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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
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草原の実験

Test002.png

Испытание  Test
2014年
ロシア

アレクサンドル・コット監督・脚本
アレクセイ・アイギ音楽
レバン・カパナーゼ撮影

エレーナ・アン
ダニーラ・ラッソマーヒン
カリーム・パカチャコーフ
ナリンマン・ベクブラートフ・アレシェフ


無言劇である。だが、美しく広大な自然に音楽もあり、画面~世界は饒舌である。
わたしはただ、無心に観ていればよいのだ。身を任せるように。
観終わってみて、映画が全部こうだったら良いのに、と思った。


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牧歌的にどこまでも拡がる長閑な緑の平原であった。
父と彼に余り似ていない美しい娘が二人していつもの毎日を送っている。
父をトラックに乗せて(14歳の)彼女が運転し、二股に道の別れるところまで父を送る。するとそこで娘はトラックを降り、後は父一人で仕事場まで向ってゆく。
少女が一人歩き始めると、丁度その時を待っていたかのように、地元の少年が現れ彼女を馬に乗せて家まで送る。
家に着くと彼女は井戸の水を彼に振舞う。それをゴクゴク飲み残りを岩に向け打ちかけると水がサーっと乾いてゆく。(爽やかさの演出か?)そしてかれは颯爽と帰って行く。

少女は独りの時間を愉しむ。家でスクラップブックを眺めたり、、、思うが儘の生活を緩やかに送る。

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父は飛行機のパイロットに憧れる男であったようだ。
一度、2人の(軍関係者のような)男が、家まで飛行機でやって来て、父に飛行機を操縦させてくれたことがあった。
父は大喜びであった。

父想いの娘は父が疲れて帰って来ると、足を洗い靴下を履かせる。
ソファーに座り柱に寄り掛かったまま居眠りを始めると、柱と頭部の間にクッションを挟む。
ともかく、細やかな気の配れる優しい娘である。

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だが時折大人の怪しげで魅惑的な表情も垣間見せる。
あくまで無意識であろうが。
そういう年頃でもあるのだ、、、。

彼女の写真を撮り幻灯機で夜に家の壁にそれを映して見せる、ロシア?の少年。
彼女をいつも颯爽と迎えにきては水を爽やかに飲んで帰って行く地元の少年。
二人が偶然鉢合わせ、彼女を巡り取っ組み合う。
それを家の窓から眺める少女。

何とも原初的な光景だ。
とても生々しい恋愛の姿だ。
彼女は2人に同時に水をかける。

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父の体調が思わしくなくなり、世界が不穏な不協和音を奏で始める。
この穏やかな草原がピリピリと緊張してゆく。

彼女らの住むこの美しい草原は、、、
カザフスタンのセミパラチンスク核実験場のようだ。
冷戦時、アメリカと核兵器開発で鎬を削っていたソビエト連邦の核実験場であった。現在は独立したカザフスタン共和国の土地である(同時に核実験は廃止される)。
当時、土地一帯が無人であるという間違った認識からその地が実験場として選定されてしまう。
(本当に調べたのかは疑わしいが)。
であるから住民への避難警告など一切なされなかった。
秘密警察の指揮下で実験の為の秘密基地が建設されたそうだが、彼女の父もそこで労働に従事していたのかも知れない。
父は恐らくその仕事中に被爆でもしたのか、病気となり一度は(病院に?)連れて行かれ娘と離れ離れになってしまう。
自力であるとき家に戻って来るが、すぐに亡くなってしまう。

彼女一人で父を葬る。

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不穏な緊張感が一気に高まる。
少女は父の遺品か?僅かな荷物を持って家を出てゆくが、途中でトラックはガス欠で動かなくなる。
自分の家のある広大な草原が高く張り巡らされた有刺鉄線で囲まれていることを知る。
そこが世界の限界~縁のようなのだ。

そこで、歩いて地元の少年の家を訪ねる。
彼女は自分で髪を切り、ショートカットになる。
何か、「ミツバチのささやき」とか「 サクリファイス」を想わせる。そう血縁関係はありそうだ。

少年たちの最後の決闘があり、どうやらロシア少年が彼女を得たらしい。
ふたりの結ばれたことが、彼らの吊るされた洗濯物が風に靡く姿で象徴される。
何と上手い演出だ。
そしてふたりで黙々と綾取りをしているとき、家のガラスがひとつ衝撃波で割れる。

それは、赤い閃光とともに凄まじい爆風となって押し寄せ、一瞬のうちにその一帯をなめ尽くす。
彼女の家も勿論、2人も一瞬に呑み込まれていった。

Test006.jpg

その理不尽で盲目的暴力の前には~国家権力にせよ何者かの悪意にせよ自然災害であるにせよ~人の日々のルーチンなど、実はかなり覚束ないところで辛うじて成り立っている、果敢ないものなのだ。

456回の核実験がその地でなされ、人体実験の場でもあったようだ。市民の被爆による被害の実態はソ連当局によって隠蔽されてきたという。


エレーナ・アンの恐らくこの時だけの異様な美しさが際立った。
この処女作を彼女は今後、超えられるのか、、、。
ピーター・オトゥールみたいにならないことを祈ろう。






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