監視者たち

감시자들 COLD EYES
2014年
韓国
チョ・ウィソク、キム・ビョンソ 監督
チョ・ウィソク 脚本
タルパラン、チャン・ヨンギュ 音楽
ソル・ギョング、、、ハン・サンジュン(監視班班長)
チョン・ウソン、、、ジェームズ(武装犯罪集団リーダー、影の男)
ハン・ヒョジュ、、、ハ・ユンジュ(監視班新人刑事、豚~小鹿)
キム・ビョンオク、、、チョントン(ジェームズの上司、犯罪者に育てた男)
チン・ギョン、、、イ・ヨンスク(監視班室長)
イ・ジュノ、、、リス(監視班、ハ・ユンジュの先輩)
サイモン・ヤム、、、空港の男(犯罪集団黒幕)
『天使の眼、野獣の街』(香港)のリメイク作品だそうだ。そちらも是非観てみたい。
容疑者の監視、追跡のみを職務とする韓国警察特殊犯罪課のストイックな班の物語である。
ヒロインは優れた瞬間的な記憶力を評価されスカウトされたコードネーム子豚。
ともかく、息詰まる追跡劇。その地味に思える一点に絞り込んだタイトでスリリングな面白さ。
着眼点が良いしアイデア~記憶のフラッシュバックも冴えてる。
まさに映画の醍醐味。

全く無駄なくスタイリッシュに絞り込んだストーリーには息もつかせぬ緊張感が張り詰めている。
薄らとぼけたファンタジーや出口の見えない鬱屈した日常に辟易したときに、これ程の清涼剤はない。
ストーリー、演出、撮影、音も充分に練り込まれているが。
何より役者がピッタリと嵌っている。
(役者に違和が生じると不可避的に観ることに距離が生まれ白けて来てしまうもの)。

違和感がない。
タイトな物語である以上、整合性が重要である。
不必要な膨らみや逸脱や綻びは緊迫した速度を疎外しピタリと寄り添えない。
そうわれわれも彼らと共に疾走したいのだ。
それからコードネーム子豚の我らがヒロインであるが、指をテーブル上でトントンやりながら記憶を呼び出す身体動作はとてもしっくりする。班長には煩がられていたが、あのような作法の記憶術を彼女は編み出したのだろう。
半面、感情的な脆さもあり共感できる。

終盤、ちょっとだけ気になったところ、、、。
こちらも子豚~小鹿の身が心配になっていることもあるが、ターゲットは既に”リス”を殺害して逃亡している犯人である。
最早、監視班の身を潜めた追跡ではなく総力挙げての容疑者逮捕に向けた動きにはっきりスウィッチしていても良かったのでは。
相手は独りで緻密な計画を練り上げ、手下を操り完璧な強盗を成功させる凄腕のリーダーである。
新米監視班の彼女に単独で彼を追わせるのは酷ではないか。
他の警官何やってんだ、おら!である。武装して集団で追い込むべきであろう。
ハラハラしどうしではないか(怒。

昨日もやたら強い相手が最後呆気なかったが、本日の映画もあれだけ手強い”影”の男が最後はあっさり撃ち殺されてしまう。
銃の扱いでは、遥かに向うの方が上のはずだが、、、。
その辺、班長も彼も手負いでどっちもどっちではあったが。
何で班長はそこでは無傷で済んだのか、謎ではある。その前の格闘~腕力では圧倒的な差でやられていたし。
まあ、子豚(昇格して小鹿)が無事で何より。
(結構、韓国映画は、ヒロインも血みどろのボコボコにやられるようなケースも多く心配した)。

チョン・ウソンの壮絶な宿命を背負いながらクールで正確無比な判断と行動がとれる魅力に魅せられ知らぬうちに彼を応援していた(笑。実は彼にはすべてから解放され逃げ延びて欲しかったものである。冷酷無比で精密機械のような凶悪犯なのに憎めないのだ。
勿論、ハン・ヒョジュの知的で凛とした可愛らしさは絶妙である(時代劇で観たことがあるが、こっちの方が似合う)。
班長と慕われるソル・ギョングの包容力ある渋さもとても味わい深い。
チン・ギョン室長の女性上司ぶりも、とても男らしく素敵であった(笑。
兎も角、他にリスと言い、、、キャストは文句なし。
これでこのストーリーに演出である。
ちょ~面白いのは言うまでもない。
こうした韓国映画のタイトな魅力は素晴らしいものだ。
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