十代の誘惑

1953年
久松静児 監督
須崎勝弥 脚本
若尾文子 、、、月村光子
江原達怡 、、、大井晴彦(光子の彼氏)
夏川静江 、、、月村はる江(光子の母)
山本富士子 、、、川上先生
菅原兼二 、、、有川先生(光子の担任)
青山京子 、、、辻勢津子(小説家志望、クラスメイト)
北林谷栄 、、、大井千代子(光子の母)
千田是也 、、、大井敬蔵(光子の父)
南田洋子 、、、宮下弘子(入院中のクラスメイト)
菅井一郎 、、、善三郎(大井家の使用人)
船越英二 、、、青木
「十代の誘惑」って何?
要するに、「あの二人は怪しいぞ~、やーい、やーい」の噺が噂として興味本位で大きくなったというもの。
(確かにお互いに意識し合っていて、ぎこちない関係ではあったが)。
オマケに変な嘘っぱち記事をローカル新聞で公表されて。
でも名誉棄損の事件として迅速に対応すればよいではないか。
サッと全て津子のせいなのと言ってしまえば、それで取り敢えずは解消するくらいのもの。
だが、自殺まで考えるほどに深刻になったりする(笑。光子がやたらめそめそしたり、晴彦がヒスを起こしたり、、、
何だかやけに平和なピンボケ物語なのだ(笑。
家が貧しい光子は勢津子宅から修学旅行費を出して貰う代わりに何をしでかすか分からぬ勢津子の監視役を頼まれる。
案の定、旅行先の電車の中で偽学生にたぶらかされ、夜に怪しいところに連れて行かれる。それを尾行しすんでのところで阻止した光子と晴彦であったが、その為に宿に帰るのが遅くなってしまい、二人の噂が立てられる(勢津子はちゃっかり先に帰っている)。
光子としては勢津子のせいだとか謂えない立場に悩む。その間にひたすら噂は大きくなって広まってしまう。
二人はいよいよ好奇の目で見られ居場所に困るようになるが勢津子にとってはまるで他人事である。
そしてまたしても勢津子は偽編集者につかまり、小説を出して貰えるということで、光子と晴彦のありもしない異性交遊を書いた原稿を渡すのであった。
それを持って男は学校にゆすりに行くが、有川に追い出された腹いせに新聞社にそれを売り、センセーショナルな記事にされてしまう。これに学校関係者は親も教員も大慌てでパニックになり、二人を責めたてることに。味方は有川先生と川上先生くらいか。
有川先生はなかなか頼もしい。光子の母もしっかり娘を信じている。これは立派だ。
しかし、何とも書くのもバカバカしい他愛もない噺ではある(笑。
何かというと「エリーゼのために」が流れまくるのも異様に陳腐。
暫く長女のピアノでずっと聴いて来たから、このBGMはキツイ。
物凄くくどいのだ。いい加減にしてくれ。というほど(爆。
オマケに晴彦がピアノでエリーゼをまたヘラヘラと弾き始める。
もう「バカ!」が、彼の御得意の台詞。このナヨっとした風情は嫌いではないが、、、微妙な線を行く役者だ。
辻勢津子はどうみてもサイコ娘だ。小説家志望の想像力豊かな夢見る少女とかいう生易しいものではない。
軽佻浮薄で全く考え無しに行動しその後のしりぬぐいを全て人にやらせて知ったことではないという娘。
そして自分の世界にどっぷり浸かり完結する危険な奴だ。
こういうのと付き合ったら大変なことになる。
自分の趣味の世界~つまらぬ小説書き~に没頭している間、周囲が全く見えていない。
光子は唯一の相談役の宮下弘子が病死し、嵐の海で自殺を図ろうとするが、、、
晴彦がピッタリのタイミングで現れ、彼女を正気に戻して一夜をこれからは前向きに頑張るわよと励まし合って過ごす。
新聞記事を読んだ辻勢津子は漸く自分のやったことの重大さに気づき、彼女を含め関係者で二人を迎えに行く。
最後はハピーエンド。何故か皆でよかった、よかったと、、、誤解はすんなり解けたと、、、
何ともどーでもよい噺で映画を作ったものだ(笑。
若尾文子が勿体ないが、彼女が出ていなければまず見る人はいないであろう映画であった(哀。
わたしは特に若尾ファンでも何でもない為、寧ろ江原達怡演じる晴彦を楽しんだ。
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