セブン・シスターズ

What Happened to Monday
2017年
イギリス、アメリカ合衆国、フランス、ベルギー
トミー・ウィルコラ監督
マックス・ボトキン、ケリー・ウィリアムソン脚本
ノオミ・ラパス、、、カレン・セットマン(セットマン家の7姉妹)
マーワン・ケンザリ、、、エイドリアン・ノレス
ウィレム・デフォー、、、テレンス・セットマン(祖父)
クリスティアン・ルーベク、、、ジョー
グレン・クローズ、、、ニコレット・ケイマン(児童分配局長、政治家)
人口の爆発的増加に対する食糧政策によって採られた遺伝子組み換え作物の影響で皮肉にも多生児が増加した。
政府は強制的な人口抑制のため一人っ子政策を敷き、二人目以降は“児童分配局”による「冷凍保存措置」が行われる。
セットマン家には7人姉妹が一度に誕生した(おそ松くん状態)。
(ヨーロッパ以外でもこの政策は行われていたのか、、、?そうでないと世界的に観て意味がない)。
祖父(両親はすでにいない)は政府の政策の実態を知っていたのか、7人を秘密裏に生かす方法を試みる。
(孫)娘それぞれに月Mondayから日Sundayの呼び名を付け、その曜日だけカレン・セットマンという一人の人格として外出して生活することにした。カレンは銀行に勤める。
残った他の娘はめいめいに好き勝手な生活を家で隠れて送る。
その曜日担当のカレンは、帰ってから今日の経験したことを皆にビデオ等で説明して周知する。
7人で独りのカレンなのだ。皆優秀なカレンばかりなので、集まれば多彩で有能な人物になり昇進も早い。
若くして、かなりの金を動かす立場となり、政治家で分配局のケイマンとも結びつく。

面白い設定だ。
一人ずつ生んでゆくのなら、第一子の後、避妊処置での(これも倫理的には問題とは言え)対応もあろうが、一度に沢山生んでしまうのなら、独り残して後は政府の定めた人口問題解決後に目覚めさせるという「冷凍保存措置」対象となる。
しかし、それが信じられるか。
信じない親がいるから、問題は常に起きているのだ。
(そのため、児童分配局の役人は市民からは嫌われている)。
結局、30歳になるまで、カレン・セットマンは誰にもバレずに7人同体で生きて来たのだが、ある時「月曜日」が失踪してから、当局からの、激しい追及ではなく、問答無用の殺戮が始まる。
何で当局がここまでするのか、ちょっと意味不明でもあるのだが、、、
それからは、凄まじい当局対7シスターズの闘いが繰り広げられる。
フィジカルと銃撃戦とITテクノロジーも駆使した闘いとなる。
だが、基本彼女らは自由に外には出れない上、多勢に無勢である。
そしてひとりまたひとりとシスターズが犠牲になって行く。
この辺は、かなりこちらも彼女らに肩入れしている分、ショッキングでもある。

そして月曜日は、7人姉妹であることがバレて殺害されたかと思っていたら、捕えられていたようだった。
しかし救出に行ってみると、それは眼球を摘出された火曜日であり、月曜日は何と他の姉妹を裏切っていたのだった。
彼女は秘密の恋人が出来てその間に子供を身籠っていた。
その子供を守るには、彼女独りがカレン・セットマンである必要が生じた。
(しかしそれも姉妹で結託して上手くやる方法もあるように思うが、、、相談をしてみたら良かったであろうに)。
そしてこの「冷凍保存措置」の実態も木曜日と火曜日、更に月曜日の彼氏の局への潜入により分かってしまう。
実際は子供たちを全員、焼却処分にしていたのだ。
この実態を撮ったビデオをケイマンの支援者たちに見せてしまう。

これをもってケイマンは失脚し、この法令も廃止される。
月曜日は、自分の子供を木曜日に頼み死ぬ。
新生児室の情景で終わるが、これがハッピーエンドという感覚は全くない。
が、近未来的で極めて的を得たものでもある。
生後半年間における母との愛着関係、その人としても生物学的にも重要な時期を空白で過ごすことが自明となった社会を前提としているあっけらかんとした光景である。
ここから育つ人類は、少なくとも従来の人間ではない。
自分の子供などに関心を示さないそれぞれが個の体系を構築して行く類の人間であろう。
(一人っ子政策などにも馴染む人々である)。
ノオミ・ラパスのひとり7役は見事というしかない。
この圧巻の演技で2時間超えもあっという間であった。
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