桜の長い一日

今日は早朝から長女のスケート、帰ってから洗面所の蛇口の件でメーカーのショールームに行く。
蛇口の具合がここ4か月調子が悪く、放置していたら益々悪化してきたので、結局本体の取り換えとなった。
それから、娘二人連れて、長女の絵の展示場に行く(前回遠藤先生の講演会の時には私ひとりであった為)。
担当の方と話をして、展示されていた超高画質コピーを会期が終わったら頂くことになる。
原画は返らないので、これは嬉しい。
嬉しいと言えば先生と個人的にお話しできたことに尽きるが。
丁度、お昼となったのでインド人経営のカレーの店でキーマ、チキン、野菜カレーを食べる。
ナンが凄くデカいサイズだったが、お替りして食べきる。
ふと思い出したが妻と初めて食事をしたのが、こんなメニューだった。
ギュスターブ・モロー展で絵を鑑賞した後のことだった。
帰りに貰ったくじを引いたら長女が食事券を当てた。
長女は籤運が強い。
そのまま帰るのは勿体ないというところで、ピアノの先生に以前、紹介された恩田川の桜の件を思い出す。
考えてみれば、すでに今日ここまでずっと、桜に塗れてきた。
早朝から常に視界に桜が充満していた。
どこもかしこも桜なのに、敢えてまた桜を見に行くと謂うのもどうかと思ったが、行くことになった(笑。
満開ではないが見事な桜並木が何処までも続く。
娘たちはしきりに桜の写真をスマフォで撮るが、わたしは気が進まなかった。
(ピアノの先生のスマフォで観た時はかなりロマンチックで落ち着いた桜であったのだが)。
ひたすら桜のなかを、いや下を歩いた。
風はなく花弁も全く散らない。
次女が至る所に苔の生えていることに気づき、何故か喜んでいる。
長い道のりである。
ただ歩いた。
凄い人だかりである。思えば今日は日曜日であった。
酒で赤らんだ客も目に付く。
途中の公園ではいい感じのジャズヴォーカルが聴けて気持ち良かった(スタンダートナンバーばかりであったが)。
そうか、桜とジャズはかなり似合うものなのだ。
粋なBGMではないか。
、、、この川はホントに長い。
ついに最後まで歩かずに切り上げることにする。
それでも相当な距離を往復し、足も疲れたものだ。
帰りの電車では彼女らは思いのほかへとへとだったのか口もきかなかった。
駅に着いてコーヒーラウンジでコーヒー、オレンジジュースを飲み、ついでに上の階の美術の催しを覘く。
子供向け美術展という感じでワークショップもやっていた。
また地元の桜を歩きながら眺めて帰ろうとしたら、娘たちが疲れたからバスで帰るとせがむ。
しかし乗ったは良いが、渋滞で一向に前に進まない。
今度は降りたいと泣きついてくるので、まだ乗ったばかりなのに適当なところで降ろしてもらう。
(すでにバスの運行は時刻表からは切り離されていることが分かる)。
家まであちこち寄り道しながら帰った。
祭でもないのに、祭りの屋台が幾つも出ていて、そのなかで何やら間延びした不思議な電子音を奏でるミュージシャンがライブをやっていた。曲が終わると、さあ、サインの時間です~と言って観客にサインを始めた様子。
桜に遮られていて声の主である女性ミュージシャンが誰なのか分からず仕舞いなのだ。
選挙のビラ配りと演説もそこに交じって来た。
ノイズとノイズの絡み合い。いや不協和音。
だがすべての絵が桜塗れであった。
桜の画面のなかで様々な事物が渦巻いて一様に見えた。
ちょっぴりボッチョーニの街頭の絵みたいだったが、、、
交通は酷い渋滞であった。
わたしたちは、早く風呂に入りたいという気持ちで一緒だった。