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GOMA28

Author:GOMA28
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今日は忙しすぎた

Moonwalker002.jpg


今日は庭仕事と掃除で終わったと言ってよい。
何故とは敢えて言わぬが、暇な奴が思いの外多いのが笑える。
HDDのデータ整理もついでにした。

映画はえらいごっつい実話ものを一本観たが、直ぐに書くのがしんどい。
日和らない、絶対に日和らないことを肝に銘じる映画であった。
そしてすべてを疑うこと。

自分にとって危険なのはあからさまな敵ではない。
取るに足らないアホな敵などいちいち相手にしても意味がない。
単なる馬鹿に力はないし。

自分に親しくしてきて一見味方みたいな振る舞いをしてくる輩が気色悪い。
薄っぺらな詐欺ではない。かなり親身になって自分の時間を割いてくれもして。
如何にも心配しているような顔つきなのだ。

だが実は何を心配して近づいて来ているのか、そこが問題。
こちらも気づかぬふりをして対応し、向こうの計算を探る。
探るには相手のバックボーンを知るととても効率が良い。

大概何らかの屑組織(共同体)に属しており、そこの共通感覚か無意識で動いている。
理解者を装ってこちらを上手く利用しようとする者を警戒しなければ。
ヒロインは自分が仕組まれ狙われた結果の不幸であることにホントに気付いていたかどうか。

やはり構造を俯瞰的に捉えることが何より肝心である。
と言ってもこちらはそれが出来る立場で(作品を)見ているのだが、実際にその場にあって見通せるものか。
監督が事件に相当深い認識を持っており、彼が構図と関わった人物を示唆している。

この映画の中で渦中の人物(上位のモノ)が早く終わらせるんだ、と力んでいたが、、、
傷を最小限に抑え、トカゲのしっぽ切りで組織の構造自体は救おうというもの。
結果、はっきりと事件に関わった者だけが処罰の対象になる。

しかしそれで何も済んではいない。
ヒロインは生涯、その事件に向かい合い関り続ける。
自らの行動によって、希望が生まれてしまったことからも。

ある意味、力関係の鬩ぎ合いの中でその都度、何処に乗って行動をとろうと、常に自分に立ち返り、日和らないことである。
複雑な渦の中で自分を決して見失わない。
確かに監督の読み砕いた作品を見るという立場ならそれが言えるが、、、。


この映画については改めて何処かで書きたい。
今日は疲れて無理。

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FREAKS フリークス 能力者たち

Freaks003.png

Freaks
2020
アメリカ、カナダ

ザック・リポフスキー、アダム・B・スタイン監督・脚本


エミール・ハーシュ、、、ヘンリー・リード 父(超能力者、時間を止める)
ブルース・ダーン、、、アラン・リード 祖父(超能力者、姿を消す)
レクシー・コルカー、、、クロエ・リード(超能力者、他人の意識を操作する)
グレイス・パーク、、、レイ捜査官
ミシェル・ハリソン、、、ナンシー・リード(向かいの家族の母)
アマンダ・クルー、、、メアリー・リード 母(超能力者、スーパーガール)


何度も観てしまった大傑作「フリークス 怪物園」とは随分違う。
これはこれであり得る視点である。発想は面白い。

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超能力者をフリークスと呼び迫害~粛清する社会で孤軍奮闘するクロエたちの姿を描く。
(超能力があるのだからもう少し自分たちが優位な立場を確保する策が打てなかったのだろうか)。
ヒロインのレクシー・コルカーという子役少女がこの先、愉しみ。
凄い役を熟しそう。

母は所謂、スーパーガールなのか。
そうとしか見えん。スーパーマンと同じだし。
こんな母が何人かいたら軍事面での変革が起きそう。
(何で政府に囚われて幽閉されているのか。父は娘に母は死んだと教えている)。

Freaks002.jpg

色々経緯があり?超能力を持つ者は一般人類から恐れられ、弾圧されることとなったみたい。
クロエ(表向きにはエレノア)の父は物凄く神経質に娘を過保護に家から外に出さずに育てている。
ほぼ軟禁状態であり、娘は外に出て公園でアイスクリームを食べたい。
学校にも通わせていないから家で勉強だ。外に出た時に能力者と悟られずに暮らす方法を中心に学んでいる。
超能力者狩りが非常に厳しい為、油断は出来ない。
彼らは能力を使うときに眼から血の涙が出ることで識別され殺されてしまう。
父娘は、向かいの家族を金で買収し、何かあった際には(父が殺されたりしたとき)その家に逃げ込み母ナンシーを自分の母として、そこの娘を姉ハーパー、自分はエレノアとして家族の一員となって暮らす用意までしていた(守りにばかり策を巡らす)。

そんななか、クロエは父が眠った隙に外に出てアイスクリーム売りをしている祖父と邂逅する。
自分に特殊な能力があり、家族もそれぞれの能力を持っており、死んだと聞かされていた母はまだ生きていて政府機関に幽閉されていることなどを知る。そして隠れていてはやがて完全に潰されるだけであることを認識する。

Freaks001.jpg

山に捕らえられている母などは、普通に考えるとスーパーガールとして人々に頼られヒロインとして生きる路~パタンもあったのではと思うが、一度このような硬直した関係性が成り立つと単なる人類への驚異としか意識に映らなくなってしまう面はあろう。
(だが絶対そればかりではなく実際はその方向性に異議を唱えるグループも存在したはずである)。

ともかく現状としては、一方的な激しい弾圧に対する防衛・避難の関係であり、フリークス(超能力者たち)が完全に劣勢であるが、スーパーガールであるメアリーが復帰すればそれに力を得た潜伏中の超能力者も終結し全面的な戦争になるのかも。
いずれにせよ話し合いとか協議の段階ではとうになく、武力闘争以外に進む路はない状況であることは確かのようだ。

Freaks005.jpg

レイの率いて来た政府軍に対して父と祖父は最後までクロエの命を守り抜いて死ぬ。
クロエの遠隔意識操作の援護を得てメアリーは監禁されてきた牢獄から脱出し、空を舞い圧倒的な戦闘力を示す。
そして政府軍のミサイル攻撃から独り生き残ったクロエと再会を果たす。
さあこれから何処に隠れて生きましょうという母に対しクロエは、もう何処にも隠れないと告げる。
となれば全面戦争である。

隠れて生きるということ自体に展望など微塵もない。
何にしても逃げてどうにかなることなどあろうものか。
敵を叩き潰すこと以外に選択の余地はない。
徹底的に闘い相手を殲滅することだ。
バカは死ね!のノリで良い。

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レクシー・コルカーがもう少し大きくなってから、続編は是非やってもらわないと。
全面激しいアクションバトルの世界を見たい。



AmazonPrimeにて











モデル 欲望のランウェイ

The Model005

The Model
2016

デンマーク

マッズ・マチースン 監督
マッズ・マチースン 、アンダース・フリチオフ・アウグスツ 脚本

マリア・パーム、、、エマ(16歳モデル)
エド・スクレイン、、、シェーン(ファッション誌有力カメラマン)
シャーロット・トマシェフスカ、、、ソフィア(エマのルームメイト、モデル)
ビルジル・ブラムリー、、、マルセル(エマのマネージャー)
マルコ・イルソ、、、フレデリック(エマの同郷の彼氏)
ドミニク・オルバーン、、、セバスチャン(シャネルの重役)


ファッションモデル業界の裏側を描く的な文句が書いてあったが、別にこれといったインパクトとかはない。

The Model004

それより16歳は独り立ちにはまだ若すぎる。こんなに若いうちから働くのは難しいものである。
(サポートを何で付けないのか。少なくとも親が)。
生活経験がない。もっと言えば失敗から学んだ経験が少ない。
デンマークの小さな村から独りパリのファッション業界で成功を掴むというのは、ワクワクする面も大きいだろうが、ハードルは高い。

音楽が全体的に物悲しい。
初っ端から悲壮なムードが流れている。

The Model001

何をおいても気の毒なのは、素朴で一途なエマの(元)彼氏フレデリックだろう。
離れるのが寂しい。僕のことは忘れないでね。休みが取れたら会いに行くよ。楽しみにしてるわ。忘れないわと別れたはずだが。
彼女にとり成功への第一ステップとして有力なカメラマンと恋人同士に成ってしまうことが手っ取り早かった。
これはそれを狙ってやったというより、あの人に気に入られればきっと上手くいくといった気持がそうさせたのだろうが。
悪気はなかったにせよ思いやりはない。
パリまで会いに来た彼氏はフラれ、ボロボロになり故郷に帰ってゆく。

しかしエマもパーティーでシェーンが構ってくれず暇にしているところシャネルの重役に誘われ浮気をしてしまう。
今度は、夢のシャネルに引っかかってしまった。
そのことを言って、カメラマンの彼氏にフラれる(何でわざわざバラすのか)。
シャネルの重役をシェーンがぶん殴ってしまったから向こうともおしまいか。

The Model003

もしこれを彼女が計算してやっていたなら、シェーンが彼女をほったらかしにして謝ってきたのを利用すれば更に好待遇で仕事が回って来るだろうし、更にシャネルの重役との関係も秘密裏に続けていれば、憧れのシャネルの仕事も間違いなく掴めたはず。
同郷の彼にも、あの人は仕事上の大事な仲間よ、とか言っておけば済む。
このへんがグチャグチャになるのは、単に自分をコントロール出来ていない子供が招いたものだ。

そしてとても見苦しいのは、八方塞がりになってしまって何とか拠り所が欲しいため、シェーンに妊娠したと嘘をつき復縁を図るところ。彼は完全に彼女を見放していたが、妊娠と聞いて彼の責任感が疼いた。
暫く彼女の面倒を見るが、病院で調べればそんなことは直ぐに分かる。
嘘だと知ってシェーンはまたしても激怒。もう取り付く島もない。

The Model002

彼女は何ですぐバレるような嘘をつくのか。
計画を企ててついた嘘ではなく、何でもよいからよりを戻したかっただけで思いついたのが妊娠だったというだけ。
そりゃ、不安も大きくしっかりした後ろ盾の保護下に置かれたい気持ちも分かるが。
相手としてもこんな厄介な娘に関わっている場合じゃないと当然、けじめをつける。
彼女の周りの仕事のスタッフ、マネージャー、ルームメイト皆とても親切なのにそれに対する感謝の気持ちも薄い。
何かしてもらって当然と言う感じ。
やはり子供だ。まだ精神的な自立が出来ていない。

そこに持って来て、アパートの管理人に妙なモーションを仕掛けて向こうが乗ってきたら、ナイフで刺すしまつ。
向こうの暴行容疑でケリはついたが、もうこの辺で故郷の実家に戻るしかあるまい。

何と言うか、デンマークの田舎からパリに出て、多くの困難に打ち勝ち紆余曲折しながらも成功を掴むとかいう王道ストーリーではなく、何とも小粒の、、、これといった努力を積むでもなく、権威に寄生して上手くチャンスをものにしようとしつつ自分からダメにして行く駄々っ子みたいな少女の物語であった。

The Model006

そして意気消沈して戻ったところで彼氏がまた優しく迎えてくれるのだが、そこへパリのマルセルから電話が入る。
シャネルから是非とも君と仕事をしたいというオファーだが、、、ときた。
またしても傍らにいる素朴な彼氏はフラれるのだった(チ~ン。

意志が強く自己プロデュースしてドンドン主張してゆかないとやって行けない業界であろうが、単なる自己中で何とかなるものではあるまい。
これからどうなるかも分からないところで終わる。
きっと哀愁を誘う音楽からも分かるような気はするが。

同じ若い女の子のモデルの物語では「ネオン・デーモン」の方が遥かに鮮烈であった。
こちらは実録ぽい噺であったからジャンルが違うと言われればそれまでだが。
向こうのヒロインは、エル・ファニングで、圧倒的なオーラを放っていた。
これはこれで愉しめるが、わたしはネオン・デーモンの方がよい。


AmazonPrimeにて













他者が入って来ること

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今日家に行き(わたしは外に住んでいる)長女の部屋を覗くとなかなか見つからないことの方が多いのだが、いきなり目が合った。
こんなことは、初めてかも、、、。
猫が家にやって来て、もうどれくらい経つか。
20日かな?

長女とは幾分馴染んで来たようだが、わたしが時折、彼女の部屋に顔を出すとまだ警戒した様子を見せる。
いつの間にかトイレが二つに寝床も二つ出来ていた。
だが、わたしが見るときは大概、出窓に寝そべっているかクローゼットに入り込み服に巻かれてトロンとしていることが多い。
クローゼットの中だけはちょっとやめておいた方がよいが。
勿論、長女のベッドに入り込んでいることも。
あまり猫用の寝床やトイレでくつろいでいるところは見ないものだ。

長女がこちらと話をしながら猫の首元を撫でている姿からは、お互いに気を許している雰囲気は伝わって来くるのだが、、、
まだ猫の方の親愛の情を示す動作、力加減が長女にとり適度な心地よい関係とまでは至っておらず、突然引っ掻かれたり噛まれたりでいったん離れ、どう対処するか考えあぐねていたり、、、も少なくない。
手に余ると暫くの間はピアノを弾き続けたり、部活で担当しているパーカッションの練習をひたすらしてたりする(笑。

だが、それでよいのだ。
まだまだ相手は野生なのだ。そこに惹かれて招いた存在なのだから。
自分の思い通りに行かず、ストレスをぶつけることも出来ない相手と関わること自体、ホントの他者との関係性の模索となり、多様性を受け容れる素地となろう。
これから23年は一緒に過ごすのだ。
気長に構えて行くのがよい。
逆照射の効用も大きいはず。
自己分析も出来れば人間の友達作りにも反映しよう(笑。
このなかなか手強い他者には頼もしさを覚える。


他者は有用で是非とも必要なものだが、馬鹿は単に有害。
特にド低能のド糞馬鹿の「ヘドロ男」は言うまでもなく。



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ナイト・ウォッチャー

The Night Clerk001

The Night Clerk
2020
アメリカ

マイケル・クリストファー 監督・脚本

タイ・シェリダン、、、バート・ブロムリー(自閉症スペクトラムの青年、ホテルのフロント係)
アナ・デ・アルマス、、、アンドレア・リヴェラ(ペレッティ刑事の愛人)
ジョン・レグイザモ、、、ジョニー・エスパーダ刑事
ヘレン・ハント、、、エセル・ブロムリー(バートの母)
ジョナサン・シェック、、、ニック・ペレッティ刑事(エスパーダ刑事の同僚)
ジャック・グレイ、、、カレン・ペレッティ(ペレッティ刑事の妻)
オースティン・アーチャー、、、ジャック・ミラー(バートの同僚)


結局、終盤にアナ・デ・アルマスはバートを裏切ってしまう。
この辺の心理は実に微妙。
ともかく、妻殺しの浮気相手を選んでしまうのも、バートの特殊さ所以のものか。
しかし彼女も弟が彼と同様の障害に悩まされていて病院から退院できずに死去したことを話している。
普通の人よりバート的な人への理解・共感はあると思うが。

The Night Clerk002

やはり盗撮でプライバシーが侵されたことに対する嫌悪感が勝ってしまったのか。
と言うより恋愛(不倫)関係に終止符を打とうとしていたが、断ち切れずにいたところに生々しいビデオ~彼が妻を殺害する場面~を見せられたことで、こころのバランスがとれなくなり、逆にその現実から逃避を図ったのか。
その現場データカード(microSD)をペレッティに渡し、犯行に使われたピストルをバートのベッドに置いて来る。
こうすれば、証拠のデータが無く犯行時のピストルを持つバートに罪を被せられるはず。

The Night Clerk003

だが、ITオタクがコピーを持っていないはずはない。
そのコピー(又はオリジナル)データを再生し証拠のピストルを置き、更に念を押して置手紙~もっと早く見せないですまん、というのを残しておいて、刑事に踏み込ませる。
これはバートの勝ちである。
アナ・デ・アルマスも、やだバートったらやるわね、と思ったに違いない。
自閉症スペクトラム~以前アスペルガー症候群と呼ばれていた彼のような人は、結構読みにくいものだ。
甘く観たら大変。
ノーベル賞級の科学者にもこの手の人はいる。

多様性の観点から見ても、こういう人をチームにひとり入れておくことはとても有用でもあろう。
タイ・シェリダンの役作りは文句なし。
よくある発達障害者モノでは見られない、なかなかフレキシブルで逞しい青年をしなやかに演じていた。
そのリアリティには共感が持てる。

The Night Clerk004

アナ・デ・アルマスは「ブレード・ランナー2049」以来。
それ以降、凝った映画に何本も出演していることは知っていたが、なかなか見れずにいた。
やはり他の出演作も観てみたくなる魅力~オーラを発散している。
早速、あたってみよう。

周波数を高めて。
ヘドロ男(改名)には別の次元~低次元に消えてもらい。
良い映画を観たい。



AmazonPrimeにて






ヘドロ人間

The Slime People

The Slime People
1963
アメリカ

ロバート・ハットン監督
ブレア・ロバートソン、ヴァンス・スカーステット脚本

ロバート・ハットン、、、トム・グレゴリー
レス・トレメイン、、、ノーマン・トリヴァー
ロバート・バートン、、、ガルブレイス教授
スーザン・ハート、、、リサ・ガルブレイス


かの迷監督エドウッドに勝るとも劣らない監督を知った。
しかもかなり古そうな映画に見えて車を見るとそれほどでもない。何と1963年モノなのだ。
と言うと、ヒッチコックが名作「鳥」を発表した年ではないか。
同年にこれ?
信じられない強者、、、。

だが、逆に作品の質が年代により皆同等なものに成りでもしたらそれこそ大変な事である。
作者、監督の独自性も個性もあったものではない(敢えて多様性とは言いたくない)。
AIが作るとどうなるのかは知らんが。
まあ普通に言う、玉石混交の状況に過ぎないものだ。
それにしても玉と石の違いは毅然としている。

まず笑うのは、”Slime People”~「ヘドロ人間」というネーミング。
地底人だからそうなのか見た目から付けたものなのか、、、
そんな、ねばねばべとべとしていたのか、、、よく素手で闘う気になったものだ。
巴投げをしきりにしていたが。服や手などがべちゃべちゃしている感じはなかったぞ。
しかし邦題の「ヘドロ人間」とはよく付けたものだ。観る人を限定する(物好きしか見まい)。

このヘドロ人間、始まっていきなり堂々と出て来る。なかなかの恰幅のクリーチャーであり自信作なのだろうが。
その時点で、ほぼ終わっていた(爆。
だが潔い。普通禍々しい事件が起きてから終盤とかに漸く暗闇に姿を現しこれが正体だったのか、というパタンが多いのだが。
白昼にひょっこり出て来るではないか。しかもマンホールから出てくれば、下から来た人だということも示している。
やはりこの監督は違う。

霧が濃く、飛行機で何とか着陸したトムと山木屋にいて避難しそこなったガルブレイス博士とその娘ふたり、そして途中で肉屋に隠れていた海軍出身の若者ノーマンで、地底人の地上征服を阻むというもの。
ロスからは人はいなくなっているという設定。その割にはそこそこ残って何やらしている人がいたが、よく分からない。
この辺の人間は容易くヘドロ人間に殺されるのだろう。
槍で刺されて死んでいる人間もいるにはいた。

この地底人、科学者の推理では地下核実験で居住空間を追われ地上の征服に乗り出したのだと。
地上の人間より力は強いが喧嘩自体、強くはない。そもそも何で肉弾戦なのか。3人単位くらいで繰り出してくる。
霧を充満させそれを凝固させて都市(ロス)を塀で取り囲んで気温調節もしてしまう科学力がある割にこの戦いぶりは何だ。
実に動作が鈍くのそのそ槍を担いで襲って来るが、すぐに巴投げで飛ばされ槍を奪われ逆に刺されて殺されたりする。
槍の先にキャップを付けており、刺すときはそのキャップを外すのだとか博士に看破されたりする(唖。

これでどうやってロスを壊滅させたのか、博士(老人)と壮年のTvキャスターと海軍所属の若者とキャーキャー言ってるだけのふたりの博士の娘の5人に歯が立たない。
しかもロスという大都市を舞台にしているのに、映画の現場はどう見ても何処かの寒村みたいなところ、ロス感全くなし。
何でも良いがガスでもレーザービームでももって次々に効率よく人間を倒してゆかねばとてもじゃないけど覚束ない。
攻防自体、策を立てどう遂行しているのかレベルではなく、霧の中で全てがうやむやなのだ。そういう演出効果の霧なのか。

ともかくテンポの悪さときたらおよそ緊張感もなく、その間博士の娘二人と同行してきた二人の男が恋仲に。
博士がいい加減な薬品を手あたり次第使って霧の壁を崩すぞとかいうとそれに納得して従う一行。
そして飛行機で霧に入れたということから、塩で霧が溶かせるというところに帰結する。
どう考えればそうなるのか。そしてバケツで塩を銘々に運び壁に向かうが途中で霧発生装置をみつけそれを破壊した方が早いということになる。折角運んだ塩は何の役にも立たず、博士が機械を槍で壊しておしまい。

普通の気温の新鮮な空気に触れたら地底人は皆、律儀に倒れてゆく。
博士一行は皆無事。何とも呆気にとられる爽やかなハッピーエンド。
このヘドロ人間、わたしの定義する低周波ねずみ男に同期するところが多い。
これからヘドロ人間のネーミングも使わせてもらうか。
例の途轍もなく頭の悪い品性下劣極まりない糞屑男にはちょうど良いかもね(爆。




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SPY×FAMILY 1~3

SPY×FAMILY005

SPY×FAMILY
2022

遠藤達哉 原作
古橋一浩 監督
嶋田和晃 キャラクターデザイン

声:
江口拓也、、、ロイド・フォージャー(スパイ/精神科医の父)
種﨑敦美、、、ヨル・フォージャー(殺し屋/公務員の母)
早見沙織、、、アーニャ・フォージャー(エスパー/娘)


SPY×FAMILY002

次女に、すごく面白いから絶体観てと勧められ、観てみた。
(オタク友達の間でも受けてるそうだ)。
とは言えこのアニメ、まだ3話までである。導入部と言えるか。
超御都合主義もここまで行けば、それでどこまでも行っちゃいなさい、と言いたくなるもの。
(無国籍の)箱庭的な外部を感じさせないある意味、リハビリ療養にもなりそうな話である。
何もかもがタイミングよくかみ合い、予定調和に収束するのだろう。
典型的な(いや古典的な)少女漫画の世界だ。
適度な刺激とその安心感が何とも言えない心地よさになっている。

SPY×FAMILY001

今や分かっていながらもひた隠しにしてきたもの~大きなわだかまりが噴出して、地上をのたうち回りはじめている。
これ自体は良い事だ。
何事も白日~多様性の下に晒されねば。
しかし其の過程で実に悲惨な光景に耐えることとなる。
呑みこまれればそれまで。
シェルターの中で癒される必要のある人間は多い。

SPY×FAMILY003

エスパーで読心力のある女の子とスパイの男と殺し屋の女が疑似家族となる。
通常、幼い女の子は何も知らずについてゆく設定となるが、ここでは相手の心を読んで全てを知って先回り出来るのだ。
しかしそのことは悟られないようにして子供らしく振舞う。
男も女も自分の正体は悟られないようにして、男は精神科医、女は公務員として表向きは過ごす。
このロールプレイ~秘密の仕掛けも何やらワクワクさせる。
目的は何だか分らぬが、より良き世界のために働いているらしい。
(そういう気持ちであれば気は楽だ)。

やはり、ごっこ遊びがしたいのだ。
自分たちがスーパーマンで、普段はその力を隠し、大きな任務を秘密裏に遂行し何事もなかったように暮らす。
変革期の激動する外界に対して、籠って過ごすのならこんなイメージを膨らませて、普通に暮らしてみるのも素敵では、、、。
と言う感じか。

SPY×FAMILY004

身を任せて観ていれば面白く観ることは出来る。
少なくとも次女は、これで愉しめ気持ちも安らぐのだ。
それでよいと思う。


わたしは実際に幾つか叩き潰さなければならない件もあり、やはりこの家族みたいに裏で常に戦闘態勢に就いている。


4話以降、最後まで観たらまた書くことにする。




AmazonPrimeにて



ラン・ハイド・ファイト

RUN HIDE FIGHT001

RUN HIDE FIGHT
2020

アメリカ

カイル・ランキン監督・脚本
モンド・ボーイズ音楽


イザベル・メイ
トーマス・ジェーン
ラダ・ミッチェル
イーライ・ブラウン
トリート・ウィリアムズ
バーバラ・クランプトン


昨日、久々に書庫に入り(最近違うところに住んでいるため)サリンジャーその他をあちこち見てみたが、やはり現代のアメリカ作家では、ドナルド・バーセルミとトマス・ピンチョンが一番面白い。二人のモノはかなり持っていた。こちらの方が遥かに面白い。読み始めるといつまでも読んでしまう。この二人の作家は好きだ。
そのうち二人を絡めて何か書きたい。

RUN HIDE FIGHT002

話替わって、今日見たものはWowowでやっていた学園銃乱射立てこもり事件を題材にしたもの。
(正直、キャストに魅力は感じられなかった)。

こうした学園銃乱射立てこもりモノは幾つか観た覚えがある。
「エレファント」、「 ボウリング・フォー・コロンバイン」、「静かなる叫び」など、、、
やはりアメリカやカナダの映画だが。
銃が何と言っても買えば手に入ってしまうのだ。
誰でも使えてしまう。ホント、誰でもだ。

RUN HIDE FIGHT007

生きる意欲がなく、自分も死ぬつもりだが一人でも多く巻きぞいにしてやろうというニヒリスティックなものから、幼いころ馬鹿にされたから仕返ししてやる、のレベルなど動機はあるようでないようなものだが、いずれにせよ変な輩に無差別に撃たれたらたまったものではない。
ともかく、平穏であろうが不穏であろうが、少なくとも人々が何かを学びに集まってきている場~文脈を突然異物が突き破って乱入してくるのだ。
それが何者というより、、、
そして彼らの理由がどうこうというより、そこに銃があるから、やってみたのではないか。
(なければやらないと思う。どんな悪意と害意があろうとこの手段に訴えるという発想がない。ペンと便箋があるから手紙を書いてしまうのと同じこと)。

RUN HIDE FIGHT005

”ラン・ハイド・ファイト”これまで見たものはモキュメンタリーとも謂えるタッチで淡々とした運びが印象的だったが、これはかなり動きのあるアクションエンターテイメントと言っていいものだ。襲撃犯に対し独り立ち向かう勇敢なヒロインの活躍を描く。
(しかもこのヒロインには常に彼女を励ます亡くなった母が囁き掛ける。これもちょっとやり過ぎ感がある)。
襲撃したリーダーも配下の学生も皆、単にイカレているといったレベル。つまり単純。
しかも妙に劇がかっていて、ポンポン逃げる学生を撃ち殺すが、余り現実味はない。
スマホを使い実況中継をさせて自分たちを悪のヒーローみたいに演出して魅せようとするのだが、どうも今一つ。

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色々起きても全て想定内とか言っていたが、最後に変装して逃げるところをヒロインにライフルで撃たれておしまい。
このシーンが冒頭の父との鹿狩り場面と呼応していて、計算して構成されているのは分かるが、、、、
そう、作られている感が強すぎてリアリティが薄いのだ。
ヒロインが実験室で手下に銃で撃たれそうな危機的状況で、父が遠くからライフルで狙撃して救うなど、、、
確かにリアルタイム実況をしているため、かなり事態の把握が出来てしまうのだ。
これもリーダーは計算の内なのか?
結構、首絞めてた部分はあるが。

RUN HIDE FIGHT006

どうせ携帯実況するなら取り囲んだ警察やマスコミの裏をかく攪乱情報を流して自分たちに有利に事を進める手もあったはず。
彼らは何カ月もかけて計画を練って来たのだ。
人気取りのための実況でもあるまいに。それだけなのか?
警察に裏をかかれ多数の人質を逃がしてしまったし。

何にしても戦争状態になれば情報戦である。
これに尽きる。
これだけスマホを使うならもう二捻り欲しいところ。

RUN HIDE FIGHT003


今日は事務手続きで東京某所まで電車を乗り継ぎ数時間かけて行き、書類審査は一発で通ったが、往復だけで大変疲れた。
帰宅後、長女に頼まれ100円ショップに猫ちゃんグッズお買い物と来た(わたしは部活で疲れてるもんだと)。
フラフラの状態であったが案の定、こういう時(体調不全時)に低周波ねずみ男が往々にして出現する。
特に今日は最悪な状態であった為、超低周波最下劣ねずみ男ときた。
暫く目にしていなかったので、まだいたのか、と言う感じ。お前、まだいたのか?
こんな時に(奇怪な)現実にハタと気づく。

何やら捻じれた場(襞)の上に次元の異なるものが微妙なバランスで行き交っているという感じ。
世紀末などとっくに過ぎ、戦争で変わるものなど何もないし、予言も届かぬ地平で、この先も同じように世界は続くのか、、、。




Wowowにて









ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー

Rebel in the Rye001

Rebel in the Rye
2017
アメリカ

ダニー・ストロング 監督・脚本


ケネス・スラウェンスキー『サリンジャー 生涯91年の真実』原作
ベアー・マクレアリー 音楽

ニコラス・ホルト、、、J・D・サリンジャー
ゾーイ・ドゥイッチ、、、ウーナ・オニール (劇作家のユージン・オニールの娘)
ケヴィン・スペイシー、、、ウィット・バーネット(コロンビア大学創作文芸コース教授、ストーリー編集長)
サラ・ポールソン、、、ドロシー・オールディング (出版エージェント)
ブライアン・ダーシー・ジェームズ、、、ジルー
ヴィクター・ガーバー、、、ソル・サリンジャー (父)
ホープ・デイヴィス、、、マリアム・サリンジャー (母)
ルーシー・ボイントン、、、クレア・ダグラス(二度目の妻)
ジェームズ・アーバニアク、、、ガス・ロブラノ
アダム・ブッシュ、、、ナイジェル・ベンチ
ジェファーソン・メイズ、、、ウィリアム・マックスウェル


「たとえ見返りがなくても、生涯をかけて物語を語る意思はあるか」
作家は、これに尽きる。
「作家にとって最も大切なものは“声”だ」
確かに個性だ。
コロンビア大学で、人生最初の師ウィット・バーネットと出逢う。
映画は『ライ麦畑でつかまえて』で一躍時代の寵児となった後、彼が何故隠遁生活に入る必然性があったか、その流れを描いてゆく。説得力はあった。ニコラス・ホルトのJ・D・サリンジャーはまさに成りきっていた感じ(笑。

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わたしは、サリンジャーがどうのと語れる読者では全くない。
いつ読んだかも覚えてないが、書庫に「ライ麦~」「ナインストーリーズ」と「フラニーとゾーイ」はあったはず。
この映画でかなり彼について知ることがあり、その面で勉強になった(勿論、物語の脚色を差し引いても)。

「マディソン街の反抗」から加速しはじめたか。
『ニューヨーカー』お得意の二箇所の訂正を彼は突っぱねる。
結構、初期から一貫して生意気でしっかりしているが、歪さも目立つ。
こじゃれたセレブ御用達のナイトクラブで見染めた劇作家のユージン・オニールの娘と恋人同士になる。
後に恋人とか家族とか友人などという人との付き合いには一切向かない人間だと自己分析するのだが、奇麗な女性を見ると必ずアタックしていたものだ。この辺、微笑ましい。

Rebel in the Rye002

しかし彼は基本、ひたすら書き続ける(だけの)人間なのだ。
太平洋戦争勃発により、戦時下に内容が合わないことから「ニューヨーカー」掲載は延期となる。
こういった時期は悉く、退廃的な側面が感じられる作品は、却下されるものだ。
そういえば、彼の作品は映画化も本作くらいか(生前、映画化の誘いは全て断っていた)。
トルーマン・カポーティは(対比的に急に思いついたが)、随分、映画と絡んで人気を得て来た、、、
『アラバマ物語』では作中人物で人々に知れ渡り、『ティファニーで朝食を』は余りに有名である。
まあ彼の場合、目立ちたがり屋のゴシップ欄の常連で、かなり対照的。幼いころから裕福なサリンジャーと親戚に厄介になりながら転々と過ごしたカポーティ。メディア~社会への出方が余りに異なる。何というかサリンジャーにはカポーティみたいなノンフィクション・ノベル『冷血』のような展開もない。ここが隠遁とも繋がる一要素だろうか、資質的にも、、、突然の思い付きだが。

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ヨーロッパに派兵されたサリンジャーであるが、どんなときにも小説の執筆は続ける。
そんな折、ウーナがチャップリンと結婚と言うニュースが入り、衝撃を喰らう(帰りを何時までも待つわ、はどうしてくれるの)。
過酷な戦地に送られ毎日が死との隣り合わせで、友が戦死し続けトラウマになっているところで、ダメ押しとも言えよう。
その後、彼の部隊は更に厳しい前線に送られる。
あのノルマンディ上陸作戦にも加わっていたのか?
トラウマ~PTSDに後々まで苦しめられることに。この辺の描写は説得力がある。
特に氷に固められ凍死した親友をスコップで掘り出そうとするがまるで歯が立たないところなど、、、
フラッシュバックで飛び起きたりと、悪夢が止まない。

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1946年に帰国したサリンジャーは家族にドイツで結婚した妻を紹介するが、直ぐに離婚する。
「選集」の出版をバーネットに託すがうまくいかず、絶交状態になる。
その後、深刻になる精神状態を調整するため禅に救いを求め、瞑想を取り入れる。
この瞑想生活は長く続く。
そんな中で執筆された長編『ライ麦畑でつかまえて』が空前の大ヒット作となり一躍有名に。

「何で僕のこと知ってるんですかあ」などと彼の本を抱えて彼の帰宅を待つ不気味なファンたちに悩まされる。
サリンジャーの小説は、特に青年層にはまるで自分のことを代弁してくれているように思えるものであった。
確かに頑迷な保守層からは睨まれるにせよ、現実世界に居場所を感じられない帰属意識を持ちにくい層には激しい共感を与えた。
心配した父には本に顔写真を載せるなと忠告される。
親としてはそうだろう(彼は親には恵まれている)。

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彼に稼げる仕事を勧めていた父も作家としての才能を認め応援するようになる。
何と父もピアニストを目指すが父に反対され実業家の道を歩むこととなったのだった。
世間との関りを最小限にしたい彼は、ニューハンプシャー州コーニィッシュに広大な土地を手に入れそこで祈るように書くことを続ける。
クレア・ダグラスと結婚し、娘が生まれるが、サリンジャーは部屋にこもって書き続ける日々が続き妻との生活も限界となる。
基本、外との関係を絶った生活をしていたが、高校生など若者との対話の場は僅かに保っていた。
だが、ある女子生徒の高校新聞のためのインタビューに応えた際、その記事が地元紙に掲載されてしまい激怒する。
彼を大事に思う親友や親には恵まれたが、女性に裏切られることは多かったみたい。
それからは、完全な隠遁生活を送ることとなった(ウィット・バーネットやドロシー・オールディングとも決別し)。
しかしその間も祈るように書き続けていたのであるから91で亡くなるまで未出版の原稿はかなりの量であるはず。
眠った状態のお宝の山、是非とも読みたいものだ。




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パベットの晩餐会

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Babettes gæstebud
1987
デンマーク

ガブリエル・アクセル監督・脚本
アイザック・ディネーセン原作
ペア・ノアゴー音楽

ギタ・ナービュ、、、ナレーター
ステファーヌ・オードラン、、、バベット (フランスから亡命して来た女性、高級レストラン料理長)
ビルギッテ・フェダースピール、、、マーチーネ (牧師の娘、姉)
ヴィーベケ・ハストルプ、、、若いころのマーチーネ (ローレンスに求愛される)
ボディル・キュア、、、フィリパ (牧師の娘、妹)
ハンネ・ステンスゴー、、、若いころのフィリパ (パパンに求愛される)
ポウエル・ケアン、、、姉妹の父・牧師 (マーチーネとフィリパの父親)
ヤール・キューレ、、、ローレンス・レーヴェンイェルム (スウェーデンの将軍)
グドマール・ヴィーヴェソン、、、若いころのローレンス (スウェーデンの若い士官、伯母の家で謹慎)
ジャン=フィリップ・ラフォン、、、アシール・パパン (著名なフランス人バリトン歌手)


音楽と料理と風景が申し分なかった。
そこに言葉が物語が絡み、、、
こころの栄養になる。
これは何度も観たくなる映画だ。

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やはり最高級の食材を最高の腕を持つシェフが扱えば、それは最高に旨いフランス料理になるはず。
要所に讃美歌~音楽が注がれ特上の美食に酔うこととなる。
まさにこれこそ芸術である。

映画を観ながらさぞや美味しいだろうと分かった気になれるものはそうはない。
グルメ番組など見てもまずない。
こちらまで豊かに満ち足りた気分になってしまうのだ。

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色味がとても古風で淡々とした宗教的な雰囲気に合っていた。
19世紀のユトランドの荒涼とした光景。
ここにも宗教的な美しさがあるが、人々は質素で慎ましく、どうしても閉塞的ではあるが、、、

村人誰もから尊敬される牧師の美しい2人の娘に求愛する2人の男性
何れも余所者だが、若い士官は自ら身を引き、パリから来たバリトン歌手は父を通して断られ去って行く。
そのふたりは、後に物語に重要な役割を果たすにせよ、バペットの出現により彼女を中心とした展開になる。
前半の慎ましやかな光景が後半から打って変わる。
北欧の痩せた土地に根差す質素な食事と贅を尽くしたフランス料理の対比が鮮やか。

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老姉妹の家で未だに敬われる父の生誕100年を祝う晩餐会が開かれることとなる。
晩餐を企画するのは宝くじが当たり10万フランを手にしたメイドのバベットであった。
フランス革命で夫と息子を殺され自身も処刑されそうになったところを辛うじて助けられデンマークに亡命してきた女性である。
ブルジョアなのだ。
彼女をこの家に紹介したのが以前、妹フィリパ の音楽の才能に驚き、彼女に歌を教えパリに誘うつもりが断られたパパンであった。

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この超豪華な晩餐会に緊張感が漲る。
プロテスタントに反する食材なのか、彼等にとって馴染みのなさも充分あろう。
警戒していた晩餐会に人々は結託して料理を無視ししようとするが、余りの美味しさに引き込まれていく。
終盤は、夢中になって舌鼓を打って食べている姿が微笑ましい。
美味しいものは人を解放させ蟠りも解いてしまう。

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若き日に2人の元にやってきた士官が将軍となって父の生誕百年を祝う晩餐会に参加する。
長い年月を経ても姉は直ぐに気づく。
この将軍相当な美食家でワインの銘柄と何年ものかも舌で当ててしまう。
彼はこのフルコースの作り手までも当てる。
何という高級レストランの何という料理長であるかまで。その通りなのだ。
まさに彼女なのだ。
将軍もシェフも大したものだ。
この将軍の様子と他の参加者との関係がコミカルで面白い。

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男の子の給仕がなかなかのもの。ほぼプロだ。
御者も和やかな感じでまかないを食べては微笑む表情がよい。
バペットの調理の過程も臨場感を持って細やかに描写される為、その場に立ち会うようなワクワク感がある。
相当な役作りをして望んでいるはず。
賞を取っていることも頷ける。

絢爛たるフランス料理のフルコースに、目を見張る。
しかしよくバペットは、14年に渡り老姉妹のもとでビールパンを作り続けたものだ。これだけでも尊敬に値しよう。

Babettes gæstebud012THE BROOD001Babettes gæstebud011Babettes gæstebud010

シェリー酒のアモンティラード、発泡ワインのヴーヴクリコ、赤ワインのクロヴージョ、ブランデーのフィーヌシャンパーニュなどなど、知らない高級品目が幾つも出てきてありがたい気分にもなった(笑。
コーヒーとブランデーは、一緒に飲むのか。色々勉強になる。
豚の頭より牛の頭の方が不気味でないことに気づく(あくまでも個人的に)。
わたしはウズラのパイもコリコリ香ばしそうで興味は持ったが、キャビアとクリームチーズてんこ盛りが、なによりも食べたい。
海亀のスープもだが。

これはプロテスタントに対するカトリックの悪魔的誘惑なのか。確かに姉が悪夢も見てたな。
食事の味は、感じないようにして牧師のことだけ話すとか言っていたが、話の内容も和み場が多幸感に溢れてゆくのが分かる。

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食材に、ワイン、シャンパンなど大変高価なものを使っている為、宝くじで当てた賞金は全て費やしてしまった。
フランスには元々帰れない身ではあるが、その上に無一文になってしまう。
お金がなくては大変ね、と心配する姉妹に、、、
芸術家は貧しくはありません、とバペットの言葉。

この物語は言葉も美味しい。
若い頃、夢を諦めた将軍の言葉も、、、この美しい世界では全てが可能なのだ。
この前の言葉に、選択の結果を恐れるなかれ、われわれには等しく神の栄光が与えられる。

まさに、そうだ。
その通りだ。

この2つは特に刺さった。

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最後の音楽がまた素晴らしかった
どの歌にも心を打たれたが、最後の曲はことの他素晴らしい。
天国に持って行けるものは人に与えたものだけ、、、
確かに。

幸福というものが何であるのか感じ取れる映画であった。




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ザ・ブルード/怒りのメタファー

THE BROOD002

THE BROOD
1979
カナダ


デヴィッド・クローネンバーグ 監督・脚本


オリヴァー・リード、、、ハル・ラグラン博士(精神科医)
サマンサ・エッガー、、、ノーラ・カーベス(患者)
アート・ヒンドル、、、フランク・カーベス(ノーラの元夫)
シンディ・ハインズ、、、キャンディ・カーベス(ノーラとフランクの娘)
スーザン・ホーガン、、、ルース・メイヤー先生(キャンディの担任)
ナーラ・フィッツジェラルド、、、ジュリアナ・ケリー(ノーラの母)
ヘンリー・ベックマン、、、バートン・ケリー(ノーラの父)
ゲイリー・マッキーハン、、、マイク・トレラン(ハル・ラグラン博士の患者)


ヴィデオドローム』テイストはしっかり窺えた。「スキャナーズ 」、「ザ・フライ」にも繋がってゆく初期の傑作と言えよう。
ノーラという患者はハル・ラグラン博士の理論~実践の成果をそのまま体現する女性であった。
彼の著書にある通り「怒りの形」を実際に産み落としてゆく。

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憎悪を実体化させる実験は舞台で公開もされていた。
なるほど、患者たちの体の疣と言うか痣みたいな跡はその過程で生じたものなのか。
この作品は全てメタファーではなく実体で来る。

それらの創造を全てあのロールプレイで可能にしているとすると、、、
生体の持つ可能性、ことばの力を最大限に引き出しているとも謂えよう。
とても激しく気持ち悪いロールプレイにより、グロテスクなクリーチャーが創造されるのか。

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しかし誰もが成功しているわけではなく、ノーラの身体にだけ実現しているらしい。
彼女の身体に出来た腫瘍から怒りの形がまさに生まれ出てくるのだ。解釈や認識の問題ではない。
そしてかなりの多産に見える。納屋のベッドに鶏みたいに、いることいること。謂わば私設テロ集団だ。

ノーラが邪魔者と感じる者の処に、臍のない凶悪な子供小人が直行する。
あの体型なのに機動性が凄い。であるから余計に恐怖を呼ぶ。
何処にでも瞬時に現れるように見えるが。

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同じ精神病施設の患者マイクの言うようにノーラは女王蜂なのだ。
例えではなく、そのものであった。
怒りが実体化したものが、あの不気味な殺人小人機械というのが妙にしっくりしてくる。

そしてその代謝機能のない完結した身体はガス欠により死ぬ。
怒りの兵器でしかない(短時間使い切りの)。
子供のような姿をしているが人ではなく、生物とも呼べそうもない(代謝がなく閉じている)何者か。

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そう悪夢が現に接続して流れ込むように彼らはやって来る。
するとノーラとフランクの一風変わった娘キャンディも充分その資質を受け継いでいそうだ。
第二のノーラかも知れない。身体に既にその兆候が窺える。

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大概映画に出て来る子役は可愛らしい場合が多いが、この映画の子共は皆、可愛らしさとは無縁だ。
不気味この上ない。キャンディなど特に。
可愛いのに怖いところも見せるとかいうものではなく、人らしさがない。

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子供の扱いからしてまるで違う映画であった。
後のデヴィッド・クローネンバーグを見ると、如何にもという作品である。
拾い物。



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エージェント・ウルトラ

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American Ultra
2015
アメリカ

ニマ・ヌリザデ 監督
マックス・ランディス 脚本

ジェシー・アイゼンバーグ、、、マイク・ハウエル(コンビニ店員、アニメおたく)
クリステン・スチュワート、、、フィービー・ラーソン(マイクの恋人、CIA)
トファー・グレイス、、、エイドリアン・イェーツ(CIA)
コニー・ブリットン、、、ヴィクトリア・ラセター(CIA)
ウォルトン・ゴギンズ、、、ラファ(CIA、マイクと同じ被検体)
ジョン・レグイザモ、、、ローズ (マイクの親友)                  
ビル・プルマン、、、クルーガー(CIAの上官)


自分に封印されていた能力が或る時覚醒して、自分が何者か分からなくなり、自分を消そうと襲い掛かるものが後を絶たず、恋人も何者なのか疑いが生まれ、なにも信じられないところまで追いつめられる主人公。
能力の発現とともに自分と自分を取り巻く世界が一変するのは当然だとしても、それが殺戮~ひたすら殺し合いの世界となり、どうやら自分はそのために作られたエージェントであることを知るのである。最高の恋人と思っていた彼女もその企みに携わる組織の一員であったことが分かってしまう。

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状況に対して反射的に発現する自分の戦闘能力に驚愕し戸惑いながらも孤独と虚しさに打ちひしがれる。
しかし自分を助けようと必死の協力者の存在も認識し、恋人も自分を本当に思ってくれていることが確認できる。
それで何とか持ち直してゆく。
相手が敵側のCIAでも自分の味方はいるのだ。
まあ、そういうものだ。
味方に見えても敵はいるし。
その意味では、彼は恵まれている。

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それにしてもCIAの狂いっぷりはコメディだ。
タガが外れ誰彼構わず殺してゆくのがひとりの元事務職の突飛な馬鹿の指図によるというのもある意味、組織の盲点なのか。
なんでこんなのが指揮官の立場に立ってるのか。しかしたまたまあることだ。
かつて極秘に試みられたウルトラ計画の唯一の成功例がマイクであり、その計画自体を完全に闇に葬る為に彼を組織絡みで抹殺しに来たのだった。TVを使って情報操作も堂々と図る。しかし極秘の計画を葬るのにここまで大っぴらに街中を巻き込んでどうやって収拾する積もりなのか。
確かにコメディである。
だがコメディにしてはそれほど笑える部分もない。スマートでもない。その意味ではかなりダサい。
妙にシリアスだったりする。扱っている問題が思いの外、重いのだ。

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示唆的なのは、無意識(識域下)に膨大な情報を格納させ、それを何らかのトリガーによって一気に浮上させる、そんなシステムが組まれたら、大変なことになる、ということ。当然、制御機能もセットされるはずだが。マイクの場合、居住地区を離れようとすると体調を崩し出られないようになるというのもその一つだ。
しかしマイクはそのような情報~武器をセットされていても自分の人格を保ち、ホントに必要なものを守ることが出来たが、同じように特殊能力~武器を仕組まれたラファは自分で自分を支配できない。
指示に従い行動し任務を遂行するだけ。マイク以外は皆こうらしい。
マイクは能力を利用しながらも自分をもっている。
ここがCIAに狙われた原因である。

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誰であってもプレーンな存在などいない。
無意識的でも意図的な操作を幼年期から受けて育ってゆくことには変わりない。
親や共同体、宗教、習慣・風習、文化(歴史)、体制、、、
これは不可避であり、自分であろうとすれば自分を相対化(超脱)して問題部分を意識化しなければならない。
桎梏から解かれるにはそれしかない。

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体制側からして兵士ではなくスーパーマンになられては当然都合が悪い。
しかも最高の彼女がいて普通に暮らしていける。
だが、最後のマイク作のアニメに切り替わるシーンから見ると、二人はカップルでCIAの仕事を熟しているのか。
まあ、自主的にやっている仕事であるなら、ある意味、WinWinであろうが。
微妙な立ち位置のスーパーカップルである。
これはこれで良いのか。

今一つ、クリステン・スチュワートの魅力が発揮されていなかったような、、、。



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海底47m 古代マヤの死の迷宮

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47 Meters Down: Uncaged
2019
アメリカ

ヨハネス・ロバーツ監督・脚本
アーネスト・リエラ脚本

ソフィー・ネリッセ 、、、ミア(サーシャの妹、いじめられっ子)
コリーヌ・フォックス 、、、サーシャ(ミアの義姉)
ブリアンヌ・チュー 、、、アレクサ(サーシャの親友)
システィーン・スタローン 、、、ニコール(サーシャの親友)
ダヴィ・サントス 、、、ベン(グラントの助手)
カイリン・ランボ 、、、カール(グラントの助手)
ブレック・バッシンジャー 、、、キャサリン(いじめっ子のボス)
ジョン・コーベット 、、、グラント(ミアの父、探検家)
ニア・ロング 、、、ジェニファー(サーシャの母、ミアの義母 )


森の中にぽっかりできたラグーンは素敵だった。
サメがいたのでは興醒めだが(笑。
あんなところで、水遊びしたら(危険がなければ)最高だろう。
しかもそこを潜れば、ミアの父グラントが調査中の古代マヤ文明の海底遺跡がある。
ホントは観光客と一緒に船のガラス張りの底からサメを眺める予定を一気に変更して無謀な海底洞窟冒険を選んでしまう。
気持ちは分かる。そういう年頃だ。
4人(ミア、サーシャ、アレクサ、ニコール)でそこに飛び込んだことで運命が決まった。

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洞窟の中だと目が発達しないのか、眼のない魚がたくさん泳いでいたが、盲目の巨大ホオジロザメに彼女らは襲われてゆく。
それにしてもアメリカ人は何故こうもサメパニック映画を量産するのか、、、。
この映画は、サメ映画の中ではかなり良質なものだと思うが、サメに対する情熱が如何ほどのものかを窺い知るものでもある。
海底の埋葬洞窟の迷路に迷い込んだだけでも充分パニック映画が作れそうなのだが、サメを出さないと気が済まないのだ。
超高速潮流もあったし、大体遺跡自体も不気味でかなり怖いではないか。ちょいと寄り掛かったくらいで倒れてみたり、、、。
もうパニック要素満載なのだ。

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それから画面が暗い。深海でもあり、サメが突然襲ってくる効果も狙った演出だろうが、暗過ぎるとやはり何やってるか分からない。
(勿論、暗いのが当たり前なのはよく分かるが)。
彼女らそれぞれの心境も分かった方がより怖さも増すように思うが。
サメに追われながら酸素残量を気にして迷路を逃げ回る。途中で出口が塞がったり、やっと会えた遺跡調査の助手はサメに瞬殺されるし、、、急流に呑み込まれそうになるは、、、頼みのロープが途切れているは、、、どの方向が出口になるのかも分からない、、、この閉塞危機状況の連続である。
ここでの攻防に尺が充分取られ、サメ映画のなかでも最もスリリングなものになってはいまいか。
ちょっと希望が生まれると次の瞬間には地獄の底に突き落とされる。
この冒険によってミアは随分頼もしい少女になったとは言え、、、。

最後にスカッと明るい海に出た後の方が寧ろ怖いものであった。
オープンでサメがわんさか襲って来るし、、、。
結局、最初に誘われた観光の船底からサメが鑑賞できるケージ・ダイビングやってるところに出てしまうというのも皮肉である。
いじめっ子がキャ~キャ~サメ見て楽しんでいるところに、サメに襲われパニックになって逃げ惑う姿でお邪魔なのだ。
のんびり彼女らも観光気分でサメを見ていれば良かったものを、、、とこちらが悔やんでしまう。
最初の申し合わせ通り、祭壇を一周したら帰るわよ、と云った通りに帰ればよかったのだ。

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それにしても勇敢と言うか、何と言うか、、、何で餌蒔いて大量のサメを寄せている場所に敢えて泳いで行ったのか。
サメがそこに集まっているのだから、そこから離れた何処かの岸辺に泳いでゆけば噛まれずに二人とも上陸できたのでは。
わたしはあの判断は承服できない。
そこでミアの勇敢さをいじめっ子の目の前で示したのは良いが、余りにリスキーだ。
今一つ不仲でギクシャクしていた義姉妹の仲は良くなったが、払った犠牲は大き過ぎた。
意志が強くなり姉妹の絆が強くなったとはいえ、この事件のトラウマというよりPTSDに今後悩まされることになるのでは。
調査中の父も仲良しの助手も親友も皆、サメの餌食になってしまったのだ。
いじめっ子たちは、ピンピンしてるのに(いじめっ子が食われる設定は考えなかったのか)。

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海は怖いという噺か。サメが凄いということか。
狭い洞窟を体当たり~頭突きで壊してしまうのだ。
ミアとサーシャもガブッと噛まれた時はびっくりしたが、それほど強い嚙み方ではなかったのか。
助手たちのやられ方とは明らかに違う感じではあった。
噛み方がやはりその時々で違うのだ。ふたりはラッキーだったのか。
結局、辛うじて助かったのはミアとサーシャだけであった。

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全体を通し、ハラハラし通しのパニック映画であり、水中での幾つものアクシデントや襲われる場面などのリアリティは凄いもので迫力十分であった。よく撮ったなという印象的なVFXシーンは一杯あった。臨場感も充分。
だが、いじめっ子たちが優雅に船でサメを見て楽しんでいる時を同じくして過酷極まりない深海で何で良い子?の彼女らがあんなに酷い目に遭わなければならないの、という非情さが一番強く感じられたものであった。
アレクサなどとっても可哀そうであったが、、、。

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やはりサメが好きなんだろうね。アメリカ人。




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姿なき訪問者

PHANTOM FROM SPACE001

PHANTOM FROM SPACE
1953
アメリカ

W・リー・ワイルダー 監督(ビリー・ワイルダーの兄)
ウィリアム・レイナー、アレックス・ウェルドン 脚本

テッド・クーパー
ハリー・ランダース
ノリーン・ナッシュ
ルドルフ・アンダース


アラスカ上空で未確認飛行物体発見。
サンディエゴ近郊で姿をくらます。
電波障害がその地域一帯に起こる。
その地区で頭のない潜水服の男にふたりの人間が殺害された情報も入ってきた。
何らかの因果関係が認められ調査に乗り出す。

PHANTOM FROM SPACE002

潜水服と見間違えるヘルメットと強靭なスーツを着た異星人がひとり地上に潜伏していたことが判明する。
電波障害を調査しに来た地球人と遭遇したことで、異星人は身を隠そうとする。
何とその宇宙人、ヘルメット・スーツを脱いで逃げ出した。
脱ぐと身体は透明なのだ。
脱ぎ捨てたヘルメット・スーツを科学者たちが検証する。
ヘルメットには3本のボンベが付いており、その空気組成は地球の大気とはかなり異なるものであった。
スーツは大変強靭な作りであるが放射性物質で出来ていた。
身体構造と文化は大きく異なることは分かるが、身体の形体は人間そっくりなのだ。ただ、見えないのだが。

PHANTOM FROM SPACE003

地球の通常の条件下では光学的に人間の目には見えない身体なのだ。
それで裸で逃げているのだが、彼は地球の大気成分では呼吸して生きることが出来ない。
その為、脱いだヘルメットのところに戻り、暫く被っているのだ。
しかし捕まってはならないと、また脱いで逃げる。
だがまた苦しくなる。ハアハアいっているではないか。
ここではっきりするのだが、彼は計画的に侵略等を目的に地球にやって来たのではないと言うことである。
事故で不時着したようにみられるが、、、。

何やってんだこいつ、と突っ込まれてもしかたない輩である。
最初から潜水服みたいなのを着たままで、事故で地球に不時着して困っている。
救援を呼ぶために通信装置を用意してくれ。
それからわたしが呼吸するための空気が足りなくなって来た。
直ぐに合成を頼むと化学式でも提示すればよいものを。

星間移動の出来る科学力があるのだし、そういう異星間交渉にも長けてはいないのか。
しかし重大な事実が分かる。彼はコミュニケーションツール~スキルを持たないのだ。
こちらも持たないのだ。ほぼドリフのコント状態に陥る。
そうこうするうちに紫外線を当てられると姿が見えてしまうことが分かる。
これでは裸になった意味もない。恥ずかしい。
この異星人、苦し紛れに机をトントン叩いてモールス信号みたいなもので訴えかけるが、科学者たちに直ぐに伝わるものではなかった。女性科学者がその信号をメモするが別に解析する気もないらしい。面倒なのか。
別の科学者が机をトントン叩く。何か閃き、意味を持たせたのかと思うと、単に叩いてみただけであった。
何やってんだこいつら。

PHANTOM FROM SPACE004

逃げて追い詰められ階段の高みに登り今や息絶え絶えの異星人。
あいつは何やってるんだみたいなことを下から見上げて科学者たちが言っているが。
これまでの文脈から言って、もう空気が無くて呼吸が出来ずに死にそうにしているのではなかったのか。
ハアハア言って天を仰ぎ、苦しみに悶えていることを認識すると、、、
どうやら死にそうになると身体が不透明になるらしい、とか気づいて呑気に言い始める。
確かにはっきり見える身体になってしまった。
ジェスチャーで何か訴えているが、もうダメという感じで床に落下し、彼は気化してしまう。
何なのこれ。

きっと監督、エド・ウッドだろ。と思ってクレジットみるとW・リー・ワイルダーというビリー・ワイルダーの兄だそうだ、、、。
どういう兄だ?
ともかく、出て来る連中が皆どうかしている。
何を鑑賞する映画だったのか。
特異な文脈にある変な人々(異星人を含め)を唖然として眺めるハイパーな作品だったのか。
疲れている時に関わる気にはなれないものである。
(疲れてなくとも)。




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色あせてカラフル

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2015

横山久美子 監督・脚本

佐藤玲 、、、奥本カナミ(23歳)
水間ロン 、、、悠木新
黒羽麻璃央 、、、吉岡晴一郎
落合モトキ 、、、透吾
岩井七世 、、、山口
田中要次 、、、店長
研ナオコ 、、、ネギおばさん


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「トリウッドスタジオプロジェクト」(「学生による商業映画制作」の企画で東京ビジュアルアーツと下北沢トリウッドが立ち上げたもの)の第10弾作品だそうだ。
学生監督であるが、特に意気込んで危うい試みなどせずとても誠実に丁寧に作ったものだと思う。

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キャストもヒロイン佐藤玲は瑞々しくて好感が持てた。
脇に田中要次 と研ナオコというベテラン俳優を配して贅沢に決めていた(ギャラは大丈夫なのか)。
ただその他の役者はかなりイマイチであった。
役者の技量だけでなく、演出(脚本)の問題でもあったか。
特に吉岡晴一郎というとても厚かましくて不自然なキャラとか、必要だったのか、、、。
鬱陶しいだけで要らないと思うが。
実際に居そうもない特異なキャラを出して誰にも通じるこころの在り様を提示しようとしているが、無理がある。

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奥本カナミは、今も過去のトラウマに囚われ続ける。
そのトラウマが現在も何らかの事情で更新され続けるような状況に置かれている場合、それは過去の問題ではなく現在進行中の問題となるが、彼女の場合、すでに原因となる事柄からは解き放たれているのではないか。
それは毎朝、鏡を見る自分が一番よく認識していることであろう。
ちゃんと恋人も出来ていたし、また新たに声をかけられ付き纏われてもいる(わたしにはとってもウザイ奴にしか思えないが)。
周囲の人たちにも気を掛けられている。

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痣が顔に在ったころの母親との関係も決して悪いものではない。
寧ろこころの温まる記憶が多いようである。
痣のある頃も酷くいじめられていた訳ではなく、自分から消極的になり殻に籠ってしまっていたようだ。
であるならば、昔の記憶がフラッシュバックしては今現在の文脈に危害を与えるものもないのでは。
単に拘りとして悪い癖が残っている、そんな症状に思える。
深いトラウマをもった人は自分も周囲との関係も破滅的に持って行ってしまう傾向は往々にしてある。
(これはこれとして場合によっては良いカウンセラーにつく必要もあろうが)。

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彼女の場合、今現在がチャーミングであるせいか、人が好意を抱いて寄って来るので、その付き合いの中で外界に対する良いイメージは拡張して行くはずである。つまり時間の問題でもあるか。
単に好意的な接近というだけでなく、不動産屋の幼馴染みたいに(正当な)意見をぶつけてくる人間もとてもありがたいものだ。
気晴らしになる相手もいればなおのこと、、、晴一郎がそれほど有用には思えないが、彼女が良いのなら別に文句ない。

この作品、元の発想自体は良いと思うがその具体化における処々の問題である。
噺に共感や説得力を感じることが出来ないのは何故なのか。

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まずは、昔のトラウマが現在どういう形として(変形して)更新されているのか分かりにくい。
そして近傍の主要な人物がどういった作用を及ぼしそれを彼女がどう受け取り反映させてゆくのか。
それが今一つわかるように描かれていない。というよりちぐはぐな印象を受ける。

素材的にもコメディでもないしワザとらしい配役は避けるべきでは。
ネギおばさんもいくら何でも突飛すぎる(どういう効果を狙ったのか。トリックスターにしてもあれはちょっと)。
あの時点で美容院を何でそんなに簡単にやめてしまうのかも疑問。
そこに勤める先輩などが実はとても良い(ロール)モデルとなってくれるのではと感じられたが。
その他にも何でここでこういう反応が起きるのか、その必然性に気になる点が少なくなかった。

まず最初の構想をもう少し練ってみてはどうか。
ラフスケッチの段階で、大事な流れがくっきり素描出来れば、少なくとも破綻はなくなるはず。
あとは素材の活かし方と内容~流れのブラッシュアップをしっかり図ってもらえれば、、、

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ともかく誰でも何らかのものを抱えて生きているんだぞ、ということである。
しかし、そりゃそうだ。普通でしょ。
次回作を期待。



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結局、お子様用スタディパソコン買う (02/20) の”mouse E10”






その女諜報員 アレックス

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Momentum
2015
アメリカ

スティーブン・カンパネッリ 監督
アダム・マーカス 脚本
ロラン・エケン 音楽


オルガ・キュリレンコ、、、アレックス・ファラデー (元CIAの諜報員、強盗)
ジェームズ・ピュアフォイ、、、ワシントン(上院議員の配下の殺し屋、リーダー)
モーガン・フリーマン、、、上院議員 (戦争を画策する)
リー=アン・サマーズ、、、ペニー・フラー (アレックスの元カレケヴィンの妻)
コリン・モス、、、ケヴィン・フラー (アレックスの元カレ、強盗)
シェリー・ニコール、、、クリントン (上院議員の配下の殺し屋)
リチャード・ロシアン、、、ジェファーソン (上院議員の配下の殺し屋)
フロムラ・ダンダーラ、、、マディソン(上院議員の配下の殺し屋)
グレッグ・クリーク、、、モンロー (上院議員の配下の殺し屋)
カール・タニング、、、ダグ・マッカーサー (上院議員の配下の殺し屋、リーダー)


「運動量」
確かにかなりの運動量であった。

まず、諜報員ということから、悪の組織に潜入捜査する過程での強盗団の一員としての働きなのかと思っていたら、そうではないことが分かる。
それではルパン三世とかキャッツアイみたいな盗賊主人公の映画かしらと思ったらそうでもなく(盗賊は、たまたまみたいで)、、、悪徳上院議員が戦争を画策しそれによって議席を掴もうとする陰謀をこともあろうにUSBデヴァイスにしまっており、ダイヤと共に銀行に預けておいたら、ヒロインたちはその金庫を襲撃してダイヤとUSBを泥棒してしまった。あくまでも狙ったわけはなく。
悪徳議員配下の殺し屋から彼らは狙われることとなり、噺の大部分がこの暗殺者軍団との攻防の様子が描かれることに、、、。つまりアクション映画である。単にオルガ・キュリレンコのアクションを見せたいのであった。

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オルガ・キュリレンコが美しくて強いというはまり役。昨日の「15ミニッツ・ウォー」よりも彼女らしい。
どちらにせよ、応援したくなるヒロインである(得な人だ)。どんな役柄であろうとオルガ・キュリレンコであるがために。
美しくてやたらと強い女性の映画と謂えば、、、他に、、、
アンジェリーナ・ジョリー『トゥームレイダー』『ウォンテッド』『ソルト』、ミラ・ジョボォヴィッチ『バイオハザード』、シャーリーズ・セロン『イーオン・フラックス』『アトミック・ブロンド』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、シアーシャ・ローナン『ハンナ』、ジェニファー・ローレンス『レッド・スパロー』等々、、、わたしは余り知らないが、この辺が直ぐに浮かぶところ、、、。
オルガ・キュリレンコもこの人々と堂々と渡り合う。

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この上院議員かなりのもの。過去の権力者と同様に国の運命を決める事件を起こすと、、、。
(モーガン・フリーマンはこの手の役も多い)。
例の911と同じような、ということらしい。あれもこの上なく酷い自作自演劇であった。
詰まり強盗団を悪の黒幕軍団が追い詰めようというもの。
ダイヤはともかく、USBメモリは必ず取り戻せとモーガン・フリーマンがドスを効かせる。
そこで起こるバトルアクションが見どころというところか。

ヒロインは元CIAであるが、対象の救出は成功したが事故で彼の妻子を死なせてしまったことで追放されたらしい。
暗い過去を持つヒロインだが元カレの誘いで強盗団に参加してしまうという。
かなり迷走する人生を送っているわけだ。
冒頭で一緒にやっていた連中は相当いかれた輩であった。
ある意味、落ちるところまで落ちている。

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そういう人って投げやりで自堕落な生活を送りがちかと思われるが、しっかり自分の身を守り強かに生きている。
実際これだけの知性と行動力があるなら自分で事業でも起こしてやって行けると思うが、今回例の上院議員を怒らせてしまったため、最初のワシントン率いる暗殺団は壊滅しても、もっと手強いマッカーサーが控えている。
とことん追い詰め殺すと息巻いており、どうするつもりなのか、、、。
終盤は明らかに続編を匂わせる流れで、警察にもかなりの敏腕刑事と思しき男が登場する。
元カレの奥さんでアレックスを毛嫌いするペニーとも協力し最後の締めをそつなく熟し国外脱出にも成功するが、、、
飛行機で飛び立つ彼女の電話は、マッカーサーに繋がる。
不穏な雰囲気が広がり、、、

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しかしこの続編はあるように見えないのだが、、、
本作が2015であるから、もうこの先は無理であろう。
思わせ振りでおしまい。残念だが、、、。

そして、イカレタ邦題に対する罰則規定はないのか。
ちょっとしたニュアンスの違いといったレベルの問題ではない。
全く間違った先入観を植え付けて混乱に導き不快にさせる邦題は、明らかに問題である。
これをつけたバカは許すことは出来ない。

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オルガ・キュリレンコがヒロインでなければ、ほぼ見る価値のない映画かも知れない。





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15ミニッツ・ウォー

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L'Intervention
2018
フランス・ベルギー

フレッド・グリヴォワ 監督・脚本
ジェレミー・グエズ、イレーナ・エプスタイン 脚本
マイク・クルツァー、ファビアン・クルツァー 音楽

アルバン・ルノワール、、、アンドレ・ジェルヴァル大尉: ( GIGNの狙撃班リーダー)
オルガ・キュリレンコ、、、ジェーン・アンダーセン: (アメリカ人女性教師)
ケヴィン・レイン、、、バーカッド: ( 犯人グループのリーダー)
ヴァンサン・ペレーズ、、、ファヴラール将軍: (現場の指揮官)
ジョジアーヌ・バラスコ、、、ミシェル・サンピエリ: (ジェルヴァルの上司)
ミカエル・アビブル、、、ジョルジュ・カンペール: (ジェルヴァルの部下)
セバスティアン・ララン、、、ピエール・カズヌーヴ中尉: ( ジェルヴァルの部下)
ギヨーム・ラベ、、、ジャン=リュック・ララン: (ジェルヴァルの部下)
ダヴィッド・ミュルジア、、、パトリス・ロルカ: (ジェルヴァルの部下)
ベン・キューラ、、、フィリップ・シェファー: (米国から内密に派遣されて来た軍事顧問/CIA)


「介入」
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1976年フランス最後の植民地だったジブチで、子供らを乗せたスクールバスが、独立派武装組織のメンバーに乗っ取られた事件~実話から作られた作品。伝説的な救出作戦であったという。
ソマリア国境地帯で立ち往生する生徒30人を乗せたスクールバス。
フランス政府により、ジェルヴァル大尉をはじめ、トップクラスのスナイパー5人による特殊制圧チームが編成され現地に到着する。そこはすでに暑さと恐怖による生徒のケアや犯人の要求からして一刻を争う状況にあった。
直ぐにアンドレ大尉の指示で特殊制圧チームが狙撃場所を設置し作戦の決行準備を整える。
子供たちの教師ジェーンも駆けつけ、バスに乗り込みパニックの子供たちの心身のケアをするが、、、。
司令部は、準備万端の狙撃チームに対し決行命令を出さないで引き延ばしてゆく。

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いつの間にか連絡で集まったのか、付近には中立の立場のソマリア兵とKGBらしき兵も控えていた。
これに緊張する狙撃班。状況が難しくなってゆく。
大変きな臭く不安定な状況になり、フランス政府も決断を引き延ばすばかり。
現場~現状無視の外交筋の意向が優先され、子どもたちを安全に救い出すタイミングを何度も潰され、無駄に膠着時間が過ぎ、危機的状況が膨らんでゆく。
ただ只管フランス政府からの命令を待つ状況に、暑さからスナイパーたちも限界を超える。

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こういう事態では、政治的にどうあれ、人命救助を最優先に考え、現場の見識をもとに作戦を実行するしかないはずだが、ピント外れの政治的交渉などして危機的状況を呼ぶほど愚かなことはない。
穏便な解決を狙い金を積んだところで、犯人の要求が政治犯の釈放とジプチの独立なのだ。
更に犯行グループを刺激してしまう。
24時間を過ぎてお互いの消耗も激しくなり、深夜の犯行グループお迎えのバスが来れば生徒たち人質は皆殺害される。
タイムリミットが近づくのに、政府側は犯人がバスに一人残る状況まで待てという荒唐無稽な命令を変えず、実質何もやるなという姿勢を維持した。

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司令部の出撃命令は永久に出ないことを悟る大尉。
みすみす犯行を見送り、家に帰るかという大尉の問いかけに対し隊員たちは、上の命令を無視して救出作戦を決行することに全員が同意する。
作戦は、大尉が当初提示した犯人全員の同時狙撃である。
同時狙撃を果たさないと銃撃戦を引き起こし子供たちに危険が及ぶ。

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圧巻の15分を迎える。
やはり選び抜かれた精鋭の腕は違う。
同時狙撃は見事成功し、現場を離れていた犯人も難なく射殺する。
しかしそれで終わらなかった。潜んで狙撃を果たした場所をソマリア兵たちに見つけられ一斉射撃を受けることに。
バスに対しても激しい集中射撃が始まった。多勢に無勢である。当然援護が来ると思いきや、、、。
CIA軍事顧問や現場の指揮官は、全く援護に動こうともせず、たった5人の特殊部隊だけで夥しい兵に立ち向かい子供たちを守ることになる。
大尉の戦略を最初の段階で実行していればこのようなことは起きなかった(余計なソマリア兵もKGBもいなかったのだ)。夜更けには子供を殺害するという警告が出された以上、これがラストタイミングとなる。にも拘らず政府筋は最後まで動かない。見殺し状態である。
教師のジェーンがバスに投げ込まれた手榴弾を敵に投げ返し、死んだバスジャック犯の拳銃で死力を尽くし応戦しているのに。

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因みにアメリカ人教師役のオルガ・キュリレンコはウクライナ出身である。

敵兵は然程訓練を経て来た者たちではなく、精鋭のスナイパーで構成された少数特殊制圧隊の圧勝に終わる。
隊員はジョルジュが足を撃たれただけで皆生還したが、女子生徒が独り最後の激しいバスへの狙撃で亡くなってしまう。
「作戦成功おめでとう」事態を悪化させるだけで何もやらなかった司令官にそう言われ「これが成功と言えるのか?」と憤る大尉。
観ているこちらも腹立たしい。

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スナイパーたち一人一人の個性がしっかり描かれていて最後の圧倒的な銃撃戦においてもサム・ペキンパー的なクールさもあり、エンターテイメントとしての爽快さもあった。
この事件を機に、GIGN(フランス国家憲兵隊治安介入部隊)が正式に結成されたという。




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20 センチュリー・ウーマン

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20th Century Women
2016
アメリカ

マイク・ミルズ 監督・脚本
ロジャー・ネイル 音楽

アネット・ベニング 、、、ドロシー・フィールズ(下宿の管理人、シングルマザー、ジェイミーの母)
グレタ・ガーウィグ 、、、アビゲイル・"アビー"・ポーター(子宮頸がんと闘病する写真家、下宿人)
エル・ファニング 、、、ジュリー・ハムリン(ジェイミーの幼馴染、毎晩ジェイミーと添い寝をしている)
ルーカス・ジェイド・ズマン 、、、ジェイミー・フィールズ(15歳の高校生)
ビリー・クラダップ 、、、ウィリアム(大工の下宿人、ヒッピーのコミュニティにも参加)


AmazonPremiumの配信がもうすぐ終わる項目にあったので、特に興味は沸かなかったが観てみた。
だが、やはり噺には、特に引っ掛かるところはなかった(笑。
キャストは皆達者であるのだが、映画としてもいまひとつ。
アネット・ベニングという年輩の女優さんが大変良い味を出していた。
思春期真っただ中の息子との掛け合いもリアリティがある。
エル・ファニングが出るので観るだけはみとこう、というノリで観たのだが。
(LPレコード~当時のロックが幾つも聴けて懐かしいものであった)。

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彼女のように存在自体でインパクトを与えられるという人は凄いと思う。
だが、役どころはちょっと不自然で地味であった。
アビーというちょっと過激なお姉さんのグレタ・ガーウィグも振れ幅のある魅力的な役である。
ジェイミーというその年ごろ(15)くらいなら如何にもいそうという男子が、彼に手こずる年輩の母とその下宿人(写真家)と通ってくる綺麗な女子高生(17)のふたりから色々と面倒をみてもらうという、何とも贅沢な息子なのだ(怒。
1979年、カリフォルニア州サンタバーバラが舞台。

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まあ、この息子、理屈っぽく生意気だが、結構なマザコンでもある。
そこへ、イケてるロックを聴かせてくれる写真家のお姉さんと、毎晩添い寝しに来てくれる綺麗な女子高生ときた。
(エル・ファニングが何で添い寝しに来るのか分からんが、弟の面倒をみに来る感覚らしい。弟って5歳児ではないのだが)。
環境的に良いのか悪いのか分からんが、大人の男性のモデルがやはりいた方が良いとは思われる。

そこで、大工の下宿人ウィリアムが微妙な役目を担う。
とは言え、子宮頸がんの検診で不安を抱えるアビーとできてしまったり、自由人で、規範のお手本にはならない。
車の運転をしてくれるソフトでいい人ではあるが。
最後には、母ドロシーのよい理解者にはなっていた。
トーキング・ヘッズを2人で聴いて踊っていたのがウケる。

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トーキング・ヘッズは良い。
やはりアビーの謂うように、思春期に聴く音楽の影響は大きい。
このイケてるダンスの上手いアビーというお姉さんは良い刺激になっている。
彼を癌科の病院に付き添わせたのも良い。生や性の問題に直面させる経験もさせているがこれはなかなかできないものだ。
ジェイミーの母は進歩的なのか保守的で過保護気味なのか、掴み難いところはあるが、ジュリーの分析するように彼を操作しようとして混乱させている。余計なお節介が多い。もう彼自身に任せる部分を広げなければならない。
ふたりに息子の教育係を頼んでおいて文句をつけるのもまずい。

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息子は自立を急ぎ、ジュリーと男女の仲になろうと決意する。
彼女と車を借りて海辺の街に行くが、、、ジェイミーが愛していると言ってしまう、、、。
ジュリーは幼馴染で親しすぎて性的関係は結べないと断る。
人は相手に対し複数の関係性は結べない。
幼馴染の弟的な間から恋人関係には飛躍できないのだ。

「あなたはわたしを愛してるというけど、それはあなたの考えるわたしであって、本当のわたしではない」と突き返される。
性に関してはお姉さんふたりとも明け透けで奔放であるが、線引きはしっかりする。
結局、彼はその場を去り、母親の元に戻る形に。
そしてかなりの母思いであるのだ。
仲はけっして悪いわけではなかった。

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その後、この下宿人たちはバラバラになり、それぞれが自分ならではの暮らしをする。
お姉さん二人もそれぞれ結婚し、子どもは諦めなさいと医者に宣告されたアビーは2人の男の子を授かり、ジュリーはパリで暮らすが子供は持たないことにしたと、、、。ウィリアムは何度か結婚し陶芸にのめり込んでいるそうだ。
母は1999年に肺癌で亡くなったという。
見るところチェーンスモーカーであった。


まあ何であっても皆それなりに生きるしかないのだ。
死ぬときは死ぬし。
映画で敢えて観るものでもないな。
猫がとても大人しそうで羨ましい(家の猫は目下猛獣である(笑)。







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天使のたまご

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1985年

押井守 原案・監督・脚本
天野喜孝 原案・アートディレクション
菅野由弘 音楽監督
名倉靖博 作画監督
小林七郎 美術監督、レイアウト監修

      声:
少女、、、兵藤まこ
少年、、、根津甚八


チェコの人形劇の趣きがありそこにタルコフスキーを織り交ぜたような、そんな舞台装置。
少女が卵を大事に抱えている。その卵を自分で孵すのだと言う。

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環境そのものが現実界とかけ離れている極めて抽象的な空間であるため、夢の世界が描かれていると考えるのが一番腑に落ちるか。
空は雲で埋まり、赤い空からモローの目玉のオマージュのような機械仕掛けの太陽?が降りてくる。
しかし光を放つ訳ではない。単なる飾りだ。この世界を照らす光源は何処にあるのか。
大変な作りモノで、全体が立ち並ぶ人々のモニュメンタルな彫像でぎっしり埋まっている。
大掛かりなアート作品と謂えようが、見渡す限りの廃墟のなか、これ程の建造物を作成する工場や労働者やエネルギーがあるようには見えない。この唐突なモノは何によって維持・管理されているというのか。そして誰~何者のためにあるのか。
シュルレアリスティカルな光景を誰が愉しむというのか?
打ち捨てられた自動機械なのか。しかし燃料の供給はどうなのか。内燃機関みたいである。蒸気を吹いているし。

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とてもアーティフィシャルな空間で、自然や経済は何処にも存在しない。
一般的な物理法則など関係ないところで独特な事象の動き~節理が見られる。
やはり夢~悪夢か。その完結した世界の循環か。

そもそも生きた人がいない。影のような人(掠れた記憶に辛うじて残った人影)が建物の壁や街路に映る巨大な魚影を追いかけ銛を打っている。
「魚なんてどこにもいないのに」少女は覚めている。それらの文脈からは離れているのだ。
少女と赤い巨大な戦車?に乗って来た少年しか、生きている感じのものがいないのだ。
押井監督らしい巨大なメカ(ギーガーの絵に通じる~エイリアン風のメカ)が夜の街を動いて行くが、やはり動力が何であるのか分からない。
街は全て廃墟である。雨だけは降っている。
この夜を照らす灯~月明かりのような光源は何であり、やはり何処にあるのか?
ポール・デルヴォーの光源に近い。奇妙な夢か。

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「あなたはだれ?」
この問いによって、他者による破れ目ができたのか、、、。問いと疑問。知は常に外部から来る。
突風が吹く。この風も実にアーティフィシャル。要所要所で一陣の風が吹く。
少女の髪が細やかに揺れるが、、、天野喜孝のタッチ。
(心理的な演出による揺れ)。
水の流れもそうか。水は絶えず至るところに流れているが、、、。

但し、少女の内面に同期する音楽(現代音楽)が実にマッチして心地よい。
映像と音楽が分かち難い作品である。
つまりBGVとして流しておいても良いかも。

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基本的に空間は夜の様相を呈していた。
そして水は何なのか。少年は何者か。ただはっきりしているのは、卵の中身は何であるのか、それが知りたいため少女の後をついて行く。
少女は夥しく置かれている瓶に水を汲みその水を通して周囲を観たり、飲んだりしている。
そして時折、赤いゼリー状の食べ物を口に運んでいた。
生きているなら代謝は必要だ。

彼女は卵をどれくらいの間、抱えて来たのか。
ホントに生まれる可能性のあるものなのか(実際の感触はあるのか。少年に確認されたように、全て自分の生理反応の反射ではないのか)。
少女(期)特有の拘りによる行為なのか。
少女が寝ている時に少年がギーガー的武器でその卵を割って立ち去って行く。

少女が気づくと粉々に割れた卵の破片が散らばっていた。
叫び声をあげる少女。
実はこの声優の喋り方、声に酷く違和感があった。セリフは全くいらないと思うのだが。
セリフがこの物語に果たして必要か。

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少女は少年を追って走り、崖から海に落ちてゆく。
落下する少女の姿と鏡像関係を結ぶ水面の少女。
それがピタリと合わさり次の瞬間、少女は深い水の中に沈んでゆく。
その時。彼女はお腹にあるありったけの息を上に向けて吐き出す。
それらの気泡は全て水面に卵として生み出された。

樹木に支えられた幾つもの卵には明らかに鳥の雛が透けて見えていた。
恐らく鳥たちは何百年ぶりか何千年ぶりに孵る事だろう。
(少年がかつて放った鳥が戻らなかった記憶について語っていたが、、、ノアの箱舟か)

例の目玉の機械の群像の中に卵を抱いた少女像が新たに加わっていた。

そういう世界なのだろう。
もう人らしきものは海辺に佇むその少年だけである。



エンディングの音楽が印象的で良かった。





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チャルラータ

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Charulata
1964
インド


サタジット・レイ監督・脚本・音楽
ラビンド・ラナート・タゴール原作

マドビ・ムカージ、、、チャルラータ(ブパチ・ダットの妻)
ショウミットロ・チャテルジー、、、アマル(ブパチの従弟)
ジョイレン・ムカージー、、、ブパチ・ダット(政治新聞「センチネル」紙の編集長兼経営者)
シャマル・ゴーシャル、、、ウマパダ(チャルラータの兄)
ギタリ・ロイ、、、マンダキニ(ウマパダの妻)


モノクロで、とても綺麗で格調高い映画であった。
インド映画だが突然踊ったりしないので落ち着いて観られる。
ブパチ・ダットには美しく文才のある妻チャルラータがいたが、新聞社の経営と文筆に忙しく、他のことには構わない生活を送っていた。
チャルラータは、家に独り、刺繍をしたり読書するだけの淋しく充たされない毎日を送っていた。
外で聴こえる音を頼りに窓からオペラグラスで覗いて愉しむところなど孤独な様子が窺える。

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そんな時に妻の兄ウマパダとその妻マンダキニが仕事を求めてやって来る。
夫のブパチは何と親戚だというだけで、経理の仕事をいきなり任せてしまう(金庫の鍵まで渡し)。
「責任を負うことで人は成長する」という持論を掲げて。
何と言う太っ腹と思ったが、やはりね、、、。

チャルラータも親戚のマンダキニがやって来たことで一緒にカードゲームなどを愉しむが、彼女とはそれ以外の文学の話など全く出来ず今一つ面白くない。
何しろ兄嫁は字が読めないのだ。読書家のチャルラータとは、基本的にそりも合わない。
そこへブパチの従弟アマルが大学の休暇で訪ねて来る。
彼は夫とは異なりノンポリでチャランポランな感じだが、文学専攻のためチャルラータとは話が合った。

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アマルは兄から密かにチャルラータの文学的才能を伸ばす役を頼まれる。
日中、文学談義をしながら彼女に文を書かせるように仕向けたり、していたが、いつしかそれを超えて親しくなってゆく。
周囲に文学のことの分かる者がなく、夫は政治問題にしか興味がなく、新聞作りにかまけている。
その為、ふたりの距離はとても近くなり、濃密になっていった。
そして有名文学誌にアマルの詩が掲載されるとそれに刺激を受けたチャルラータも少女期の物語を執筆し、彼女の小説も掲載される。
彼らはお互いの才能に敬意を示す。

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そんな折に、経理のウマパダが会社の金を盗んで失踪する。
会社は大打撃、信じていた親戚の裏切りに夫は酷く落ち込んでしまう。
アマルは自分の存在が更に兄に負担となることを恐れチャルラータに一言もなく家から立ち去る。
(いい加減な男に見えてかなりしっかりした奴であった)。
チャルラータは、一文無しとなった夫と海辺で、政治の記事を夫が書き自分がそれ以外の記事を書くのでもう一度新聞を始めようと切り出し、ようやく夫もやる気を取り戻す。

アマルからの手紙がふいに届く。
それを夫は手渡し出かけようとするが、その手紙に激しい感情をぶつける妻の様子をそっと見届けた彼は、妻の心の内をはっきり悟り、これまでの自分を顧みることとなった。
彼は新たな決意を胸に妻の待つ家に戻って来る。


無駄のない稠密で見事な作品であった。



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マーダー・ガール 少女の裏の顔

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SECRETS OF MY STEPDAUGHTER
A MURDERER UPSTAIRS
2017
アメリカ

ジェム・ガラード監督
コナー・アリン脚本


ジョシー・デイヴィス、、、シンディ・ケント(母)
ティエラ・スコビー、、、レイチェル・ケント(長女)
キャメロン・バンクロフト、、、グレッグ・ケント(父、弁護士)
アリッサ・スコビー、、、アディ・ケント(二女)
ルチア・ウォルターズ、、、パム・シェルフィス(刑事)
マデリン・グレイス、、、レスリー(レイチェルの殺された友人)

実話を元にした話と言うが、特に驚くほどのものではない。

始めから長女~再婚の母にとっては義理の娘の異常さが窺える(二女は彼女の連れ子みたいだ)。
最後のどんでん返しでそれが分かるというタイプの話ではない。
こちらはずっとサイコパスだと分かっていながら、今度何やらかす気だ、と思いながら観て行くタイプ。
劇中で、それに気づかずずっと行くのは父親と二女であるか。
最後の最後に父親が娘の異常に気付くというどんでん返しに等しいボケぶりを見せる。
(こういう奴は途中で殺されても良いくらいであるが)。

MURDERER UPSTAIRS003

但し、犯行に関して別に計画的に練って行っているわけでもないため、刑事には直ぐに綻びが見えてしまう。
元々狂っていておかしいだけなので、正常な頭脳で完全犯罪をやろうとか言うものではない。
病的・衝動的に他害を続け、場合によっては殺してしまう、といったもの。犬も殺す。
その場その場で芝居を打ち、逃れてきたが、そういつまでも稚拙な言い逃れは効かない。
このケースでは父が弁護士であり少女が未成年であることから、警察が譲ってしまったところがあるが、実際そんなものではないと思うのだが。

ここで、過剰に父が長女に肩入れしてしまったのは、離婚で親権を失い実母が面倒をみていたが彼女の失踪によって娘を引き取ったという後ろめたさがあるからだ。娘は母は薬物依存で金を無心していた、などと訴えていたが実はこの娘の暴力に耐えきれなくなった母が逃げたのだった。この経緯を知らず、娘がどれだけ傷ついたかと勝手に妄想していたのだ。
義母も娘の態度に疑問を覚えながらも自分の立ち位置に拘り遠慮している面があった。
ただ、あなたを救うための方法を見つけ努力したいという姿勢は見せ続ける。これは誠実な態度だ。

MURDERER UPSTAIRS001

しかし長女が友達とバイトしている店から盗みを働いていることなどつゆ知らず、友達がそんなこと止めようと言ったことで逆上し彼女を殺してしまい、自分も自らを傷つけて友達に気のある少年に襲われたと罪をなすりつけ被害者となることに成功する。
担当刑事は、物的な証拠や状況が証言に一致しなかったり、監察医の話ともズレて居るところで、はっきりこの長女を疑う。
(首絞めにせよ、親指の揃う位置からして自分でやったか他人からやられたかなど直ぐに分かってしまう、、、)。
しかし上からの命令で彼女は無罪放免となり後で分かった窃盗も父が全て買い取ってしまい彼女は横暴さを顕にしてゆく。
子供だから記憶の混乱もある、などとまわりも警察も彼女を意味もなく庇ってしまう(この年代と言うのが大きい)。
しかしこの娘と共に暮らしていればいやでもその異常さに驚愕するほかあるまい。
例の友達の葬儀に派手なパーティードレスを着て出かけようとするのだ。完全にタガが外れている。
義母がそれを叱ると殴打してきて彼女も首に傷を負う。
それでも目覚めぬ弁護士の夫。刑事のパムに泣く泣く訴えに行くが、証拠を掴んで欲しいと。警察も安々と動けない。

MURDERER UPSTAIRS002

果ては、今の家庭の親と妹と疑う刑事を殺してしまおうとするが最後にようやく夫が気付き犯行が阻止される。
緊急事態を悟って駆け付けたパムも娘に不意を突かれ殴られて気絶しているではないか。
この流れが実話と等しいものならかなりの劇場型ではないか。ここは脚色だろうな。演出も効いていたし。
兎も角振り返って見れば、この義母が独りで頑張って来たものだ(それに引き換えお偉い弁護士の旦那の不甲斐なさ)。


この娘が精神病院に入っても治って出てくることはあり得ない。
(何百億年あろうと変わらない)。
もともとがこれなのだ。完全な狂人なのである。わたしの母と同じ(笑。
こういう人間は思いのほか多い。
ゴロゴロいる。
驚くにはあたらないのだが、近くにいたら迷惑極まりないのは言うまでもない。
低周波糞ねずみ男ともども、、、。
いたらホント迷惑至極。



AmazonPrimeにて







トラ(仮、やって来る

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今日は疲れた。
朝、パソコンを家に運んで、操作しようと思ったらBluetoothのMouseが切れてしまいどうしても繋がらない。
半日、試行錯誤したが、ダメでそれを捨てた。また新たに注文した(わたしはどうしてもBluetoothのMouseが良い)。
その後、待ちに待った猫をお迎えする。

猫さんは、なかなか警戒はしているが、こちらのケージにすぐ入り、円らな目で周囲を観察していた。
二週間でケージは保健所に返し、長女の部屋を住処とするのだが、利発そうで人にもそこそこ慣れているようであり心配はなさそう。
それより人同士の会話が忙しい。
流石に猫が好きなボラさんだけあって、猫愛爆発で喋りだしたら止まらないのだ。
説明の内容はよく分かるが。
里親さんは口を出す隙も無い。もともと静かな人のようである。
わたしも猫好きではあるが、あそこまで情熱的に喋れない。

途中、洗濯ばさみはあるか、紐はあるか、適当な膝掛はあるか、そこの窓に面した棚の上は猫がいずれ遊びそうだから全て撤去して、、、等々謂われそれに従い動いていたため、噺を一部始終聴いていたのは長女のみ。
大丈夫か。妻は途中からお茶の用意で席を立ったまま。

里親さんがサンプルで持って来てくれた砂と餌を見て同じものをホームセンターに買いに行く。
帰ってから電気屋に行き、128gのSDカード二枚とスティック状の128g一本とBlu-ray25メディア二束と電池単4しこたま買ってくる。
これはわたしのパソコンライフのため(笑。こちらにはこちらの生活がある。
運動のため全て自転車で回る(天気も良いし~汗びっしょりになった)。
その後、栄養剤も薬屋に行って買ってきた(人間用)。
近頃、酷く疲れやすいのだ(午前中、Bluetoothやりながら、チョコレート三箱食べてしまった。無論ストレスから)。
その後、、、
映画二本観たのだが、いずれも途中から爆睡してしまい、うやむやとなる(爆。

いくらわたしでも、最後どうなったのかわからぬものを書くのは気が引ける。
わたしの書き方なら書けないこともないのだが、、、
もう一度、その二本は見直すつもり(だが、また寝そう)。
ゆるキャン2も一気に観る予定(これはAmazonで)。

猫はその後、こちらの用意した砂の入った便器に気持ちよさそうに座っていた。
餌は食べるところは観ずにわたしは塒に戻る時間となる。

部屋で映画リストを簡単に作りながら、精を付けるため鰻重を食べた。
ゆるキャン2の始めの回でも鰻重を実に美味そうに食っていたが、あれはグルメ番組か?
確かに鰻は美味い。
一方、残念なことも幾つかある。
長女の部屋に暫く入れなかったため、そこに飾っておいた貴重な種類の多肉が幾つも干からびていた。
やはり早めに窓辺の棚は片付けておくべきだった、、、(残。
今日は浮き沈みと言うより、とても疲れる日であった。
最近、絵は全く描いていない。これで良いのか?!


果たして長女が猫をしっかり育てられるかどうか、今後その辺もレポートすることになるのかも。
どうだろうか。
まずは、正式名を決めてもらおう。


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結局、お子様用スタディパソコン買う (02/20) の”mouse E10”





さて

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明日わたしは何になるか?
高い周波数で、軽々と
通底するリゾームを経めぐり。

明日わたしは何になるか?
確かな律動で、飛び飛びに
暗黙の視線を宙吊りにして。

近さの内に次々に飛び込む
目にもとまらぬ速さで
この世の本質は加速度なのだから。

さて
そこでわたしは
何になるのか?


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結局、お子様用スタディパソコン買う (02/20) の”mouse E10”




高周波猫息子到来

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娘が来る予定であったが、土壇場キャンセルとなり、息子となった(笑。
二歳なのでもう仔猫ですらない。
もう猫だと成人である。
体重も6キロあって結構ズシリときそう。

いよいよ土曜日に里親さん、ボラさんと共にやって来る。
今日ケージを長女の部屋に設置し、トイレと爪とぎ、水飲み鉢、猫じゃらし、爪切り用大判メッシュネットまではわたしが用意した。
後は長女がひたすらこだわるブラシである。これはわたしが適当なものを買うと怒るので、彼女を連れて明日ホームセンターにゆくつもり。お気に入りのものが見つかればよいが。恐らくそこで鯛焼きも買うことになろう(娘二人の好物なのだ)。

わたしが子供のころ飼っていた猫たちは、皆基本的に人間と同じものを食べており、父の実家のブチなどは、サツマイモの天ぷらが大の好物であった。猫舌など関係ない。ふ~ふ~言いながら凄まじい勢いで食べていた。
自主的に下の川に降りて川魚を捕って食べたりもしていたし、運動もそこらじゅうを駆けずり回っており26まで元気に過ごした。
今度引き取る猫は室内のみで暮らすことが決められており、慣れてきたらケージから出し、長女の部屋を主に時折ほかの部屋や一階にも降りて遊ばせようかとも思ってはいるが外界には出さない条件である。
これまでわたしは、特別猫のため何をか買って用意した覚えもいない。(飼い)猫環境も変わったものである。
トイレは皆、外で適当に済ませて来たものだし、よく小鳥などを銜えて帰ってきて狩りの真似をひとしきりやってから食べていたものだ。
元来狩猟動物である。
野性的に育てればそれなりに育つとも思えるのだが、、、これまでの飼い主がお気に入りダイエットフードとトイレ砂をサンプルに持って来てくれることになっている。それを踏襲してまずは新環境に馴染ませることになる。

元の名がトラなのだが、体の模様がトラだから便宜的にそう付けた記号みたいなものなので、長女は何か他の名を考えているみたいだ。多分お気に入りアニメのヒーローあたりから拝借するのでは、、、。
面会~面接で顔合わせしたときから、かなり好奇心旺盛で、活発な猫であった。
ケージから可愛い手を出して早速長女は手の甲を引っ掻かれていた(笑。

まあ、わたしのかつての愛猫ホキには遠く及ばないが、とても整ったきりっとした顔つきの猫ではある。
スッキリとして真っすぐ見つめる目が印象的。
これもなかなかの猫に思える。
猫は何処とも知れぬ場所をジッと見ていることがある。わたしもその場所をこそ見たいのだ。
頼むぞ、高周波猫息子。


今からワクワクしている(笑。



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結局、お子様用スタディパソコン買う (02/20) の”mouse E10”





ライト/オフ

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Lights Out
2016
アメリカ

デヴィッド・F・サンドバーグ監督
エリック・ハイセラー脚本

テリーサ・パーマー、、、レベッカ
ガブリエル・ベイトマン、、、マーティン(弟)
ビリー・バーク、、、ポール(レベッカの義父、マーティンの父)
アレクサンダー・ディペルシア、、、ブレット(彼氏)
マリア・ベロ、、、ソフィー(母)
アマイア・ミラー、、、少女時代のレベッカ
エミリー・アリン・リンド、、、少女時代のソフィー
アリシア・ヴェラ=ベイリー、、、ダイアナ(それ)


つまり母ソフィーの妄想の実体化なのか?
彼女が薬~鎮静剤を飲むのを邪魔したり、自殺するのを阻止しようとしたり、やはり彼女の想念を実体の基盤としているようだ。
だが、それが母に対して実体として立ち現れるだけでなく、その周辺の人~家族に対しても同様に現れ作用するというのは、どういうことか。
しかも凄まじい破壊力である。
まさにモンスター。ゴリラ以上の腕力ではないか。
それに父は殺され、終盤ブレットが呼んだ警官もあっさり殺害している。

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謂わば、母ソフィにとって実体的な意味のある存在(少女時代彼女にマインドコントロールされ親友となった経緯)というだけでなく、、、
彼女を全く知らない警官という他者に対しても実体として存在してしまっていることをわれわれはどう受け入れればよいのか。
だがそんな問いは宙吊りにされたまま、圧倒的な勢いで襲ってくるのだ。
光に弱く明るい空間では身を潜めていて、暗くなると恐ろし気な影の姿を現し、狂暴な力を振るってくる。
闇の中の影の威圧感は凄いものであった。
ともかく、電気を点けたら消え、消したら現れる。それを繰り返すうちに、どんどん接近して来る怖さは強烈である。
こいうのはありそうでなかったような。
しかし何故襲ってくるのか。

Lights Out003

ソフィと親しい関係になるのを周囲の皆が妨害し死んでから彼女を独占せんとしてソフィのなかから現れたというものらしい。
ソフィもダイアナもかつて精神病院に入院していたことがあったが、ダイアナは特殊な皮膚病で光を当てると症状が悪化するものであった。病院での実験で光によって彼女は死んでしまった。
そしてマインドコントロールしたソフィの精神から蘇って彼女に取り憑き、それを邪魔するものを悉く排除して来たということになるか。

どうもこの基本設定が今一つしっくり来ない。
どういう系の理屈でもよいのだが、それなりに了解出来るものを組み込んでもらいたかった。
まあSFではないので、その必要性が無かったのかも知れないが。
心霊と謂えばそれで成り立つものであるか。

Lights Out004

結局、母が拳銃自殺して、それ-ダイアナは滅び去るのだが、光に弱いところから強烈な光で焼き殺す手はなかったのか、とも思う。
完全な撃退法はこれであろうが。
レベッカと弟のマーティン、彼氏のブレットとの絆はこの恐怖体験を通し、強固なものとなったが、母の幻想と犠牲による経験というのがどうしこり~トラウマを残すのかどうか。何とも言えないものがある。

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キャストはとても嵌っており、子役の少年はとても上手かった。
それから少女時代のレベッカも際立った魅力を放っていた。
この二人の子役は将来楽しみだ。


わたしの苦手分野であるが、そこそこ面白かった。




AmazonPrimeにて







奇談百景

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小野不由美の本は何冊か読んでおり、読み応えがあったため、これも観てみた。
ファンから届いた手紙を紹介するという形式で物語られるオムニバス。
噺はとても低周波なものばかり。周波数が合って遭遇したのね。そういう感じ。
ナレーションが竹内結子さんであった、、、。
2015年に放映されたものだ。確かに久保田紗友が若過ぎる。

オープニングに何やら冗談みたいな噺~心霊スポット巡りみたいなのがあったが無視して、、、
(余りの下らなさに呆れてものも言えない)。


影男
kさんは急な仕事が入り子供たちを母に預けた。
母親が子供たちを寝かしつけたが、いつしか自分も眠り込む。
大きな音でハッと目覚めると、、、。
それはサッシを破るほど強く叩く音なのだ。驚いてその場へ行くと、何やら黒い影が叩いている。
唖然とする彼女の背後にその真っ黒い男はいつの間にか立ち、いきなり首を絞めてきた。
凄い力で締めてくる。が、突然の電話の音で悪夢から現に戻った。
.電話口で気づくと大量の鼻血が出ているのだ。
その夜、母がKにそのことを話してコーヒーを飲んでいると、二人の前に母が昼に見た悪夢が現実に襲い掛かって来た。
怖くてふたりともその音のする場所には行けなかったという(つまり少し待ったら音も無くなったということか)。


尾けてくる
Sさんからの手紙。
雨の中、女子高生Sさんが家に帰る途中、公園で傘をささず突っ立っている男を見つける。
気味が悪く途中で会った近所の人に変な人が公園にいることを告げるが、それは、首吊りであった。
そこから走って家に帰るが、玄関先でその男を幻視する。
三年後、上京して大学生活をしているが、その男の幻を度々観てしまう。
作業服の人を観るとその男が重なるのだ。トラウマだね。
誰かに重なるのではなく、ただ動かずに立っているだけの人がいる、ことが気になると言う。
それは幽霊でしょ。


一緒に見ていた
事務員が自殺した学校でのこと。
ある男性教員が男女関係をもった女性であったらしい。
所謂痴情の縺れによる自殺か。
自殺現場は、他の先生や教頭も目撃しており死体を降ろし救急車にも連絡を入れたが、それとは別に校庭や教室にもその女がフラフラしている。生徒とぶつかったりと、物質的属性を保って現象しているみたいに窺える。何なんだこれ、という感じ。


赤い女
Aさんが見たという不気味な赤い女の噺。その話を道すがらNさんにする。
今日は親が帰らないから家でパーティーをやろうという友達の誘いで行くとAのバースデイパーティーのドッキリも仕組まれていた。
充分盛り上がった後で、怖い話をしようと言うことになり、Nさんが聞いた通りに赤い女のことを騙ると彼女が怒ってホントにカツンカツンと歩いて来るという噺をする。皆適度に怖がるが、そのマンションにそれがホントに現れる。
皆怖くなって泊まらずにめいめいに家に帰ることになった。
NにAの謂うには、女に憑かれても噺をすることでそれを離し、相手に押しつけることが出来るのだと言う。
呪いのビデオみたい。もう私たちは話したから大丈夫、と高をくくって歩いていると、車の陰から現れた赤い女にAが襲われる。
それを佇んで観るN。他の仲間も皆襲われていた。それでどうなったのか(笑。


空きチャンネル
Y君のラジオに怪電波が入る。所謂空チャンネルにきまって不気味な声が入って来るようになった。
女の声でドロドロした呪い~愚痴の噺をするのだが、それが面白くなり聞くのが病みつきになる。.
いつからか会話が成り立つような気がする程、自分の内面と通じてくるのだ。
観る人が観ると彼はその声の主にとり憑かれていた。
ラジオ電波を通じてとり憑くタイプの悪霊。
彼は自分の部屋で自殺していた。向こうの女性のところに行ってしまったのね。
もっとよく噺が聴ける。


どこの子
Iさんからの手紙。
夜遅くまで残業で仕事をしている教師の前に、、、
白塗りの小学生の赤いスカートの少女が先生をおちょくるように出て来る。
怒って校内を追いかけるがその少女の顔を見て、ご免なさいと逃げ惑う。
明らかに顔が悪霊なのだ。
この悪霊、途中で車に乗って帰った教員が学校に忘れ物の電話をしたところにも出て来る。
最近?の悪霊は電波にのって何処にでも同時に現れるのか。
まあそれで何なの、というもので、ただ教師が二人怖がるばかりの話。何なんだ。


続きをしよう
Nさんからの手紙。
お墓で遊んでいると、一人の子が結構酷い怪我をする。
祟られたと言ってみんなやんやと受けまくる。どういうガキどもだ。
そのまま遊ぶが墓石が倒れてもう一人が酷い怪我をする。
だが、そのまま遊び続け、、、次々に怪我をしてリタイヤするが残った子で遊ぶ。まったく学習能力のない子供たち。
誰もが皆、血だらけになって帰って行く。皆かなりの傷を負い。
だが最後の一人までサヴァイヴァルお墓遊びに興じるのだった。
たった一人残ったK少年の前に、明らかに悪霊以外の何ものでもないモノが続きをしようとやって来る。
そこで何が起きたのか、、、。
後日、一緒に遊んだ子供たちと彼との間でその件については触れないことが暗黙の了解となっていた。


どろぼう
Tさんからの手紙。
子だくさんの奥さんの様子がおかしいと、、、。
おめでたなのと聞くと、ただ太っただけよと返すが、明らかに懐妊の体形としか見えない。
しかしその直ぐ後、お腹はぺちゃんこに。
近所の誰もが噂をする。
そんなとき、Tさんの前に観慣れない男の子が現れ、まあちゃんを泥棒が溝に流してしまった、と訴えかけるのだ。
その幼い子の噺が気になり、その奥さんに確認するが、お腹は卵巣の病気で薬飲んだら引っ込んだと言う。
まあちゃんは元気なのですか、と聞くと平然と元気よと答える。
Tさん、それから溝が怖くなったという。胎児の流れてゆくイメージが離れないのだ。こういうトラウマもあるのだ。


密閉
Kさんからの手紙。
彼女は元カレの置いて行った荷物でイラついていた。
それにクローゼットがいつの間にか開くことが不気味で気になっていた。
いつも自然に空いているのだ。うちの人形入れてあるガラス箱もよく扉が開いている。
何でだろうな。気にしたことないけど。普通そうだろう。
この噺みたいに貞子みたいなのがクローゼットから出てきたら気になるわな。気になるどころではないか。
直ぐに元カレに電話して荷物ともども彼が拾ってきたクローゼットの中にあるスーツケースも持ち帰ってもらうことにする。
するとこの彼、段ボールの中の荷物をスーツケースに入れて運べば楽じゃんと謂いスーツケースをこじ開けようとすると、中から例の貞子の親戚が出て来て彼をスーツケースに引っ張り込んでしまった。
元彼女はニンマリしてスーツケースをテープでぐるぐる巻きにしてゴミ置き場に出してしまう。
一度に両方片付いたのだ。そりゃ、にんまりするわな。
しかし他の噺が「赤い女」以外どれも気の持ちようというレベルの噺であるが、これについてはまるで貞子である。
厄介な元カレが引きこまれたスーツケースをゴミ出ししているのだ。
この噺だけはっきり物質的基盤のある次元の異なるホラーだが。


まあ、それにしても安易で何の捻りもない詰まらぬ話ばかり、何なんだろう。このレベルの低さ。幻滅した。
小野不由美のネームバリューに騙された。
今後気を付けたい。周波数が下がったときに観たことは確か。


怪奇蒐集者 黄泉がたり 村上ロックより抜粋
ホラーを超えてはいるが、このレベルの噺を待つ。
今日観たモノより一億倍面白いし興味深い、知的興奮を呼ぶものだ。



WOWOWにて



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Sound Inn "S"を観る

Sound Inn 004

Paraviでいくちゃんの回を観た。
Sound Inn "S"という番組はかなり歴史が長いそうだ。
昔からやってるみたいだが、わたしは(それ程TVみないので)知らなかった。
この場限りの贅沢なアレンジと楽器編成(演奏者)で特別な音楽をお届けというプログラムだという。

Sound Inn 002

いくちゃんの選曲は、”Your Song”(エルトン・ジョン)のピアノ弾き語りと”明日への扉”(I Wish)と最後に”誕生”(中島みゆき)であった。ふ~んそうなのか、、、である。何とも言えない。
スペシャル編曲というだけあり、それぞれ違う編曲家によるもので楽器編成も凝っていて豪華に感じた。
(確かに管楽器が効果的に使われていたのが印象的)。

ピアノはかなりの難曲アレンジにされてしまったらしいが、余計にやる気になったとか。
「流石は完全主義者。」と謂われて「そうかなあ~。」と言っていたが(笑。
明日への扉という曲は、乃木坂オーディションで唄った曲だそうで、持ち歌みたいにこなれていて一番しっくりしていた。
ロックとも謂えるアレンジ・楽器構成で、この先いくちゃんがバンドをやるならこの形を発展させるとよいような。
最後の中島みゆきの曲は、気持ちが落ちた時などに、その詩を読んでいたという。
吉本隆明も読んでいるくらいだ(わたしもその影響で詩集は持っている。あまり読んでいないのだが)。
実質的な効能もあるのだ。

どの曲も今後、節目、節目で唄い続けてゆきたいという抱負を述べていた。

Sound Inn 005

ピアノ演奏では定評ある彼女であるため、簡単なアレンジでは失礼かと思い難しいアレンジにしたとか。
(確かにピアニストでも彼女の腕前を絶賛する人はいる)。
しかしわたしは更に定評のあるヴォーカルにちょっと違和感というか、しっくりこない感じを抱いた。

エルトン・ジョンはわたしらのリアルタイムのアーティストであり馴染み深い。
なんせ、ソロで出る前はキース・ティペット・グループからソフト・マシーンに加入したり、キング・クリムゾンのセカンド・アルバムにも参加している。エルトンの懐の深さの一端が分かるキャリアでもある。
いくちゃんは、キース・ティペット・グループやソフト・マシーン更にキング・クリムゾンあたり聴いたことあるだろうか、、、。
(実は聴いている感じは受け取れないのだ)。
エルトン・ジョンに関しては、そのバック・グラウンドがあってのあの曲だということも押さえておいてよいと思うのだが。

エルトン・ジョン(の世界)に興味があるのか、たまたまYour Songが気に入ったのか、、、その辺は分からないが、折角関わったのだから是非、上記のアーティストの世界にもドップリ浸かってみて欲しい(それだけのスケールはある)。
実は、その世界を親友の齋藤飛鳥女史はすでにかなりのレベルで体現している。
音楽の楽理的な点や楽器や歌唱の熟練度はいくちゃんの方がずっと長じているにせよ、センスと勘の良さそのアーティストたちの音楽世界の身体的な共振~理解度は相当なものだと思う。彼女のヴォーカルを聴いてつくづくそう感じた。
(斉藤女史がエルトン唄ったらどうだろうかと興味を覚えた。彼女は元々ロックに接続しているひとである。いくちゃんは幼児いや少女期体験がクラシック~ミュージカルであった。ここがやはり大きいか)。

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一番、決まっていたのは「明日への扉」だと思った。完全に自分のものにしている。ロックへの可能性も開けるサウンドであった。
中島みゆきにしても現時点での確かな解釈のもと、歌い上げていたのは充分感じ取れる。
人生を唄う歌である。新たな意味を付与しながら長く唄って行けるはず。
これらはそのまま大切にしてもらって、最後に彼女が述べていたように、「ただコードをもらっただけで、見事なアンサンブルが奏でられるようになりたい」という言葉にわたしは、拘りたい(笑。この姿勢にとても魅了されたし確かな可能性の窺えるところ。
流石は乃木坂の至宝と呼ばれるだけの器である。

わたしは是非、彼女にキース・ティペット・グループ、ソフト・マシーン、キング・クリムゾンなどのフリーキーでシンクロニシティに充ちたインプロヴィゼーションをじっくり聴き込んでみてもらいたい。エルトン・ジョンもそこから出現した。
いくちゃんからも凄いアウトプットが期待できるに違いない。




paraviにて




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とどけ!愛のうた

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2020

伊藤正宏 脚本
服部英司、斉藤崇、藤野大作 演出
服部隆之 作曲・編曲・音楽監督
森雪之丞 作詞


生田絵梨花、、、吉澤希奈梨(「真壁印章」の社員、デザイナー)
柿澤勇人、、、太田悠人(「真壁印章」の社員)
斉藤慎二、、、松倉純(「真壁印章」の営業部長)
シルビア・グラブ、、、真壁由佳(「真壁印章」の副社長、陽一郎の別居中の妻)
橋本じゅん、、、真壁陽一郎(「真壁印章」の社長)


確かにリモート環境という独特の距離感と身体性により、構成員の相互間をより活性化し親密にもってゆくことも可能だなと思えた。
松倉純みたいな策士が必要だったりするが。

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印章会社の社員でリモート呑み会を非常事態宣言後17日目に行うこととなる。
リモート環境で語り合い呑むだけでなく、唄うという設定だが、音合わせは酷く難しいはず。
(特別なプログラムを噛ませてクラシックのアンサンブルをやっていたのを観たことがある)。
ともかく、その時の模様を楽しいミュージカルドラマに仕立てた作品。

歌はなかなかの力作でソロでも合唱でも聴かせて来るものがある。
(実際は勿論、リモート環境ではやっていない。撮り方でそう魅せていた)。
いくちゃんは言うに及ばず他のミュージカルスターもしっかり聴かせる。
(誰もよく見る顔だ)。

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噺は両思いだけど伝えるのに勇気が必要でこれまでそのタイミングが掴めなかったふたりが、この環境で思い切って伝え合いハッピーエンドというもの、、、。それだけかい!というものをえらくドラマチック(更にコミカル)にやっとるではないかい。
社長夫婦の喧嘩を演出的に絡め、松倉純のお膳立ての上で社員たちを揺り動かす。
暫く実際に逢っていないことも作用するが、このパネル越しに内面に隠していたことを思い切って言ってしまえ、という気持ちも盛り上がる効果があるような(身を隠して相手を窺う心理は有効に働く)。
これは各方面で試してみる価値はありそう。

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いくちゃんはどんな役でも熟すひとであるが、どうしてもこういった役のオファーが多いんだろうな。
そしてよく出来ましたで完了するような。
わたしとしては、齋藤飛鳥女史が「モンド・グロッソ」のヴォーカルを務めたようなパフォーマンスも見たい。
(女優としてもそちらの方向性のものを観てみたい。デストピアの退廃的で耽美的なやつを)。
彼女なら坂本龍一のポジションでの参加も可能か(モンド・グロッソであれば)。
音楽番組で、譜面を渡されきちんと弾いて終わりではなく、コードから(創造的な)アンサンブルを弾いて~創ってみたいと言っていたが、そろそろ作る側へのシフトを試みて欲しい。
お友達の池田エライザ女史も最近、そちらの方向で派手に動き出しているし。

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何にせよ「とどけ!愛のうた」という番組を、いくちゃんのクレジットなしで観るわたしではない。
そんな甘くはない(爆。
いくちゃんはいつも通りであったが、いつも通りを超える感じはしなかった。
もう少し、彼女の言葉で言えば「月」的要素を増やし、ただ優等生として完璧に熟すだけでなく、創る側にシフトしていって欲しい、、、。
つまり答えのない世界に、完結しない創造に向って欲しいと、、、。

そう感じた。



paraviにて




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ゆるキャン

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2020

北川亜矢子 脚本
二宮崇、吉野主、玉澤恭平 監督
あfろ 原作『ゆるキャン△』コミック
「瞬きもせずに」、、、H△G オープニングテーマ。
「Replay」LONGMAN 主題歌(エンディングテーマ)。

福原遥、、、志摩リン(女子高生、図書委員、ソロキャンパー)
大原優乃、、、各務原なでしこ(女子高生、野外活動サークル)
田辺桃子、、、大垣千明(女子高生、野外活動サークルリーダー)
箭内夢菜、、、犬山あおい(女子高生、野外活動サークル)
志田彩良、、、斉藤恵那(女子高生、リンの親友)
柳ゆり菜、、、各務原桜(なでしこの姉)
土村芳、、、鳥羽美波(新任教師、野外活動サークル顧問)
ヒロシ、、、本人役


これは感じ良い作品だと思った。心地よい余韻が残った。
昨日に続き今日は、やはり頼まれ仕事もあったにも関わらず、全12話のドラマを全て一気に観てしまった。
(飲み食いしながらであるが)。
昨日はブログを書いている最中、一時間くらい寝てしまったのだが、今日も危ない(笑。
グループキャンプの噺かと思って観始めたのだが、ヒロインがソロキャン専門で、その他のキャンプ女史も皆マイペースで変に協調性など見せない~意に介さないところがとても良い。顧問もキャンプに同行するが昼間から酒を吞み放題呑んでへべれけになっており、リンが足りなくなったガスボンベをコンビニに買いに行こうとしたら日本酒も頼むとか平気で言うし(笑。それに応えて未成年だから買えません、とクールに返すところも笑える。
絶景を見ながらの温泉も気持ちよさそうだったし、何よりキャンプ飯がとても旨そうだった。

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ソロまたはグループキャンプの(会話が特に)コミカルなコメディであるが、旅と温泉グルメの要素も大きい。
風景が結構勝負となっているはずだが、如何にもという絵~画像であった。
天候に左右されるロケであるため、かなり大変な撮影になったのでは。
富士の見えるキャンプ場をすべて網羅したようで、それぞれの特徴も窺えるものとなっている。
キャンプ場の宣伝効果も大きかったはず。


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福原遥~リンが原付乗り回していたが、相当な長距離である。ホントは車で行きたいところだろうが、まだ免許はとれない。
なでしこの姉が大学生なのか、よく車で送り迎えもしてもらっていたが、あそこまで協力的な家族がいることは助かるものだ。
リンがテント組み立てをスムーズに行っていたが、かなり役作りに力が入っている処は窺える。
皆がアニメ声優みたいな声や喋り方をしていたのが面白かった。
やはりコミック原作となれば、ファンは何処まで忠実に再現されているかで辛口評価をしてくるはずである。
その辺の再現度をかなり神経を使い意識して作っているように見受けられた。

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「野外活動部」に昇格するには最低4人の構成員が必要だが、まだ3人なので「野外活動サークル」に留まる。
一度彼女らのクリスマスキャンプに参加した斉藤恵那が加入を勧められるが、きっぱり断っている。
(志摩リンもその時だけ参加したが、彼女を誘ってもダメなのは分かっているため誰も声をかけない(笑)。
よくある青春群像物語ならば、一度参加して面白い、気持ち良い、美味しい、楽しいを味わい、皆との協力の下でそれが実現されたという認識を持つと決まって入部となったりするところであるが、これはならない。
(一度グループをしっかり結成してしまうとその中での権力関係、結束・同調のための強要などが生じてギスギスしてくる)。
そもそもキャンプとは何より解放感を味わうためのものである。少なくとも志摩リンにとってはそうだ。
だから彼女は独りに拘る。よく分かる。とても。

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自分の自由を優先する。何かに強力に関わり深めるのではなく、全てにゆるく接して行く。
だから距離感を大切にしてお互いを縛らない。
志摩リンが時折、各務原なでしこと一緒にキャンプをするときも適度な距離を置く。
一体感を持つときは食べるときくらいか、、、。犬が好きらしくその時だけは距離を取らない。
それにしても食事にあれほど力を入れるものだとは思わなかった。やはり彼の地で満天の星や煌めく夜景を広い空間のもとで眺めながら~体感しながらの食事は二味は違うことであろう、、、ここはひとつになってしまうところか。
適度に間を開け、よく犬山あおいが口にするように、そこはスルーしてと、さらっと受け流してゆきつつ何となく繋がって自分のペースで愉しむ。
ゆるさの良いところであろう。ゆるい関係性。これ大事である。
コミュニケーションツールとしてSNSでのやりとりが頻繁に行われる。
また携帯アプリを有効に使ってのやりとりも上手い。

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彼女らの繋がりととても密接に関連するところだと思われるが、会話の軽妙さはとても面白い。
クールである。それぞれ誰もが独特の語彙と喋り方なのだ。皆チャーミングであった。
「秘密結社ブランケット」とか直ぐに面白い行為~スタイルを抽出して気の利いた名称をつけてしまうのもすべて関連性を覚える。
斉藤恵那が超古代文明の本などを読んでいる志摩リンの髪を勝手にアレンジして飛んでもない形を作って、出来たモノを鏡で見せられると「やめろ」とひとことだけ返す、こんな関わりも一回毎に観られる。

そういったところで、彼女らの関係性を綺麗な風景と美味しそうな食事とともに味わう映像作品であった。
(昨日も感じたが一本の映画にまとめるより、連続物語でゆるく放映した方がより説得力の生まれる物語もあるようだ)。
観て損はない、疲れない、心地よいドラマだ。



paraviにて








チア☆ダン

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2018年
後藤法子、徳尾浩司、木村涼子、渡邉真子 脚本
映画『チア☆ダン』製作委員会 原作
福井県 特別協力


土屋太鳳、、、藤谷わかば(チアダン部部長)
新木優子、、、藤谷あおい(わかばの姉、コーチ、「JETS」元センター全米選手権3連覇)
石井杏奈、、、桐生汐里(東京からの転校生、チアダン部)
佐久間由衣、、、桜沢麻子(チアダン部、生徒会長)
山本舞香、、、柴田茉希(チアダン部)
朝比奈彩、、、栗原渚(チアダン部)
大友花恋、、、榎木妙子(チアダン部、食堂の娘)
箭内夢菜、、、橘穂香(チアダン部)
志田彩良、、、蓮実琴(チアダン部、日舞家元の娘)
伊原六花、、、麻生芙美(チアダン部、下級生)
八木莉可子、、、柳沢有紀(わかばの親友、イラストデザインで協力)
堀田真由、、、稲森望(チアリーダー部からの移籍、わかばの旧友)
坂ノ上茜、、、樫村惠理(チアリーダー部からの移籍)
オダギリジョー、、、漆戸太郎(チアダン部顧問、歴史教師)
松本若菜、、、漆戸今日子(太郎の妻、大学のバイオ研究准教授)
阿川佐和子、、、蒲生駒子(校長)
木下ほうか、、、桜沢伸介(教頭)
森矢カンナ、、、松井市子(生物教師)
広瀬すず、、、友永ひかり(あおいの先輩、JETSの指導者)
清水尋也、、、椿山春馬(野球部ピッチャー、わかばの幼馴染)
髙橋里恩、、、上杉 昇(桜沢麻子を慕う下級生)
津田寛治、、、桐生汐里の父



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映画の方は、福井県立福井商業高校のチアリーダー部「JETS」が、2009年に全米チアダンス選手権大会で優勝しその後7回全米制覇した実話をもとにしたものだが、このTVドラマ版は同じ福井県の高校の新設チアリーダー部「ロケッツ」が「JETS」のような部を目指して頑張る姿を描いたフィクションである(派生版か)。まず部を立ち上げるところからの苦難が描かれる。
こちらもスポコン精神で10話まで一日に立て続けに観てしまった。
(勿論、それ以外にやることはいろいろある中。睡眠不足(笑)。
それもこの映画の熱量によって可能となったもの。
もともとドラマ(それに加え青春~スポコン)嫌いのわたしが一気に10話とか普通はありえない。

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スポコン青春もののむさ苦しさや鬱陶しさわざとらしさが無く爽やかなところで観られた感じである。
キャストが確かで充実しているところは大きい。
踊りのシーンがかなりの尺で映され、彼女ら自らがしっかり踊っているところが清々しいところ。
(こういった部分をそのまま映さない映画が多い中、ここは素敵)。
如何にも踊れそうなキャストを集めていることも正解である(伊原六花みたいな実績のある女優とか)。
最近のわたしの贔屓にしている志田彩良や箭内夢菜が出ていることも小さくない。

顧問のオダギリジョーと松本若菜夫妻は絵に描いたような素敵なカップルであった。
阿川佐和子みたいな校長は確かにいる。余りにしっくりくる(笑。余裕があり頼りがいがある。
木下ほうかがこの先観れないのは正直寂しい気はする。名バイプレイヤーであることは間違いない。

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勿論、個性豊かなチアダン部員全員魅力的であった。
やはり一本の映画ではなく1Hで10話に渡る連続ドラマで構成するものであるため、ジックリ人物造形して行けるところは大きい。
物語そのものも一回毎に波乱~苦難が訪れそれに対して混乱しもがきながらもチアダンスピリットを実現する解決策を彼女なりに見出してゆく。その過程で彼女らの結束は強まり逞しく優しくなってゆく姿がしっかり描けている。
一話毎に山あり谷ありでハラハラさせてくれるがが結構自然で(過剰な煽りはなく)こなれた描き方であった。

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一話毎に感想を書いても良いくらいそれぞれ如何にもありそうなエピソードで、観点を変えながらチアダンスピリットを追及してゆくところは、しっかり組み立てられている印象が強い。
苦手な青春スポコンものであったが、単に優勝を狙うだけでなく、皆でひとつのテーマを極めてゆくことの価値が実感できるものとなっていた。
映画版と違い、こちらは全国大会優勝を惜しくも逃す(優勝はJETS)。ロケッツだし。
しかしチームも皆それぞれの目標も達せられていた。皆がやりきっていた。
このやりきった、という感覚、なかなか味わえるものではない。
なにやらこちらも健康的な気分になってしまったではないか(爆。

またこういうのなら観てみたい気がする。

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paraviにて




”Bon voyage.”



金沢国立工芸館「ポケモン×工芸展」6月11日まで。人間国宝の実力派作家たちが新たな解釈でポケモンを創造。

金沢城公園、兼六園、金沢城、ひがし茶屋街、近江市場も直ぐ近く。
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