マイ・ボディガード

Man On Fire
2004
アメリカ、イギリス
トニー・スコット 監督
ブライアン・ヘルゲランド 脚本
A・J・クィネル『燃える男』原作
デンゼル・ワシントン、、、ジョン・クリーシー(元対テロ暗殺部隊員)
ダコタ・ファニング、、、ピタ・ラモス(ラモス夫妻の9歳の娘)
クリストファー・ウォーケン、、、ポール・レイバーン(クリーシーの友人)
ラダ・ミッチェル、、、リサ・ラモス(ピタの母)
マーク・アンソニー、、、サムエル・ラモス(ピタの父、会社社長)
ジャンカルロ・ジャンニーニ、、、ミゲル・マンサーノ(連邦捜査局の長官)
レイチェル・ティコティン、、、マリアナ・ゲレロ(新聞記者)
ミッキー・ローク、、、ジョーダン・カルフス(サムエルの顧問弁護士)
ロベルト・ソーサ、、、ダニエル・サンチェス(誘拐グループのボス「ボイス」)
ヘスス・オチョア、、、ヴィクター・フエンテス(連邦司法警察の誘拐対策部の警部補、汚職警官グループのボス)
ゲロ・カミロ、、、アウレリオ・サンチェス(ダニエルの弟)
マリオ・サラゴサ、、、ホルヘ・ゴンザレス(汚職警官の一人。誘拐実行犯)
A・J・クィネルの小説『燃える男』の2作目の映画化だそうだ。
デンゼル・ワシントン&ダコタ・ファニングの取り合わせはとてもオシャレ。
この2人は、どちらも永遠に不滅、だと思う(笑。
キャストについては文句なし。

誘拐が組織化したビジネスに発展しているメキシコの状況が窺える。
裕福な家族はボディガードを雇うのは常識とは。
当然、誘拐保険ビジネスも成立する(それにより両者を支え合う構造となろう)。
突然妙な車が目の前に止まったらもうおしまい。
警官も犯人組織の一員だったり、仲介者による身代金の略奪すらある。
誘拐された人の生還率は少ないという。
(年間に8700人が誘拐され6000人以上が帰らぬ人となるらしい)。

この作品、映像効果の是非にかかっていると思われる。
何かミュージックPV風の画面切り替えや文字の挿入が頻繁に行われ、それによりリアルさや自然な速度が疎外される。
テンポ良いように思えてとても人工的なリズムが。
この凝り方は劇画タッチの流れとなるか。
アメコミ風の質感を覚えるような、、、それを狙ったのか。
超人的な強さと派手(荒唐無稽)な闘いを繰り広げるジョン・クリーシーというヒーローを際立たせる演出であろうが。
クラブ一つ爆破、指詰め、拷問と尋問、お尻爆弾等々、、、タフでクールなハードボイルドとも謂うべきか。
カメラワークも含めもう少しスタンダードな演出で見せる映画でも充分面白いものになったはず。

監督の映画は「デジャヴ」、「 エネミー・オブ・アメリカ」(どちらもかなり面白かった)しか観ていない為、何とも言えないが、やはり演出それ自体が浮き出てしまい気になるのはやり過ぎかな、と思う。
デンゼル・ワシントンとは、何度も組んで映画を作っているようであり(「デジャヴ」等)、2人のタッグ映画ももう少し観てみたい。
『サブウェイ123 激突』、『アンストッパブル』とか、、、

しかし、、、(自分を生き返らせてくれて)こころ通わせるまでになったピタが殺されたという前提での後半への怒涛の復讐劇となるのだが、こちらにとっては、彼女は何らかの形で生きていることが分かってしまっており、何だかあのド派手な展開にはちょっと違和感はある。
但し、そこは無法地帯であるという前提に立てば、独りでこいつら始末するしかないという流れとなるのは分かるところ。

目まぐるしい展開から一転、最後のシーンがやけに静謐であり、物悲しい雰囲気がよく出ていた。
(緩急は確かに凄い)。
何だかとても大人しい敵のボス一行が意外な気もしたが、ヒーローの死に際と少女との別れを大事に見せたい演出~配慮はよく分かる。
ピタが元気で敵のボスも逮捕時に殺され、スッキリとしたエンディングになった。
ダコタ・ファニングの天才は再認識。
ついでに言えば、クリストファーウォーケンが微妙な立ち位置。何だかよく分からぬまま、、、。
ミッキーロークもいたな、、、いた。

観終わってみて『マイ・ボディーガード』か、、、まあピタにとってはそうなんだろうけど、、、。
燃える男じゃ情けないけど、、、と悩ましいところ。
デンゼル・ワシントン&ダコタ・ファニングの映画がつまらぬはずは、ない(笑。
トニー・スコット監督には、まだまだ沢山撮って欲しかった。
TVにて