小さき勇者たち ~ガメラ~

2006年
田﨑竜太 監督
龍居由佳里 脚本
上野洋子 音楽
mink 主題歌 Eternal Love
富岡涼、、、相沢 透(11歳の少年)
津田寛治、、、相沢 孝介(透の父、あいざわ食堂の主人)
夏帆、、、西尾 麻衣(透の幼馴染、心臓病)
寺島進、、、西尾 治(麻衣の父、西尾真珠店の主人)
奥貫薫、、、西尾 晴美(麻衣の母)
石川眞吾、、、石田 勝(透の親友)
成田翔吾、、、石田 克也(勝の弟)
母を亡くし心淋しい少年透に卵から孵ったときから育てられたガメラ~トト(愛称)と子供たちとの友情の物語。
子亀の頃はまさに亀であるが、大きくなってからはキャラクターのカメみたいなキッズ受けのよさそうな可愛らしい顔となっている。
それまでのガメラの風貌とは似ても似つかない。
それに比して相手の凶悪怪獣ジーダスの悪ズラたるや。ギャオスよりも粗暴で洗練されてない悪という感じ。
感情移入しまくって観てしまった。後半ではもう涙腺緩みっぱなし(爆。
子供映画だが子供騙しはない。

怪獣物は兎角、夜の闘いが多いが、本作は全て真昼間の闘いである。
やはりキッズの映画である。子供は夕方になったらお家に帰らなければならない。
音楽も意欲的なアプローチがなされている。
(どうしても伊福部昭のゴジラに音楽面ではかなわなかったガメラであるが、ここで新境地を開く)。
VFXはそれまでのガメラ映画とは比べ物にならないほど進化している(主にCG)。
しかし子亀の頃のトトは、本物の亀(リクガメ)が使われている(笑。
そして面白いのは、実物大ガメラが作られておりそれがトレーラーに乗せられて街道を走ったり、研究所に収容されて観察されたりしている。実物の子亀~着ぐるみ+CG~実物大模型色々な局面からガメラが観られる。が、どの形態においても可愛らしい。そこに裂け目はない。

33年前、三重県志摩でガメラが4頭のギャオスを相手に戦い、自爆して人々を救った壮絶な姿を透の父である孝介は少年時代に目撃した。
この父に焼き付いた記憶と息子の母を事故で亡くした喪失感が基調に流れる。
そして彼らの身近では、透の年上の幼馴染の麻衣が心臓病の大きな手術を控えており、大事な存在の命を何とか繋ぎ止めたい気持ちで溢れていた。
透の父である津田寛治と麻衣の父、寺島進がまさに最強の父である。こんな父がいてくれたら言うことなし。
子供にとってどれほど支えになるか。

ここへきて、大事に育ててきたトトが海から現れた人を食らう凶悪な怪獣ジーダスに立ち向かって行くことになる。
誰もが33年前のガメラを思い浮かべた。
透はもう大事な者を決して失いたくない。麻衣もトト~ガメラも。
その為、ガメラの卵をずっと守って来た赤い石(先代ガメラの自爆時の莫大なエネルギーの影響で生まれた緋色の真珠と同様に生成されたものか)を透はまず麻衣の手術時に彼女に持たせる。
(麻衣の父もなけなしの最後の緋色の真珠をお守りに加工して彼女に手渡す)。
すると大変な手術にも関わらず見事成功する。そして術後間もない麻衣が電話で透にこの赤い石をトトに渡してと願う。
透もガメラに石を渡そうと、危険な避難区域となっている怪獣の暴れている場所~病院のある街に向かって行く。
しかし父の孝介はそれがガメラを自爆させるパワーにもなりかねないという想いが過るのだ。
舞台は名古屋の都市の真っただ中である。そこに麻衣の病院とジーダスと闘い疲れたガメラの収容された研究所がある。
名古屋の街にやって来たジーダスはやりたい放題に街を破壊する。
そしてガメラのいる場所を見つけ、襲い掛かかって来るのだ。
応戦するガメラだが、かなり大きく成長してはいるものの、まだ子供の風情である。
まともにやり合っても分が悪いことは、はっきり分かる。

この物語の肝は、ここでベットに横たわる麻衣の手から次々に駅伝リレーのように子供たちが赤い石をもってトトへと走ってゆく姿である。大人たちの群れが我先に避難して行く流れに逆行して幼い男女の子供たちが赤い石をリレーして行く。
そしてすぐ間地かに来ていた 勝の手についに石が渡り、それをしっかり透の手に握らせるのだ。
ここでそれまで透の身を案じ安全なところに避難させようとばかりしていた父が、よしおれも一緒に行こうと息子を援護しながら危険な場所に向かって行くのだ。そしてトトが絶体絶命の危機に瀕しているビルの上階までふたりは駆け登ってゆく。
息子をトトと対面できる場所に残骸をどけて入らせ、振り返らず前だけ見て行けと送り出す。

散々に痛めつけられたトトが高層ビルの最上部に突き刺さっているところをジーダスの槍のように鋭利な舌で脇腹を突かれる。
酷い深手を負ったところで、透から絶対に死ぬなと言われ赤い石を口に投げ込まれる。
ここで初めてトトはこれまでのガメラのようにジェット噴射で飛行しジーダスに有効な攻撃を繰り出してゆく。
そして最後は、とどめの渾身の火球発射である。お腹ではなく口からのものだが、超絶的な破壊力であった。
ジーダスは粉々に破壊され、ガメラは勝った。
そこに当局の政治家やお抱え科学者が疲労したガメラの捕獲に来るが、子供たちが彼らの行く手を阻み、透のトト直ぐに逃げろ、さようなら、、、の声に呼応し、ガメラは空高く舞い上がり帰ってゆく。

