ガメラ2 レギオン襲来

Gamera 2 : Attack of the Legion
1996年
金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮)監督
伊藤和典 脚本
水野美紀、、、穂波碧(札幌市青少年科学館の学芸員)
永島敏行、、、渡良瀬佑介(陸上自衛隊二等陸佐)
吹越満、、、帯津(エンジニア)
石橋保、、、花谷(陸上自衛隊一等陸尉)
藤谷文子、、、草薙浅黄(ガメラと心を通わせる女子高生)
養老孟司、、、北海道大学獣医学部の教授
長谷川初範、、、佐竹(陸上自衛隊一等陸佐)
川津祐介、、、野尻明雄(札幌市青少年科学館所長)
渡辺裕之、、、大野一等陸佐
辻萬長、、、坂東陸将(戦闘指揮所・師団長)
藪本雅子、、、報道番組キャスター
まさかの養老孟司先生が嬉しそうに小型レギオンを解剖していたのがとても印象的。
(確かに脳科学の理論を説く場でもないようだが、贅沢な配役だと思った)。
よくこういった対宇宙生物パニック映画だと当局から召喚された各方面の著名科学者が対策会議でそれぞれの専門分野からの見解を述べたりするが、ここでは青少年科学館の女性学芸員とNTT北海道のエンジニアが何となく関り、結果大活躍する。
しかも彼女が大変チャーミングときており、まさにヒロインに相応しい。
全体のバランスも問題なくカタストロフまでの流れもよく、充分に面白かった。

ガメラもゴジラも好きだが、どちらかと言えば、わたしはガメラ贔屓だと思う。
毎回、ガメラには何とも言えない悲哀を感じ応援してしまうのだ。
ゴジラ映画自体は良いのだが、ゴジラに感情移入することはない。
ガメラの場合、一緒にエキサイトしてしまう。
ウルティメイト・プラズマの発射は、ウルトラマンのスペシューム光線の何百倍ものカタルシスだ(爆。
いつもは孤立無援に耐えて闘うガメラだが、ここでは帯津さんをはじめ一生懸命ガメラを後方支援する人がいる。
ガメラもそれに応え懸命に戦う。
草薙浅黄もガメラと念が通じる。
穂波碧や子供たちが祈るなか、最終的に陸上自衛隊もガメラを援護する。
北海道に流星が飛来する。
その正体は、宇宙生物であった。ただの隕石ではないことは、その物体が消え移動した跡がしっかり残されていたからだ。
このあたりから学芸員の穂波碧女史の推論~仮説が大変有効であることが実証されてゆく。
エンジニアの帯津が彼女の説を科学的に理論づける。陸上自衛隊の渡良瀬も信頼を寄せる名コンビだ。
噺の分る当局側の男がいて、今回はレギオンをガメラと人間が力を合わせて撃退する流れとなった。それはめでたい。

このレギオンという怪獣は変則的でとても強い。
ガメラ映画の中でも最強~最凶とも謂われるバケモノである。
怪虫(群体~小型レギオン)と植物(草体~本体)とで攻撃してくるとてもアイデアの効いた怪物だ。
(群体が地中のシリコンを分解して摂取する過程に発生する酸素を草体が吸収する共生関係にあるらしい)。
ここで大量に発生する高濃度酸素下では地球の生物は生きることは出来なくなる。
しかも草体は成長すると大爆発し無数の種子を大気圏外にまで撒き散らして繁殖することも帯津が突き止めた。
これを阻止しなければ地球は壊滅状態に追い込まれる。
そしてついに巨大レギオンが地中から現れ大暴れする。
これを遥かに小柄なガメラが必死で食い止めるがマイクロ波で散々痛めつけられる。
レギオンは電磁波で意思疎通をしており、強い電磁波を発するものを敵と認識して襲い掛かってゆく。
それによる磁場の乱れも生じ通信機器が一気にダウンしてしまう。
しかも巨大レギオンの強さは一度やられたと思ったら目の色を青から赤に変えて新たな武器をもって襲って来るではないか。
やはり外宇宙から飛来してくるような輩は始末に悪い。
ガメラの負担を少しでも減らすため、帯津は変電所の電圧を最大限に上げ巨大レギオンの命令でガメラに襲い掛かろうとする無数の小型レギオン~群体をおびき寄せ、そこへ救援にやって来た渡良瀬が配備したミサイルを一気に撃ち込みこれを殲滅させる。人類の連係プレイでやっつけたのだ。後はガメラに任せるのみ、となったところで、いよいよお腹がパカッと開き凄まじいウルティメイト・プラズマ発射とくる。こんなにド派手な武器はあるまい。まさにカタストロフ。(充分にためてから発射する究極の武器である)。
これで粉微塵にならない相手はない。

穂波碧曰く、「ガメラは地球の生態系を壊すことを許さないの」。
別に人類の味方という訳ではない。
人類もかなり壊してはいるが、外来種(外宇宙からの生物)による壊滅的被害から地球環境を守っただけ。
「ガメラの敵にはなりたくないわね」(碧)
まさに。
ガメラとは、友好関係を保ちたい。
余りにガメラが痛々しい「ガメラ3邪神<イリス>覚醒」よりも、こちらの方が観ていられる。
