ストロベリーショートケイクス

(この映像は無い)
strawberry shortcakes
2006年
矢崎仁司 監督
狗飼恭子 脚本
魚喃キリコ 原作
池脇千鶴、、、里子(フリーター、秋代の事務所の電話番)
中越典子、、、ちひろ(OL、塔子とルームシェア)
中村優子、、、秋代(デリヘル嬢、里子と仲が良い)
岩瀬塔子、、、塔子(イラストレーター)
安藤政信、、、菊地(建築業アルバイト、秋代の同郷の親友)
加瀬亮、、、永井(ちひろが一方的に思いを寄せる会社員)
村杉蝉之介、、、森尾(デリヘル店長)
矢島健一、、、大崎編集長 (塔子のイラストを扱う)
高橋真唯、、、近藤 (大崎の部下)
原作マンガはみていない。
そもそもマンガ自体ほとんど書棚から出さなくなったし新しいものも買わなくなった。
「いぬやしき」を最後に。
この映画で、デリヘルの娘は、部屋に行ったとき真っ先に「チェンジしますか」と聞くことを知った(笑。
登場人物それぞれの日常の空気感がなかなか良かった。
4人のヒロインたちは、基本皆まともな人だ。

里子は拾った石を隕石だとして自分のしつらえた神棚に飾り「どうか店長を殺してください」とかお祈りしている普通の子だ。映画のオープニングでいきなり彼氏に派手にフラレており、彼氏が欲しいこともいつもお祈りしている。
ちひろはハーレークイーンロマンスみたいな夢を追っているが、現実とは噛み合わない。ちゃっかりして、ふわふわしているようで、考えることは考えており、なかなかメンタルも強い。想いを募らせていた相手ともしっかりケリをつける。
秋代はデリヘル嬢でお金を貯め5階より上のマンションの部屋を買うことにしている。それより低い窓から身を投げても死に損なう可能性があるからだと。同郷の馴染みの男子と会うときは必ず地味なジーンズ姿に眼鏡をかけて酒屋のバイトをしていると謂う。その男子は彼女がいるのだが、彼との関係を一だけ持ち、赤ちゃんが出来て独り(他に知るのは里子だけか)喜んでいる。死ぬ気は無くなった感がある。
塔子は、摂食障害を抱えており、仕事と人間関係のストレスが大きいように見受けられる。
イラスト制作で徹夜して生活リズムを崩すことも影響があるはず。出版社の近藤に渡した完成作を失くされ怒り心頭でもある。元カレが結婚してもう関係ないと言いながら引き摺っている様子。ルームシェアしていたちひろとのわだかまりが解け、かなり元気になる。

ごく普通の人たちだ。
よくこの手の噺に出くわすが、こういった複数の主演者が物語を同時並行するものは、途中からひょんなことで流れ(交通)が交錯して出逢い、それぞれの流れが一本化してゆくものが多いが、ここでは、一向に4人が2組のままでずっと進む。しかしこの映画が終わるところで、向こう側で4人(2組)が邂逅することになっている。われわれにはそれが見れない。ちょっとお洒落。
まだ日本語が上手く喋れない中国人が適当にやっている味もいまいちのラーメン屋がここの登場人物が何となく寄っている場所なのだ。ここで出逢うとか言うことは無いが、最大の伏線がここから張られている。
塔子の徹夜で仕上げた大事なイラストを受け取りに行った近藤がここに置き忘れてしまうのだ。
結局、彼女はどこで作品を紛失したか分からず(それくらい印象に残らぬラーメン屋なのだ)、結局また0から塔子が描くこととなる。
塔子が怒りを噛み殺し謝罪を求めるが、向こうは理不尽な文句を付けられたかのような顔をしている。
こうした滑稽な光景はわたしは何度となく経験してきた。共感できるとかいうものではないくらい、、、。
兎も角、ここで忘れられた絵を里子が拾う(そういえばわたしも喫茶店で自作の絵を忘れたことがある。出てこなかった)。
彼女はここの不味いラーメンをよく食べに来ており、デリヘル店長にセクハラされ店を止めてこの店の電話番となる。
電話番が天職みたいだ。

同じく客を殴ってデリヘルを辞めた秋代に里子からの餞別(身籠ったことに対してか?)でその絵を額に入れて渡そうとする。
そこは、どこの海岸だろうか、、、。
時を同じくして、会社を辞めて故郷に帰ろうとしているちひろと別れを惜しんでいるうちにうっかり一緒に乗ってきてしまった塔子が同じ海岸に降り、喋りながらやって来る。
そして2組がそれぞれ想いを語り合っているうちに両者の距離が接近し、ついに塔子が「あれ、わたしの絵よ!」と気づくことになる。
で、お終い。

近藤が絵を置き忘れたことが4人の邂逅を生んだ。
こういうこともあるだろう。
宇宙の生成もこういった偶然の重なりによっていることは少なくない。
4人は恐らく馬が合い、きっと良いお友達になるはず。
良い雰囲気の映画で一息ついたという感覚だ。
出来ればこの続編も観たいくらいだった。
(幾らでもこんな感じのドラマなら作れるはず。何処にでもある日常なのだホントに)。
AmazonPrimeにて、、、