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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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この子の七つのお祝いに

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増村保造 監督
松木ひろし、増村保造 脚本
斎藤澪 原作

岩下志麻、、、倉田ゆき子/麻矢~本名は「きえ」(バー「往来」のママ)
岸田今日子、、、真弓(麻矢の母)
根津甚八、、、須藤洋史(新聞記者)
杉浦直樹、、、母田耕一(ルポライター、須藤の先輩)
辺見マリ、、、青蛾(占い師、秦一毅の内縁の妻、麻矢の親友)
村井国夫、、、秦一毅(次期総裁候補、礒崎大蔵大臣の秘書)
芦田伸介、、、高橋佳哉(ホテル王)
室田日出男、、、渋沢刑事
神山繁、、、柏原(母田が勤める月刊雑誌社の編集長)
名古屋章、、、古屋源七(青蛾(麗子)の実父。バー「ヌーボー」のオーナー)
中原ひとみ、、、結城昌代(会津で漆工房を営む、麻矢の育ての親)



敗戦後の日本の混乱期において、劣悪な環境下で赤ん坊を死なせてしまうというような事例は少なからずあったはず。
不幸なことに、母親は精神を病んでしまう。
こんなとき、父はどうあるべきか?
この男の事情は少し複雑で、中国に出征する前に日本に妻がすでにいた。
しかし戦後、妻との連絡がつかなかない為、中国で知り合った女との間に子供が出来、夫婦の形で暮らしていたのだが、女が病んでから元の妻に出会ってしまう。そこで彼は女に有り金を全て渡し、承諾を得て妻のところに戻ってゆく。

戦後と言う厳しい状況下であるが、それなら猶更、この措置はあり得ない。
相手はこころを病んでしまっているのだ。独りで放置したらどうなってしまうか。今のようにケアを行う福祉機関もない時代である。
せめて女が自分のこころを取り戻すまでは、懸命に精神的なケアを施す責任があるはず。
その後に、金を積んで了承を得られれば、元に戻るのもアリかと思うが、精神的にまともな判断の出来ないような状態で金を渡して返事がもらえたからと言ってもその有効性は認められない。

案の定、独りとなって狂気を膨張させた女は、男の家庭に忍び込み生まれたばかりの赤ん坊を攫って行ってしまう。
それに気づいた男の妻の嘆きはいかほどか。
まだ混乱期における日本で、その赤ん坊を探し当てることは、出来なかった。
そしてその悲しみから男の正妻は衰弱死してしまう。

この妻こそ完全な被害者だが、この事態を作ったのは男である。
その後、どれだけ攫われた我が娘を探したのか、、、。
男は仕事に専念したそうな。
最初の女との娘を死なせてしまったのは、不慮の事故であったにせよ、その女のケアを怠ったために、新たに生まれた大事な娘も奪われ同時に妻を絶望から死なせてしまった。飛んでもない負の連鎖である。だが、せめてあらん限りの方法を使い、攫われた子供だけでも救出していれば、災い~不幸はそこで止められたはず。だが男はひたすら金儲けの世界に埋没したしまった。
責任逃れというよりこれは犯罪にあたる。

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そして狂った女は奪ってきた娘に7歳になるまで毎朝、毎晩わたしを捨てた父親に復讐してくれと父に対する悪いイメージのありったけを娘に浴びせ続けた。もう娘のこころは、最も深いところからズタズタである。一生のうちで最も大切な幼児期に真っ当な愛着関係が得られず、途絶えることのない悪霊の呪文により完全に世界との安らかで肯定的な関係は失われてしまう。
信頼感や受容性などという観念など生じる余地もなく、ただ自分たちを捨てた父に復讐を遂げることのみを自己目的とした生しか残されていない。こんな異常極まりない子供の育成などあり得まい。おまけに将来この誓いを忘れることの出来ぬようにと女は幼い娘の頬に火傷傷を火箸でつける。戦時下の捕虜であっても子供にここまでのむごい仕打ちをするだろうか。
大犯罪以外の何物でもない。
そして最後の仕上げに、首と腕を自ら切って子供の隣で自殺する。
無残な血まみれの死に様で、子供のなかに鮮烈なイメージを残す。凄まじいトラウマとなった。

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これで長じて大事に育てられようが、まともに育つわけがない。
彼女の中には、自分の生を生きる何物ももはや残っていないのだ。
あの無残な女の復讐機械に成り果ててしまっている。
自動的にその目的に沿って進んで行くだけであり、妨害者は即、血まみれの惨殺死体にするだけである。
自分の母のように(彼女はあの女を母と当然思っている)。

最大の被害者は言うまでもなくこの娘~長じてひっそりとバーのママにおさまる倉田ゆき子である。
彼女の念頭には狂った女に植え付けられた復讐しかない。
女が男と平和に暮らしていたころに取った3人(男と狂った女とその間に生まれ2か月後に不慮の事故で亡くなった赤ん坊)の手形のアルバムが彼女にとって唯一の手掛かりであった。
その本当の父の手相を徹底的に研究するうちに手相占いに長けてゆく。
バー「ヌーボー」で知り合ったホステス青蛾を傀儡として彼女を(手相)占い師に仕立て、大きな財産を築いたという父親が網にかかるのを待った。青蛾が依頼された手相(の写し)をゆき子に見せ、カリスマとなっている青蛾がゆき子の鑑定結果を依頼人に渡す仕組みだ。余りに良く当たる占いの為、評判が立ち青蛾は有名政治家や実業家の依頼をしきりに受けるようになる。
そしてついに、目当ての手形が見つかる。

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その間、邪魔するものは、自分の好き嫌い関係なくそれより大きな自分を支配し操作する観念~目的により殺害してしまう。
自分がこころを許した相手である母田すらも殺してしまい、後に墓を前に泣き崩れる。
唯一の協力者である青蛾をも彼女が殺人を思いとどまらせようとしたため、殺してしまう。
これほど悲惨なことがあろうか。

実の父であり占いの依頼者でもある高橋を、自分が7歳の時まで住んでいたアパートに呼び出し、殺害を企てるがそのことを事前に見抜いていた須藤により高橋は気持ちの準備は出来ていた。
ここで、高橋は真実を打ち明けるからよく聞きなさいと言い、母に名付けられた麻矢は本当の名ではなく「きえ」が正しい名であり、わたしと本当の母との間の娘であること、そして麻矢は生れて直ぐに亡くなり、お前が母と信じてきた女がお前を攫ってきて麻矢の身代わりとして育てたのだと。
言い訳はしないと言ってはいるが、言い訳にすらなっていない。
戦時下に始まる混乱の中であったが、人のすべきことをせずにこの災厄を招いたのは、高橋自身である。
偉そうに説教めいた話の出来る立場ではない。

「きえ」は、女が生前唄っていた「この子の七つのお祝いに」を口ずさみながら精神崩壊する。
全く罪のない「きえ」にこれほどまでの地獄を味合わせた罪は無限に重いことを知るべきだ。

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しかしこのようなケースは、もっと見えずらい形をとって世界の何処にでも発生している現実である。
わたしもよく知っている。
物凄くよく知っている、身近なケースとして、、、。
そこが、ほとんど巷では論じられていない。大変な問題であるにも関わらず、問題化されずに来ているのが実情。
これでよいはずがない。










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