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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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残酷で異常

Cruel Unusual004

Cruel & Unusual
2014年
カナダ

マーリン・ダービスビック監督・脚本

デヴィッド・リッチモンド=ペック、、、エドガー(教師)
ベルナデッタ・サクイバル、、、メイロン(エドガーの妻)
ミシェル・ハリソン、、、ドリス(自殺した母)
リチャード・ハーモン、、、両親を殺した高校生


死後、肉体を失い想念~イメージだけの世界にあって、空間化した時間を行き来しつつ自分と他者との関係性を捉え直し浄化されてゆく過程を描く。
カトリック教で謂えば、煉獄の場であるか。
彼はその煉獄の間~モニタに映る指導者(審判を下す者か?)に従い犯した罪を語り合うグループディスカッションの場に耐え切れず、何度もそこから脱走しようとする。だが、これまでの世界に戻ると妻を殺害するまさにその場面を体験することになり、その度にドアを開くとこの場に引き戻される。
それを繰り返すうちに、自分が妻を誤って殺してしまったこと、自分もすでに死んでいる事、、、自分の罪に気づいて行く。
この場所を起点にして、何度も妻殺しの場面を異なる角度から再体験しているのだった。
その度にわれわれも彼らの置かれた状況がピースを加えて絵が見えてくるように詳しく分かって行く。そしてエドガーも知らなかった事実が文脈に新たに加わり彼の物語も更新されてゆく。
そしてついに妻の連れ子のゴーガンにシンクロし彼の置かれた状況を察し、妻のメイロンにもシンクロし自分の思い込みのせいで彼女の追い詰められた心境を理解する。
自分の愛が重すぎたことを認識する。

Cruel Unusual003

このグループのなかで知り合った女性ドリスが自殺によってこの場にいることが分かる。
自殺は、少なくともキリスト教においては罪であり、彼女はここで相応の扱いを他の人殺しのメンバーから受けていた。
彼はこの部屋を出たり戻ったりを繰り返していくうちに多くを悟って行くが、形作られてゆく文脈に落ち着くことは出来ない。
ドリスが子供たちの目の前で首を吊って死ぬことも、自分の愛する妻を殺してしまうことにも納得できない。
彼はドリスを連れて彼の世界の扉を開き、彼の日常の文脈に彼女を無理やり引き入れる。
彼女は抵抗するが、彼は賭けに出る。ドリスの協力を得て、妻を誤って手に掛けることがことが出来ぬように部屋に鍵をかけて閉じ込める。しかし彼は妻に呑まされた毒で死ぬことになる。そうなれば、妻が自分と同じような煉獄の責め苦に合うことになる。
考えあぐねていると、いつの間にか空は晴れ渡り昼間となっており、彼の家の庭がドリスの家の庭となっている。
彼女の幼い二人の娘がテラスで無邪気におやつを食べていた。
それを間近で眺めるドリス。

Cruel Unusual002

そして庭の木に今にも首を吊ろうとしているドリスをエドガーは認め、直ぐに説得して彼女を梯子から降ろす。
彼は彼女の替わりに梯子を登り、ロープを首に掛ける。自分が首を吊ることが、妻とドリスを救うことが分かったのだ。
妻にとって重すぎた自分の愛情から、彼女を解放するには、これしかない。
ドリスが首を吊ることを思い留まらせるにも。
エドガーは妻への遺言をドリスに託し、首を吊る。
その瞬間、子供の目には見えなかったドリスが実体化し彼女の存在に気づく。
妻も命を落とすことなく息子との穏やかな生活が開けることとなった。

最後は、妻と息子のゴーガン更にドリスがエドガーの首を吊った木の下に花を手向ける。
彼の死は無駄ではなかった。
彼はまた、例の煉獄~グループディスカッションの場にいた。
そして他の殺人犯たちの前で確信に満ちた表情で自分の罪を騙り始めようとしている。
(果たして審判が、自殺と受け取るか自己犠牲と受け取るかである)。

Cruel Unusual001


よくある安易でチャチなタイムリープものとは明らかに一線を画する、必然性と説得力のある物語だ。
(わたしは、タイムリープものは大嫌い)。
過激な視点を秘めた名作と謂って良い映画だと思う。
この監督の作品は、今後も注目したい。







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