炎の少女チャーリー

Firestarter
1984
アメリカ
マーク・L・レスター 監督
スタンリー・マン 脚本
スティーヴン・キング 原作
タンジェリン・ドリーム 音楽
ドリュー・バリモア、、、チャーリー・マクギー(パイロキネシス能力を持つ少女9歳)
デヴィッド・キース、、、アンディ・マクギー(「押し」~意識を操る能力を持つチャーリーの父)
ジョージ・C・スコット、、、ジョン・レインバード(ザ・ショップのエージェント)
マーティン・シーン、、、キャップ・ホリスター
アート・カーニー、、、アーブ・マンダーズ(チャーリーたちを匿う老人)
ルイーズ・フレッチャー、、、ノーマ・マンダーズ(寝たきりの老婦人)
ヘザー・ロックリア、、、ヴィッキー・マクギー(念動力を持つチャーリーの母)
フレディ・ジョーンズ、、、ジョセフ・ワンレス博士
モーゼス・ガン、、、ピンチョット
「炎の少女チャーリー」という邦題で観る気が起きず、そのままになっていた作品を観ることにした(笑。
ホント、邦題が悪いと観る意欲が湧かないものだ。題名って大事なモノだねえ。

「ファイヤースターター」で行った方が良かった。
1984ならVFXはもう少し行けるはず(何故かデヴィッド・ボウイの”1984”を思い出す)。
キャストは素晴らしく、物語も良く練られている分、ちょっと惜しい気がした。
8歳のドリュー・バリモア、最強である。この域までやれるのは他にダコタ・ファニングくらいか。
タンジェリン・ドリームは確かに分かるが、もう少し彼等らしいインパクトが欲しかったかなあ。

良い作品なんだけど、もう少し感が拭えないところであった。
政府が軍事目的で人体に薬物実験を秘密裏に行っていたとかいう陰謀説は些か陳腐ではあるが(チャーリーの両親となる男女が薬物実験の被験者となったが、この二人以外は皆死亡ってどれだけ杜撰なものなの)、チャチな感じはしないくらいに丁寧に作られていたので、そこは然程引っ掛かるものではなかった。
だが、演出、VFXの点でもう少し頑張りが欲しかったのは否めない。
そしてパイロキネシス(自然発火)能力をもった娘チャーリーが生まれ、更に彼女は父の”押し”の能力と母の念動力も操れる超能力者として覚醒してゆく。
とは言え最初のうちは、力の制御が上手く出来ず、猫に火を点けてしまい、苦しがっているからと父に促されしっかり焼いてあげたりしている。
猫とかについてはスルー出来る力を身に付けておくべきだった。
政府機関の悪者たちについても父は、その連中にも家庭があるから能力は極力使わず、逃げなさいと諭す。
頭では理解するが、激昂すると手が付けられない状態になる。

そこに政府の特殊機関(ザ・ショップ)が目を付けない訳はなく(この両親はほったらかしであったのか?この2人も立派な超能力者だが)、まずは一旦引退していた(つまりこのプロジェクトは打ち切られていたのだ)ジョン・レインバードに任務が下る。
ここでジョン・レインバードという存在は他のメンバーとは異質である。ザ・ショップのエージェントとして真っ先に送り込まれてきた男であるが、その組織に染まっているわけではない。
チャーリーの母を殺し、危ない能力の娘を生け捕りにやって来たのだが、チャーリー自身に何をか感じ、後に彼女の側に付く。ネイティブ・アメリカンならではの感性によるものか。
終盤の大詰めでは、父が組織に捕まり幽閉されているところに一人その心を読み乗り込むチャーリーである。
心を読みつつパイロキネシスで一手早く相手を焼き殺して進む。
相手もチャーリーの力を見込み何とか言いくるめて利用しようとするが、彼女は全て心の内を読んでしまう父譲りの力がある。
嘘が大嫌いなので、政府組織の連中は皆焼き殺されてゆく。
そして組織のチーフも父の命令通り2人まとめて彼女は焼き殺してしまう。
この辺から父に固く言われてきた能力の制御のタガが外れてゆく。

だが向うも強力な防火スーツを着たり、父のこころを操作する”押し”能力を特殊コンタクトレンズで防ぐ策を講じて来る。
この防火スーツの連中を撃ち殺すのが、母の仇のレインバードであった。
彼はその後、銃を置き彼女に身を委ねる。
彼のこころを知ったチャーリーは彼を焼かずに出て行く。
そして組織の建物そのものを焼き尽くす(ここもう少し迫力が欲しい)。

彼女が力を使い果たし水辺にしゃがんでいるところにレインバードがやって来て
手を差し伸べ彼女を抱きかかえて夜の闇に消えてゆく、、、。
タンジェリン・ドリームの音楽がもっと前面に出て演出のイマイチ感を補完出来ればよかったかも。
(せっかく彼らを使うのだからもっと大胆に導入したい)。
何にせよ、ドリュー・バリモアが圧倒的に凄い。
彼女で充分魅せてしまう映画であった。他のキャストも文句なし。
監督がちょっと弱かったかなあ、、、もう少しブラッシュアップすると間違いなく名作の域に入るものだと思うが。
AmazonPrimeにて
2020にリメイク版が出ている。
本作とどう違うか見比べてはいない。本作のDVDは品切れ状態。
恐らくVFXは改善されているのでは、、、。