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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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5時から7時までのクレオ

Cléo001

Cléo de 5 à 7
1962年
フランス、イタリア

アニエス・ヴァルダ監督・脚本

ミシェル・ルグラン音楽
主題歌:作詞 アニエス・ヴァルダ作曲 ミシェル・ルグラン

コリンヌ・マルシャン、、、クレオまたはフロランス(歌手)
アントワーヌ・ブルセイエ、、、アントワーヌ(公園で出会った兵士)
アンナ・カリーナ、、、サイレントの短編映画の登場人物
ジャン=クロード・ブリアリ、、、サイレントの短編映画の登場人物
ジャン・リュック・ゴダール、、、サイレントの短編映画の登場人物
エディ・コンスタンティーヌ、、、サイレントの短編映画の登場人物
サミー・フレイ、、、サイレントの短編映画の登場人物
ドロテ・ブランク、、、ドロテ(クレオの親友、モデル)
ミシェル・ルグラン、、、ボブ(作曲家)
ドミニク・ダヴレー、、、アンジェル(クレオのマネージャー、家政婦)
ホセ・ルイ・ド・ビラロンガ、、、ジョゼ(恋人)


コリンヌ・マルシャンはアニエス・ヴァルダに見出され、初主演だそうだが、見事にヒロインの役柄を全うしている。
色々と有名どころが出ていたみたいだが、ミシェル・ルグランには驚いた。
ミシェル・ルグラン作曲とピアノによるコリンヌ・マルシャン唱の新曲打ち合わせシーンは、大変贅沢で素敵なシーンであった。
ここだけでもこの映画を観る価値があるというもの。何と言ってもシャンソンの曲が良い。

そして、一際モデルオーラを放つコリンヌ・マルシャンが、、、、
本物の日常のパリをリアルタイムで歩く。
友達の車に普通に乗り、パリの街を走り回る。
本物のシトロエンのタクシーでパリの街を走る。
本物のバスでパリのバス路線を走る。
窓に嵌め込み風景は、一つもない。
これまた粋で贅沢。

Cléo002

確かに即興的な演出をあちこちに感じる。
同時録音であることは分かる。
オールロケである。
アニエス・ヴァルダの面目躍如だ。

凡そ2時間の間をほぼリアルタイムにクレオの動きを追ってゆくもの。
細かいキャプチャー毎に、時間(何時何分から~何時何分と)のテロップも入るところが、お洒落。

癌の精密検診を受けて7時にその結果を知ることになっている歌手クレオの5時からの動きが綴られてゆく。
5時。冒頭はカラーで占い師にカードで運命をみてもらうところから始まる。
悉く不吉な兆候が現れてしまう。
クレオは、参る。
この後、映画はずっとモノクロで(ほぼリアルタイムで)進む。

カフェに来ると家政婦兼マネージャーのアンジェルと落ち合う。
ここでクレオは思いっきり悲観するが、アンジェルは保護者の立場で宥める。
しかしこの保護者は凄いお喋りでクレオそっちのけで店員相手に喋り捲る。
カフェを出て気づいたが、パリは人が車道を好き勝手に横断するので大変危ないと聞いたが確かに。これでは事故も多いのではないか、と思う。こんな通りは自分は走りたくない。カーブの時など、とても怖い。
色々と心細い時は買い物である。
特に女子は買い物が気持ちを上げるには一番ではないか。
ふたりで、帽子を選ぶ。アンジェルは結構、縁起を担ぎ煩い。
ここで店主に写真をせがまれる。彼女も悪い気はしない。やはり芸能人の写真は箔が付くというモノ。

Cléo003

タクシーに乗って走り出すと直ぐに隣車線の車がクレオに話しかけてくる。
パリ~フランス人は皆こんな感じなのか。
タクシーが止まる度にアフリカの土人の置物が目に留まる。これは不吉な予感を高める(演出か)。
画学生の住む通りに行くとまた走っている車に取りすがって来る。上からも物をお落とす。昔は排泄物も落としていたのだから、ペストも流行るはずだ、、、。かなり危ないことを普通にしている。
走行中のカメラは、まるで自分が運転している視界だ。

Cléo007

彼女の部屋は白一色でとても広くて寛げるものだ。小さな猫が遊んでいる。
ここでいきなりクレオが、ぶら下がり健康器?にぶら下がったのには、ちょっとびっくり。
わたしも丁度ぶら下がりたい気分であり、羨ましくなった(昔うちにあったそれは、直ぐに洗濯物干し器となっていた)。
とってもキザな恋人が久しぶりに顔を見に来たが、病気のことを察してくれない。
上手い愛の言葉をペラペラしゃべって忙しいからまた来ると言って帰って行く。
とても剽軽な作曲家のボブと詩人が入れ違いに来て、彼のピアノで新作シャンソンの打ち合わせ~お稽古をするが、最初の明るい雰囲気の曲にはノリノリであったが最後の曲の暗い曲想に文句を言い出て行ってしまう。死の恐怖を感じたのか、、、。
わたしは、ハッキリ言ってクレオのヴォーカルともどもこの曲にとても感動した(このチューンはオーケストラも入り、唱も別録音であることは分かるが)。
流石にどの曲もうっとりする出来のシャンソンである。ピアニストとしての腕前も相当なもの。即興も交えてミシェル・ルグランが芸達者であることが分かった。明らかにコメディ向きだが。
ここのシーンだけは特に何度も観たくなる。

Cléo006  
Cléo005

街をあちこち歩きまわるが、落ち着かない。
病気の事でずっとそわそわする。
グロテスクな大道芸人の芸を見て更に不吉な気持ちに揺らぐ。
カフェに行くが、ジュークボックスで自分の曲を流しても誰も聴いていない。
孤独に打ちのめされる。このカフェは、かなり自然な雰囲気に作っていた。親友のドロテの名が客の会話に出て、彼女に会いに行くことに、、、。

親友のドロテが彫塑の裸婦モデルをしているスタジオに行き、彼女の(ドロテの彼の)車で街を乗り回す。
ここではクレオはよく笑う。
これでかなり気はまぎれはするが、、、。
病気のことや死の恐怖を感じていることも話す。ドロテは素直に受け取る。それがよいのだ。
ドロテの彼氏のところに行き、サイレントの短編映画を見せてもらう。
気晴らしにはなったが、白(光)と黒(暗闇)の対比が何度も見られ、クレオの不安に重なる。
おまけにドロテをタクシーで送って帰る途中で殺人事件の現場に出くわす。ドロテは先ほどクレオの鏡が割れたことを今の事件の被害者の運命と関連付け彼女を落ち着かせる。
ドロテを家の近くで降ろしタクシーでクレオはそのまま進む。
ここからのシーンが素敵だ。音楽も良い。ドロテのおススメの公園の中の滝を観に行く。

水音に耳を澄ませていると、軍人に出逢う。
とてもお喋りな男で閉口するが、アルジェリアに今夜出発と聞いて、自分の病と死への恐怖について語り合う。
話してゆくうちに打ち解け心が和み、夜に電話を医者に掛ける前に、直接病院に一緒に行くことにする。
路線バスで病院のある停留所まで、2人して乗って行く。話ははずむ。
かなりの尺で、こちらも路線バスの旅を一緒に楽しむことが出来る。得した気分だ(笑。
ここでも彼女は兵士に写真をねだられる。
嵌め込み画像でない為、気持ち良い。
病院に着くが担当医はいないと謂われる。
これでは、やはり予定通りに電話で聴くしかないと諦め、アントワーヌがアルジェリアに発つ時間をどう過ごすかという噺になる。

Cléo004

そんな時に医者が車でやって来て、わたしに任せなさいと言う。
放射線治療の事を告げ、必ず治るから心配するなと、、、。
2人の歩く顔の正面からの接写が続く。
クレオから不安が消え、幸せな気持ちが湧き、生きる意欲が充ちて来る。

ほぼドキュメンタリーフィルムを見る感覚だ。
こうしたコンセプト~2時間の間を自分の病(実存)について心配しながら街中を廻り、最後に医者に出逢うという~ほぼリアルタイムの噺は、お洒落で極めて低予算に映画が作れる優れたアイデアであろう。
パリの街が舞台であることも大きい。
それに、主演のコリンヌ・マルシャン~アニエス・ヴァルダの人選~が良かった。
この作風自体もそうだが、大変参考になる作品であると思う。
何より、気に入った。





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