宇宙人東京に現わる

"Warning from Space"or"Mysterious Satellite"だそうだ、、、
1956年
島耕二 監督
小国英雄 脚本
中島源太郎 原案
南部彰三、、、磯辺直太郎
目黒幸子、、、磯辺徳子
川崎敬三、、、磯辺徹
見明凡太朗、、、小村芳雄(天文台所長)
永井ミエ子、、、小村多恵子(娘)
山形勲、、、松田英輔(ウリウム101の発見者)
平井岐代子、、、松田清子
フランク・熊谷、、、天文台通信係
河原侃二、、、高島博士
苅田とよみ、、、青空ひかり / 天野銀子(パイラ星人)
小原利之、、、平野健一
「宇宙人東京に現わる」という題とジャケットは以前見たことがあり、まずその映画を観ることはなかろう、と思っていた。
今回、”シネマコレクション by KADOKAWA対象作品”というのにうっかり入ってしまったことで、どうせならと観てみることにした。
「宇宙人東京に現わる」である。凄い題だ。レトロSF。
UFOが世界中で頻繁に目撃され、何と東京(浅草か)には宇宙軒とかいう飲み屋があり天文台の博士も呑みに来る。
が、それがどうしたという、別にそこからの展開もない。ただ人々の宇宙への関心は結構あるみたい。

歴史的な価値があるというか、位置づけのなされている作品なのだと思う。
(わたしにとっては若き川崎敬三に出逢ったことが大きい)。
VFXは当時の一杯一杯のところまでやっているのは分かる(太郎も絡んでおり)。
だがストーリーは、(映画としてみても)、如何なものか、、、。


パイラ星人のデザインは岡本太郎が担当だそうだ。
そういわれれば腑に落ちる形だ。色もビビットであったし。
わたしはかつてジャケットに映っていたその形~宇宙人を見て映画を観るのを敬遠したのであった。
確かに太陽の塔に棲んでいてもおかしくない人々だ。
噺の流れや内容はともかく、引っかかる面白い道具立てやシーンは幾つもあった。
パイラ星人が普通の地球人の話し合いをしていた。
道徳を大切にするのだ。

地球を征服に来たのではなく、地球の危機を知らせに来た彼らなのだが、、、
青空ひかりという女性歌手にそっくりに変身して地球人のなかに潜入する。
コミュニケーションを抵抗なく図るためらしい。あの形では真面目な話をする気にはなれないだろうが。
人気スターに変身したら動き難いであろうに。何でわざわざ。案の定JKにキャーキャー取り巻かれたりしているし。
政治家とは関わらず信用のおける科学者に個人的に接するというのは、アリかも。
磯辺徹とテニスするときに、漫画みたいな飛んでもないジャンプする。
直ぐに科学者に重力事情の違う星から来た宇宙人だと見破られる(笑。
元々宇宙人としてメッセージを伝えに来たのだから、良いと謂えばそうだが。
まわりくどいユーモアの持ち主だ。
太陽系から遥か遠く離れたところからやって来たが、地球人には親近感をもっており、かつての自分たちの姿を見るような状況にいると。核を有効に活用しなさい、というメッセージと今近づいている危機について警告しに来たという。

彼らは天体Rが地球にぶつかることを(たまたま)知り、日本の博士に知らせに来た。
地球の全ての核を使ってその天体を破壊しなさい、と訴える。
被爆国の日本に訴えれば話が早い、と考えたと。
しかし原水爆より遥かに大きなエネルギーをもつ「ウリウム101」の方程式を見た途端激しく拒否反応を見せその紙を破り捨てる。
モニタというものがなく(コンピュータも見当たらない)、ただひたすら博士が望遠鏡のレンズを汗をかきながら見続ける。
そして「あった」とか言う。
「おお」
「順番に覗いて見てください」とか言う。
並んで見てゆく。モニタは無いのか?
この観測の姿が余りにシンプルなのだ。
天体の軌道や質量・大きさや組成、接近速度~到達時間の計算はどこでしているのか見当がつかない。

その後、何度も海外に核による天体Rの破壊を訴え博士が電話を世界に向けてかけまくるが、望遠鏡でそれを捉えられるところまで来ると世界各国も真剣にそれに応じる。
そして核攻撃が一斉に始まるが、全く天体には影響を及ぼさない。そればかりか接近速度が速まって来た。
そんななか、マフィアが「ウリウム101」の発見者松田博士を誘拐しその方程式を教えろと脅す。
聴いてどうするのか、よく分からぬが。
天体が近づくにつれ地上の大気が乱れ気温も上昇し海も荒れまくる。きっと磁気も異常になっているだろう。
博士を誘拐し椅子に縛り付けたマフィアは何故か何処かに姿を消し、ビルの部屋には博士しかいない。
そのビルも崩れ始め絶体絶命のところに、パイラ星人がやって来て方程式を教えろと。
教えた直ぐ後で、宇宙船内で製造した「ウリウム101」装着弾頭ミサイルをRに向けて放つ。
Rは粉々に吹き飛ぶ。皆喜ぶ。
地球に相当な物理的影響を与える近傍まで来ていた天体の大爆発の激しい影響を被るかと思いきや、その後の地上は穏やかであったみたいだ。
初めから核くらいでは軌道を変えることも不可能であることがパイラ星人には分からなかったのか不思議。
方程式を見ただけで拒絶反応を見せたのに結局それを使うことを勧める。
結構、アバウトな宇宙人だ。あのテニスのジャンプにせよ、いやその前に何で有名スターに変身してきたのか、いやそれ以前にあの青空ひかり / 天野銀子って出てくる必要があったのか、、、わたしも今気づいた(爆。
よくあるパタンで磯辺徹と小村多恵子の恋愛噺などの傍流もなく、すっきりしていてよい。
終わり良ければ全てよし、の世界であった。
特に先方に礼を言うでもなく、そのまま良かったで終わる。
AmazonPrimeによる、、、。