
Onneli, Anneli ja salaperainen muukalainen
2017年
フィンランド
サーラ・カンテル監督
マリヤッタ・クレンニエミ原作
サーラ・カンテル 、 サミ・ケスキ=バハラ脚本
アンナ・マリ・カハラ音楽
アーバ・メリカント、、、オンネリ(アンネリの親友)
リリャ・レフト、、、アンネリ(オンネリの親友)
エイヤ・アフボ、、、薔薇の木の夫人(名高い建築家)
ヤッコ・サアリルアマ、、、リキネン(ポリス~「子供の家}新院長)
ヨハンナ・アフ・シュルテン、、、ウメ・ボーシュ(ポリスの妻)
エリナ・クニヒティラ、、、ノッポティーナ(夫人の従妹、魔法使い姉妹の妹)
キティ・コッコネン、、、プクティーナ(夫人の従妹、魔法使い姉妹の姉)
ヤニ・トイヴォラ、、、市長
イェンニ・ハカラ、、、ミンナ・ピンナ(「子供の家」院長)
アレクシス・コイスティネン、、、プッティ(プティッチャネン一家の坊や)
ヨーナス・サールタモ、、、エッラ(プティッチャネン一家の父親)
アルニ・ラモー、、、ペッキ(「子供の家」を脱走した少年)
本作で圧倒的な存在感を示すのは、ミンナ・ピンナである。
夏休み。夏は服装からして暖かそうだ。そして配色~コーディネートも鮮やか。
今回はお揃いばかりじゃないぞ。それぞれのファッションでの主張も見られたり、、、大人じゃん。もうこの役もぎりぎりのところだぞ(しんのすけ、、、笑。
二人が大きくなったのにはビックリ。小5か6には充分見える。こ年頃の少女の成長は急激である。
同時に生意気になる時期だが(うちの娘はまさにそう)。
今度は彼女らの家のすぐそばに「子供の家」という孤児院が建つ。
そこの院長が「改善」と「安全」が好きで、管理と掃除ばかりしているユニークなミンナ・ピンナという女性。
こどもを皆番号で呼ぶ。一番、左。二番、右。という風に。
面白いのは整列である。子供たちを列に乱れがないように真っ直ぐに整列させる。
こんなことやるの日本だけだと思っていたので、笑った。
確かにミンナ・ピンナみたいな先生はいる。充分、子供に舐められているが、本人は気づかない。

但し、4番が読んでいたUFO関連の本を「こんな有害な図書を読むのは認めない」と彼から取り上げ、自分が読みだしたらすっかり入り込んで夢中で読みこんでしまうところが傑作。一番UFOに期待を寄せるのは彼女であった。
本を手にしてから、いつもどこかUFOを気にした生活を送るようになる(笑。
いざUFOがやって来たというときには、とうとうわたしの噂を聴きつけてやって来たわね~とか言っている。
なかなかのものである(こういう人は長生きする)。
この孤児院、庭には植物も遊具一つも無く、外周は鉄格子で囲まれ、中は装飾も色もなく殺風景、部屋着は囚人みたいなグレー一色の洗濯しやすいというだけで選ばれた素材の服を皆が着せられている。消灯も8時である。彼女が現れたら直ぐに整列・点呼となる。
食事の風景も実に簡素で寂しい限り。心の栄養が無い。
管理・安全だけに力を入れる院長の思想が具現化した施設であった。

そんな院長の独裁から仲間を解放しようと、4番が脱走する。
名前はペッキ。
彼はオンネリとアンネリの所有するカラフルな山小屋に身を隠す。
(彼女らは母屋の他に素敵な山小屋も所有しているのだ)。
彼は二人が焼いて食べようとテラスに用意しておいたパイを全部平らげてしまう。
侵入者がいるようね、と二人は暢気に構える。
流石に余裕のある人たちは違う。
ガードの協力でその訪問者は直ぐに判明する。
あそこから来た子ね。
そして「子供の家」の院長もポリスのリキネンさんに捜索届を提出する。

このクールなのかダイコンなのか分かりにくい少年から施設内部の事情を聴き、彼女らも協力することになる。
市長に苦情の手紙などを作成して送るが、敵もさるもの市長の視察時にだけこれ見よがしの遊具を備え付けて交わす。
少年が施設に残してきた妹に無事であることを伝えたいというので、わざわざプッティにその役を頼みに行く。
なにかと衛生にうるさい院長でネズミが嫌いということから、ネズミに化けて施設に侵入し妹に手紙を渡す。
ミンナ・ピンナが慌てふためき消毒しまくり、業者を呼んでネズミ退治をさせるなど予想通りのパタンが確認される。
この辺は、プティッチャネン一家も交え何か面白いことをやらせないと、と言ったとってつけたような挿話である。
ほとんどこの行為に必然性はない。
安否が心配になる以前に決着はつくことは見えている。

ガードの協力のもと、直ぐにその少年はポリスに捕まり「子供の家」に連れ戻される。
(妹とは直ぐに再会)。
この件に一番悩んだのは、ポリスであるリキネンさん当人であった。
少年やオンネリ、アンネリの気持ちは痛いほどよく分かるのだが、自分は法律に仕える身なのだ。
そして妻に相談すると、こころのままに行動しなさいと諭される。
彼はバッジを還しポリスを辞めてしまった。
そして庭でひとりオカリナの奇麗な音色を響かせる。
妻は夫が風邪をひかないか心配する。
(オンネリとアンネリがノースリーブのドレスで遊んでいる夏である。恐らく大丈夫だと思うが)。

ミンナ・ピンナから子供たちを救い出す救助団が結成される。
オンネリとアンネリを中心に今やフリーの身のリキネンさんたち夫妻や魔法使い姉妹も加えての構成である。
アンネリが施設に潜入し内と外から解放戦線をはるというもの。
そしてモールス信号のやり取りで子供たちの解放、というよりミンナ・ピンナを懲らしめようという作戦に入る。
しかし情報のやり取りをモールス信号に頼るが、こんな時こそ魔法姉妹に何か頼めないのか。
魔法姉妹には、この後、風船の花を使ってUFOに見立てミンナ・ピンナを追放しようということになる。
彼女は外にUFOが迎えに来たと思い、地球人代表みたいな気持ちで接するがそれが風船と分かり激怒する。
だが彼女は風船もろとも空高く舞い上がってしまう。
ここで、キャ~キャ~騒ぐのではなく、空から見下ろす景色にいたく感動し、彼女のこころが解放されてゆく。
多分そうした設定~狙いなのだと思う。

せめて風船の花を少しアレンジしてUFOに似せるとか、片腕でいつまでもどこまでも摑まって飛んでゆくのではなく、上に乗っかるとか中に入るなどした方が良かったと思う。
荒唐無稽な設定は分かるが、それぞれのシーンで物理的~肉体的に不可能な動き~所作は避けるべき。
幼い子も見ているのだ。
片手であんな上空を何時間も紐につかまり景色を楽しみながら南極まで?行くというのは絵的に言っても無理がある。
ここは詰め直して欲しかった。
結局、ミンナ・ピンナはペンギンが友となり彼らに番号付けて仕切っているようだ。後から名前呼びとなったか。
とても楽しんんでいる様子が手紙に綴られているが、この辺は感覚的にというより脚本的に荒く飛躍し過ぎた感が強い。
普通ならまずレスキュー隊が救出に向かう流れだ。普通の服装で極に降り立ったのだ。不死身でなければそのままはない。
噺が観念的で抽象的すぎる。
それをする必然性を無くすのなら、文脈にそれなりの理由~流れがしっかり見えないと。
ただ上に登ったら視野が広がりそれまでの凝り固まった考えから解き放たれたというだけでは無理がありすぎでは、、、。
UFO読書でかなり彼女の内的世界が変容を起こしていた可能性は否めないとはいえ。

オンネリ、アンネリから市長に推薦されたリキネンさんが施設の新院長となる。
これはまさに適任であろう。
施設は薔薇の木の夫人にデザインし直してもらい、皆ハッピーということで、施設の庭の沢山の遊具で遊びながらの大団円。
フィンランドの人の名前の響きはとても面白い。
オンネリ、アンネリもそうだが、ミンナ・ピンナも癖になる(笑。
ムーミンとはまた趣が異なる。
やはりここまで大きくなってしまうと、もう彼女らではこの物語~シリーズは撮れないことが分かる。
次に出るときは、青春学園ものとか、、、であろう。
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