演二人の人物造形のブラッシュアップが欲しかった。
特に三好里奈の方である。
途中から人格変わってしまったかのよう。
何だか不自然なのね。
ハイジさんとか、その辺の事情にもう少し絡んで貴重な噺でもしてくれても良い立ち位置に思えたが。


HARAJUKU STORY006

ともかく気になったのが、何でこれまで「ヌヌ子」の2人組で励まし合ってやって来たのに、自分の進路を考えだしたら里奈は何故あんなに相方に対して冷淡になれたのか。
当然、一緒に頑張って来ても個性と資質の違いは、はっきりして来る。久保昭久の謂うように考え~方向性の違いが明確になるにつけ自然に別れるのはよいことだろう。
将来に対し不安になり混乱するのも分かるし、自分に確信がもてなくなることもあって当然。
かと言って相方に対するあの態度は解せない。

それから清美サリーの自分の力で世界平和に貢献したいみたいなセリフ、マジで言ってるのか。
だとしたら、かなりヤバい人ではないか。
何にせよ、「世界」をどうするとか言うのはダサい。
いまやってる仮面ライダーもそうだが(笑。

HARAJUKU STORY007

最後の締めが意味判らなかった。これ大事な所だと思うが、、、
キャストの良さで観て来たにせよ、あれでは一体2人がどうなって行くの、という感じで消化不良に終わった。
もうちょっと何とかならなかったか、、、。もう少し作り込んだらとても受ける作品になっていたはず。勿体ない。




U-Nextにて








HARAJUKU

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HARAJUKU
2018
ノルウェー


エイリーク・スヴェンソン 監督

イネス・ヘイサーター・アッセルソン
ニコライ・クレーヴェ・ブロック
シャスティ・オッデン・シェルダール
イングリッド・オラワ


ヒロインやその友人の髪のカラーもそうだが、特に夜景のネオンが色鮮やかで綺麗であった。
その光景は彼女の憧れ、想像する”HARAJUKU”であったようだが、、、。
ノルウェーでは、日本のポップカルチャーに関心の深い若者は少なくないようだ。
確かにジャパニーズアニメは世界中何処に行ってももてはやされていると謂って良い。
ここでもヒロインは、アニメのフィギュアやカードを大切に持っており、辛い現実にあって取り敢えずの逃避にそのアニメの聖地である「彼女のHARAJUKU」へとワープするのだ~アニメーションの形で。そこが実に綺麗で物悲しい。

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地上に住んでいる限り、何処に在っても辛い。特に思春期はそうかも知れない。
ここでは、母子家庭であるにも関わらず(そうであるから尚更か)母が突然自殺してしまう。
クリスマスの日にだ。そして15年前?に自分を捨てて出て行った父に連絡の電話を入れる(留守電)。
確かに精神を病んでいる雰囲気ではあったが、母と二人でクリスマスを過ごすのは辛いものがあったか、友達とつるんで楽しく過ごしている時に、児童相談所の職員が彼女のもとに連絡に来る。

ノルウェーは、自殺者はアメリカや日本ほどではないが多い方である。
北欧のいくら福祉のしっかりしている国であろうが、個人の問題は常にそれを横溢~超越する。いうまでもないが。
実存とはそういうもの。
母子家庭で難しい母との関係、父に寄せる複雑な思い、もしかして不登校か、そんな状況も感じた。
思春期特有の閉塞感、鬱積する心情、超脱への欲求はありありと窺えるところ。

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15歳の彼女にとり此処でない何処かというと、共感し心惹かれるアニメの世界、その聖地である日本~HARAJUKUに想いが繋がるのは自然かも知れなかった。確かに児童相談所の職員に強制的に施設に幽閉されることから逃げたいのは分かる。
しかしHARAJUKUが”paradise”の象徴というのも余りに淋しい。
何でもそうだが遠目に映る景色は美しいもの。近くに行けば全て幻滅するしかない現実が待つ。
彼女の脳裏の日本の断片の映像が、殊更煌びやかで綺麗である分、とても悲しい。
15歳の少女がこれ程追い詰められていることに胸が苦しくなる。
アニメーション~彼女の心象では、死を仄めかすもの、あからさまな自殺願望も見受けられた。

コーヒーショップ?の店員を騙し、東京行きの航空券をネット予約させたが、実際には漸く逢えた煮え切らない父の精一杯の懺悔のことばに旅立ちを押し留められる。
確かに振り切って取り敢えず東京に着いたところで、15歳である。
何が出来ると言うものではない。
観光するにも滞在費はある程度なければ、これまた辛い目に遭う。
それで父に金をねだったのだろうが、あいにく彼にも持ち合わせがなかった。しかも家族全員で過ごすクリスマスの日である。
父はプレゼントを買い込み娘二人と妻の両親と夜を過ごす日であった。これがまた彼女の悲哀を増す。

こういう子は実際にいるのはよく分かる。
だが、生物学的な親が、家にいたとしても、親としての機能を全く果たさないばかりでなく、子どもを疎外し虐待し搾取する親もはっきりといるのだ。

何処に行こうと不条理で理不尽な重力の支配する磁場から逃れられないことを知る時が来る。


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U-Nextにて


さんかく窓の外側は夜

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The Night Beyond the Tricornered Window

2021

森ガキ侑大 監督
ヤマシタトモコ 原作
相沢友子 脚本
山口由馬 音楽

岡田将生、、、冷川理人(霊を祓える男、元教団教祖)
志尊淳、、、三角康介(霊が視える男、冷川の助手)
平手友梨奈、、、非浦英莉可(父親の指示で「呪い師」をする女子高生)
滝藤賢、、、半澤日路輝(刑事。霊を全く信じない)
桜井ユキ、、、半澤冴子(半澤の妻)
マキタスポーツ、、、非浦松男(英莉可の父)
新納慎也、、、逆木一臣(英莉可の付き人)
和久井映見、、、三角則子(康介の母)


「霊が視える男」と「霊を祓える男」がタッグを組めば心霊ビジネスは上手くはかどるのでは。
そこに呪いをかける少女が絡む。
この三角関係があれば、ウハウハ儲かりそうではないか。

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しかし三角康介はそういうのは好きではない。
非浦英莉可もそう仕向けられて苦痛に中でやっているようだ。
(この娘の立ち位置が今一つ分からずじまいであった。母が殺人犯に殺されてから能力が開花したようだが)。
冷川理人は自分が今置かれている状況を作った原因を無意識下に抑圧している。
(その為、自分がやっていることの意味が分かっていない)。
半澤日路輝は、幼い理人を全員が死んでしまった教団から救い出した刑事であるが、霊とか呪いを全く信じないと本人は言う。
とは言え、警察の未解決事件を冷川に相談に来て関係してゆく。非常に微妙な立ち位置にいる。
(霊を知り呪いに関わる人間からすれば、信じていない為、呪いに掛からないところが強みと謂うが、、、)。

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人物造形がしっくりこない。特に非浦英莉可が謎過ぎる。
どうもそれぞれの人間が自分のことがよく分かっておらず、最後に冷川理人が自分の母を含め教団の者皆が呪いによって死んだことを鮮明に思い出すことにより、誰もが柵から解かれるみたいな流れに思えたが、何故だかよく分からない。
怨念を貯めた貯金箱が何故あの出来事に収斂されるのか。
その装置作りをやらされたと謂うが、何故これをやる羽目となったのか、人を呪い殺す経緯も分からないし、平手女史もやり難そうであった。とっても。

ハッキリ言って何が何だか、噺が追えないのだ。構造がまるでない。
だいたい霊など全く信じないと言う刑事が彼らの元に相談に来るのはやはりその力の存在を認めているからであろうし、、、。
滅茶苦茶な雰囲気オカルト系にしか思えない噺であった。
平手友梨奈女史、恐らく出た事後悔してるだろうな、と思う。

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北川景子が物凄いチョイ役で出ていたのも気になった。
何故彼女が平手女史に呪い殺されるのか何も知らせなくてよいの?
説明を省いて出来事のみで物語を語る映画は沢山あるが、これはそれを全くしない。
そうした構造がないのだ。
ではどうやって物語を構築するのよ。

ちょっと変過ぎない?






U-Nextにて











毎日公園散策

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毎日の公園。人混みは、コロナ前とほぼ同じ。
しかし場所によっては、3時間を過ごしても、地元の人ひとりと外国の御夫婦一組しか逢わずに広々とした鬱蒼と茂る緑の中で過ごすことも出来た。
このGW中の混雑・人混みのニュースからは別世界の空間である。
3つの中で一番大きな公園の何もない空き地には、キャンプ用のテントが密集して犇めいているのには笑った。
これでは、緊急避難所だ。

3つの近場の公園に自転車で行ったが、どれも空気と水が良い。
一つは人混みは、以前の休日に戻っていたが、他は少なかった。
そして地元のわたしのような者しかしらない、一歩奥に足を延ばせば、ほとんど人とは出逢わない、濃密な緑の匂いの充満するなかで癒されて帰って来るのもアリ。

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明日から二日間、雨という事で外には買い物で出るくらいであれば、晴天の内に出掛けておいて良かった。
雨の日の散歩もまた違う楽しみはあれど。

そして外出中、猫がわたしの部屋に忍び込み、猫のおやつ用に買っておいた、通常の餌よりかなり高めの御馳走の袋をほとんどすべて爪を立て食いちぎり、床に零しばら撒き散らしていた。
オマケにかなり暴れていたらしく、ルーターの電源を入れたコンセントのスウィッチまで切っている始末。

ちょっと甘やかし過ぎたか。
しかし娘に比べれば、、、
それ程ではない。しかるべき時は叱って来た。
猫に「娘はどうなんだ」と言われたら返す言葉もない。
ただ、猫はそんなことは言わない。比較などしないから。自分の道を行くだけ。

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欲望の赴くままに。
猫が時々抜け出して何処かに行っていたのも、わたしが公園に行くのと同じような気分であったか、どうか。
しかしわたしは、猫程、吹っ切れてはいない。

もう少し手放さなければ、、、
身を重くするものを。











グリーンバレット 最強殺し屋伝説国岡[合宿編]

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GREEN BULLET
2022

阪元裕吾 監督・脚本

主題歌:『エンドロール』 / 挿入歌:『コマンドバトル!』東京初期衝動

和泉芳怜(ミスマガジン2021グランプリ)、、、山田ふみか
山岡雅弥(ミスマガジン2021・ミスヤングマガジン)、、、今井美香
天野きき(ミスマガジン2021・ミス週刊少年マガジン)、、、神里はるか
辻優衣(ミスマガジン2021読者特別賞)、、、東雲唯
大島璃乃(ミスマガジン2021審査員特別賞)、、、鹿目梨紗
内藤花恋(ミスマガジン2021審査員特別賞)、、、沖田響
伊能昌幸、、、国岡昌幸
松本卓也、、、真中卓也
大坂健太、、、大坂健太
沢口愛華(ミスマガジン2018グランプリ)、、、浜辺姫奈
碕理人、、、市瀬充
中村龍介、、、双葉克茂
板尾創路、、、浜辺悠仁


「ベイビーわるきゅーれ」が面白かったので、同じ監督の本作も観てみた。

何でも『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』という映画のスピンオフ版なのだそうだ。
「ベイビーわるきゅーれ」も『ある用務員』のスピンオフ版となろう。スピンオフの方がウケたとはいえ。

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何と言っても凄い人たちである。キャストが。
全員ミスマガジンの受賞者ばかりではないの。
下手をすれば学芸会映画にもなりかねないリスキーな人選。
この監督、こういうのが好きなのだろう。
多分オタクに違いない。
アイドル好きの。

かく謂うわたしもいくちゃん絶対主義の久保さん推しであるから、人のこと言える立場ではない。
とは言え、アイドルに詳しいかと謂えば、イクちゃん関係で乃木坂のメンバーの顔と名前は全員(OB含め)ばっちり一致するが、その他の人々については、ほとんど分からない。櫻坂となると大園さん、STUなにがしとなれば瀧野さんくらいしか分からない。
ああ勿論、平手さんは、映画も観てるしメチャカッコよいし、、、何の噺だ、、、。

GREEN BULLET003

このオタク監督による、殺し屋映画である。
殺しによって社会不適合者を(裏)社会に適合させ生きる力を育もうと言うもの。
文科省推薦の青少年育成プログラムとも謂えよう。

市瀬充という元殺し屋が殺しの会社を設立し面接で受かった女子を実技で振るい落とし、残った者を社員としてビジネスを始めようとしていた。
最強殺し屋と謂われる国岡が講師に雇われ合宿で殺し屋志望の女子の訓練を任される。
助手に弱い殺し屋の真中が就く。
大坂健太というカメラマンがその記録を担当する。
合宿所の経営者も殺し屋の浜辺で娘の姫奈がワゴン車で合宿の教材の殺傷用の人まで調達して来る。
(ここでも清掃は大変だ)。

GREEN BULLET002

合宿に集まったばかりの彼女たちは皆バラバラでお互いを毛嫌いし、好き勝手なことをやっていた。
それ以前に皆気怠く、覇気もない。勿論、協調性など微塵もないまま常に問題を起こしていた。そうでなくともぎこちなく失敗ばかりしている者とか、、、。
殺しでは最強と謳われる国岡も彼女らには手を焼く。
しかし銃やナイフによる殺人訓練に次第にのめり込むほど、お互いの結束力も高まって行く。
必ずしも国岡が緻密な訓練計画を立ててそれに乗った成果という訳でもない。
終始国岡は手詰まり状態で助手の真中は余計なへまが多く、カメラの大坂はそれらに対し批判的である。

GREEN BULLET005

最後の訓練が終了したところで、国岡は全員を不合格とする。
だが、そこへオーナーの市瀬が現れ、彼女ら同志を戦わせ強引に殺し屋として仕立て上げようとしてきた。
それに対して怒ったのは、アイドル活動をして事務所の社長に騙され搾取されてきたことに気付いた女子であった。
この支配・搾取に対する怒りに火が付き、この社長を殺すことで自分たちの解放が得られる気持ちになる。
更にその状態を加速させる事態が起きた。
「フォックスハンター」という人間狩りを楽しむ最凶の極悪殺し屋集団が彼女らのことを嗅ぎ付け闘いを申し込んで来たのだ。
彼女らもこの集団のプレイのビデオを見て激怒し、こいつらはわたしたちがやっつけると息巻く。
冷静な国岡はそれに同意はしないが、どうしてもやると謂うならということで秘策は授ける。

GREEN BULLET006

後は、この監督得意のバトルアクションである。
何で急にこのド素人集団がここまで動けるようになったのかは、不思議ではあるが、どんどんやっつけてゆく。
合宿所経営者の浜辺悠仁が集めた銃火器がまた強力で、それにより後一歩と謂うところまで来たのだが、女子6人は最後に現れたラスボスに皆ボコボコにされてしまう。それを見た真中も彼に掴みかかるがボコボコにされてしまう。そしてとどめを刺される直前、国岡が入り、そのボスと互角にやり合う。かなりの尺だ。そして女子たちを庇いながら戦うが背後を取られ落とされそうになる。そこへ女子6人が一丁の銃を支えその敵に狙いを定め撃ち殺す。
もうその夜のバーベキューは完全に打ち解けた女子会でもある。
そりゃ、これだけ命を懸けたギリギリの闘いをして生き残った仲間である。
結束は凄い。もう全身怪我だらけ満身創痍なのにその足でカラオケに行って盛り上がると言う。
確かにポゼッションのハイの状態になってしまうのは分かる気がする。
全員、殺し屋として仲良く頑張って行くそうだ(祝。




U-Nextにて







ベイビーわるきゅーれ

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Baby Walkure
2021

阪元裕吾 監督・脚本・編集
SUPA LOVE 音楽
KYONO「STAY GLOW feat.TAKUMA(10-FEET)」主題曲

髙石あかり、、、杉本ちさと
伊澤彩織、、、深川まひろ
三元雅芸、、、渡部(殺し屋)
秋谷百音、、、浜岡ひまり(浜岡一平の娘)
うえきやサトシ、、、浜岡かずき(浜岡一平の息子)
福島雪菜、、、姫子(メイド喫茶の店員)
本宮泰風、、、浜岡一平(ヤクザ)
水石亜飛夢、、、田坂(死体処理係)
飛永翼、、、須佐野(殺し屋の会社上司)


この2人とは、「ある用務員」以来、久しぶり。
とても楽しそうで良い。
特に刺さったのは、ボソボソやり合う対話。
これが絶妙で面白い。アクションより面白いくらい(爆。
この2人とても良いコンビだ。シリーズで続くことを願う。寅さんみたいに。

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組織から委託された人殺しの他に何もしてこなかったふたりは、高校卒業して社会人になるのだが、面接に行っても上手く行かない。とくにまひろはコミュ障で無理。ちさとはバイトの面接は通るが、仕事で必ず何か仕出かしてしまう。クビになる。
でも鶯谷のマンションにルームシェアして、お互いを補い合いながら、良い関係を結んで行く。
(途中、険悪にはなるが)。
二人のボソボソ謂い合うお喋りが絶品。如何にもおじさんが考えたネタというところも笑わせる。
これを続編と言うか、ずっとシリーズを続けてやって行って欲しい。
間違いなく、スマッシュヒットし続ける映画になるはず。
ヒロインコンビの魅力で成り立つ作品であるから。
寅さんの渥美清と同様に。

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伊澤彩織女史がプロのスタントパフォーマーなので、アクションシーンは圧巻。
特に異常なほどの接近戦の技が半端でない。
これは生半可な俳優には到底出来ないものだ。
しかしここでの相手の俳優、三元雅芸がジャッキーチェンに例えられる程のアクションスターで中国で大受けの人らしい。
二人の死闘にかなりの尺が割かれるが、見応え充分。

髙石あかりのガンアクション~非情なマシンガンも笑ってしまう程。
ともかく、あっけらかんとして明るく清々しい大殺傷である。
二人ともこの稼業が一番合っていて他のことなどしたくないそうだ。
特にコミュ障のまひろはハッキリ社会不適合者だから出来ませんと宣言している。
だが、社会人の表書きが必要なので運転手になるという。
ちさとは面接は楽勝なので、職場で切れなければ大丈夫か。

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日常のどうしょもなさと殺しモードの緩急のリズムがよく、全く飽きずに観られた。
実は最近こういうことは少ない。
どうしても途中で止めたくなってしまうことが多いのだ。
ぐうたら日常シーンも面白い。まひろがやたらと食べ物を零して落としたり、殺し以外にまともに出来る事がない設定が徹底されていた。
ちさとも日常の人付き合いをノリでやっているが、半分ヤケクソであることが分かる。
この特異な二人が一緒にじわじわと社会化してゆくのだろうか。
その辺も続編を通して見てゆきたい。

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メイドカフェのシーンは、とても微妙なところであった。
まひろにとり極端なシチュエーションでコミカルさを際立たせる場面ではあったが、狙い過ぎで陳腐にもなりかねない。
概ね自然な流れとなり、良いのではと思うが、まだひと捻り出来たような気もする。
ちょっとアクションシーンに比べ描き足りない勿体ないところであった。、
伊澤さんが折角あの恰好をしているのであるし。ほとんどフリーズして無言で去っていくのは、、、。

実は二人はかなりの年齢差があるにも関わらず高校出たてのニート臭がしっかり出ていて良いコンビ感は出ていた。
このまま回を追うごとに熟成されてゆくコンビは楽しみである。
是非、シリーズ化して欲しい。
キャストも演技も言うことない。とても楽しいものだ。

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田坂さんが色々とちさとに苦情を言っていたが、ああいう掃除屋がいないととても成り立たない世界だわ。
一度に2~30人血みどろの死体が転がっていては、何もなかったようにする手間は半端ではなかろう。




U-Nextにて



髙石あかりは、”indigo la End”「名前は片想い」のMVに出ているがこれがまた良い。



丁度、桜井ユキの”SHINING RED FISH/PARCO”PVが素晴らしいのと似ている。このビデオ作品も2時間に膨らめて映画にしてほしい。












劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME

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REAL×TIME
2020

杉原輝昭 監督
高橋悠也 脚本
石ノ森章太郎 原作
坂部剛 音楽
J×Takanori Nishikawa「A.I. ∴ All Imagination」主題曲

高橋文哉、、、飛電或人 / 仮面ライダーゼロワン
鶴嶋乃愛、、、イズ / アズ / 仮面ライダーゼロツー
井桁弘恵、、、刃唯阿 / 仮面ライダーバルキリー
岡田龍太郎、、、不破諫 / 仮面ライダーバルカン
中川大輔、、、迅 / 仮面ライダー迅
砂川脩弥、、、滅 / 仮面ライダー滅
桜木那智、、、天津垓 / 仮面ライダーサウザー
福士誠治、、、ベル / 仮面ライダールシファー
山崎紘菜,、、遠野朱音
児嶋一哉(アンジャッシュ)、、、福添准
伊藤英明、、、エス / 一色理人 / 仮面ライダーエデン


「シン・仮面ライダー」観るまでは、もうこれでおしまいということにしたい。
この作品、それに相応しい出来であった。
伊藤英明が重みを与えているのは言うまでもないが、噺そのものがズッシリ引き締まっているしアクションの歯切れも良い。

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しかし、いきなりこれを観ると面食らってしまう。
「全人類全滅まであと60分」という切羽詰まった状況で、山崎紘菜まで出ている?
明らかにこれまでの流れを知っていないとチンプンカンプンという感じであるが。
わたしはそこそこTVは観て来た為、雰囲気的には充分対応できる。
イズが仮面ライダーゼロツーとして、あんなに強いということは知らなかったが。
ここまで頼りとなる秘書はまずいまい。アークの秘書もやっちゃってるけど(つまり最強の秘書ね)。

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鶴嶋乃愛は相変わらず理想の秘書で、井桁弘恵は理想の上司と謂うところか。
どちらも凛としていて真直ぐでカッコよい。
特にここではイズの活躍が圧倒的で驚いた。

エスのドラマに世界が呑み込まれそうになるが、この物語を作らざるを得なかったのは、もとはと謂えばアークが原因というところで、収めてゆく感じか。
その共通の敵アークに対して、それまでの確執を超えて飛電或人と刃唯阿たち、滅と迅 、天津垓が共闘することになっており、そこの関係~流れはシンプルですっきりしている。

REAL×TIME003

よくある大変な暴挙に出るラスボスがその裏には喪失の悲劇があるパタン。

仮面ライダーでは度々使われる毒ガスに見えてナノロボットの大群による人体改造であったり支配する策略が見られる。
エスとなった一色 理人が「ナノミライ」研究所で開発した医療用ナノマシンであった。
そのマシンを同じく開発者の1人で恋人の遠野朱音に使用した時、マシンの暴走事故が起き、彼女を失う。
そこで彼女の脳をデータ化して自らもナノマシンの集合体となり、楽園を作りその中で暮らそうとする。
こうした電脳ワールドはかなり現実味を持って来ており、今最も大きなトレンドでもある。

REAL×TIME005

この電脳界でも恋人は恋人であり、AIロボットのイズも確かな感情を持つ主体となっていた。
最近の流れを見ると、仮面ライダーゼロワンの始まった時期よりもずっとそれが地続きの現実文脈で観ることが出来ている。
だからより魅力を感じられるのだ。このヒロインたちに。

昨日の「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX」より引き締まった少し大人向けの作品であった。
ここまでの流れと展開が蓄積された物語の重みがある。
伊藤英明や山崎紘菜が全く浮かないしっかり作り込まれた映画だ。

REAL×TIME006

この背景となるTVを見ておく必要はあるが、劇場版「仮面ライダー」では傑作に入るものだと思う。



AmazonPrimeにて









”Bon voyage.”

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