忍びの者新・霧隠才蔵

1966年
監督 森一生
脚本 高岩肇
市川雷蔵 、、、霧隠才蔵
藤村志保 、、、あかね(くノ一)
楠侑子 、、、弥生
田村高廣 、、、風魔大十郎
千波丈太郎 、、、鴉佐源太
五味龍太郎 、、、島律家久
内田朝雄 、、、音羽弥藤次
佐々木孝丸 、、、天海僧正
小沢栄太郎 、、、徳川家康
たまたま観たものがこれであったが、「霧隠才蔵」ものは沢山あるようだ。
調べたら、これはシリーズ第7作目のものだと、、、。
「寅さん」までは行かなくても凄い人気シリーズなのか?
これまでこの手のものはほとんど見て来なかった為、新鮮であった。
この作品がシリーズ中でどのような位置ににあるのかも分からないが、以前のものを見ていなくてもこれ一作で楽しめるものになっている。前後関係など気にする必要は感じない。
市川雷蔵はどちらかと言うと顔を隠さない侍の方が似合う気がするが、これも堂に入っていた。
藤村志保とよく組んで出演しているように思う。
大阪夏の陣が終り、家康は既に将軍職を秀忠に譲っている。
しかし実権はまだ家康の手中にあり駿府の居城に籠って指令を出しているが、すでに病気がかなり進行していた。
自分の死後の支配体制に関して事細かく天海僧正などの側近に伝えている。
(外様の支配の為には人質を取るか縁戚関係を結ぶことなど、、、)。
そして家康は伊賀忍者をその信念の強さから殊の外恐れていた。
この物語は、霧隠才蔵の属する伊賀忍者と風魔忍者との決戦を描いたものである。
痛快娯楽ものに入る映画であろう。

主人公の霧隠才蔵はとても強いが、途轍もなく強いと言うほどでもない強さで、リアリティがある。
彼のお仲間の忍者はかなり簡単に敵の風魔の忍者に倒されてゆくが、力の差がちょっと大き過ぎる気がした。
(風魔というのは、甲賀の忍者だな)。
伊賀忍者はこれと言った忍法を使ったりしないのか、、、
(実はわたしは、荒唐無稽な忍術を期待して見始めたのであるが、、、もっと地道で硬派な映画であった)。
煙幕とか手榴弾みたいなものや手裏剣は使っていたが、少なくともお仲間の伊賀忍者はほとんど何もせずにバッタバッタやられていた。
共に、敵対意識は大変強く、今回家康に伊賀忍者の殲滅を依頼されこれを好機と見て風魔は30人の総勢で乗り込んできたと言う。
何でも風魔は源氏の血を引き、伊賀は平家の血を引くということから根深い敵同士であるそうだ。
殺されると首は晒される。才蔵はそれを回収して弔っている。
伊賀の地面の下に掘られた秘密のアジトは、まずまずといったところか。
子供時代にあんな秘密基地があったらさぞかし楽しかっただろう、と思う。
今も自分だけの秘密基地は欲しい。ロマンである。
今度、改築するようなときは、是非自分だけの秘密の部屋を作りたい(無理か?)。
余り変わった飛び道具や仕掛けもなく、風魔の火縄の術と城の吊り天井くらいであったか。
あかねと弥生の女性陣は、スパイとして活躍している。
才蔵は家康を討つ前に彼は病死してしまい、どうするのかと思ったが、まずは一人で風魔を全滅させに敵のアジトに乗り込む。
この映画の見どころと言ってよい最後の死闘の場面はそれなりに楽しめるが、、、
敵統領の大十郎がひと際強そうであったが、最後はちょっと呆気なく終わってしまった。
実際、闘いとはそんなものであろう。
才蔵のスタミナには感服である。

そして休む間もなく、一人走って秀頼を討ちに行く。
無謀な戦に臨まんとする彼の姿に虚無感が漂う。
面白かった。
また、このシリーズ観てみようかと思う。
