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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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田園に死す

dennenn004.jpg

1974年

寺山修司 監督・脚本・原作・製作

J・A・シーザー音楽

菅貫太郎、、、私(作家)
高野浩幸、、、少年時代の私
八千草薫、、、化鳥(隣の美しい若妻)
新高恵子、、、草衣
斎藤正治、、、股引(見世物小屋の人)
春川ますみ、、、空気女(見世物小屋の人)
新高恵子、、、草衣(見世物小屋の人)
三上寛、、、牛(見世物小屋の人)
原泉、、、幻婆(見世物小屋の人)
蘭妖子、、、せむしの少女(見世物小屋の人)
木村功、、、映画批評家
原田芳雄、、、嵐(化鳥の愛人、共産党員)
粟津潔、、、詩人
小野正子、、、魔性
サルバドール・タリ、、、兵隊バカ(見世物小屋の人)
ミスター・ポーン、、、一寸法師(見世物小屋の人)
大前均、、、大男(見世物小屋の人)
高山千草、、、母親
中沢清、、、曲馬座長


AmazonPrimeでこれが観られるとは思わなかった、、、。
(サルバドール・タリって何なの?)
しかし、わたしは、寺山修司をほとんど知らない。
上の(別の)世代の文化人~芸術家で、谷川俊太郎、大江健三郎や横尾忠則、宇野亜喜良、花輪和一や合田佐和子などと親交が厚くコラボを行っていたあたりは、何となく知っている。そう、ファイティング原田の友達でもあった。ちょっとずつ思い出してきた。タモリが彼の物真似をしていたような気もするが、、、。
学校の先輩などの噺からちらほらその活動の一端を窺い知る感じであったが強く興味を惹かれるという対象ではなかった。

やはり観たことはないが「天井桟敷」である。
「見世物の復権」とか、、、そこに見られたグロテスクでエロティシズムに充ちた原光景であろうか、それを極彩色に演出した前衛と土俗文化(元々前衛と土着文化は相性は良い)の融合した実験性溢れる舞台で観客を大いに挑発した、みたいなことが盛んに言われていたものだ。寺山修司と謂えば直ぐに連想するのは、「天井桟敷」であろう。
天井桟敷と謂えば劇場の最も料金の安い席ではあるが、高みに位置する。ふとその場から遊離し崇高な思いにも浸れそうな場所ではないか、と思ったこともある。そうした微妙な場所~余地というものが時折見つかるものだ(いや、だんだん見付け難くなって来てはいる)。

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「田園に死す」は有名な歌集?であり映画にもなっていた為、題名は知っていた。
ちょっと観る前の期待感は、いつもの邦画とは違ってくる。

例の雛人形を乗せた雛段が河を流れて来たが、それ程のインパクトはなかった。
歌集からの短歌がかなりの数詠われるのだが、何と言うか、入ってこなかった。すんなり読み過ぎているというか、、、。
本来ならお得感タップリのはずなのだが。

色彩、配色もビビットではあったが神経を逆なでするような強度は無く、全体に思ったより落ち着いていた。
アバンギャルドな装置なども気にしながら観たが、登場人物の多くが白塗りの顔で出ている他は、シチュエーション上関係ない人々の同じ空間への配置や全体の構図が舞台空間的であるのが特徴的であった。
(白塗りとそうでない組の違いはなんであろうか?)
噺の間をヘビのようにすり抜けてゆく小野正子の退廃や血や地獄をイメージさせる舞踏は鮮烈な装置であったか。
花輪和一の画面を想い起すような色と構図も観られた(構図には細心の注意が払われている)。
しかしかなり通常の映画枠を守り丁寧に作られている感触であった。
勿論、内容的には現在の自分と過去の自分が対峙して母殺し問答をすることや深い情念がシュールなまでに描かれてゆくところなど刺激的なところは沢山ある。
そう、終盤の少年が寺?で草衣に襲われるところなどBGMも相まってかなり重厚なインパクトがあった。

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映画の前半は、今の自分が映画監督として製作した作品であることが、評論家とのスナックでの会話を通して分かる。
試写会の関係者たちはその出来を称賛していたが、本人はとても引っ掛かる。
その出来具合が良い悪いのではなく、出来事~思い出を対象化した途端、彼の言葉で言えば「厚化粧をした過去」となってしまい「原体験を書く対象にしなければ真実の過去としてしまっておけた」と謂い表現してしまったことに大いに葛藤していた。
相手の評論家はそれに対して「過去を虚構化することで作者は過去から自由になれる」と諭す。
「人間は記憶から解放されない限り自由になれない。記憶を自由に編集できれなければ本物の芸術家といえない」とも謂う。
わたしは、まず現在の自分を形成している(その要因となった)過去の出来事は極力精確に(不可避的に言語的な文節化による変容は受けるにせよ)そのまま取り出しじっくりと吟味することこそが肝心で重要極まりないことだと考える。
その行為により対象化が十全に図られある意味過去から解放され、虚構なりなんなりの表現に持ち込めるものだと思う。
(実はわたしが今やっていることは、その部分なのだ。しっかり~厚化粧せず~対象化することは思いの他難しい)。

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別に、中学時代の自分の思いが対象化された後であれば、駆け落ちすると言っていた若妻が愛人と心中していても、間引きされた赤ん坊が実際は奇形で村人たちから排斥されていようが、前半のままの流れで、自分は美しい若妻と駆け落ちして東京で暮らしたとしても、赤ん坊が可愛い元気な子で村人みんなから大切にされたとしても本人の問題が解決されていれば、何でも良いはず。

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評論家は最後に「タイムマシンで3代前のおばあさんを殺したとしたら、現在の君はいなくなると思うか」という問題を出す。
それを解く為もあり、自分は過去の少年の自分に遭いに行く。
2人で将棋を打ちながら母殺しについて相談する。
恐山(父親の霊との対話、あの世についての関心)、家出(見世物小屋団員の話で外の世界に強く惹かれる)、母殺し(解放そのもの)、、、である。
これらは全て母の呪縛から発しているのか。
その呪縛からの解放の物語をもがきながら目論んでいる。

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確かにシュールレアリスムと(青森)土着文化が融合したかのような絵と運びが至る所に見られる。
だがそれをもってしても、計画は遂行されない。
少年は東京から戻って来たかつて赤子を間引きすることを強いられた女に出逢い襲われる。
彼はそのまま今の自分を残して電車に乗り何処かへ行ってしまう。
今の自分は、どうにもならず、家に戻るとまた母と向かい合い無言で食事を始めることとなる。
突然パタリと家の書割が倒れるとそこは新宿の交差点なのだ。
周りには一般の人々や映画のキャストが通ってゆくなか、母と無言で食事を続ける。
ここはよく分かる。まさにこのシチュエーションだ。このどうにもならない寄る辺なさ。
この微妙な交差点において、こんな形で母とずっと対峙し続ける。
永遠に「母殺し」は宙吊りにされたまま、、、。

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寺山修司はこんな風に呪縛の人生を送ったのか、、、。








”Bon voyage.”

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