マンイーター

Rogue
2007年
オーストラリア、アメリカ
グレッグ・マクリーン監督、脚本、製作
フランソワ・テータ音楽
ウィル・ギブソン撮影
ラダ・ミッチェル、、、ケイト・ライアン(ガイド)
マイケル・ヴァルタン、、、ピート・マッケル(旅行ライター)
サム・ワーシントン、、、ニール・ケリー
バリー・オットー、、、マーヴ
ミア・ワシコウスカ、、、シェリー(エリザベスの娘)
キャロライン・ブレイジャー、、、メアリー・エレン
スティーヴン・カリー、、、サイモン
ジョン・ジャラット、、、ラッセル
ヘザー・ミッチェル、、、エリザベス
ジェフ・モレル、、、アレン(エリザベスの夫)
ロバート・テイラー、、、エヴェレット(メアリーの夫)
「ごろつき」である。
キツイゴロツキだ。ここまでのゴロツキには、陸地で出逢うことは、恐らく無い。
オーストラリアのカカドゥ国立公園のロケーションが楽しめる。
壁画もあり歴史的価値も充分この映画で感じられるものだ。
絵~撮影が見事。
ミア・ワシコウスカがまだスター(ヒロイン)となる以前の姿が見られる。
とても気丈なヒロイン役が多い彼女だが、ここではか弱いまだ甘えん坊の娘役だ。何だか得した気分になった(笑。

ワニ映画であるが、普通によく出来た映画であった。
ワニの造形や動きもよく、人間のそれぞれの性格描写もしっかりしており緊張感がずっと持続する。
シチュエーションは、ボートのツアーガイドが、救難信号を観たからと言って、観光客をつれたまま誰も入ってはならない聖域に入り込み、そこを縄張りとする巨大な凶悪ワニの攻撃に遭うというもの。
しかも、そのワニにボートを壊され何とか辿り着いた小島は、満潮になると水没してしまう場所であった。
無線機も使えない(電波状況によるものか)、次第に日が暮れてゆくなか水際にいた人間が次々にあっという間に襲われてゆく。
明らかなタイムリミットと究極の寄る辺なさ、問答無用の殺意。
そして夜になる。漆黒の静まり返った水面の恐ろしさは自分の記憶の中にもある。

この映画の他のワニ映画と一線を画するところが、襲われ感であるか。
よくあるワニ映画の何ともこれ見よがしなあざといものではなく、リアリティがあり臨場感に溢れているのだ。
ワニの形体だけでなく性質~習性や獰猛な動きが他とは違う説得力がある。そして肉体的~感覚的な痛さも。
(ピートを追い詰め執拗に襲いかかるところなど、演出に過剰さがあったとしても大変スリリングな恐怖を覚え不自然感はない)。
ヒロインが噛まれて瀕死の重傷を負うこと自体、その痛々しさの感覚が尋常ではないものとして迫ってくる。
つまりもう怖いのだ。これまでに観たワニ映画の多くは人が襲われると笑ってしまうようなシーンが少なくなかったが。
カカドゥ国立公園の勇壮な光景のもと潜んでこちらを静かに窺っているワニの作る空間は張りつめていて美しくもあって。
そこを流れる緊迫した時間がこの映画そのものとなっている。

お馬鹿コメディのワニやサメ映画も結構面白いが、こうしたシリアスものもあることが分かった。
サメ映画では切り口も面白い「オープン・ウォーター」、「ディープ・ブルー」、「ロスト・バケーション」などの傑作と呼んでよいであろう作品はある。
そう「シャーク・ナイト」もよく見られるタイプではあるがそのなかでは破綻も感じない良い出来の青春パニック映画であった。
「ジョーズ」を外してはならぬか。

それにしても欧米人は、サメやワニ映画が好きだと再確認した。
何にしても旅行客を連れたまま違法の海域での遭難現場に立ち寄るのは余りに危険で無謀、無責任な行為だ。
無線で本部や救助隊に連絡して、自分たちは予定のコースを回って帰るべきだろう。
何れにせよこれを観て、冒険などには死んでも出たくはないと感じた(爆。
