女子カメラ

2012年
向井宗敏 監督・脚本
光宗薫、、、吉澤美樹 (中学校教師の決まった大学生、写真部)
熊谷弥香、、、坂井彩 (美樹の親友、写真部)
高山都、、、岡田めぐみ (美樹の親友、写真部)
園ゆきよ、、、村松春佳 (美樹の親友、写真部)
隆大介、、、吉澤栄治 (美樹の父、レストランのオーナー)
大友恵理、、、吉澤幸子 (美樹の母)
高田宏太郎、、、吉澤豊 (美樹の兄)
グレート義太夫、、、坂井登 (彩の父)

TV番組の「プレパト」で、シャープな水彩画を披露して才能を高く評価されている光宗薫女史が主演している映画ということで、観てみた。
もうかなり昔の映画であったが、容姿は今とほとんど変わらない。きっと才能も変わらないはずだが、この映画、芸術性は無い。
何と言うか、「家族の写真撮ろう」「うん、そうね」というくらいのノリで、のほほんと流れて行く映画なのだ。
折角、彼女の主演なんだから、、、もう少しその、、、と言いたいところだが。
(別にゴッホみたいに狂気まで描く必要もないが)。
仲良し写真部の4人で、大学卒業旅行に楽しく繰り出そうとしていたのだが、美樹は教育実習で教えた子がテニス大会に出場することで応援に行かねばならず欠席が決まり、その他の3人についても、何と春佳が集金した旅行費を失くしてしまう。
これには、一同ガ~ンである。
仲間荒れも起きる。
大学生で金に余裕がある子はそうもいまい。そりゃ険悪な雰囲気にもなろう。
わたしは、その後10分間くらいは、盗んだ意外な犯人が炙り出されてゆくのか、、、とか思ってちょっとはワクワクしていたのだが、直ぐにその手の映画ではないことをはっきり悟る。
どうせバックのポケットの中に入っているんではないの、とか思ったりしていたのだが、後に分かるが、まさかその通りだったとは、、、(汗。
わたしもバックの中に入れておいたものを探し損ねて失くしたと思い込んでいたこともあり、そんなケースもあるぞ、と思ったのだが別に当たって欲しいわけではない。もっと捻りが欲しかった。
この失くした娘はしっかり者の落ち着いたキャラに見えたが案外ボヤッとしているのだな。
直ぐにわたしみたいにスマホや眼鏡を家中探しまくるようになりそう(苦。

まあ、そのおかげで、皆の家族を撮って回る自動車旅行が実現する。
その案は旅行に行けない美樹のアイデアで、彼女の兄がETCと派手な軽ワゴンを貸してくれることになった。
それぞれの家族に関わり彼らの写真を撮ってゆく様子~場面がこの映画のメインテーマとなってゆく。
子は親思いの、親は子想いの仲睦まじい、毒にも薬にもならない場面が描かれ、ペラい写真が撮られる。
いや。これはこれでよいと思うが、それで何なの感は拭えない。
さすがに3人で長旅を軽ワゴンではキツイ。
そこで春佳の父が高級ホテルの宿泊券を帰りにどうぞと皆にプレゼントしてくれる。親からのせめてもの罪滅ぼしの意味もある。
この時点で、まだ春佳のバッグに失くしたお金が入っていることには誰も気づいていない。
豪華ホテルの「砂風呂」でゆっくりくつろぐ。九州に来たらこれである。
突然、美樹が飛行機でやって来て合流。よく来たものだ、、、。
自分の応援していた生徒が見事テニス大会で優勝したと報告する。
その後、最後まで就活で決まらなかっためぐみに一次通過の電話が来る。
その時だったか、春佳がバッグのポケットに旅行代金の封筒を入れたことを思い出す。
ここで良いことが全て収束する。
まさに絵に描いたようなハッピーエンド、、、明日の午後が最後の面接試験と謂うことで皆で一緒に泊まって帰りましょう。
車を置いて、飛行機で帰れば大丈夫よ。
めでたしめでたし。

今話題の光宗薫画伯が出ているので、写真であっても芸術性に迫れる余地もあろうに、そちらの方向性はまるでなく家族を撮って、家族っていいなあ~仲間っていいなあ~では勿体なかろう。
家族愛とか写真の素晴らしさ、友情の尊さ、でも何でも良いが、それを納得させてしまうほどの強力な虚構のストーリー、演出などが組み込まれて、なんぼのものではないのか、、、。
この映画を観て、間違っても家族はいいなあ、、、とか写真を撮りたいなあ、、、などと思うことはない(少なくともわたしは)。
元々わたしは写真は好きであり、ここのところ娘の写真ばかりに傾いているが、それ以外の写真にも強く触手は向いている。
ともだちは、例えばブロ友さんをはじめ、学生時代の友人にしても、支えられとても助かっているが。
それらに対する意識を更に触発させる物語性や切り口があってよいはず。
これ程何の刺激も情報もない時間を過ごしたことは近年にない。
AmazonPrimeにて