プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
必ずパソコン画面(PCビュー)でご覧ください。

*当サイトはリンクフリーです。

PICKUP
ハイヒール
お嬢さん
とうもろこしの島
セールスマン
トラピスト1に寄せて
「労働疎外より人間疎外」によせて
カッシーニ グランドフィナーレ
カッシーニ グランドフィナーレⅡ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
スノーデン
シャイン
鑑定士と顔のない依頼人
英国王のスピーチ
やさしい本泥棒
末期の目
レヴェナント: 蘇えりし者
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
写真についてーⅡ
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
07 | 2019/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

氷菓 その3

hyouka004.jpg

2012年
武本 康弘 監督・脚本
米澤穂信 原作


                         声):
折木奉太郎(古典部、推理の達人)、、、中村悠一
千反田える(「豪農」千反田家のひとり娘、古典部部長)、、、佐藤聡美
福部里志(奉太郎の親友、古典部、総務委員会、手芸部)、、、阪口大助
井原摩耶花(漫画研究会、図書委員、古典部)、、、茅野愛衣
入須冬実(総合病院院長の娘、女帝と呼ばれる)、、、ゆかな
糸魚川養子(神山高校教師、司書)、、、小山 茉美
十文字 かほ(荒楠神社の宮司の娘)、、、早見沙織
折木 供恵(奉太郎の姉、元古典部、インドにいる)、、、 雪野五月
遠垣内 将司(壁新聞部部長、父が教育界重鎮) 、、、置鮎龍太郎
田名辺 治朗(総務委員会委員長)、、、福山潤
陸山 宗芳(生徒会長、絵が上手い)、、、 森川智之


二つ目の山は何と言っても文化祭である。
千反田えるのキラキラ瞳の「気になります!」はずっと健在であるが、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」というモットーはまだ基本に置いている折木奉太郎ではある。
文化祭は、部室に文集「氷菓」第46号が200部山積みされているところから始まる。
摩耶花の手違いで発注してしまった部数らしい。もとは30部の予定であったそうだ。
上手いイントロである。だが要するに売ればよいのだ。千反田えるは相変わらず前向きだ。
彼らは部活の知名度を上げつつ文集を宣伝し、よい場所に売り場を設けようとするところで、話は動いてゆく。
イベントなどに古典部の名で積極的に参加し、好成績を収めて目立つ。総務委員会にも売り場の拡張をえるが掛け合う。
折木奉太郎はモットーに従い、部室で売り子としてお客を待つ。
だが、わらしべプロトコルを実行して、お料理コンテストで窮地にある古典部を救ったり、単に推理の時だけ役に立つのではなく、普通に考える人になっていて、時折自ら有効な行動にも出たりするのだった。

hyouka023.jpg

古典部がクイズに出たりお料理コンテストに出たりするなか、怪盗「十文字」が現れ特定の物品を盗み、後に犯行声明を残してゆく。狙われる部活に法則性が窺え、奉太郎のいつものスウィッチが入って謎解きが始まり、この回の軸となる。
そう、この物語全体はミステリーであった(謎解きはするも日常描写が濃いため、そのイメージが薄いのだ)。
今回は、漫画研究会の井原摩耶花の苦しい立場や彼女と副部長との傑作とは何かを巡る論戦も加わる。
摩耶花は「夕べには骸に」という漫画に絶大な賞賛をよせており、作品自体の質より全ては読者の感性次第という副部長と激しく対立する。
昨年発表された「夕べには骸に」という傑作同人漫画が最後までキイとなる。「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」にあるように、才能という問題が同時に語られてゆく。主に福部里志の心情の吐露からだが。
つまり、文化祭のなかで起こった十文字怪盗事件の展開に絡み、「夕べには骸に」を巡って傑作とそうでない作品はどう違うのか、その表裏となる才能と凡庸(諦め)とが切実に描かれてゆく。

hyouka022.jpg

蛇足ではあるが、コンテストで仮装したお料理部部長のコメントが実に面白い。この辺の脇役の個性~魅力も忘れてはなるまい(声優陣の充実が挙げられる)。

時折姉のコントロールが強く感じられ、ちょっと何かの秘密機関の諜報員みたいで怖いところがある。
特に「夕べには骸に」を店番している弟のところに絶妙なタイミングで届けるところなど、この人は誰?という感じ。
この「十文字事件」は、その後記の内容と予定され未だ形を見ない「クドリャフカの順番」なしには解決しえないものであった。
彼女は明らかにヒントというより核心をついたものをここぞとばかりに持ってきたわけであるが、、、。

傑作「夕べには骸に」の次に今年発表されるはずであった「クドリャフカの順番」が完全に宙に浮いていた。
「夕べには骸に」の制作に携わったのは、原作者のアンジョウハルナと作画担当の生徒会長陸山 宗芳、その手伝いをした総務委員会委員長田名辺 治朗であるが、田名辺は「クドリャフカの順番」の構想を「夕べには骸に」の後書きで期待を込めて記していた。原作者アンジョウは、転校してしまい、不在である。
だが、その「夕べには骸に」をも超えるはずのアンジョウ渾身の作「クドリャフカの順番」の原稿を、渡された陸山は読んだ気配がなかった。元々、陸山は絵を続ける(漫画を描く)意志はなかったように見受けられる。ほかの二人と陸山との温度差は大きい。
田名辺は、その原稿~シナリオに従い、文化祭の最中を狙い「十文字事件」を起こしてメッセージを送るが、当の陸山は全く気づきもしなかった。50音順に参加団体(者)からこの音の物品(古典部は「綱領原稿」)をターゲットにするが、「く」は抜かす。「く」で始まるものが失われた、というこの田名辺の手の込んだメッセージは、陸山へ向けた絶望的な期待とアンジョウへの思慕の念と文化祭を賑わせたい悪戯心の成せるものであったようだ。
文化祭の最後に陸山は田名辺に単に「お疲れ」と言葉をかける。この虚しさ。
文化祭の賑わいの中でことばのぶつかり合いとすれちがいと宙吊りのままで終わる様々なことばが何とももの哀しさを湛えていた。

hyouka021.jpg

登山家の先生の話は割愛。弘文堂の件も楽しい推理ゲームであるが割愛。おみくじの話も奉太郎が千反田えるの着物姿にぽ~っと見惚れる面白いものだが割愛。バレンタインデーチョコの里志と摩耶花のストイックな恋愛事情も割愛。ことばは実を結ばない。

hyouka028.jpg

3つ目の山、生き雛祭りの話。
「遠回りする雛」桜の幻想が見事に描かれていた。物凄いセンス!
格式ある名家の伝統行事の準備の忙しなさと、面子と仕来り、統制の難しさ、そこに付け込む他者。
それは美しく仕上がった千反田えるの生き雛~女雛。そして入須冬実の男雛。人々が息を呑む。
コースの乱れは、狂い桜が原因であった。
これを見るために帰省してきた写真家志望の若者が、わざとコースを変え狂い咲の桜の近くを生き雛たちの幻想的な行列が通ることでこの世と思われぬ光景に化学反応を起こすことを狙ったのだ。無論、写真に撮るためである。
傘持ちに参加した奉太郎も彼の信条である省エネ主義が脅かされる(しきりに参加を悔やむが後の祭り)。
桜と空のピンクの絶対的光景に、ついに彼のグレーは上塗りされた、、、。

hyouka027.jpg


そして、ここでも奉太郎のえるに対する内面描写はいとも鮮やかであった。
全てをピンクに染める桜と風が素晴らしい効果をあげていた。
このアニメ以外にない演出が極まった。

hyouka025.jpghyouka026.jpg


これからも多くの優れた仕事を成し遂げたであろう監督の非業の死を心より悼む。





破格の値段で5つ★ホテルと豪華な食事の愉しめる旅を! 東京オリンピックまでに自由を手にする無料動画








検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: