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GOMA28

Author:GOMA28
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イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

Exit Through the Gift Shop001

Exit Through the Gift Shop
2010年
イギリス、アメリカ

バンクシー監督

バンクシー
ティエリー・グエッタ(アマチュア映像作家、フランス人)
シェパード・フェアリー(ティエリーの従弟、有名グラフィティアーティスト)
シーザー(グラフィティアーティスト)
ネックフェイス(グラフィティアーティスト)
スウーン(グラフィティアーティスト)
ボーフ(グラフィティアーティスト)
バフモンスター(グラフィティアーティスト)


バンクシーの名は知っていても、何も詳しいことは分からない。
ストリート・グラフィティアーティストとして幾つかの壁に描かれた「絵」を写真で見たことはあるていど。世界で一番、名の知れた落書き画家であろう。(スキルと風刺において)優れた腕をもっていることは確かである。
「公共物破壊に新たな方向性を与えた人物」として世界的に有名ではあるが、、、。
彼に関しては、わたしは極めて情弱の立場にいる。
この映画で少しは、バンクシーが馴染みになるか謎を齎されるか、別の何かを知らされるのか、、、


LA在住のフランス人アマチュア映像作家ティエリー・グエッタが覆面アーティストであるバンクシーの存在を知り、彼のドキュメンタリーを撮ろうとするが、逆にバンクシーが彼のドキュメンタリーを撮ることに、、、。
それ以前から、ティエリーはストリートアーティストに興味を抱いていた。
「彼らは皆、信念をもって制作している」
確かに。(しかしティエリーにとってその信念とは何かが終盤に驚くべき形で明かされる)。
それぞれのアーティストに持ち味がハッキリとある。
そして、「落書き」である以上美術館の芸術作品と違って寿命は短い~儚い。
バンクシーは記録してくれる人間を探していたようだ。
(ストリートアートは基本、作り逃げである。次の日には消されている。その作品の記録はある意味、貴重である)。

Exit Through the Gift Shop002

「パンク以来の対抗文化が離陸態勢に入った」
街の夜は、彼らの秘密の創作の場となっていた。

夜の闇の創造の場を撮るという行為はこれまたワクワクするものだろう。
(警察が来ると逃げる)。
闇の創造者との共犯関係を愉しむ時間だ。
魅惑の地下世界である。
沢山のストリート・グラフィティアーティスト~そうそうたる面々が出てくるが、彼らはともかく好きでビルの壁に自分ならではの刻印をしてゆく。
ティエリーはそれを撮ることもやめられない。その姿をバンクシー監督が撮る。そういうドキュメンタリー。

時折、解説に現れるバンクシーは全身影となっている。声も変えてある。
何ともカッコよい。映画みたいだ。映画かこれは(笑。
ミステリアスである。

Exit Through the Gift Shop003

「繰り返しの力」これは、アンディ・ウォーホルのムーブメントからそうだが、シェパード・フェアリーによる「アンドレ・ザ・ジャイアント」(オベイ)もそうだ。
増殖することで意味が生成される。オバマのポスターも鮮烈であったが。
シェパードもティエリーが映像に残すことを好都合と受け取っていた。ついでに彼は見張り役にもなる、時々助手にもなる。
(実際に、違法で物理的に危険な場所~ビルの屋上などでやっているのだ)。

何でそんなに映像を撮るのかと聞かれ、はじめてティエリーは、ストリートアートの映画を撮ると、ほぼ出まかせに答える。
(周囲も、膨大な映像データからドキュメンタリー映画が出来上がるモノと思っていた)。
ティエリーは単に何も考えず撮っていたようだが。普通、十何回も撮影されれば、何にするのか、聞くものだろう。
シェパードもお人好しで、海外に制作しに行くときもティエリーを連れてゆく(奥さんは良い顔はしていない)。

結局こんな感じで、単に撮っては溜めてゆくばかりであった。作ること(映画監督)には向いていない人であることは、後にバンクシーが太鼓判を押す。精神障害を疑うとまで言われる。これまた突出した面白い人だ。
何で記録し続けるのか、それを止められないのかを彼自身が分析したところによると、幼い頃に植え付けられた喪失感にあるという。二度と戻らぬ瞬間を何らかの形で余すところなく永遠に保存したいという欲動が抑えられないようだ。
やめ方を知らないから、続けるしかないと言う。ヴィデオをもって何処にでも飛んで行く。
最終的に映像を諦めさせるため、バンクシーから君もストリートアートをやってみ、と勧められ、勿論、直ぐにその気になった。

Exit Through the Gift Shop004

運よくティエリー・グエッタは誰も逢うことが難しいと謂われている覆面アーティストのバンクシーの撮影を初めて許可される。
勿論、顔は撮れないため手元だけである。
非常に細密なステンシルを幾枚も作り、インクも携え戦地に赴き危険な壁にメッセージを残してきたのだ。
ティエリーはバンクシーの才能に仰天する。それは、見れば容易にわかる。
彼は喜んでLAの最高の場所を案内し、出来る限りの補佐を願い出た。作業は捗ったようだ。
バンクシーもティエリーをイギリスに招待するまでになる。

バンクシーが立体作品も作っていることを知った。大型トラックでそれを運び、道端に置いて逃げる。
「破壊された電話ボックス」
これもティエリーが撮っておかなければ直ぐに当局に撤去されるモノだ。
彼の作品は、紛うことなき傑作である。芸術作品であるが、ストリートの文脈に嵌め込まれてより大きな意味を持つ。
「インスタレーション」としての価値も生む。
道行く人々の反応も様々でその意見を聞くのも楽しい。
受け取り方が自由であるものこそ、芸術である。
バンクシーや彼の仲間にとって、ティエリーの撮影した映像は、放置されたアートがその後、どう受け取られたかを彼らに知らせる貴重な情報でもあった。
その為、ティエリーはバンクシーたちに次第に認められるようになり、自分のスタジオまで撮影許可を出す。世界でただ一人であろう。バンクシーは秘密を明かせる(こころを許せる)人間を内心求めていたところもある。

アメリカに帰国後、ティエリー自身も目立ってくる。巨大な肖像画をビルに貼り付けて回る。
LAって、結構自由なところなんだと感心したものだ。
バンクシーもLAに再びやってきて、何と作品展示会を開くという。確かに鑑賞に耐える質だが、意味合いが違う。
ここにゲリラ的な文脈でも挿入できれば、面白いが。案の定、ディズニーランドに仕掛けをしに行くではないか(笑。
(だが、危険と隣り合わせで、ここではティエリーはセキュリティに捕らわれ、FBIにまで目を付けられる。だが証拠不十分で釈放となる)。そのせいで、展示会のオープニングにはセレブも駆けつけてきた。そしてペインティングされた像の展示で議論が巻き起こる。やはりちゃんと仕込んであった(笑。ストリートアートが新たな局面を迎える。

いずれにせよ、ティエリーをチームに入れたことで、設置した作品に対する一般の反応まで記録する芸術に拡張した。
そしてコレクターが新しい市場に殺到した。「破壊された電話ボックス」に高値が付く。どれもがホットな商品となる。
所謂、現代アートの文脈にストリートアートが組み込まれたと言えよう。


違法行為をこうやってすり抜けたという武勇伝をここで全てばらして大丈夫なのか、とは思うがともかく面白い映画であった。

banksy001.jpg

バンクシーがコロナウイルスの医療従事者に送った「作品」。




さて終盤どんでん返しとも言える恐ろしい事態となる。バンクシーから映像を諦めさせるためにアートをやってみろと勧められたことばを拡大解釈したティエリーは、自分もバンクシーみたいな高名なアーティストに成れると確信してしまい、作品作りに邁進し始める。最初はストリートに、外注した自分の肖像の版画を貼りまくっていたが、ストリートアートが徐々にポップアートとして展示会場に飾られていく流れに自分も乗ろうとする。それ自体咎められることではないが、何を作るかのコンセプトもなく、それを具現化する技量も持たない彼がアーティストに成るには、はったりしかない。彼は自分のスタイルを模索し追及する一般のアーティストの試練の過程を全てすっ飛ばし、自分が見て来た色々なアーティストの模倣や折衷を行い、制作スタッフを募集して彼は指示を出すだけでそのイメージを彼らによって具現化させていった。そしていきなりバンクシーの展示会場の真似をした大規模なショーを派手に行う。自分のアーティスト名は、MBW~ミスターブレインウォッシュである。これはジョークか?自分でもアイロニカルに自覚しているのか?しかし実際、彼は本気でアートしているという錯覚に陥っている。彼はある意味、大真面目で取り組んでいるのだ。彼にとってアートとは、人を洗脳するマジックだという信念なのだ。すでに高名なシェパード・フェアリーやバンクシーにまで推薦文や宣伝を依頼し、派手な広告を打って、会場設営をバンクシー経由で手助けに来たスタッフに丸投げして、展示ショーを開催する。
しかし、事前の宣伝が功を奏し、先行者たちのスタイルの模倣や折衷がまさにニヒリスティックなポップアートとして正当化して受け入れられ、大盛況となり作品の売り上げも上々であったという。アンディ・ウォーホルの再来とまで評価するメディアも出て、MBWはすっかり自信を持ち、時代の寵児みたいな振る舞いで得意満面。
これには、シェパード・フェアリーやバンクシーもドン引きし、「複雑な気持ちだ。善意で協力はしたが、意図しない方向に進んでしまった」と後悔していた。「一連の現象は社会学的に検証の価値はある」とシェパードは結んでいた。
バンクシー曰く「アートはジョーク」(笑。顔は見えないが苦々しい表情でいることは、はっきり分かる。
飛んだ終盤であった。ポップアートはこの危うさが確かにある。







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