ジオラマボーイ パノラマガール

GEORAMA BOY PANORAMA GIRL
2020
瀬田なつき 監督・脚本
岡崎京子『ジオラマボーイ パノラマガール』 原作
山口元輝 音楽
山田杏奈、、、渋谷ハルコ(17歳高校生)
鈴木仁、、、神奈川ケンイチ(17歳高校生、自主退学する)
滝澤エリカ、、、カエデ(17歳ハルコの親友)
若杉凩、、、マル(17歳ハルコの親友)
平田空、、、渋谷ナツ(ハルコの小学生の妹)
持田唯颯、、、タイラ(ナツの小学生の友達)
きいた、、、リューヘイ
遊屋慎太郎、、、キンヤ
斉藤陽一郎、、、渋谷アキヒコ(ハルコの父)
黒田大輔、、、山形先生
成海璃子、、、神奈川サカエ(ケンイチの姉)
森田望智、、、マユミ(ケンイチが思いを寄せる女性)
大塚寧々、、、渋谷フユミ(ハルコの母)
久々のAmazonPrimeにて、山田杏奈主演で、もうすぐにも配信終了と来たら観るしかあるまい。
焦って観た(爆。
緩くて優しい映画であった。

これは最近の邦画では出色の出来。
岡崎京子のコミックはわたしも好きで数冊持ってはいるが、これは持ってない。
でも雰囲気は伝わる。
工事中のクレーンがランダムに聳え立つ東京の景観と思春期のフラジャイルな危なっかしさが何とも同調していて面白い。
ここでありふれた出来事が瑞々しくぎこちなく交錯してゆく。
ピントはかなりズレてるが。

それから滝澤エリカという女優を始めて知った。
山田杏奈との掛け合いというか触れ合いが絶妙で、凛とした透明感と低めトーンの声がミスマッチ。今後の活躍に期待したい。
(若手女優は凄い人が次々に出て来て大変な場だねえ)。
渋谷ハルコはあのタイミングで神奈川ケンイチに一目惚れというのも何とも。運命の出逢いとか言ってるし。
ケンイチも試験中に突然思い付きで高校を退学して、昼間ずっとゲーセンで遊んだり女の子マユミに逢いに行ったり「タピオカミルクティー飲まない?」って何だ?スケボー練習したりの幼児退行した後、頭のネジの抜けたような男子である。鈴木仁という俳優、実に嵌っていた。
この男は女子(姉と彼女)から「やんなっちゃうな―」と言われモノを投げつけられるタイプのようだ。

山田杏奈は物凄くとんがった怖い女子高生をやることが多いが、ここではかなり地味な役である。
であるから目付き(眼差し)も例の鋭く射貫くようなものではなく穏やかなものだ。
顔も終始ニヤケテおり、渋谷パルコの前で「全国のPをHにしてやる」とか言ってるかなり軽めの娘。
しかし際立った感性や感覚を持たない役でもしっかり自分の色が出せる非凡な人だと感心する。
そこにしなやかに絡んでくるのが滝澤エリカというこれまた只者ではないヒト。
この2人に注目して観て行っても充分に面白い。
名作「ひらいて」の芋生悠との絡みとはまた違う透明感ある微分的な繊細な絡みである。
(向うも繊細さはあるが衝動的で過激なのだ)。
ここでは、森田望智が台風のように引っ掻き回す。
神奈川ケンイチは「サイテー」とか言われながらも翻弄されっぱなし。
その煽りを一番喰らうのが渋谷ハルコ。やはり最初の衝撃はケンイチとマユミのキッスか。
しかし森田望智演じるマユミみたいな人はいる。掻き混ぜるだけ混ぜて突然グアテマラに飛んで行く。
素敵。

ハルコのお友達も、、、
ケンイチの高校の前で待ち伏せしてみたり、
変な御呪いを宇宙に向けてしたり、
撃沈して戻ってきた渋谷のイベント後も何とも。
路上でハルコ、カエデの二人で横たわってなかなか良い雰囲気、、、良い友達だ。
缶ジュースの冷たさを味わい。ちょっと覚醒したかに思えたら、、、
自転車泥棒して警官に捕まり酒も呑んでいてお母さんに叱られ学校は3日間停学、大学指定校推薦はチャラとなる。

高層ビルの建築現場ってこんな風に時間外は平気で入れるのだ。
(確かに他の映画でもこうした場面を観ている。翌朝の光がミステリアスで幻惑される)。
17歳のバースデイパーティーをここでというのも粋だねえ。
勝手に恋に落ちた事だけは告白する。
お互いに気まずい。
そんな時にハルコは鼻血まで出るし。
でも、結局、結果オーライではないか。
何とも言えないが、、、小学生にお膳立てしてもらってこの高校生は。

何で誕生会の時点でケンイチは彼女の事、覚えていないのか、不思議。
倒れていたところを介抱されて、その後、学生証を届けてもらって何度も逢ってるのに分からないというのはちょっと、、、。
少々アホである。ハルコが二度目に泣く。これは分かる(笑。
だがこの2人実に波長が合うのは確か。
(感性的に)とても似ているし。
ケンイチの提案で、電車を家と逆方向に乗ってみることにする。
(これ、わたしもやったことがある)。

今後、滝澤エリカは日本のエル・ファニングみたいになるか(そんな気がするのだが)、注目したい。
(エル・ファニング主演作のリメイクとかやる際は、滝澤エリカが良いと思う)。
AmazonPrimeにて