プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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スノーデン
レヴェナント: 蘇えりし者
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
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美の翳りに寄せて
写真についてーⅡ
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
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大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
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パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人

A Patch of Fog001

A Patch of Fog
2015年
イギリス


マイケル・レノックス監督
ジョン・ケーンズ、 マイケル・マッカートニー脚本

コンリース・ヒル、、、サンディ(有名作家)
スティーヴン・グレアム、、、ロバート(警備員)
ララ・パルヴァー、、、ルーシー(サンディの恋人、インタヴュアー)


霧の塊か、、、。

凄い重いものを見た感じ。
身体的に、生理的に重い。
何とも言えない無常の感覚。印象だけが長く残りそう。

最後にサンディ(の部屋)にロバートから届いていたクリスマスプレゼントは、例の原稿か。
それにしても、どんでん返しというか、サンディを著名な作家に押し上げた唯一の作品が父親の作であったとは驚きだ。
全く思ってもみなかった。道理で2作目を書かないわけだ。そりゃ書けまい。
彼の盗み癖は、半端なものではなかった。
本質的なものであった。

A Patch of Fog004

粘着気質の警備員にしつこく探られたら、
彼の地位も名誉も砂上の楼閣。
あっさり、何も無くなってしまったではないか、、、。
地位も名誉も知性もない人間にすべてを見透かされて、、、。

何故、こうなるのか。
ロバートが心底サンディのことが好きだったからだ。
純粋な愛である。
だからサンディに必要以上の仕返しなどしていない。
ロバートは、好意を抱く人間にどう接したらよいかが分からないのだ。

A Patch of Fog002

サンディは、最初からロバートのことが不快で我慢がならない。
しかし弱みを握られているため、嫌々付き合う。
(ペン一本の万引きで現在の作家の地位、TVの文芸討論番組、大学教授の地位を無くせるか)。
ロバートは、万引きを内緒にすることを約束して、サンディのいるところに構わず友達だと言って現れるようになる。
実際、もうロバートは友達のつもりなのだ。
だが、ロバートは肝心のディスクは大切に保管していると言い、絶対にサンディには渡さない。
サンディは策を練り反撃(ディスクを盗むなど)に出るが、それがお粗末。
常に、ロバートが上手である。

というより、サンディが間抜けなのだ。
万引き記録ディスクがオリジナルの一枚だけという保証はあるか。
盗みに入り、防犯カメラに注意は払わないのか。
ディスク内容がクラウド保管されているケースは考えないのか。
ここでは、防犯カメラであったが、サンディはすぐに証拠映像を撮られてしまう。
ルーシーとのただならぬ関係も押さえられてしまう。
彼女の娘のフィービーに、ロバートから渡された友達の証の潰れたコインを上げてしまったことも掴まれる。

終盤、その映像を逆手に取った学生を巻き込んだサンディの反撃で、一時ロバートが劣勢になるが。
サンディがロバートの部屋に忍び込みディスクを奪い、部屋を荒らして立ち去るそのビデオを見て物語を作れというものである。
これで、その映像は架空のものとなり、肝心のロバートの部屋はサンディからのお詫びの印として全ての家具と壁が新品となってしまっている。頭を使った訳だが、、、。
ロバートのサンディ愛がそれに勝った。
ロバートはサンディのTVの文芸番組で彼の作品の成り立ちの背景を語るところを感動のうちに涙して見ていた。
(幼い頃、霧のなかに迷って父に助けを求めるが、彼はついに探しに来てくれなかった)。
そしてサンディの家にセキュリティを軽々破って侵入し、25年前の彼の手書き原稿を見つけ出して、しみじみ読み耽っていた。
そこで最後に見つけたのが、父のサインであった。
彼も思ってもみなかった事実、サンディの父が息子に捧げて書いたものだということに愕然とする。
雲の遥か上の人と思っていたのが、自分と結局どれほど違う人間か、、、。
(サンディは、万引きなど問題にならぬ究極の盗みをよりによって蔑んでいるロバートに押さえられてしまったのだ)。

そこでロバートが考えた奇想天外な友達行動とは、、、
サンディの家に自分が住み込み、サンディが作品執筆に専念できるような環境を作ってあげるというもの。
そのために彼は長年勤めた警備の仕事を辞めてきたという。
そしてひたすら、自分の作品を書けばよいと。
究極の独善的な愛である。
まさに、君と同じ墓に入るのは勘弁してくれ、である。
サンディの絶望がよく分かるものだ。

A Patch of Fog003

そこで揉み合いになる。このレベルになるとサンディも知性の欠片もない。
しかし度が過ぎ、サンディはロバートを殺してしまう。
(元々、ロバートはサンディを傷つける気持ちがないから暴力もふるえない)。
夜の闇に死体を車で運び、遠方の湖で舟からロバートを投げ込む。
その際に何故か携帯が鳴り響き、ルーシーからのものだった。
慌てた拍子に船底にナイフを落としてしまう。
するとロバートを覆うビニル袋を縛った赤い紐がサンディの足に巻き付きロバートもろともサンディも漆黒の海に引き込まれてしまった。途中一度だけ力を振り絞り、ナイフを舟に取りすがり探ろうとするが、指が届かず力尽きて深い海底へと沈んで逝ってしまうのだ。

永遠の友達同士に死して成り得たか。
少なくともロバートにとっては、ハッピーエンドだろうか。
沈んで行くサンディのこころ残りな表情が本当に印象に残る。

サンディの内実のない名誉に支えられた生活の虚無感に浸りながらも、なお今現在の地位は保ちたいという人間的な欲望は分かる。そこから来るストレスが断続的な万引きで発散されていたのだろうか。
ロバートもサンディも共に孤独という点では、深く引き合うものがあったのでは。




主演の二人は文句なしの熱演であった。お疲れ様を言いたい(爆。



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ディス/コネクト

Disconnect001.jpg

Disconnect
2012年
アメリカ

ヘンリー=アレックス・ルビン監督
アンドリュー・スターン脚本


ジェイソン・ベイトマン、、、リッチ・ボイド(ベンの父、ニーナの報道局の顧問弁護士)
ホープ・デイヴィス、、、リディア・ボイド(ベンの母)
フランク・グリロ、、、マイク・ディクソン(ジェイソンの父、サイバー犯罪の探偵)
ミカエル・ニクヴィスト、、、シューマッカー(シンディのチャットの相手)
ポーラ・パットン、、、シンディ・ハル(子供を亡くした主婦)
アンドレア・ライズブロー、、、ニーナ・ダナン(TVリポーター、カイルを取材)
アレキサンダー・スカルスガルド、、、デレック・ハル(シンディの夫、リッチの部下)
マックス・シエリオット、、、カイル(ポルノサイトで働く18歳)
コリン・フォード、、、ジェイソン・ディクソン(ベンの同級生、ジェシカと名乗りベンを陥れる)
ジョナ・ボボ、、、ベン・ボイド(音楽好きの高校生)
ヘイリー・ラム、、、アビー・ボイド(ベンの姉)


見ながら「バベル」を連想していた。バベルほどのスケールはないが、ネット上のコミュニケーションにおけるグロテスクで残忍な局面が、3方向から切り取られている。
それぞれが、全く別の空間に生じたことに見えて、身体的に近い重なるような関係にもあった。
これは珍しいことでも何でもない。

日常空間がディスコミュニケーションに常態化していて、多くがSNSでも互いに言いたいことを垂れ流しつつ自閉している。
そんな場所でも、自分からうんと遠い世界の人が、自分のすぐ近くにいて思わぬ邂逅を果たすこともあるかも知れない。
だが、ほとんどそこからは豊かな関係は生れない。
身体性が抜け落ちていることは、やはり大きなことだろう。
利用し搾取するか、利用され搾取されるかの関係がほとんど。

まず日常の具体的な生活から人と人との全人的な関係が希薄化し、極めて部分的な繋がりのみの社会に変質して行く。
その空間に張り巡らされたWWWがさらにその傾向を加速させた。
wwwの見かけのコンテンツの膨大さと心地よさ、その入り込みやすさに、ついこころまで許してしまう。
(いやここにこころを許す場所を幻想するのだ)。
相手が誰か、何者か、に対する想像力は働かない。元々他者に興味などなかったのだから。
自分の良いように相手を描く。多様に見えても何れも自分の鏡像。
そして日常生活の何処でも見せたことのない心の内奥や秘密まで相手~その場に晒してしまう。
相手という他者ではなく、飽くまでも自分に都合の良い幻想のパーソナリティに対してである。
実生活で疎外度の高い者や虐待を受けている者、喪失感に悩むものほど、すんなり乗ってしまう。

それは相手にとって暇つぶしのゲームの駒であり、スタートの合図でもある。
標的~駒が記号である限り、同情や共感は生じない。
ゲームは進めば進むほど不可避的にエスカレートする。
その駒が、首つり自殺を図ったと知って、警察から逃れることに策を弄す。
チャット相手に個人情報を抜き取られ、口座が空になるが、その相手の端末も何者かに乗っ取られ遠隔操作されたものであった。
それに気づく頃には、あらゆるノードの痕跡は消されている。
www上で検索できるものはすべて、自己実現のためのネタでもある。
自分の出世のために利用できる弱者を探し、それをネタにしてのし上がる。
だが、利用があからさまでは世間体の映りからしてまずい。
救いの手を差し伸べてはみるが、相手を丸ごと受け容れるつもりなど端からない。
途中で梯子を外して逃げる。生身の現実に深入りは禁物だ。
もうすでにそこは、ヒトの棲む場所ではない。
われわれの住処はネット上である。

だから、アビーが弟のベンがいつまで看護していても意識が戻らないと3人の友達相手に悲痛な気持ちを吐露している傍で、スマホにお目当ての彼氏からの誘いが来たけどどうしよう、とひとりがウキウキ投げかけている。別に反応も期待してはいない。もう自分の意思は決まっている。
そこに体はあっても意識はネット上のやりとりのうちにしかない。

もはやネットを切断して、何かが変わる時ではない。
ネットへの接続無くして、われわれは息もまともに出来まい。

この一連の騒動を経て、関係者たちが自分の大切なもの~家族との絆を見出しそれを再接続したように描かれているが、事態はそんなに生易しいものではない。何故なら、こうしたウェブ社会の成立は、前提として家~家族~愛着という制度~生物学的な基盤が解体した結果によるものだからだ。

ただ、漠然とした「寂しさ」と「保身」が事を厄介なものにしている。

Disconnect002.jpg

物語はよく練られており、構成も演出も緊張感があって良かった。
音楽もとてもフィットしていた。








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二つの真実、三つの嘘

Proxy.jpg

Proxy
2013年
アメリカ


ザック・パーカー監督


アレクシア・ラスムッセン、、、エスター
アレクサ・ハビンズ、、、メラニー
クリスティーナ・クリーブ、、、アニカ(エスターの恋人)
ジョー・スワンバーグ、、、パトリック(メラニーの夫)


「代理人」である。代理にたてられた方はたまったもんじゃない。わたしの実感でもある。
わたしも実に酷い目に逢った。
相変わらず何だかわからない邦題。

昨日のマーク・ランディス氏の場合、色々と病名は付けられてはいたが、さほど周りで騒ぐほどの病気に祭り上げる必要は感じない。
個展まで開いてもらい、本人も動き辛くなったであろうし。
だが、しっかり精神疾患を炙り出さないと子供をはじめ、周囲が大変なことになる病気はある。
表向きはごく普通の人に見えて、極めて危険な障害者である。

「ミュンヒハウゼン症候群」人々からの注目を呼ぶために自らを傷つけたりする虚偽性障害に当たる。
妊娠しその妊婦の体形で人の善意を引き寄せ、恋人にお腹を蹴らせ流産することで、同情をかうなど、かなりコアなものだ。
とても表情からして暗い猫背のエスターである。
彼女に同じ類の人間と評された金髪女性メラニーの方は「代理ミュンヒハウゼン症候群」の兆候があり、エスターによってそれが呼び覚まされたと言えよう。それにしても「あなたの代わりにしてあげたのよ」と、ヒトの息子をシラっと殺せるエスターとは、かなりの重症と言えよう(ちゃんと見抜いていたにせよ)。「もっと素直になっていいのよ」これで確かにメラニーは素直に覚醒する。
メラニーのタイプは主に子供や伴侶などの近親者への虐待の特殊型として知られる。
子供を病気にしてその子をかいがいしく面倒を見ることで、自分のこころの安定を図るケース等々、、、。
この手の母親は結構いるが、酷い場合は子供を死に至らしめる。
子供の死を悲しむ母親として自分を愛おしむ。
世間からも同情されて。

それにしても、親子ほど面倒なものはない、とつくづく思う。
いや、人間そのものが厄介なのだ。
他者(彼女にとっては所有物)は自分の身勝手な願望を満たす道具に過ぎない。
子供は、全くの道具であり、代理のモノだ。
子供を亡くした親の会で、我が子を失った経緯などの辛い話をし合っていたが、彼女にとってはとても落ち着く憩いの場であった。
メラニーは、子供が殺される1年も前から、この会に参加している。
すでに息子は、誘拐されていたり、交通事故で亡くなっているのだ。
(早くここの正規メンバーとなりたい)。

ここにレズビアンを絡ませてくるのも、代理の象徴としてなのか。
メラニーは無意識的な願望通りにエスターに自分の子供を殺させ、我が子を殺した殺人犯として夫にエスターを殺させ、仇を取りに来たエスターのレズビアンの恋人を、すでに自分が殺しておいた夫の殺人犯に仕立てて正当防衛の形で殺す。
上手くすべての代理を使いこなし、TVを通して、自分が一躍悲劇のヒロインに祭り上げられ恍惚の表情のまま物語は終わる。
最初ヒロインはエスターかと思っていたが中盤で撃ち殺され、準主役級で登場したメラニーが主人公代理として最後に勝利する。


とても拘って作られた徹底して代理の物語であった。
面白いとは言えないが、よく出来た噺である。
これで女性キャストにもう少し魅力があれば、もっと毒の利いた傑作になっていたように思うが。







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美術館を手玉にとった男

ART AND CRAFT001

ART AND CRAFT
2015年
アメリカ

サム・カルマン、ジェニファー・グラウスマン監督


マーク・ランディス(贋作画家)本人
マシュー・レイニンガー (美術館学芸員)


30年間に渡り、贋作を無償で美術館に寄贈し続けたマーク・ランディスのドキュメンタリー。
彼は人々からは、障碍者として扱われており、ケースワーカーや精神科のカウンセリングも受けている。

彼は、ピカソをはじめ多くの有名画家の小品や習作を図録や画集から写して描くことを日課としている。
その描き方がまた独特で彼曰く「記憶術」によるもの。
絵のページの上に、紙を乗せ、ちょっと描いては、下の絵を覗き込みを繰り返しながら完成させてゆく、、、。
正直こんな模写の仕方はない。
確かに記憶術であり、ホントに特殊能力だ。
これが彼の描き方なのだろう。
贋作の描き方、ではなく、絵の描き方なのだ。

ART AND CRAFT004

赤いキャデラックCTSクーペに乗り、颯爽と自分の描いた贋作を美術館に寄贈しに行く。
(このクーペ、わたしの近所のクライスラーのディーラーのショウウインドーに飾ってあって毎朝見ている車なのだ、、、何とも親近感を持ってしまう)。
これは彼の基本的なルーチンであり、彼の生~生活に深く根差した行為である。
但しすんなり先方に受け取ってもらうために、姉の残した形見であったり、母の膨大なコレクションの中の一つとか、由来を適当に胡麻化し、精密な検査を行わない美術館を選んだりするなど、かなり頭を使い計画的に作品を持ち掛けている。

彼の障害とはどのようなものなのか、、、。
やたらと精神科医を(紹介されて)巡り、沢山の病名を貰っていたが。
普通に自立して生活し、他者に迷惑を掛けずに過ごせれば、殊更に障害者呼ばわりされる必然性はない。
だが、この他者への迷惑の点で、彼のこの芸術的な行為そのものが引っかかってくるのだ。
贋作と見抜けず寄贈作品を展示してしまったことで、その美術館の被る評価である。
だが、実際に贋作展示で悪評をかった美術館はない。ただ内部の学芸員や館長が不快感を表明しているだけである。
騙され受け取ったことに対する自己嫌悪から来るものでもあろう。
全米20州46もの美術館で100以上の作品が本物として扱われていたことには驚くと同時に笑える。
しかしその事実に対しマーク・ランディスは全く得意になるわけでもなく、飄々と次の作品を描くだけなのだ。

ART AND CRAFT005

彼は人のためになることをしたいという望みは常にもっており、神父になり(コスプレだが)出逢ったひとを祝福して有難がられたりしている。コメディ映画でもあるまいし、確かに常軌は逸している。
だが人から認められたいとかいう気持ちがあるわけでもない。
何らかの承認欲求もなく、利益も望まない(要求しないし受け取らない)。
ただ、何かを成した際の喜び~自己完結した自分の中での純粋な成就感を求めているのだ。

マーク・ランディスという唯一無二の男を知る人々の尽力で彼の個展が開かれる。
それに対して彼は世話になったと感謝の意は示しているが、取り立てて嬉しいとかいう訳ではない。
実際に原画も観ずに描いたにしては、確かにその絵の本質を直覚して描いたと受け取れる優れた素描だ。
つまり、実際の原画と並べたら異なるモノでも、その素描の質で学芸員をその作家の作品だと騙せるレベルには来ている。
それもあらゆる時代の様々なタイプの画家~描き方に対応している。ディズニーの原画まで模写~贋作しているのだ。
これは確かな才能であることは間違いない。

ART AND CRAFT003

彼の才能を評価する人々からは、自分の絵を描いたらどうだ、と勧められる。
真っ当な意見だろう。
だが彼の描きたい絵は、誰かがかつて描いた絵の模写なのだ。
基本、彼の描いた絵に、それ以外の絵はない。

個展の終わった後、自分がこれからやる仕事は、失くした絵の復元とか無くなったページの復活を誰かのためにやりたいと詩的な希望を語っていた。
そう、徹底してオリジナル=自我の表現には、興味がなく、かつての修道僧が教会の内壁に修行の一環として宗教画を描いていたその身振りに近いものを感じる。
彼も自分を芸術家とは呼んでいない。
自分がやっていることは、図画工作だと。

ART AND CRAFT002

自分の仕事を投げうって、彼をひたすら追いかけたマシュー・レイニンガーは、所謂彼の知る芸術家の誰にも似ていない彼の存在そのものに惹かれ、拘り続けたのだ。
技量に魅了されながらも、その行為に引きずられ、結局彼というものが分からないから惹かれたのだ。
まさにマーク・ランディス、存在自体がアグレッシブなアートである。






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ハウンター

Haunter001.jpg


Haunter
2013年
カナダ

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督
ブライアン・キング脚本
アレックス・カスキン音楽

アビゲイル・ブレスリン、、、リサ
ピーター・アウターブリッジ、、、ブルース(父)
ピーター・ダグーニャ、、、ロビー(弟)
ミシェル・ノルデン、、、キャロル(母)
スティーヴン・マクハティ、、、青白い男
エレノア・ジィシー、、、オリビア
デヴィッド・ヒューレット、、、デヴィッド(オリヴィアの父)
サラ・マンニネン、、、アン(オリヴィアの母)
マルティーヌ・キャンベル、、、エミリー(オリヴィアの妹)
サマンサ・ワインスタイン、、、フランシス


これは、死んだ霊が生きている者を救う噺か。
生きている少女が以前一家心中で亡くなった少女の霊と彼女のネックレスを通して繋がり、霊に助けを求め、霊はそれに応えるという、、、物語。霊になると時間の移動は自在のようだ。
一つの家の3つの時間が描かれそこを行き来するリサ。
その家で、殺人鬼が誘拐した少女を惨殺(焼却)した1950年代~1970年代。
リサの一家4人が引っ越してきて、父に殺人鬼の悪霊が憑りつきリサの誕生日の前日に一家全員が一酸化炭素中毒で死亡する。その後、彼らの霊はその日(日曜日)を無限ループする1980年代。
リサ一家の後に引っ越してきたオリビアの一家の2010年代。悪霊が父親に憑りつき、リサの一家と同じ運命を辿ろうとしたときに、オリビアとリサが繋がり、オリビアに憑依したリサが悪霊退治に打って出る。

Haunter002.jpg

スージー・アンド・ザ・バンシーズのTシャツを着て、デビッドボウイの”Low”とJoy Divisionの”Love Will Tear Us Apart”のポスターを部屋に飾っている女の子がヒロイン。センス抜群。ゴシックロマン。
ちなみに弟はパックマンをやっている。
TVでは、レーガン大統領が演説していた。
リサ一家の時代である。この時代を基本にして話が進む。
基本的に「日曜日」がループし続けているのだが、リサ自身~思考と行動は自由のようだ。
では何を持っての日曜日かというと、他の家族が全く同じ日曜日のルーチンを無意識的にきっちりと繰り返しているからである。
リサも家の外にはどうしても出られない。自由は家の中に限られている。
そしてリサの誕生日の前日の日曜日の枠内で、リサの揺さぶりに従い周囲の状況もちょっとずつ変わってゆく。

妙な物音や声がどこからか聴こえてくる。
気味の悪い男が何者にも関わるなと忠告に来る。忠告は脅しになってゆく。
外はいつも凄い霧。何も見渡せない。
家族は、リサの謂うことが理解できない。いや、しようとしない。
リサは毎日16歳になる前日の繰り返しに耐えられなくなり、自転車で外に出ようとしても、戻ってきてしまう。
父は車の故障を直し続けており、確かに外には出られない。完全に幽閉されている。

Haunter003.jpg

リサは自分が死んで永遠にある一日を繰り返していることに気づいている。
家から離れられない霊であることを知りつつ、囚われた場所と反復からの解放を目指し状況の打開に努める。
少なくとも抗おうとする意識の自由はあるため、その場所に対し超越的な視座は確保されているのだ。例の忠告男に謂わせれば、目覚めたからだという。
つまり「涼宮ハルヒの憂鬱」の”エンドレスエイト”状態ではない。時間流がループを繰り返すというのではなく、その中の要素の問題なのだ。人間の想念というか残存した記憶がそうさせており夢遊病などに近いものか。彼女の覚醒度は長門 有希に準えるが、立ち位置は長門と異なり、観測ではなく、内部にあって事態を変えようとするもの。
やがて眼鏡を探し出した弟も、自分の死んだことをはっきりと認める。しかしこの中に居続けゲームをやり続けていれば死なないと主張する(死んだことにならないと。この主張は長続きするものではない)。

洗濯機の裏の壁に隠された扉を見つけ秘密の地下室で、少女の失踪の新聞記事のスクラップを観てしまう。
地下には決まって何かがある。
しかしそこに関わることをやめさせようとする例の男が恐ろし気に介入してくる。
その度々現れるその男こそ、その家の初代の主で、子供時代に両親を殺害し、長じては次々に(スクラップブックにあった)女子を攫っては惨殺~焼却を繰り返してきた老人であった。
地下には殺された少女たちの遺品が転がっていた。リサが後に全て拾い集める。

Haunter004.jpg

オリビアとはだれか。
何故か彼女もリサと同じにクラリネットでプロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」を吹いている。
これが何かのカギかどうかと思ったが、彼女らの交信とは特別関係していないようだ。一種の対(鏡像)関係をなしているが。
(同時期に過ごし、友人になれば気の合う友達になったか、、、いや、リサは基本ゴシックロマンである)。
ウィジャボードもさほど役はなしていない。
オリビアは、アップルのiPadを普通に使っている現在の家の住人~娘である。
(後にiPadがもっとも意思の疎通に役立つ)。
その一家は生存しており生活しているが、父親が急に粗暴になり様子がおかしい。
一世代前の住人であるリサたちが死亡した時と同様の兆候が見られる。
リサのネームの入ったネックレスで、その一家の娘オリビアとお互いに存在を感じあえるところまで繋がった。
オリビアは以前ここで亡くなった一家の娘リサのことを知り、必死で助けを求めてくる。
例の老人がオリビアの父に憑依し、リサの時のように、父が一家全員を殺害するように仕向けている危機的状況であることが分かる。

幽霊は家を離れられない。ここで初めて知ったが、、、
この家で殺された霊は、全て代々ここに憑りついているようである。
リサのように鏡などを通して、別の時代の様子が若干探れたり、気を失ったところで、別の時間のこの家の家族の一人(オリビア)に乗り移りその家族に逢ったり~働きかけたり出来るようだ。
次第にリサの母親が自分が死んだことを思い出してゆく。というより無くした洗濯物をしまっていたことを自ら明かす。
そして、この前の日曜日に死んだと。
リサを理解し詫びる。そして父も、、、(隠していた)パワープラグをリサに促されて見つけ出す。
誰もがあの記憶を半ば抑圧隠蔽していたことも浮き彫りになる(メンドクサイ奴らだ)。

家族全員が目覚めたところで(現実に向き合ったところで)、リサは自分以外の者を家の外に出す。
霧はなく空は輝いていた。リサの家族は皆、家から解放され行くべき場所に旅立ったのか。
リサはオリビア一家を救うべく、家に残る。
殺人を子供のころから積み重ねてきた老人が相手だが、ヒトに乗り移る能力を持っていることから、この人物もすでに霊の存在であろう。とても手強い相手でリサは劣勢に立つが、かつて殺された少女たちの霊も結集してリサに協力し、周りを高速でぐるぐる回っていたが、結局彼を倒したようだ。
オリビア一家はこうして救われ、リサは自分に戻る。

気づくと彼女の家族とともに無事に翌日を迎え、皆で彼女の誕生日を祝った。
プレゼントは自転車である。

漸く彼女らも家を離れて外へと昇天することになった。
外には「望むもの全てがある」という、、、。







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ファインド・アウト

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Gone
2012年
アメリカ

エイトール・ダリア監督
アリソン・バーネット脚本


アマンダ・セイフライド、、、ジル
ジェニファー・カーペンター、、、シャロン・エイムズ
ダニエル・サンジャタ、、、パワーズ
セバスチャン・スタン、、、ビリー
ウェス・ベントリー、、、ピーター・フード
キャサリン・メーニッヒ、、、エリカ・ロンズデール
エミリー・ウィッカーシャム、、、モリー
マイケル・パレ、、、レイ・ボーズマン警部補


妄想には妄想を。もうそれしかない。という感じ。
アマンダ・セイフライドがカッコよい。
わたしは、とっても楽しく観たが、幾つか物足りないところもあった。

犯人が拍子抜けするほど、弱かった。おまけにアホである。
格闘術を習っているとはいえジルに簡単にボコボコにされ、正直に妹のいる場所を教えるからやめてくれ~とか命乞いして、ホントに正直に伝えて、ガソリン掛けられランタン放られて呆気なく焼死である。ふがいなさすぎる。それでも極悪非道の女性誘拐殺人犯か。

それから、わたしは途中まで、ジルに執拗に手助けをしようなどと持ち掛けていた見るからに怪しい警官が犯人では、と思っていたのだが、そのパタンはよくあるし、違う犯人だったら面白いなと期待して見ていたら、不必要に期待させるその警官は途中からほとんどいなくなり、結局他に真犯人がいたのだが、ジルのバイト先のダイナーで一度出逢っただけの目つきの悪い男というくらいの特に馴染みのないほとんど伏線上にもない男であった。しかも思わせぶりなだけで、実際策も罠もなく、いたって脆い。
こんな犯人に不振り回されていたなんて、ジルもかなりくやしかっただろう。

Gone004.jpg

もっとも犯人の100倍アホなのが警察であった。
勉強命の妹が試験日前夜に疾走した件で、ジルの真に迫った訴えを警察は頭から否定して、君の妄想だよ、きっと男と遊びに行ったんだ等と迷惑そうに遠ざけ、追い詰められた彼女が意を決してピストルを持ち一人で誘拐された妹の救出に出たら、彼女をピストル所持の危険人物として警察総動員で手配し逮捕に乗り出すと来た。
(ジルは以前、女性誘拐犯に拉致され殺される寸前脱出して警察にそれを訴えたが、妄想と捉えられ精神病院に入院させられた経経緯がある。彼女は今回も同一犯とみて妹を必死に探す)。
つまり彼女は、狡賢く手強い犯人に翻弄されててこずるというより、警察の馬鹿さ加減にえげつない程邪魔されながら真犯人を孤軍奮闘で見つけ出しやっつけるという新しいかたちのクライムサスペンスのヒロインとなった。

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しかしわたしもこうした孤独は子供時代に徹底的に味わった。
警察を権威(親・教員も含め)と捉えれば、こうした記憶を深層に持った人は案外いるかも知れない。
わたしは中盤から自然にそういう形に沿い観ていた。
友人や精神科の担当医までも警察の手先になって動いてゆく。
これは映画の外に既視感と怒りを伴う流れであった。
その点で観ると、肝心の敵は自分の中に膨らめていた巨大で恐ろしいものではなく、思ったより遥かにちゃちで他愛のないものというのも当たっている。

ジルの狡知というか機転を利かせた上手い方便もその都度、有効な手掛かりを引き出す。
しかし、何か子供向けの寓話みたいに、次々に有力情報がヒットして目的に近付くというのもどうしたものか。
ご近所のとても気難しい親父さんも怖い顔をしつつ犯人に繋がる重要な情報をしっかりくれる。
ジルが聴きだし上手なのは分かるが、誰からもガセネタ一つも出ないというのは甚だ出来すぎな感は拭えない。
噺的にはテンポよく面白いのだが。

Gone003.jpg

ともかく可憐なヒロインが、たった独り~これが恐ろしく独りなのだ~で、だれもの謂うことを疑いながら警察の裏をかき(これはさほどハードルは高くないが)走りまくるところは、応援してしまった(笑。
特に、犯人を騙して口を割らせ、助けると言ったじゃないか、に対して嘘~っと一言、ガソリンまいてランタン投げ込み、さっさと立ち去るところには胸のすく思いがした。

妹が本当に誘拐監禁され、やっとのことで家に生還し、そこへ犯人退治した姉のジーンも戻る。
包囲していた警察に事の次第を尋ねられ、「何もなかった。妄想だし」と突き放す。
やはり最後の決め台詞である(笑。

Gone002.jpg

”gone”が”find out”であるが、どちらの側面からみても良かったと思う。









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ハイ・クライムズ

High Crimes002

High Crimes
2002年
アメリカ

カール・フランクリン監督
ユーリー・ゼルツァー、グレイス・ケイリー・ビックレイ脚本
ジョセフ・ファインダー『バーニング・ツリー』原作

アシュレイ・ジャッド、、、クレア・キュービック(弁護士)
モーガン・フリーマン、、、チャーリー・グライムス(弁護士)
ジェームズ・カヴィーゼル、、、トム・キュービック / ロナルド・チャップマン(クレアの夫、建設会社を経営)
アダム・スコット、、、テレンス・エンブリー(新人弁護士)
ジャッキー・グリマルディ、、、アマンダ・ピート(クレアの妹)
ブルース・デイヴィソン、、、、、、ビル・マークス
トム・バウアー、、、マリンズ(FBIエージェント)


商業的に成功しなかったそうだが、よく分かる。
何を狙った映画なのか分からない。
サスペンスであるなら、ハラハラドキドキ感が薄い。
法廷モノで軍部の問題~腐敗を抉るというものでは、いささかもない。論争や駆け引き自体の面白さもない。軍事機密などと物々しさを出していたが結局どれほどのものだったのか。
クライムモノでもない。別に正義に拘ったものでもないし。
鬼気迫るサイコものという訳でもない。そこそこサイコか。
だが、このレベルの人は思いの外いるものだ。
愛と信頼の物語か、愛は裏切られるが、篤い友情による信頼関係は揺らがないことを謂っているのか、、、。
ただ友情~信頼関係と言っても何によってそれが結ばれたのかが希薄。
物語の作り、構成、演出なども特筆するようなところはない。
どのキャストにも魅力や共感を覚えない。
人間に厚みがない。

High Crimes001

ただ、最終的にどうなるか、というところで最後まで見たのだが、それでなんだ、という感じ。
観終わった後の何か、がない。それは解放感であったり、爽快感であったり、暖かい気持ちであったり、充足感であったり、ずっしり重く残った問題意識とか、、、。
最後のオチで、何の感慨もないことが、致命的に思える。


何だこれ~っで、終わった。
これほど魅力に乏しい映画はここ最近、観ていない。
それは良いことだろう(笑。


今日は、土曜参観であった。
午前中は、二人の娘の教室を行ったり来たり。
そこに入りっぱなしなら、どうということはないが、二人では、途中で出たり入ったりをしなければならないため、入る(観る)場所が取りにくい。
二人とも何というか、詰まらなそうな表情で授業を受けていた。
帰りに、いつもあんなに面白くない顔で授業を受けているのか、と聞くと今日は特別だるいということだ。
いつもではない、そうだ。
特に長女は学級閉鎖明けで、猶更ペースに乗れなかったのか。

いずれにせよ親子そろって今日は面白い刺激がいまひとつ、なかったみたい、である。




キャビン

The Cabin in the Woods001


The Cabin in the Woods
2012年
アメリカ

ドリュー・ゴダード監督・脚本
ジョス・ウィードン脚本


クリステン・コノリー、、、デイナ(大学生)
クリス・ヘムズワース、、、カート(大学生)
アンナ・ハッチソン、、、ジュールス(大学生)
フラン・クランツ、、、マーティ(大学生)
ジェシー・ウィリアムズ、、、ホールデン(大学生)
リチャード・ジェンキンス、、、シッターソン(管制官)
ブラッドリー・ウィットフォード、、、ハドリー(管制官)
エイミー・アッカー、、、ウェンディ・リン(管制官)
ブライアン・ホワイト、、、トルーマン(新人管制官)
ティム・デザーン、、、モーデカイ(ガソリンスタンドの店主)
シガニー・ウィーバー、、、ディレクター


既視感のある流れだと思っていたら、幾つもの有名なホラー映画のオマージュを基本に作られ、最後にとんでもない結末で締めくくる(奇想天外と呼べるコンテクストではない)、ホラー通向けの手の内を楽しむ映画であった。
こういう映画もありか。マニアの内輪受け作品。
とすると最後の小さなキャビンでの出来事が即、地球大の危機と繋がる一撃は、全国のホラーファンに向けたものに思える。
ネタのオンパレードの末に「もう、いい加減にしろ。おしまい!」というところか(笑。
ギャグ映画だったのか。
確かに、クリーチャー、妖怪が総出で暴れ狂っている終盤のお祭り騒ぎは、例えは古いがドリフのコントの締めに重なった。

この映画こそ見る人を選ぶものだ。
ただシンプルにこの世界~内容を追ってゆくと、ハイテクものなのか、オカルト、心霊ものかただの悪ふざけか何ともモヤモヤしてきて、やはり最後にキャビンを突き破って大きな手でドーン!と行きたくなるわ(爆。
つまり、そう見ても問題ないわけだ。
(結構、懐の深い映画なのか?)

The Cabin in the Woods003

そういう映画か、、、いやどういう映画なのか。
ともかく、途中までは、日本映画で言えば「人狼ゲーム」みたいに、どこかの富豪が内緒で子供(青年か)を集めて殺し合いゲームをさせて賭けに興じる類のものかと思って観ていたのだが、その客と謂われていたモノがどうやら、ヒトではないことが分かってきて、何なんだというと太古の化け物(シガニー・ウィーバー曰く)であったらしい。その姿は拝めない。だが恐れ多い存在みたいだ。これを鎮めるための儀式で生贄として5人の男女が適当に集められたとか、、、。
管制室からは、キャビンを含む森全体が監視対象にあり、様々な仕掛けが自在にコントロールできるようになっており、脱出を防ぐために目に見えぬバリアも張り巡らされている。そんなところは「ハンガーゲーム」のノリだ。
そして、5人がキャビンの地下室に降りるように誘導し、そこで何を(どのクリーチャーを)召喚するかをくじ引きみたいに決めさせる。
管制塔には、しこたまクリーチャーたちが透明の檻に入れられて管理されている。
今回は、ペイシェンス・バックナーという少女の日記をデイナが手に取り、その一家の禍々しい殺人歴を知り、最後に書かれているラテン語の呪文を読み唱えてしまう。それでスウィッチが入り、土の中からその一家のゾンビが現れ彼らが5人に襲い掛かることとなった。一人が血祭りにあげられる度に祝杯のワインが地下の客へと流されてゆく、、、。
実際のところ、この得体の知れぬお客といつ、どのように(めんどくさい)条件付き平和協定を結んだのか?

The Cabin in the Woods004

メタレベルにいるゲストが人なら、このクリーチャーはとりあえず棚上げにしておいても、この関係性の成立に特に支障は感じない。
だが、主体が得体の知れない太古の何やらなどとのたまわれて、それに対して世界中が(日本も含め)対応しているとか、、、そんな公的?地下組織などとくるともう、脱力して萎えてくるではないか、、、。
日本の取り組み状況もしっかり描かれている。何か微笑ましい。日本は妖怪が子供にやられてしまい、今回初めて失敗したようだ。
他の国の支部も悉くクリーチャー側が生贄を殺しそこね失敗をしてしまい、後がない状況に追い込まれた。
アメリカ次第となり、責任重大、失敗できない状況となる。
世界の存亡がかかって来たのだ。
すると、もうタガが外れたようにこれまでの(伝説的)映画で活躍してきたクリーチャーたちが次から次へと躍り出て誰彼構わず襲い掛かってくる。
この荒唐無稽な野放し状態が暫く続き、、、こちらとしては、どういう顔して見てればよいのよ、、、である(笑。
いろいろなものが出てきて面白いと言えばそれなりに面白いが。

The Cabin in the Woods002

大概、こういう類のものは、主演と思しき男女ペアが夕日を背に大変だったわね、という感じで生き残ってホッとしてエンディングを迎えるが、、、
これは、女子がひとり生き残り、後は皆死なないと客が怒って地球を滅ぼすという訳の分らぬお約束となっているのだ。
3人まで見事に殺害され、もう一人男が死ねば世界は助かることになっているのだが、二人が取り敢えず残って疲れて座り込んでタバコを吸い始めてしまったため、地球人全員が滅びることになったそうな。
これにすんなり納得できる人がいれば、それなりに楽しめる作品なのかも知れない。
(ホラー映画ファンでなくても)。

The Cabin in the Woods005

しちめんどくさいことするより、各国の科学力を結集して、その太古の妙なものを一気に滅ぼせばよいと思うが、どうせ地球が滅びるくらいなら人類の存亡をかけて一か八かで。なんでまた、それのご機嫌取りの演芸大会みたいなのを世界各国で手分けしてやっているのか、、、素直にみれば(みなくとも)ただ不可思議な映画である。





怖いもの見たさで一度見ても良いかも。怖くはないが(爆。



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ディープ・ブルー

Deep Blue Sea001

Deep Blue Sea
1999年
アメリカ

レニー・ハーリン監督
ダンカン・ケネディ、ウェイン・パワーズ、ドナ・パワーズ脚本


サフロン・バロウズ、、、スーザン・マカリスター(アクアティカの医学研究部部長、キマイラ製薬の研究員)
トーマス・ジェーン、、、カーター・ブレイク(アクアティカの所員、サメの番人)
サミュエル・L・ジャクソン、、、ラッセル・フランクリン(キマイラ製薬の社長)
ジャクリーン・マッケンジー、、、ジャニス・ヒンギンス(アクアティカの所員、海洋生物学者)
ステラン・スカルスガルド、、、ジム・ウィットロック(アクアティカの所員、医療学者)
トム・スコギンズ、、、マイケル・ラパポート(アクアティカの所員)
LL・クール・J、、、シャーマン・ダドリー〔プリーチャー〕(アクアティカの専属料理人)
アイダ・タートゥーロ、、、ブレンダ(アクアティカの所員、施設の通信係)


アメリカ人にとって「サメ」とは何なのかを、改めて考えてしまう。そんな映画であったが、、、

この映画は、これまでわたしの見たサメ映画では、出色の出来に思えた。
おちゃらけた多くのサメ映画とは明らかに一線を画する。
サメ自体のVFXは、今一つなのに物語~演出が良いため、大変リアルなのだ。
またかなりの予算が投じられたことが分かるアクアティカもずっしりしたもので細部まで作り込まれたセットに思える。
キャストも皆、素晴らしい。自然で個性的で活きている。主役と思しき人物もほとんどが死んでしまうのが残念だが(ペットの九官鳥まで)。
爆破だけが些かオーバーというか、そこまで爆発しなくとも、と思ったが監督が爆破のオーソリティーということで、とりあえず納得。
サメに襲われる恐怖とサメが逃亡する危険に対するパニックだけでなく、サメに破壊され水没する研究施設からのギリギリの脱出劇でもある。
ハラハラドキドキは相当なもの。よく出来た作品だ。

Deep Blue Sea004

元海軍の潜水艦補給基地を研究施設に改造したアクアティカで秘密裏にアルツハイマーの特効薬の開発が進められていた。
スポンサーは、キマイラ製薬の社長であるラッセル・フランクリンだ。
彼の下、研究施設に集められた優秀なスタッフが研究に勤しんでいるのだが、その研究材料に使われる生物がアオザメなのだ。
第一世代の親2体とその子供第二世代が1体の3体が実験用に飼育されていた。
しかも普通の脳では製薬に必要なたんぱく質の採取が出来ないため、盟約で禁止されている遺伝子操作により脳を巨大化させてしまった。それによる頭脳の発達から彼らは人の先を行く知力を発揮してしまう。
次々に餌食にされる研究員たち。
サメは何を狙っているのか、、、それはチタン合金で仕切られた柵の外へ、海に出て自由に生きることである。
当然そうなれば、殺戮の限りを尽くすであろうことも想定される。
事態がこのように進展してしまえば、もはや研究より危険因子の排除が最優先事項となろう。
巨大頭脳のサメ対人間の最終決戦に雪崩れ込んで行く、、、。

Deep Blue Sea003

物語の冒頭で、第二世代のサメが脱走して夜のクルージングを楽しんでいる男女4人組の船を襲うが、間一髪のところで、サメの番人カーターに救われる。ここでカーターがどういう男かが分かるが、よくあるサメパニック映画だと、間違いなくこの4人は、無残に食いちぎられて舟の残骸と共に浮かぶ物語のお決まりの導入の絵になるものだが、彼らは皆助かるのだ。新鮮な導入部分である。
だが、この後、まさかこの人までもという主要メンバーの惨殺が続いてゆく。
更に命からがら何とか上手い脱出手段を捻りだし、その作業を成し終えたと思った瞬間、その功労者がその装置もろとも噛み殺され振出しに戻るなど、何度となく生き残った者は地獄に突き落とされる羽目に。
そんななか脇役かと思っていた人物が、最後の最後までしぶとく明るく粘り続け、サメに最期のとどめをさす。
斬新でかなり捻りを効かせた脚本であることが分かる。
先が読めそうで読めないこの展開が目の離せない緊張感を生んでいるのだ。

Deep Blue Sea002

カーター・ブレイクがサメを躱す技が絶妙である。
この見事な身のこなしが、最初と最後の肝心な時に見られ印象的だ。
第二世代が海に脱走したときに、フェンスの調整を怠ったとカーターが責めた施設設備管理者のラパポートが「俺を信用しろ」と懸命に訴えるが、カーターの方は懐疑的な姿勢であった。これが終盤に近付き、設備に詳しいラパポートの案に従い水中作業を協力して二人で行う段に、再び「俺を信用しろ」に対し「ああ、信用する」という固い信頼関係になっている。
幾つかの伏線が回収され丁寧な流れとなって話に重みが増してゆく。

Deep Blue Sea005

どのキャストも、如何にもこの研究者または技術者ならこう動くだろうという期待に応えるものであったが、混乱を極め窮地に立たされるに至り、誰もが協力し一丸となって動くようになる状況が説得力を持って描かれていた。自らの研究の内に自己完結していたスーザンが最後には利他的行動をとり、自らが犠牲となって3体目のサメの退治に繋げる。
普通、このスーザンは思想的に問題がある人であっても最後には角が取れヒロインとして生き残るはずなのだが、見事にサメに喰われてしまう。やはりこの映画は一味違う。
結局、凶悪サメ(と言っても人の研究の犠牲者だが)をスーザンが一体、不屈の楽天家のコック、プリーチャーが一体、スーザン・プリーチャー・カーターの死を掛けた連携で一体、始末して一件落着となる。

最後の最強のサメも監督の意向か派手な爆破で締めくくった。
ありきたり感の無い重厚な仕上がりであった。




やはりこれは、Blu-rayによる鑑賞がベスト。


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学級閉鎖

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長女のクラスが学級閉鎖になった。
インフルである。
学校嫌いの長女の安堵した顔(笑。
わたしがよく、彼女がむっとした際に促す「乃木坂スマイル」を自主的にしている。
次女は、そりゃ羨ましいとは言っていたが、基本的に学校でオタク噺をする楽しみもあり、自分だけ登校することにさほど理不尽は感じていない様子。

それでは、というところで、長女に家庭学習をさせるかと思ったが、難儀であった。
時間はタップリあるのだから、何とかやらせたいのだが、自堕落モードでどうにも起き上がらない。
一度起きた後に、寝てしまったのだ。スマイルでいたのは、最初だけ(笑。
そう言えば、オーストラリアから帰った次の日も一日中寝ていた。
(次女は登校したが長女は寝ていたのだ)。
考えてみると(考えるまでもなく)、今回の学級閉鎖が姉妹で逆であったら、大変であったことは間違いない。
長女をどうおだてて学校に向かわせるか、難問をしょい込むこととなったはず。
次女は恐らく一日中、アニメキャラを描いたり、アニメ動画を作ってみたり、不思議なアニメ物語を作ったりで、ドップリ自分の世界に浸かってしまうことは、目に見えている。寝ないことは確かだ。


日頃、ウィークデイにやりたくても出来ないことなどやってみればよいのに、長女はグデタマになってしまった。
わたしだったら、この時とばかりに何をかやっているところだが。
まあ、時間の有り余っている者にとっては、取り敢えず眠るか、というところか。
空いた時間を何かに使わねば、みたいな切実感などまずない。
しかし、勿体ないところでもある。

結局、車で一緒にお昼でも食べに行くか、ということで、出かけついでに本屋で問題集でも買おうという方向に持って行くことにした。
いざ、本屋に着くと、あちこち書棚を回るたびに、ふたりとも気になる本がある。
読んでみたい本が幾つも見つかるのだ。
と言っても、彼女の学習~勉強の本を買いに来たもので、そのコーナーでの買い物に絞ることにする。
もう5年生も終わりに近いことから、5科目の総まとめのワークブックと、国語と算数の力を育成する問題集(パズル)に落ち着いた。

その「パズル」は、読解力と論理思考を育むのによい内容で、長女もちょっと頭を使う面白さが気に入り、楽しそうに食いついていた。5科のまとめは、5科に分かれたオーソドックスなもので、算数のページだけやって逃げてしまった。
基本的に国語(の部分)をやるのが億劫なのだ。
長い問題文を読むのが面倒だと。

確かに日頃から、長文に親しむ習慣はない。
ホンの一言で済ましてしまうメール感覚でほぼ全てのやりとりを完結している。
彼女の口から(流ちょうな)長い文章が流れ出てきたことのないのに気づく。

やはり気になった本もあったことだし、改めて本を読ませることにする。
また後日、気に入った本を選ばせ、読ませることに決めた。
本人は脳についての本が読みたいらしい。子供の本は読まないよ、というのでそれには全面的に賛成した。
わたしは帰りがけにロジェ・カイヨワの「蛸」を買った。
折角来たのだ。カイヨワの本は片っ端買ってきたが、これは持っていなかった。
こういった機会は逃せない。
本は、出逢った時に買わねば。


兎も角、誰もが学校にいるときに、堂々と休めるというのは、子供的にはとても得した気分にはならないか、、、。
余りお得感もないみたいである。
だがせめて、何か始める機会にしたい、、、。


次女が帰宅時に謂うには、長女のクラス担任がとっても暇そうにしていて、よくわたしのクラスに遊びに来ていたとのこと。
目に浮かぶ。




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イクメン・オオカワウソ奮闘中

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Giant Otters of the Amazon
2013年

アンドリュー・グレアム・ブラウン, スティーヴ・グリーンウッド監督
ナレーション、、、岡本 麻弥(声優)
カメラマン、、、チャーリー(イギリス本国でもカワウソの保護活動をしている)


川の狼と呼ばれている、大カワウソの生態を追ったドキュメンタリー。
アマゾン川源流に近いマヌー国立公園。その中央にあるサルバドール湖が舞台。
主役の大カワウソ・ディアブロの率いる一家の棲む場所だ。
そこで繰り広げられる、かなりわくわくドキドキのスリルのある物語となる。
ちなみに彼の妻はソフィアという。闘いの時などとても機転の利く妻だ。

体調2mもある大きなカワウソがいるとは知らなかった。
アマゾン川と言えば多様性の宝庫と呼ばれるが。
生息地の破壊と汚染で個体数が急速に減っている、彼らも絶滅危惧種である。
カメラマン・チャーリーは、赤ちゃんの頃から注目してきたディアブロと大所帯の彼の一家の奮闘を見守ってゆく。
カワウソはいつも家族単位で行動し、子育てには余念がない。
一番活発に活動するのが夜明け時という。
だからカメラマンも過酷な環境にあって4時起きだ。
(これはよほどカワウソ好きでないとキツイ)。


カワウソは、喉の模様が人の指紋に当たるという。
それでチャーリーは幼い時に見たディアブロが逞しい巨体と化していても識別できた。
カワウソの赤ちゃんが水嫌いというのも意外。
(泳ぐより巣穴でぐでぐでしている方が楽で好きなのだ。うちの娘みたいだ)。
お父さんが一生懸命、水に慣れるよう手を尽くす。
早く泳げるようにならないとこの先、大変危険なのだ。
それに自立に向けて魚獲りを覚えさせないと。

6mの黒カイマン(アリゲーターの一種)が天敵である。
暗闇が得意。音もなくカワウソの生活域に忍び込んでいる。
新たに誕生した6頭の赤ちゃんを守るディアブロの苦労はかなりのもの。
一家で15頭である。家族を養うための魚獲りも大変だ。
あの獰猛なピラニアが大好物という。
水中で大変素早い身の熟しで瞬く間にピラニアを捕らえるところなど鮮やかな手並みである。
やはり大カワウソ、只者ではない。
顔が怖いだけのことはある。
しかし一家でよく遊ぶ。
好奇心も旺盛でチャーリーのところにも寄ってくる。お互いに楽しそうである。

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泳ぎが特に苦手で大食いな赤ちゃんにチャーリーは、ダリと名付ける。
(観察対象には必ず命名するのだ)。
彼はその後、度々家族に心配をかける。
サルバドール湖である。問題児である。納得(爆。

赤ちゃんを運ぶのは、年上の兄弟の役割で口にくわえて移動する。
ここのところずっと、特定の黒カイマンが狙いをつけて機を伺っているため、赤ちゃん保護を考え危険回避のため引っ越しをする。
しかしそれでも後をつけて襲ってきた黒カイマンとの戦いに巻き込まれ、2頭の赤ちゃんを失う。
赤ちゃんは4頭になってしまった。

その後も、しつこいカイマンが巣穴の近くでじっと狙っている。
この文脈で観ると、如何にもカイマンが冷酷な悪党に見えるものだ。
(だが、人相?では、カワウソも負けていない(笑)。
丁度、赤ん坊が水で遊んでいるところにカイマンが接近してきたところで、ディアブロは最終決戦を決意する。
まず妻のソフィアがカイマンの前に回り気を逸らす。
その隙に大人のメンバーが一瞬に敵を包囲する。
そして一気に襲い掛かり1時間を超える熱闘を繰り広げ、敵カイマンを倒すが、この時様子を窺いに出てきてしまった赤ちゃんをまた2頭失う。
残った赤ちゃんは、2頭となる。
(ダリはどうなったのか、チャーリーはとても心配になる。特別世話の焼ける子供であったこともあり)。

雨が多い地域であるが降り出すとなかなか止まない。
巣穴に入ってしまうとカワウソの姿は全く窺えない。
チャーリーも一旦、避難して、1か月後に元の場所に戻ると、久々に再会できた。
こうした観察~撮影の難しさ、厳しさが伝わってくる。
彼らだということは、まず声で分かるという。
聴きなれた声というところから、声は特別なのだ。
恐らく分かる人にしか分からないものであろうが、、、。
二頭残ったその一頭は、ダリであったことを知る。
(運が強いのか慎重なのか、、、)。

チャーリーが何より安心したのは、ダリがすこぶる泳ぎが上達していて、自分でピラニアを獲って食べていたことである。
こうなると、生存率はとても高くなるというもの。
これからも力強いパパ、ディアブロに率いられて無事に楽しい生活を送ってもらいたいと自然に願ってしまう。

日本の水族館の可愛い小型のカワウソとは異なり、逞しい(獰猛な)カワウソたちであった(笑。
赤ちゃん時代から強面である。
わたしのカワウソのイメージが変わった。

女性のナレーションが随時、適度に入り字幕を読むより楽で良かった。






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アマゾンに行くのも良いかも。





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ときめくカエルたち

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サリー・トムソン監督

デヴィッド・アッテンボロー(イギリスの動物学者、植物学者、プロデューサー、作家)


カエルはわたしにとって特別な生き物である。
幼少期に一時期預けられていた田舎の祖父母の家近くの川辺の水溜まりで彼らに出逢った。
生みつけられた卵の様相も神秘的で、印象に残っている。

わたしの動物のフィギュア・コレクションだと、ガメラ(亀)を入れれば、一番多いのがフクロウで二番目がカエル、3番目が亀(ガメラ含む)であった。カエルもこれまでに二、三度くらいは飼ったことがある。お祭りとかで手に入れたものや、田んぼで掬ってきたオタマジャクシからカエルに変態したものなどだ。見た目が可愛く、ほっぺをぷくっとふくらましたり目が大きくて飛び出したところが特に魅力的。首がなくて頭が回らなくてもあの目で360度見渡せるというから凄い。そう、動作もそれぞれ個性的で観ていて飽きないものだ。


海から陸に上がった最初の動物が両生類であるが、彼らカエルは極寒の地から灼熱の砂漠にも生息している。
水が必要な変温動物であるが、あらゆる環境に適応・進化してきたと言えよう。
最大の結構グロテスクなものから、親指の爪ほどの最小のカエルまで、様々なカエルがデヴィッド・アッテンボロー氏により愛情たっぷりに紹介されてゆく。
それらのカエルの生態の剽軽でカワイイこと。彼らにとっては生死をかけた行動であるも。

飛んだり、跳ねたり、登ったり、滑空したり、穴を掘ったり、水上を走ったり、、、それぞれの環境・種類により興味深いものだが、一番見ものだったのは、様々な子育て方法である。
子育てに労を惜しまないカエルが沢山いることが分かった。
そして天敵から身を守る術である。子育てとも不可分なものである。
擬態やユニークな逃走法や強烈な色合い(警告色)で脅したりと、色々だ。
幾つものパタンがあったが何れも、見応えがあった。

更に舌である。
彼らは皆、ハンターでもある。
喉の奥からではなく、口の前部に付いている獲物を瞬時に捕らえる武器でもある舌。
凄いメカニズムである。足と同様によくできたもの~機能だ。

それから鳴き声である。
音の増幅器を備えており、お互いに語り合っているという。
結婚はその声~語りが決定打となるらしい。
それに加えて、手を振ることで合図をしあったりもする。
なかなか粋なものだ。


この映画で、一番可愛かったカエルは「フタイロネコメアマガエル」で、皮膚の分泌腺から日焼け止めクリームを出して手足で器用に体中に丁寧に塗っているのだ。このお手入れの様子に、かなりの女子力を感じた(笑。
そして一番、気に入ったカエルは、「アフリカウシガエル」である。
「ダーウィンハナガエル」が次点。
いずれもお父さんが一生懸命、子育てに奮闘している姿、他人事には思えず、親近感をもった(笑。

進化を重ねて逞しく繁栄してきた彼らだが、そんな彼らも今世界レベルで特殊なカビ(ツボカビ病)により、3分の1が絶滅の脅威に晒されているという。皮膚呼吸が疎外されてしまうのだ。
(他にも生育地の減少と殺虫剤の使用が彼らを酷く追い詰めている)。
デヴィッド・アッテンボロー氏がかつて紹介した珍しいカエルの幾種類かはすでに絶滅してしまったそうだ。
とても珍しい個性的なカエルであり、フィルム上にしか残っていないとは、実に淋しいものである、、、。


それにしても、このような世界各地からカエルの貴重な瞬間をこれだけフィルムに収める作業に要した労力と時間はどれほどのものか。
ちょっと気の遠くなるような思いがした。
カエルが水を飲まないということも知った。
彼らは皮膚から水と空気を取り込んでいるのだ。
とても意義深い労作である。

そしてカエルへの愛情である。
これも半端でないことがよく伝わってきた。
全体のトーンが暖かい。
それで楽しめるものとなっている。








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彼女が目覚めるその日まで

Brain on Fire

Brain on Fire
2017年
アメリカ、アイルランド、カナダ

ジェラルド・バレット監督・脚本
スザンナ・キャハラン『脳に棲む魔物』原作
シャーリーズ・セロン他製作


クロエ・グレース・モレッツ、、、スザンナ・キャハラン(新聞記者)
トーマス・マン、、、スティーヴン(ミュージシャン、恋人)
リチャード・アーミティッジ、、、トム・キャハラン(スザンナの父)
ローナ・ナック、、、キャリー=アン・モス(スザンナの母)
ジェニー・スレイト、、、マーゴ(スザンナの同僚、親友)
ナヴィド・ネガーバン、、、サウエル・ナジャール(脳外科医師)
タイラー・ペリー、、、リチャード(編集長)
アガム・ダルシ、、、カーン医師


スザンナ・キャハランという難病を巡り闘ったジャーナリストの自叙伝の映画化である。
彼女は「抗NMDA受容体抗体脳炎」の271人目の患者であった。
まさに”Brain on Fire”であった。

映画にわざわざ邦題を付ける必然性はない、と思う。
(これほど酷い邦題を付けられたら、売り上げ~興行収入に響くこと間違いなし)。
わたしも主演が、クロエ・グレース・モレッツでなければ見ていない。
彼女の主演で初めて感動した映画を見過ごすところであった。
(良い映画に当たった。最初は天才ダコタ・ファニングが予定されていたという)。

Brain on Fire003

「あなたがたは、自分自身の中に閉じ込められたことはあるか」という問いかけから始まる。
スザンナのような重篤な病で閉じ込められなくとも、このような感覚を抱いている人は少なくないのでは、、、。
彼女の場合、それは突然~彼女の誕生パーティーの最中~に来た。
自分でも分からない強い不快感に襲われ、幻視に幻聴、、、周囲の同僚にも分かる挙動不審。
親友や恋人、両親の不安と心配は募る。
身体を蝕む何であるか分からない苦痛~病魔を巡って、本人と両親、恋人の苦闘が始まってゆく。
本当にこの両親と恋人はよくやったと思う。
何よりも愛情があった。

Brain on Fire002

この物語では、適当な診断を下す医者以外の周囲の人々は、とても彼女に献身的である。
いつも彼女を支えている先輩(親友)はもとより、辛口の編集長も窮地に立った彼女には支援の姿勢をしっかり示す。
(治るまで待ってくれた上に自叙伝を書くことまで勧めてくれた。何と良い人なのか)。
普通なら、クビとなって精神病院に送くられておしまいだ。

Brain on Fire004

「抗NMDA受容体抗体脳炎」という診断が出たお陰で、スザンナは救い出された。
自分の体が脳を攻撃していることが判明したのだ。
致死的な疾患であるが適切な治療で高確率で回復も望めるものだという。
スザンナは、サウエル・ナジャールという医師に出逢えたことで、はじめて本当の病~苦痛が見出され解放された。
多かれ少なかれ、自らの身体~歴史のうちに閉じ込められている人はいる(本人が気づいていようがいまいが)。
しかし大部分の人は、それを正当に見出して救ってくれる人~機会(本との出会いも含め)に恵まれない。
何とか日常生活がそこそこ送れる程度であれば、相当な苦痛を強いられながらもそのまま生きてゆくことになろう。
本人に落ち度がなくても(犠牲者であっても)、大変な苦悩を背負い生きるしかない場合もある。
(そこまでいかなくても所謂自己不全感に悩まされている人は少なくないだろう)。

このような大きな病で日常生活がとても営めない状況になれば、入院してその治療に当たるが、多くの場合、見当違いな(いい加減な)診断により、全く異なる病の治療を受けさせられ、更に重篤になり死に至る。
彼女の場合、幾つもの病院で何人もの医者に診てもらいながら、誰もが彼女の苦痛の原因を見つけることが出来ない中、とても誠実で真摯に患者に向き合うカーン医師が、スザンナに下された診断は間違っていると直感するもそれが何かが分からず恩師であり今は医者を引退しているナジャール氏に診察を強く要請したことで、路が見事開けた。

Brain on Fire001

現状は大変難しいところだ。
ヒトを当てにすることはまず出来まい。
(このような重篤な病でなければ、自分で治す以外にない)。
親が原因である場合~病など周囲からは全く見えない。
全く救いの手はない。
であるから、何であっても、自らの場所~身体性を自ら書くしかないのだ。
救われる~浄化されるまで書く。


Brain on Fire005

これまで統合失調症、双極性障害、単に精神異常で片つけられ苦しんで来た人がどれほどいたか。
「多くの病人が見失われる世の中でわたしは見出された」と彼女は語る。
スザンナ・キャハランの手記によりこの難病の正しい治療が行われるようになったという。
また、これを書くことが彼女自身にとって大きな意味と価値をもったことは間違いない。
「わたしは以前よりも確実に強くなった」と自身振り返っている。





この映画の評価が専門家の間で低かったのは何故だろうか。
何であっても、映画としての出来不出来を越えて、大変価値のある作品であると思った。
クロエ・グレース・モレッツも頑張った。


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whales

whales001.jpg

2018年

ハワードホール監督
アランウイリアムス音楽

初雪である。ここのところ気持ちも過飽和をきたしていた。
目に見えぬ塵を核にして水の分子が凝結してゆく、、、
白く煌めいて。ハラハラと。
そのうえ今日は風もあった。

車で午前中買い物があるという娘たちを乗せてデパートまで走ったが、雪がフロントガラスめがけて斜めに飛んでくる景色はそうは観ることが出来ない。
普段雪とは無縁の土地に住んでると、こんな経験が何かとても貴重なことに思える。
雪はひとつも同じ結晶の形はないという。
神秘だ。
昔、同じ結晶の形はないと聞き、5角形の結晶を絵に描いてみたら、すかさず友達から6角形以外の形がないことを教えられた。
酸素原子に結び付く3つの水素原子がそれぞれ120度の角度を作りそれが6角形の基本構造を作るとか何とか言っていた。
物理的にしっかり決まっているのだと分かったものだが、6角形で無限のバリエーションというのも凄いものだと、自然の奥深さにちょっと震撼したのを覚えている。


雪の中を家に帰り、、、
娘ふたりと一緒にこれ”whales”を見た。
わたしが観た当シリーズの他の2つと比べて、実に地味なものであった。
地味とはいっても、奥深い重々しい地味さ加減である。
昨日観た映像のように、奇想天外で物珍しい煌びやかなところは微塵もない、というレベルにおいて。

クジラと聞いてすぐ思い浮かぶ見慣れた形ではなく、如何にも生々しい本物のクジラを観た思いである。
とても武骨で、愛想の良いクジラのイメージから遠い、かなり異物感と即物性を覚える他の生き物がそこにいた。
何より量感が凄い。何か名状しがたい塊である。最初、娘たちがこれ何?と聞いてきたのも無理もない。
ふたりが、水の中に縦に浮かんだウンチみたい、とかシワシワのさつまいもだ、とかいっていたが、そんな感じにも思える。

とてもゆっくり動き、鳴き声が聴こえて、彼女らも真似をして少しの間は楽しんだか、、、。
ゆっくりさは、ほんとうに心配になるくらいにゆっくりで、娘たちが、そのクジラ死んだの?と聞いてくるくらいであった。
それから暫く経って、上に向けてこれまたゆっくり泳ぎ始めるという具合である。
このペースに、癒しというよりストレスを覚えはじめるふたりであった。

しかしこれ~この時間がきっと自然の姿なのだ。
見やすく編集していない感じに好感が持てた。
寧ろわれわれの日常の時間性を解体するような動きにこそ触れる価値があると思う。
ふたりは、後何分で終わるの~とそわそわしてくる始末。
映像としては、これにこちらが慣れてみることが大事なエクササイズともなると感じた。

わたしはだいぶ前、クジラの鳴き声のCDを夜、流しながら寝ていたものだ。
ただひたすら、海流の音に交じり、クジラの多様な鳴き声がしっかり捉えられており、飽きることなく聞き続けることが出来た。
最初ちょっと耳障りに聴こえたところが、次第にまた違う感触を感じるようになったものだ。

この映像には、BGMが絡み続けクジラの声が打ち消される感じである。
(BGMも如何にもと言う感じのヒーリング調の紋切り型だ)。
クジラの声を何より大切にしてもらいたかった。
映像を観る価値はあると思う。







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Beneath the Sea

Beneath the Sea

”ワイルドウィンドウシリーズ”に再び挑戦
今日は眠らずに観る(ことを目標に)。
2018年

ハワードホール監督
アランウイリアムス音楽


海の下である。
それだけ。
8kデジタルによる映像と言う。
対応していなくても十分に美しい。
(わたしはいつもノートパソコンの画面で観ている)。


時折見られる海面~夜空の光景(うつろい)にタイムラプスが使われるが、全体として基本的にゆっくりした静謐な映像である。

面白い形・色彩の魚や深海の生物が次々に現れ、それらの生態の妙もあり、スーッと魅入ってしまう。
眠るのならやはり”The Flow of Time”が適しているか。

遊んでいるのか威嚇しているのか、闘っているのか、、、よく分からないが、皆が何かやっているのだ。
全く異なる法則の下で。
この鮮やかな多様性の神秘。
海の下で。深い海の下で。

普段、われわれが観ることの出来ない深層の世界は、、、
シュルレアリスムを遥かに超えた芳醇な世界であった。
どの生き物も極めて個性的で神秘的で威厳を湛えている。
なかでも「グロカワイイ」生き物たちが楽しく遊んでいたり、まどろんでいたり、お散歩している姿には異様な愛おしさも覚える。


ここでは、あらゆる形態と色彩・配色と動きが試されており、時にそれらの構成する集合体が交響楽を奏でるようにみえる。
BGMもフィットしていたが、ドラマ性を過剰に被せているきらいはあった。
この映像で無音であったら更にインパクトを感じるのでは。

これほど、別世界に思える場がわれわれの世界の下に広がっているという感覚は常に持っていたい。






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危険なメソッド

A Dangerous Method002

A Dangerous Method
2011年
イギリス、ドイツ、カナダ、スイス

デヴィッド・クローネンバーグ監督・脚本
クリストファー・ハンプトン原作『The Talking Cure』
ハワード・ショア音楽

キーラ・ナイトレイ、、、ザビーナ・シュピールライン
ヴィゴ・モーテンセン、、、ジークムント・フロイト
マイケル・ファスベンダー、、、カール・グスタフ・ユング
サラ・ガドン、、、エマ・ユング
ヴァンサン・カッセル、、、オットー・グロス


フロイト、ユング、にザビーナについては、色々と読んではいたが、映像で観てしまうと、フ~ンこんな感じだったのかな、、、
映像の持つ情報量というより、その制限力に感じ入るところ大きい。
かつて奈良原一光が、「光」という文字からは多様な光がイメージ可能だが、映像でそれを見せられると、もうそれでしかなくなる、みたいなことを雑談で述べていたが、まさにそんなところか。
余りに有名な3者の関係であり、わたしがここでなにやら話しても意味がないのでこれについては、スルーしておきたい。
特に自分なりの感想もない。
(転移、逆転移やシンクロニシティーなんて学生時代、先輩とよく話していたものだったなあ~と郷愁を感じたが)。

A Dangerous Method004

ただ、ヒトは意識より圧倒的に無意識に生きていることは確かで、それによる関係性で受苦している。
(フロイトとユングの間にもユダヤとアーリアの無意識的な不信感は横たわっている)。
多くの災難や不幸はそこに発していることは確か。
単に意識で想うこと(内容)に従い楽しく生きていられれば、それはお気楽で良いが、どうにもそうはいかない。
必然的に意識の枠、意識の及ばぬ意識を突き動かしもする領域~無意識、その身体性を考慮せずには、問題や軋轢、齟齬、苦痛を生む場所が見えてこない。
こころについてのこころを考察(内省と遡行)しなければ、何故こういう結果がもたらされたのか、そこからの解放もみえてこない。
内容ではなく形式であり、構造が問題となる。

そういえば、ユングとボルフガング・パウリとの共同研究は刺激的だった。ユングの立ち位置はそちら側だったと本作を観ながらつくづく思う。
リビドーもフロイトのように性に限定したエネルギーではなく、生エネルギーという範囲でみているし、無意識がフロイトの個人的な無意識ではなく、集合無意識である。つまり精神分析ではなく超心理を問題にしている。元型(原始的類型)~シンボルという概念に行き着く。
劇中にもあった超能力的な感覚(感性)の発動する場面。あのラッピング!ほとんどオカルトの世界にも重なって行く~ESP。
因果性では説明不可能な並行性。
夢の役割もフロイトとは異なるものとなる。

A Dangerous Method001

決別するまでの、ふたりで夢判断をし合う場面はとても興味深いものであったが、、、。
アメリカに向かう船上。夜のデッキでユングの夢の分析をフロイトがするが、フロイトは自らの夢を自らの権威を守るために語らない。
この映画では、これがふたりが別れる決定打となったみたいに描かれてゆくが、、、わたしは、フロイトの書斎での二度目のラッピングをもって決別となったと受け取っている。

夢は大変貴重なメッセージでもある。
ヒトを飛躍させる啓示となった例も少なくない。
わたしはもっと夢という無意識のビジョンに敏感でありたい。
それから、人々はもっと無意識の危険性に危機感を持たなければならない。
母親の無意識が子供の魂を殺害してしまうことなど、、、表には出ないが由々しき問題である。


この映画の鑑賞を機にいろいろと再確認したいことが浮かんできた。
その意味で、有意義なものだった。

ほとんど映画については何も語っていない、悪しからず。

A Dangerous Method003

ザビーナ・シュピールラインの再評価がなされているという。
少なくともフロイトとユングに大きな影響を与えたことは間違いない。
フロイトのタナトスは彼女の論文~考察によって形を成したようだ。









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The Flow of Time

The Flow of Time

2018年
ハワードホール監督
アランウィリアムズ音楽

時間の流れ~うつろいの美しさが堪能できる。
見ているうちに眠くなる。実際に眠った。
ここのところ、眠くなる映画をずっと見て来た気がするが、これはその最たるもの。
画像の美しさもさることながら、リズムが心地よいのだ。
音楽との一体感も実現されており、入眠に最適かも。
これは始めから終わりまで見る必要はない。
とても自由で解き放たれた関りが可能だ。
夢のポータルか。

タイムラプス動画など、作る必要性もなかったが、素材があれば作ってみたいとも思った。
作るとしてもせいぜい3分間程度のもの。それ以上はちょっと大変だ。
ループさせ環境ビデオにする。それを観れば落ち着き、眠くなるようなもの、、、。

わたしの場合、題材は「亀」とか「多肉」となろうか。
「亀」なら結構短時間で制作できそうだが、「多肉」はかなりのスパンをもって作るしかない。
「亀」は、落ち着くと謂うより、コミカルで笑えるものになってしまいそう、、、。
「多肉」は、可愛らしいものになるかも。
しかし動画編集は時間がかかる(15年ほど前、嫌という程やってきたが)。
タイムラプスは画像の明度の差が押さえられないと明滅するようなチラツキが出てしまう。
普通に作ればそうなってしまうはず。
編集ソフトにそれを平滑にする機能はあると思うが。
やはり時間に余裕がないし、出来ているもので済ますか、、、(笑。

ハワードホール監督の”ワイルドウィンドウシリーズ”を調べてみると、幾つものコンテンツがあることが分かる。
これから、それらにも当たってみようと思う。

”The Flow of Time”は、主に「空」である。
変幻する彩雲~空模様の妙である。
乃木坂の北川さんの専門領域である。
(意味不明であってもお気になさらぬよう)。


やはり空には魅了される。
われわれが生かされ癒され想像力の活性する場である。
海と共に、、、。
そう海も美しかった。眠かった。








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アルカディア

THE ENDLESS

THE ENDLESS
2018年
アメリカ

アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン監督
ジャスティン・ベンソン脚本

アーロン・ムーアヘッド、、、アーロン(元教団員ジャスティンの弟)
ジャスティン・ベンソン、、、ジャスティン(元教団員アーロンの兄)
キャリー・ヘルナンデス、、、アンナ(教団員)
テイト・エリントン、、、ハル(教団のリーダー格)
キラ・パウエル、、、リジー・リジー(教団員、画家)


「アルカディア」という安易で無難な邦題がついているが、この場所に局所的な時間ループが起きているということ。
これが、尋常でない事態だ。
しかも月が3つ出たりもする。
で、空間に閉じ込められていることがコミカルに表現されているところは笑える。

「神」と教団(ハル)が呼ぶ存在は、ヒトにメッセージを与えるとき、ビデオテープや写真を使う。

THE ENDLESS001

10年前にアーロンとジャスティス兄弟は、カルト教団「アルカディア」を脱走してきた。
しかし、普通の生活にどうにも馴染めず、人間関係にも喰うにも困り、恋人も出来ず、この不遇な実情に弟が不満を募らせている。
(何故か鍋でインスタントラーメンを茹でている。侘しい、、、)。
ある日「アルカディア」からビデオテープが送られてきて、やはり今の生活より教団の方がずっとましな生活が送れると感じられた。
兄としてはカルト教団で集団自殺などされては困るということから反対するが、それなら弟は一度帰って皆にお別れを告げて、戻りたいという。明らかに未練があるのが分かるため、独りで行かせるリスクは高く、兄も付き合うことに。

THE ENDLESS002

懐かしく感じられる「アルカディア」に戻ると、彼らはかつて脱走した二人を暖かく迎え入れてくれたが、不思議なことに教団の面々が歳を取っていないように窺える。
その上に夜空に月が2つ浮かんだかと思うと、今度は3つ出ている。
空から写真が突然ばら撒かれる。
恰も自分の行いが逐一観られているかのように。
そういった類の現象に驚く人は誰もいない。

ここに来る前に彼らのもとに送られてきたビデオで教団の女性アナが、「みな昇天した」と言っていたことが、強く引っ掛かり始める。
恐怖と不安の膨らむ兄は至急抜け出すことを考えるが、弟はそこに残りたいという気持ちを伝える。
弟は教団が気に入っているというより、兄との確執をずっと胸に秘めていた。
兄の支配から逃れ自分の人生を主体的に生きたいのだ。
(これは自覚すれば誰もが感じることだ)。

THE ENDLESS003

ここから外に出ると道に迷う。
これも尋常でないが、何より驚くのは、一帯の住人が皆囚われの身なのだ。
デカルト~カントの近代科学を支えた無限に延長する等質空間ではなく、ルネサンス以前の人々の共通感覚であった個別空間にそれぞれのヒトまたは小グループが嵌り込むように存在していた。
こんなところを歩けば迷うのは当然な気がする。
というより、彼ら兄弟はその独立した場を透過~通過できるのだ。
ということは、その「アルカディア」というそれらを上位で統合する場からも抜け出せる特異な要素であると謂えるか。

彼らは囚われた場~時空にひたすら苦しめられる。
これは地獄以外の何ものでもなかろう。
自殺しても、あるところで、元に戻ってしまう。何度となく自殺を繰り返す男。
家に放火しても、暫く燃えた後で元の家に戻っている。
人それぞれのスパンがあるようだが、それぞれの時間がループしているのだった。
忙しい男は5分単位で男の世界がループしていた。

兄の「ここに居れば、永遠に生きられるが、同じことの繰り返しだ」に対して弟は「家に帰ってもつまらない日々の繰り返しだ」と返す。
これはどう見ても、帰って一度限りの生を全うした方が良いことは確か。
考えるまでもない。
弟の反旗は兄に対する感情の問題である。

THE ENDLESS004

アルカディアの小屋でいつもカギの掛かっているところが、そこの主によって開けられた。
きっと彼は二人にチャンスを与えたかったのだろう。
その部屋は、これまでの教団の出来事全てが記録されたテープが保管されたライブラリーであった。
そして突然、TVがリアルタイムの映像を映し出す。
何と空から地上に強大な力が及び、下にいた教団の人々を全てのみ込んでしまうのだ。
その力がそのまま周囲に波及し、慌てふためき逃げる彼らをも呑み込もうとする。
彼らは車まで逃げてくるが、エンジンがかからない。それをお前のせいだ、いや兄さんのせいだと責め合う兄弟。
ふたりで、その車を押しながらエンジンをかけようとし、兄弟がお互いにこれまで秘めて来た胸の内を洗いざらいぶちまけ、和解すると同時にエンジンがかかり、猛スピードで飛ばし呑み込まれるすんでのところで、その磁場を逃れる。
この件はかなりの迫力であった。(だが中盤はどうも冗長な感じで今日も少し眠ってしまった)。

「アルカディア」という磁場では、またループが繰り返されているようであった。


この無限反復が、現実世界の生き難さをひきとる次元のものではないことは確か。
生き難さはこの地平における飽くなき闘争によって改善される。
敵を叩き潰してゆくこと。
これ以外にない。






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こういうところには行きたくない(爆。










セブン・シスターズ

What Happened to Monday002

What Happened to Monday
2017年
イギリス、アメリカ合衆国、フランス、ベルギー

トミー・ウィルコラ監督
マックス・ボトキン、ケリー・ウィリアムソン脚本

ノオミ・ラパス、、、カレン・セットマン(セットマン家の7姉妹)
マーワン・ケンザリ、、、エイドリアン・ノレス
ウィレム・デフォー、、、テレンス・セットマン(祖父)
クリスティアン・ルーベク、、、ジョー
グレン・クローズ、、、ニコレット・ケイマン(児童分配局長、政治家)


人口の爆発的増加に対する食糧政策によって採られた遺伝子組み換え作物の影響で皮肉にも多生児が増加した。
政府は強制的な人口抑制のため一人っ子政策を敷き、二人目以降は“児童分配局”による「冷凍保存措置」が行われる。
セットマン家には7人姉妹が一度に誕生した(おそ松くん状態)。
(ヨーロッパ以外でもこの政策は行われていたのか、、、?そうでないと世界的に観て意味がない)。

祖父(両親はすでにいない)は政府の政策の実態を知っていたのか、7人を秘密裏に生かす方法を試みる。
(孫)娘それぞれに月Mondayから日Sundayの呼び名を付け、その曜日だけカレン・セットマンという一人の人格として外出して生活することにした。カレンは銀行に勤める。
残った他の娘はめいめいに好き勝手な生活を家で隠れて送る。
その曜日担当のカレンは、帰ってから今日の経験したことを皆にビデオ等で説明して周知する。
7人で独りのカレンなのだ。皆優秀なカレンばかりなので、集まれば多彩で有能な人物になり昇進も早い。
若くして、かなりの金を動かす立場となり、政治家で分配局のケイマンとも結びつく。

What Happened to Monday001

面白い設定だ。
一人ずつ生んでゆくのなら、第一子の後、避妊処置での(これも倫理的には問題とは言え)対応もあろうが、一度に沢山生んでしまうのなら、独り残して後は政府の定めた人口問題解決後に目覚めさせるという「冷凍保存措置」対象となる。
しかし、それが信じられるか。
信じない親がいるから、問題は常に起きているのだ。
(そのため、児童分配局の役人は市民からは嫌われている)。

結局、30歳になるまで、カレン・セットマンは誰にもバレずに7人同体で生きて来たのだが、ある時「月曜日」が失踪してから、当局からの、激しい追及ではなく、問答無用の殺戮が始まる。
何で当局がここまでするのか、ちょっと意味不明でもあるのだが、、、
それからは、凄まじい当局対7シスターズの闘いが繰り広げられる。
フィジカルと銃撃戦とITテクノロジーも駆使した闘いとなる。
だが、基本彼女らは自由に外には出れない上、多勢に無勢である。
そしてひとりまたひとりとシスターズが犠牲になって行く。
この辺は、かなりこちらも彼女らに肩入れしている分、ショッキングでもある。

What Happened to Monday003

そして月曜日は、7人姉妹であることがバレて殺害されたかと思っていたら、捕えられていたようだった。
しかし救出に行ってみると、それは眼球を摘出された火曜日であり、月曜日は何と他の姉妹を裏切っていたのだった。
彼女は秘密の恋人が出来てその間に子供を身籠っていた。
その子供を守るには、彼女独りがカレン・セットマンである必要が生じた。
(しかしそれも姉妹で結託して上手くやる方法もあるように思うが、、、相談をしてみたら良かったであろうに)。
そしてこの「冷凍保存措置」の実態も木曜日と火曜日、更に月曜日の彼氏の局への潜入により分かってしまう。
実際は子供たちを全員、焼却処分にしていたのだ。
この実態を撮ったビデオをケイマンの支援者たちに見せてしまう。

What Happened to Monday004

これをもってケイマンは失脚し、この法令も廃止される。
月曜日は、自分の子供を木曜日に頼み死ぬ。

新生児室の情景で終わるが、これがハッピーエンドという感覚は全くない。
が、近未来的で極めて的を得たものでもある。
生後半年間における母との愛着関係、その人としても生物学的にも重要な時期を空白で過ごすことが自明となった社会を前提としているあっけらかんとした光景である。
ここから育つ人類は、少なくとも従来の人間ではない。
自分の子供などに関心を示さないそれぞれが個の体系を構築して行く類の人間であろう。
(一人っ子政策などにも馴染む人々である)。


ノオミ・ラパスのひとり7役は見事というしかない。
この圧巻の演技で2時間超えもあっという間であった。







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ダーケスト・ウォーター

THE LODGERS001

THE LODGERS
2017年
アイルランド


ブライアン・オマリー監督

シャルロッテ・ベガ、、、レイチェル(双子の姉)
ビル・ミルナー、、、エドワード(双子の弟)
ユージン・サイモン、、、ショーン・ナリー(傷痍軍人)
デイヴィッド・ブラッドリー、、、バーミンガム(顧問弁護士)
モー・ダンフォード、、、デジー(ゴロツキ)
ロイジン・マーフィー、、、ケイ・ナリー(ショーンの妹)


大変な「同居人」である。
まさに識域下に潜み支配し続ける何者か。
誰にとっても桎梏となる親~先祖の意志~遺伝子であったりする。

蒼暗い色調で、なかなかスタイリッシュに絵作りされた映画であった。
深い水の中での出来事、これはまた羊水の中のような場面~イメージが印象に残る。

THE LODGERS002

この家には掟が3つある。
「0時の鐘が鳴る前に、ベッドに入りなさい」
「よそ者を家に入れてはいけません」
「2人(姉弟)は離れてはいけません」
子供の躾か、、、。

双子の姉弟が18歳の誕生日を迎え、いよいよ穏やかではなくなる姉。
この一家は代々、双子の男女が生まれ、双子同士の近親相姦により続いて来たという。
必ず生まれる子は双子なのだと。
何だそれ。
しかも、子供がある年齢に達すると、両親は屋敷の敷地内の湖に二人で入水自殺するのだ。
どういう掟だ。
そして恐ろしい先祖たちが、屋敷の地下の湖に潜み彼らの行いを監視している。
プライバシーがないのか?というより怖いだろ!これは病むな。
何かあると、警告のサインであろうか、水滴が重力に逆らい床から天井に向けて落下し部屋がずぶ濡れになる。
先祖~父母か~が突然、鏡に映り込む。
勘弁して、、、心臓に悪い。

弟は掟にがんじがらめで、家に籠り大人しくビクビクしながら暮らしているが、姉は掟を破り外に出てゆく気持ちを強くもっている。
両親のようになりたくないからだ。普通そう考えるのが自然に思えるが、、、。
そして買い物に出たところで、以前屋敷で働いていたナリーの店の息子ショーンと知り合い、やがて二人は恋に落ちる。
外に恋愛対象を持つ姉は健全な感覚を持っている。
顧問弁護士のバーミンガムがもう信託財産も尽きてしまったから屋敷を売りさばけと警告にも来る。
しょっちゅう、契りを結べ~とか先祖の水浸しの霊には脅されるし、、、。
屋敷を飛び出すに好機でもあろうに、、、200年も守り続けた(彼らは守られてきたという)屋敷を捨てることがなかなか出来ない。

THE LODGERS004

しかし18歳になったところで、地下の湖の世界にいる先祖の霊が煩くなってくる。
もうタイムリミットが近づき、決断を迫られる。
結局、レイチェルを愛するショーンが身代わりとなり湖の底へと先祖たちに取り込まれてゆき、彼女はショーンともみあいになった時に誤って胸にナイフを刺してしまった瀕死の弟エドワードを独り残し、両親のペンダントを門に引っ掛け、屋敷~先祖に呪縛された世界から出てゆく。

こうした根深い病気の呪縛世界から抜け出るには、多大な犠牲を払わねばならない、という教訓譚であろうか。
わたしはそう感じた。
特殊な世界に長いことどっぷり漬かっていると、そこから意識して抜け出ようにも身体的にがんじがらめになっていて、容易に解放されることはない。
まさに、身を切るような痛みを伴う犠牲を代償として抜け出るしかないのだ。
わたしも親の呪縛は断ち切った(と思っているが、何度も絡めとられた後の脱出である)。

THE LODGERS003

途中、睡魔に襲われ2度ほど意識を失ったが、メッセージは受け取ったように思われる。






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帰って一安心

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21:40に家に着く。
その朝、4:30に空港に入り、ずっと飛行機に乗り、17:30に成田に到着。
リムジンバスに19;30に乗って最寄りの駅まで。
そこから家の車で帰路に就き、、、。

時差は一時間。
朝からほとんど寝ぼけたままで、夜遅く着いたものだから、直ぐそのまま風呂にも入らず寝てしまった。
ふたりとも、ぼ~としていた。
コアラを抱いた写真を持って、口数も少なく。

トランプが(再選の為のアピールで)やらかした後、強烈に不穏な空気に包まれ、民間飛行機まで墜落するにあたり、大変心配したが、、、。
中東を一体どう思っているのか、、、。
エルサレムをイスラエルの首都だと勝手に認定したのも記憶に新しいが。
この先、どうするつもりなのか、コントロールは誰が~どこがするのか。
ともかく、きな臭い。
イスラエルが不気味だ。

このままでは、東京オリンピックもかなり危うい。
何かをやるに恰好の場には違いない。
ゴーンがあんな簡単に逃亡できてしまうのも、、、自家用ジェットのチェック体制などどうなっているのか。
この自由な出入り。


ともかく、うちは全員、眠い、、、。
今日は皆眠い。



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ドリームハウス

DREAM HOUSE

DREAM HOUSE
2011年

ジム・シェリダン監督
デビッド・ルーカ脚本
ジョン・デブニー音楽

ダニエル・クレイグ、、、ウィル・エイテンテン/ピーター・ウォード
ナオミ・ワッツ、、、アン・パターソン
レイチェル・ワイズ、、、リビー・エイテンテン/エリザベス・ウォード(ウィルの妻)
マートン・チョーカシュ、、、ジャック・パターソン(アンの夫、離婚調停中)
クレア・アスティン・ギア、、、ディディ・エイテンテン/キャサリン・ウォード(ウィルの長女)
テイラー・ギア、、、トリッシュ・エイテンテン/ベアトリス・ウォード(ウィルの次女)
レイチェル・フォックス、、、クロエ・パターソン(アンの娘)


キャストが子役を含めとても良かった。
ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグ主演。
否定と肯定」、「コンスタンティン」、「トゥルース 闇の告発」でのヒロイン、レイチェル・ワイズがその妻。
わたしが観ているだけでもかなりの映画のヒロインや重要な脇を熟しているナオミ・ワッツがここでも存在感を遺憾なく発揮していた「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」、「キング・コング 2005」、「21グラム」、「マルホランド・ドライブ」、「ザ・リング2」、「ザ・リング」、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、「ザ・バンク 堕ちた巨像」、「ステイ」、「 イースタン・プロミス」どれも印象深い。

DREAM HOUSE001

まず驚いたのは、ウィルが本を執筆する為同僚たちから惜しまれて出版社?の編集者を辞めるところから始まるのだが、その同僚たちが、彼が家族を守るため乗り込んだ精神病院の患者として全員収容されているのだ。
そこで彼を指して「ピーター・ウォード」と呼び、「帰って来た」とかザワザワ言っている。
これは、エイテンテン家が引っ越してきた郊外の家に以前住んでいた家族全員を射殺した殺人鬼の名前で、この精神病院に入っているというその一家の夫である。その男が今のウィルの住居に戻り、色々と悪さをしていると考えやってきたのだ。
しかし何と病院長に呼ばれ見せられたのはウィル自身が入院している姿であった。
これに彼はたまげる。
そこで凶暴に暴れている男が自分であったのだ。その男を責めているのが隣人のアンである。
銃で撃たれた頭の傷も同じであった。

記憶がない。アイデンティティがぐらつく。いや崩壊する。では、見えないモノを観つつ妄想の中で違う生を生きてきたのか。
死んだ家族と暫くの間、幸せに暮らしていたのだ。
(彼らはもういないのなら幽霊か、幻か、、、しかしその関係が余りにリアルなのだ)。
余りに強いトラウマを負うと、このような乖離性多重人格と幻想を呼ぶ場合はあろう。
それにしてもこれは酷く重篤で、普通に暮らすにもとても危険である。
彼にだけ、他の誰にも見えないモノが見えて触れられるのだ。
ウィル・エイテンテンとは彼が入院中に作った名前~人格であった。

DREAM HOUSE002

ウィルは、真犯人を見つける決意をする。
例えそれが自分であっても。
犯人は状況証拠からウィル=ピーターとされたが、本当のところは分かってはいない。
責任能力の点で釈放されているが、彼には監視もついていた。
だが、愛している家族を何故殺す必要があるか。
犯人は外にいることは確信する。

この、病院のところで、この主人公は大丈夫かと危ぶむようなショッキングが真実にたじろぐが、その後は特にどんでん返しもなく噺は進む。
幸せな家族ごっこではなく、、、幽霊の妻と、その時の記憶を再現しつつ、真相を突き止めてゆく。
何故かそこに同期して真犯人が再度、財産目的の殺人をピーターを利用して行う目的で相棒と乱入してきた。
ウィル=ピーターの家を覗いたりしていたのは、彼らであったことが分かる。

DREAM HOUSE003

妻の幽霊とその親友であったアンと共に探り分かったことは、アンの夫が相棒に多額の保険金で妻の殺害を依頼し、彼が間違えて向かいのウォード家の住人を殺してしまったのだ。ピーターは被害者であった。そしてアンはずっと夫に狙われていた。
殺害計画の失敗で金が入らなかったのだが、今回5年ぶりにピーターが戻ってきたのを利用してアンの殺害を再度企てたのだ。
殺人鬼ピーターが向かいの隣人の妻アンを殺害し、夫はその保険金をせしめようという魂胆であった。
しかし、幽霊のウィルへの加担もあり、彼らは自ら放った炎のなかに自滅する。

終始、妻と二人の娘の幽霊が出演する映画であった。
これは、「シックス・センス」でも幽霊は出ずっぱりであったのに似てはいるが、向こうは死んだ自覚がないものである。
妻は、夫を助けに霊界から来たのか。娘たちの自覚もそこそこあったようだが。
燃え盛る炎のなかで変わらぬ愛を告げ彼らはお別れをする。
最終的に、ピーターの疑いも晴れ、アンも助かり、一件落着であった。


ビックリするところはあったが、ヒトの愚かさと残酷さは描かれるもホラーではない。
ダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズはこの映画の共演をきっかけに結婚することになったそうだ(祝。
確かに大変愛情深い夫婦を演じていた。
死んでも変わらぬ愛である。
子役がまた可愛かった。

DREAM HOUSE004

子煩悩のダニエル・クレイグがタップリ見られた(笑。




Blu-rayがお勧め。


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写真はたくさん送られてきたが

Gold Coast001

一週間遅れて登校するうちの娘たちから、iPhoneで撮った写真が幾つも送られてくるが、コアラを抱っこした写真以外は、ほとんどが海やプールで遊んでいるものばかり。
長女が高い木の上に変な鳥がいた、とその写真を送って来たが、、、。
次女が巨大な亀に遭遇したそうだが、呆気にとられていて写真は撮り忘れたというし、何故だかアヒルがホテルの部屋にやって来たとか、どうでもよい情報ばかり。
ゴールドコーストを拠点に、遊園地や動物園で遊んでいるらしい。
定番の観光保養地であろう。
なかでも動物園がとても楽しかったそうだ。トロッコに乗ってジャングルを巡るみたいなものが特に気に入ったと、、、。

サーファーで有名な場所だが、そんなもの出来ないので、浜で遊んでいることが一番多いようだ。
日本にいても同じことは出来るね、というと、、、
砂が気持ち良い、と何度も言っていた。
砂が違うと。(つまり江の島の砂とは違うということだな)。
写真で見た感じでも、その広さが違うのは分かる。
(コンデジで撮った写真も早く見たい)。
砂遊びを懸命にやっているビデオも確かに楽しそうだ。
海外で、夏である。
解放感もかなりのもの。
子供には、海岸が一番のご褒美か。

ともかく、広い国だから、名所を回るとしたら最低一か月はいないとだめだろう。
冬休みの尺ではちょっと無理だ。
しかし妻が言うには、今度は結構時間をとって改めて遊びに行くという。
友達の住んでいる方面にも足を延ばし、大自然も満喫したいと、、、。
そういうところは、徒歩で何時間も歩くことになる。
(そうした場合、夏でない方が有利か?)


フランスの事も思い出させないと、、、。




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世界情勢が厄介なことになってくると、そんなことも言っていられなくなる。
トランプは果たして何らかの策があって今回の件を引き起こしたのか?
「対立のエスカレーションをコントロール」出来るのか?


バンブルビー

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Bumblebee
2019年
アメリカ

トラヴィス・ナイト監督
クリスティーナ・ハドソン脚本
タカラトミー・ハズブロ『トランスフォーマー』原作
マイケル・ベイ・スティーヴン・スピルバーグ製作
ダリオ・マリアネッリ音楽

ヘイリー・スタインフェルド、、、チャーリー・ワトソン
ジョン・シナ、、、バーンズ(セクター7の隊長)
ホルヘ・レンデボルグ・Jr、、、メモ(チャーリーを好きな男子)
ジョン・オーティス、、、パウエル博士
ジェイソン・ドラッカー、、、オーティス・ワトソン
パメラ・アドロン、、、サリー(母)
スティーヴン・シュナイダー、、、ロン(母の再婚者)
リカルド・オヨス、、、トリップ・サマーズ(気にしている男子)
グリン・ターマン、、、ウェーレン司令官
レン・キャリオー、、、ハンク(廃品屋のおやじ)

「マルハナ蜂」

1987年のカリフォルニア。
いきなりザ・スミスが目覚ましで鳴り出す。センス良い。
この映画、選曲が良く、気持ちよく観られる。
メカに強い18歳の女の子、チャーリーとトランスフォーマーのバンブルビー(B-127)が暴れ回る噺。
パシフィック・リム: アップライジング」でもメカに強い影のある女の子が大活躍であったが、ここでも似た感じのチャーリーが物語を果敢に引っ張る。

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わたしは、トランスフォーマーのシリーズは全く観ていない。
しかし、これを観るのに予備知識は必要なかった。
「サイバトロン星」とか「ディセプコン」とか「オプティマス」とか「オートボット」とか、分からなくても、だいたいの見当はつき、問題なく観れる。

ちょっと、「アイアン・ジャイアント」や「チャッピー」を観た時と似た雰囲気を味わう。
主人公の女の子とエイリアンとの友情を描くが、キャスト全体の関係性が絶妙である。
日本映画でこれを作ったらちょっと、気持ち悪くなったかも。

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チャーリーがバンブルビーと名付けたトランスフォーマーは、記憶と声を失っている為、彼の事情が分からないとこから始まる。
黄色い昔のフォルクスワーゲンの形体は、彼が命からがら地球に逃げてきたときに身を隠すためにスキャンし擬態したもの。
それにしても、この車から本体への素早い変身メカニズムの流れるようなプロセスは素晴らしい。
これは、ホント、タカラトミーのアイデア(とCG)の勝利であろう。
(最近ではマンネリになって来たとか言われているが)。

ただしコミュニケーションはそれなりにとれるところが、面白い。
ワーゲンに内蔵されるカーステレオのラジオの曲の歌詞を切り取って、意思の疎通は図れる。
曲のコラージュみたいで、楽しい。
(この時期のヒット曲がかなり聴ける)。
しかし、外宇宙から来て、直ぐに「ことば」が分かってしまうのか(野暮な感想だが。
その辺の物分かりの良さが今一つしっくりこないが、それは良しとする。
丁度、チャーリーより年下の少年という設定だろう。その仕草や表情から言っても。

それにしても、軍が余りにおバカではないか。おバカな科学者の言いなりになって衛星システムの中枢にいきなり訳の分からぬエイリアンを招き入れるなんて、まずあり得ないことではないか。危機管理意識ゼロである。
何度か手酷く敵にやられて、どうやら記憶システムが戻ったようで、バンブルビーは本来の力を発揮できるようになったらしい。
仕草も、これまでの子供じみた感じではなくなり精悍になる。

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二体の追って来たディセプコンとの闘いはまるで、プロレスを観るような感じであった。
かなり激しく、あんなにやられては壊れてしまうではないか、と思う程。
だが、双方ともに非常にタフなのだ。
そして周囲を観て、戦況を有利に導く機転が働くのは、バンブルビーのようであった。
(この辺は、ジャッキー・チェンみたいである)。
敵のやたらと強い方を船で潰してしまうとは、やるもんである。

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バンブルビーはお別れの時、シボレーカマロをスキャンして颯爽と去って行く。
なにこれ、こんな車にもなれるの、、、である。それまで、もうオンボロのフォルクスワーゲンだったのだ。
凄まじく速かったが。

チャーリーは、車で彼女を軍から守った新しい父とも和解し、健やかな笑顔を取り戻す。
必ず、家族の葛藤と和解は外せないようだ、、、。

最後は、亡き父の残したシボレーコルベットを修理し、軽快に乗り出すチャーリーの姿で終わる。








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ラッキー

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Lucky
2017年
アメリカ

ジョン・キャロル・リンチ監督
ローガン・スパークス・ドラゴ・スモンジャ脚本


ハリー・ディーン・スタントン、、、ラッキー
デヴィッド・リンチ、、、ハワード(親友)
ロン・リビングストン、、、ボビー・ローレンス(弁護士)
エド・ベグリー・ジュニア、、、ニードラー医師
トム・スケリット、、、フレッド(海兵隊退役軍人)
ジェイムズ・ダレン、、、ポーリー(エレインのひも)
バリー・シャバカ・ヘンリー、、、ジョー(ダイナーの店長)
ベス・グラント、、、エレイン(バーの店主)
イヴォンヌ・ハフ・リー、、、ロレッタ(ジョーの店のフィリピーナのウエイトレス)
ヒューゴ・アームストロング、、、ヴィンセント(エレインの店のバーテンダー)


一体、リクガメは何処に歩いてゆくつもりなのか、、、

乾いた地が似合うハリー・ディーン・スタントン。あの「パリ テキサス」の地から歩き続けて来たようだ。
そう、テンガロンハットにブラッディ・マリーも似合っている。
家より丈高い柱サボテンが至る所に立っていると、わたしまでウキウキしてくるではないか。
彼は毎日、お決まりの日課を熟している。いつも同じ場所で同じ悪態をつく(笑。物語の最後に、悪態をついていた店が店じまいの看板を出していた。

パリ テキサス」の主演ハリー・ディーン・スタントンである。90歳。91歳で亡くなる前の、遺作に当たる。
見るからにアイロニカルな気難しい雰囲気を醸しているが、結構可愛らしい。
このブログでも他に、「ワン・フロム・ザ・ハート」、「 ビリーザキッド 21才の生涯」、「エイリアン」で彼を観ているが、光る脇役をキメている。
出演作は多い。だが、主演としては、この最後を飾る映画がピカ一ではないか。
ホントに良い役を自然体で(まるで自分自身のドキュメントみたいに)演じ切っている。
エンディングの歌は彼への賛歌ではないか。~月の光に輝く男~である。
ジョン・ウェインの「ラスト・シューティスト」が彼の遺作であり死に場所を求めた映画であったが、劇中に何度もその「ウェイン」が出てくる(ビビの雑貨店で)。そんなオマージュからして、製作側のハリー・ディーン・スタントンの最後の名作を作るぞという秘めたる意気込みも感じられるものだ。

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他のキャストも凄く良い。
デヴィッド・リンチが粋な爺さんを演じ、これまた感動的なセリフを吐くものだから、たまらん。(この映画、名言が沢山散りばめられている)。
なんせ、このハワード、飼っていた100まで、いや200まで生きるリクガメのルーズベルトが失踪して困惑し泣いたりしているのだ(笑。
出てくる人のほとんどがとっても濃い爺さんばかり。
こういう渋くてレイドバックした映画は、たまに観たくなるもの。

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独りでいつも、新聞のクロスワードをやっている。クイズモノが好きだ。TV番組もクイズ。
「孤独とひとりは違う」というのも確かだ。自由を奪われては、かなわない。
「現実主義」に拘る。
彼なりのポリシーは、しっかりしている。
だが、独りの生活を大切にするも、行きつけのバーやダイナーでの常連たちとの会話も欠かさない。
電話友達もいる。
この映画の登場人物は皆、こころを震わす良い噺をする。ちょっと惚けた哲学談義も。そんな場面が挙げれば幾つもある。
ハリーに「終活」を説き、それに腹を立てたラッキーが喧嘩を売ったボビー・ローレンス弁護士と、彼が遺言を書くに至った経緯を語り、和解する場面。須らくわれわれは、死と隣り合わせで生きている。その感覚、感性が共感するのだ。
退役軍人のフレッドが太平洋戦争で出逢った日本人の少女の死を前にした神々しいほどの微笑みの美しさを語る場面。ブッティストの笑みであると彼は推測する。その時の心からの笑みの噺はやはり自らも沖縄戦線を経験したラッキーのこころを深く揺すぶる。
リクガメを失ったハワードは、ついにカメの捜索を断念する。「彼()はよく考え、自分の成すべきことをしに出たのだ」「その邪魔をこれまでわたしはして来た」「彼がいつでも帰ってこれる門は開けておくことにする」という境地に達する。

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ラッキーは頑固で、いつも憎まれ口をたたいているが、皆に心配されている。
(通りがかりのトラックが必ずクラクションで挨拶をしてゆく)。
結婚もせず、独身で子供もいない。
だが、何の不自由も不満もない。気軽で心地よいのだ。
こういうライフスタイルは今後、増えて行き、ごく普通のものとなるはず。

突然、家で倒れたことから、「死」に対する恐れの気持ちが湧いて来る。
喧嘩を吹っ掛けるも、周りの友人皆に止められる。
ある意味、初めてここで孤独を知った。
ロレッタが見舞いに来てくれた時、初めて死の恐怖を彼女に打ち明ける。
医者に診てもらうが、元気であり禁煙も必要なしという健康体ではあるが、老いは意識せざるを得ない。
(倒れたのは、「光過敏性発作」というところか。デジタル時計の赤い点滅を観ているうちに倒れた。この赤い光は、ポーリーが音楽の鳴る路地裏に吸い込まれてゆくときにも灯っている。彼を追って行くと”Exit”と書いてありラッキーはそれ以上先に進めなかった)。
印象的なのは、次第に仏教的な死生観に傾いてゆくところ。

そして、死を想うことは、過去の回想にも繋がって行く。
少年の時、BB弾で梢のマネシツグミを脅かしてやろうと撃ってみたら、さえずりが止んだ。
その時齎された静寂に身を切られる思いをした。
そんな忘れ去っていた記憶が呼び覚まされてゆく。


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フィエスタのパーティに呼ばれて唄ったメキシコの(スペイン語の)愛の歌がそれは素敵であった。
その場にいた客は感動して喝さいをラッキーに送る。
これまでにない笑みを浮かべるラッキー。
そう彼は微笑むことにする。

禁煙のバーで「無」(ウンガッツ)を語り煙草をくゆらし勝ち誇った顔をして出てゆくところ、サボテンを見上げ微笑むところでも、彼の悟り~少なくとも納得を感じた。


リクガメが画面を横切って行く、、、。





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何だかんだと謂いながら、ラッキーはダイナーやバーで多くの常連との語らいを通して認識を深めストレスを解消するなど、健康的な生き方をしていた。
しかし、こうした生き方は今後、ネット環境の更なる充実もあり、なくなって行くと思われる。
ラッキーが時折、分からないことを尋ねる電話をしていたが、そのくらいの距離でだけ繋がる友人関係で維持される共同体が形成されてゆくはず。


オーストラリアへ

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今日、ふたりの娘は妻と一緒にオーストラリアに出発した。
これまで娘たちは、北半球の比較的近場の空の旅行は10回くらいは行っているが、南半球ははじめてのこと。
飛行機の中で眠るのも初めての経験になる。
何と言っても、冬からいきなり夏である。
飛行機を降りてコートから半袖短パンに衣替えである。体がすっきり切り替わるか。
向こうに着いたらコアラに逢いたいのだそうだ。自由研究ノートも持って行った。
最初に泊まるホテルは、ちょっとがんばり5つ星ホテルにしたようだ。
(食事がとっても良いので選んだそうだ)。

長女には、わたしの年代物のコンデジを渡し、写真を撮りまくってくるように頼んだ。
夏休みの絵の課題にも使えるとよいし。
わたしもせめて写真だけでもその場所の雰囲気を確認したい。
実は何処に行くのか知らないのだ。
かなり欲張りあちこちを見るらしいが、わたしは詳細どころか何も把握していない。
はじめから、亀の世話で日本に残ることになっていたため、ホテルくらいしか、分からない。
今回は、お留守番であるため、、、それに甘んじておくが、南フランスに行くときは、必ずわたしも行くことになっている。
まず、フランスに行ったら、パリのギュスターブ・モロー美術館に直行したい、、、そしてゴッホの光を追体験しに行く。
これは先の噺だが、、、(笑。


妻の友達が3年ほど前からオーストラリアに住み始めている為、そこに対する興味は募っていたようだ。
ただし、今回は行くところが離れていて、向こうでは一度も会わないらしい。
(向うの家族はこちらに戻る度にうちに立ち寄るのだが)。
ともかく、国土が広いため、名所を巡ろうとしても、日本のようなコンパクトな流れでは収まらない。
何度かに分けて行くことになるか、今回でお腹いっぱいになって、次の興味は別の国になるか、、、
ともかく、わたしは、南仏になったら、必ず一緒に行くことにしている(クドイ。


亀を貰ってくれる人が意外にいない。
上品な犬や猫なら、直ぐに見つかるが、ワイルドな亀となると、なかなか難しい。
それに失踪しても、ちゃんと保護され、連絡までしてもらい、戻って来るのだ。有難い。
やはり彼らはうち(又はわたし)と縁があると観た方がよさそうである。
長い長い付き合いになりそうである。
亀は長生きである。

では、旅行期間中は、ヘルパーにでも頼むか。
{亀の水替えと2回の餌を頼みます}
その前に預かって貰わないと。
亀ライトと亀ヒーターもあるし、、、
結構、メンドクサイことになるな。
(近くの獣医さんに預ける訳にもいきそうもないし。相談したことはないが)。

多肉は一週間は放っておいても大丈夫である。
水や肥料のやりすぎで枯れることはあるが、放置には強い。
やはり「亀」であろう。
その上手い解決策があれば、今度は、わたしも一緒に行くだけ、となる。


ということで、今日は3人のお見送りの一日で終わった。
この先のメールと写真が楽しみ。



明日は、何か亀繋がりの映画でも見たい(爆。



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ヒトラーの忘れもの

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Under sandet
2015年
デンマーク・ドイツ

マーチン・サントフリート監督・脚本


ローランド・ムーラー、、、ラスムスン軍曹
ミケル・ボー・フォルスゴー、、、エベ大尉
ルイス・ホフマン、、、セバスチャン・シューマン(ドイツ少年兵)
ジョエル・バズマン、、、ヘルムート・モアバッハ(ドイツ少年兵)
エミール・ベルトン、、、エルンスト・レスナー(ドイツ少年兵)
オスカー・ベルトン、、、ヴェルナー・レスナー(ドイツ少年兵)
レオン・サイデル、、、ヴィルヘルム・ハーン(ドイツ少年兵)

文字通り「砂の真下に」であった。
いつ爆発するか分からぬ緊張の途切れない辛い時間を味わう。
こういうものは、耐え難い。
しかし実話である。

第2次大戦直後のデンマーク
ナチスが海岸線に埋めた地雷の除去作業をデンマークに残された少年兵に強制させた史実に基づき描かれた映画。
2000人を超えるドイツ兵が約200万個の地雷を除去したというが、その作業により半数は死亡し、重傷者も多数出たという。
この映画ではまだあどけない14人の少年のうち10人が死亡し、残ったのは4人だけであった。
食料も何日も与えられず、家畜の餌を食べて食中毒でもがき苦しむこともあった。
解放の条件は、その浜辺の全ての地雷の除去である。
勿論、彼らは地雷除去の専門訓練など受けてはいない。
(彼ら自身の工夫や応用も活かして作業に前向きに当たってゆく)。

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ラスムスン軍曹は当然の如く、彼ら少年兵に対し激しい憎しみを持って接する。
ナチスドイツへの憎悪の念が全てに先行する。
少年兵に強制する作業も情け容赦ない。
彼らは体調が悪くて熱があっても休めない過酷極まりない状況に置かれれる。

周りを眺めるとそれは長閑な美しい海岸なのだ。
戦争が無ければ~地雷が埋められていなければ~と想うと、この綺麗な白い砂浜は余りに残酷だ。

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しかし現実とはそうしたものである。
この白い砂や白い雪の下に何が潜んでいるか分からない。

ラスムスンも、彼らの死に直面する度に、相手が自分と同じヒトであることを実感せざるを得ない。
手足を吹き飛ばされて、母を呼ぶ少年の姿に、自分の立場がやりきれなくなってくる。
相手は、ナチスでも敵でも何でもない、年端も行かぬただの少年なのだ。
彼は少年たち(もうほとんど残っていないが)を母の下~国に還そうとする。
上にも訴える。
専門技能を持った大人を配属してくれと。
しかし、どうにも聴く耳を持たない。人材がいないのだ。

Under sandet005
Under sandet006


地雷を二重に設置し、下の地雷の信管を上の地雷に結ぶ巧妙なものに引っ掛かり、いつも通りの処理をしたつもりで一瞬に吹き飛ばされたり、強力な地雷では、触れると跡形もなく吹き飛んでしまい、直ぐにそこに飛んで行っても何も見つけられない。
底知れぬ空虚が後に残る。
双子の兄が吹き飛び、弟が探そうとするが、もうどこにも破片すら見つからない。
ラスムスン軍曹が明日探そうと言い聞かせ髪をなでつつ弟をどうにか眠らせる。
その後、彼に覇気は全く無くなり、地雷源に知らず入り込んでしまった地元の少女を助けて、そのまま自ら地雷に触れて爆死する。
一人また一人と爆死してゆくが、トラックに信管を抜いて処理した地雷を積み込む作業中に爆発し、その近辺の少年全てが犠牲にもなる。

Under sandet002

結局、軍曹は彼ら4人を国境から500mのところまでトラックで送り、下ろして走らせる。
4人の姿を見守るラスムスンの表情で終わる。
彼はこの先、どうするつもりか、とても気になるのだが、、、。


ローランド・ムーラーの硬質な演技がクールであった。
少年たちも一人一人が個性的であるが、ちょっと気を抜くと食べ物を腹一杯食べる話になり、無邪気で活き活きしていた。
ほとんど死んでしまうが。

これが戦争なのだと実感させる力は尋常ではない。






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サイレントマジョリティー

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これは、癒しである。
森香澄(テレビ東京)アナウンサーの唱って躍る”サイレントマジョリティー”にはまる。
今日は、映画は二本ばかり観てはみたが、今二の出来で、感想は否定的なものにならざるを得ないため、やめ。

長女に勧められたユーチューブビデオにすることに。
はっきり言って、余りに良いので、もう12回も再生している。
この調子だと46回聴くかも知れない(爆。
オリジナルの欅坂のバージョンも観てみた。
(皆若いぞ。もういない人もいるぞ)。
初々しくこちらも良いのだが、パワーはむしろ一人で謳っている森香澄アナの方がある。
しかも吹っ切れている。職場で謳って踊っているところが、その吹っ切れ加減が良く演出されていて清々しい。
この歌詞の謂わんとしているところをまさにあっけらかんと体現している。


長女の奥歯(乳歯)が抜けそうで抜けない。ぐらついていて食べる度に痛いという。海外旅行も近い。早く手を打とうということで、、、
だが、まだかかりつけ医がお正月休業中のため、他の歯医者を探して行った。
予約していないので、空きが出来るのを待って診てもらうことに。
随分の時間を待合室で過ごしたが、その間に一押しビデオの話が出て、、、家に帰って観たらもう、どまんなかにはまった(爆。

ちなみにこの曲の他に欅坂で好きな曲は「世界には愛しかない」とか「二人セゾン」とか、、、だ?
実をいうと、欅坂はまだあまりよく知らないのだ。
いくちゃんの乃木坂は、もう全員名前と顔が一致する。楽曲はシングルカット版は一通り聴いた(勿論、「新しい花粉」も)。4期生もみんな覚えた。それがどうした、とは言われたくない。結構大変だったのだ(爆。

欅坂の圧倒的なパフォーマンスは、時折、TVで見る程度だが、凄さはよく分かる。
過密スケジュールの中、ステージであのパフォーマンスでは、身体が心配になる。
過呼吸になって倒れても不思議ではない。
平手友梨奈女史は、特に見ていて心配になる。ゆっくり休める時には休んでほしい。
(わたしみたいに休みすぎても問題だが)。
そういえば、「欅って書けない?」には出てこないな。収録時間が遅いのかなとか、思っていたが、体調(怪我)による休養でもあるのか?いくちゃんもミュージカル舞台で忙しい時は「乃木坂工事中」を欠席している。
(芸能ネタには疎いもので、事情を正確に把握している分けではないが)。

噺はちょっと脱線するが、ヘタな映画より、よっぽど「乃木坂工事中」や「欅って書けない?」の方が面白い。
1000倍は面白い。これは譲れない(爆。

噺を戻し、森香澄アナの職場での”サイレントマジョリティー”の日常を侵食する異なる時間系のパフォーマンスは、そのメッセージの純度を際立たせるに充分であった。
アナウンサーらしい言葉の輪郭の確かさ~明瞭さ、歌唱力、成り切った踊り、それらがあどけないほどにあっけらかんとした可憐さで、表出されており、かなりの強度を生んでいたといえる。


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乃木坂にしろ欅坂にせよ、こうした若いアナウンサーにしろ、、、
ともかく、女子は元気が良い。
何の話だったか、、、結局、そういう話である。


ところで、これはどういう企画で製作されたものなのか?
勿論、TV東京の全面協力、またはプロデューサーの方なのか?
凄い売り出しである。このアナウンサーの今後がちょっと心配になるほどの。



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ピラニア

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Piranha
2011年
アメリカ

1978年の『ピラニア』(アメリカ)のリメイク

アレクサンドル・アジャ監督
ピーター・ゴールドフィンガー、ジョシュ・ストールバーグ脚本

エリザベス・シュー、、、ジュリー・フォレスター保安官
アダム・スコット、、、ノヴァク・ラドジンスキー
ジェリー・オコンネル、、、デリック・ジョーンズ(映画監督)
ヴィング・レイムス、、、ファロン保安官代理
ジェシカ・ゾア、、、ケリー・ドリスコル(ジェイクの彼女)
スティーブン・R・マックイーン、、、ジェイク・フォレスター(フォレスター保安官の長男)
ダニー、、、ケリー・ブルック(映画女優)
クリスタル、、、ライリー・スティール(映画女優)
セイジ・ライアン、、、ゼイン・フォレスター(フォレスター保安官の次男)
ブルックリン・プルー、、、ローラ・フォレスター(フォレスター保安官の長女)
クリストファー・ロイド、、、カール・グッドマン(海洋生物の学者)


いきなりエドガー・アラン・ポーの「メエルシュトレエムに呑まれて 」みたいな場面から始まる。
第一の犠牲者が出る。
良い感じでそのまま進むかと思うと、ちょっと大味な大集団お色気パーティの喧騒が暫く続く。
アメリカの若者パーティーの典型。というか余りの紋切り型。
これを背景に水面下での獰猛な殺戮機械の群れの動きが重なる。
このパタン既視感はタップリである。だが、チープさは全くない。
セット、キャストがゴージャスで演出も凝っており、愉しめる予感がする。
ジュリー・フォレスター保安官が、湖の封鎖を切り出すが、この街は今が書入れ時であるという理由からそれを止められる。
鉄板のパタンである。この時、閉鎖していれば、、、という御約束のパタン。

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どうやら、地震によって湖の底に大きな割れ目が出来て、その下に広がっていた地底湖と繋がってしまったことが分かる。
その湖に生息していた200万年前に絶滅したと思われていた獰猛なピラニアが大群で押し寄せて来たのだ。
調査に出た隊員2人が一瞬のうちに彼らに食らい尽くされる。
保安官たちは湖のパーティー会場に駆けつけ、直ぐに岸に上がることを警告するが、もう充分盛り上がっていて聞き入れるような段階ではなかった。

そして最初の悲鳴から、次々に食らい尽くされながら逃げ惑う若者たち。
ハイテンションの大味なお色気パーティーが地獄図へと変貌する。
湖は真っ赤な血の色に染まる。
ステージセットが人数の重みに耐えられずに壊れ、それによって命を落とす者や発狂した男の乗る水上バイクで殺される者も出る。
この残虐で残忍な阿鼻叫喚の地獄図の出来てゆく過程がこれでもかというほどに描かれる。

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スプラッターな凄さは、超ど級であった(笑。間違いなくこの映画の目玉だ。
基本的に鉄板の運びであったが、やはりスリリングでありショッキングである。
気づかない被害者目掛け水底から狙いを澄まして次々とガブっとくるのだ。
そして顔の皮が剥け、指が飛び、足が捥げ、腹に穴が開き、身体が千切れ、首も捥げ、口から内部を喰らい尽くしたピラニアが元気よく飛び出てくる。それを見て嘘だろ~と叫ぶ男。直ぐにその後自分もやられる。
ドキドキ、ハラハラから一気にカタストロフへ一直線(爆。
眠気があったり、だるい感じの時には持って来いの映画だ。目が覚める。お試しあれ!

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銃で対抗していた警官たちもその夥しい数のピラニアには埒が明かない。
弾が無くなりボートのスクリューで蹴散らしながら、人々を岸に誘導していたファロンもピラニアの大群にやらてしまう。
殉職者が何人も出る。
大変悲惨な大事件であるが、とてもコミカルなシーンが全体に散りばめられていて、これはお色気シーンとともに、監督のサービス精神なのか、どうか?

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一方、ジュリー・フォレスター保安官に重ね重ね家に籠って安全に過ごしていなさい、と命ぜられていた子供3人は揃いもそろって、ピラニアがうじゃうじゃいるスポットにボートでお出かけしていた。
長男は鼻の下を伸ばしてパーティーに行って、怪しい映画を撮る監督につかまり美女(女優)と一緒に遊びに行ってしまった、というのはある意味、無理もないが、幼い二人の妹弟に関してはやはりこのタイプの映画にはよくいるウザいほど足を引っ張る悪戯小僧である。どうしてもこういうのを出してイライラさせたいのだ。

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どうも頼りない優柔不断なジェイク・フォレスターが責任感と行動力と企画力(作戦)に目覚め、ギリギリのところでピラニア軍団を殲滅させ、命からがら恋人と共に助かる。
最後は虫の息の監督を水に投げ込み、連中におやつをやったから2分は時間を稼げるなどと冷酷な参謀みたいな男になっていたのが可笑しい。
そして定番の最後に不安を残すシーンとして、これまで出て来たのは皆幼い子供だとカール・グッドマン博士から電話がくる。
これまで大活躍してきたノヴァクが親の顔を観てみたいねと言った瞬間、横から飛んできた大きなピラニアに彼の体は持って行かれてしまう。
横からモンスターが飛び出したかと思うと空間から綺麗に消えてしまうのも、必ずと言ってよいほど見られる光景である。

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では、見飽きて詰まらないかと言われたら、そんなことは全くない。
この映画のように作り込まれていれば、王道映画として充分に愉しめる。
海洋モンスター系映画ではもっとも沢山の惨たらしい犠牲者を出したのではないか。
かなりの予算もかけていることが(キャストの豪華さからも)分かる、ある種の重厚さもあった。

面白かった。


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サーミの血

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Amanda Kernell(アマンダ・シェーネル)監督

Sameblod

2017年
スウェーデン、デンマーク、ノルウェー

アマンダ・シェーネル監督・脚本

レーネ=セシリア・スパルロク、、、エレ・マリャ(クリスティーナ)
マイ=ドリス・リンピ、、、老年のエレ・マリャ(クリスティーナ)
ミーア=エリーカ・スパルロク、、、ニェンナ(エレ・マリャの妹)
ユリウス・フレイシャンデル、、、ニクラス(恋人)
ハンナ・アルストロム、、、教師
オッレ・サッリ、、、オッレ(エレ・マリャ(クリスティーナ)の息子)


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アマンダ・シェーネル監督の言葉を偶然拾ったが、まさにこれ以外の何ものでもなかった。
「多くのサーミ人が何もかも捨てスウェーデン人になったが、私は彼らが本当の人生を送ることが出来たのだろうかと常々疑問に思っていました。この映画は、故郷を離れた者、留まった者への愛情を少女エレ・マリャ視点から描いた物語です」
これに尽きる映画であった。

主人公の少女が何歳なのか分からなかったが、まだかなり幼い年齢であることは推察できる。
彼女はサーミ語を話すラップランド人であり、トナカイを飼いテントに暮らしコルトという民族衣装を着てヨイクという歌を生活の中で唄うスウェーデンの少数(先住)民族である。
彼女は、サーミの地(故郷)~血(ルーツ)を嫌っていたとは思えないが、勉強が好きで成績も良く、進学したいことを先生に相談したところ、とんでもない答えが返ってきたところで、全てを捨てて「外」に出る決心をしたのだ。親や妹を捨ててまで。
「あなたがたの脳は文明に向いていないの。だから進学は出来ない」
「街に出るときっと絶滅してしまうでしょう」
「伝統を継ぎなさい」
呆気にとられる返答であった。しかし科学的に検証されているなどと、どこからでてきたのか?
理不尽な差別以外の何ものでもない。教育(教師)は何処にあっても暴力として機能する場合が実に多い。

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それまでも様々な差別に耐えながら頑張って来たが、ここで完全に気持ちが固まった。
彼女は、エレ・マリャという名を捨て、クリスティーナと名乗り、アイデンティティの更新を図る。
サーミ語を封印して(ヨイクも唄わず)スウェーデン人として生き直す。
汽車に乗ってダンスパーティーでかつて知り合ったニクラスを頼りに都会に出てゆく。
だが、この投企に無理はなかったのか。
社会的権力関係において劣勢を強いられていたにせよ、彼女の民族自体が(能力的に)劣っていた訳ではあるまい。
(ユダヤ差別と同様に)。
そして先住民族としての誇りも。
(アメリカインディアンと同様に)。
寧ろ秀でた特性を疎外することになっていたかも知れないではないか。

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はじめ拠り所とした彼氏が、何とも優しいが頼りがいのない大学生であった。
何不自由ない多数派のノンポリである。
漠然としたクリスティーナの憧れの像であっただろう。
この脱臭された何もない場に自由と自立を感じるのは無理もなかった。
しかしそこに根付くことには無理があったに相違ない。
この男性のように生きられるはずもない。

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妹のニェンナは謂わば、エレ・マリャの影の存在か。
彼女の身代わりに故郷に留まった分身のような存在であった。
この物語は、この妹の訃報を受け、故郷に嫌々戻るところから始まるが、それまでの回想~内省を通して最後には妹(の亡骸)にしっかり向き合い、許しを請う。
自由と誇りをかけて真の自立を求め「外」へと出て行ったが、そこが自らの求める場所であったかどうか。
彼女がクリスティーナにはなれなかったことは確かであろう。
差別される側から差別する側の共同体に入り込んだところで何も解決するものではない。
但し、選択の自由~機会は存在したはず。まさにそれの為に飛び出したのだ。
その結果が、どれほどのものであったか、老境に達した彼女の重い表情が全てを語っているのでは。

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レーネ=セシリア・スパルロクという若い女優~子役か?の存在感が際立った。
裸体になる場面があるが(あれは資料作りの為のものか、まるで動物扱いであったが)、バルテュスの絵に描かれる少女にそっくりであったことに驚く。わたしにとって異質な血~ルーツを強くかんじるものであった。
本来、この異質さ、多様性そのものこそが生にとってもっとも大切なものであるはず。
これを双方の陣営が押さえておく必要があるのだ。
いや、、ほんとにそうなっていれば、問題は基本的になくなる。




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