プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
必ずパソコン画面(PCビュー)でご覧ください。

*当サイトはリンクフリーです。

PICKUP
ハイヒール
お嬢さん
とうもろこしの島
セールスマン
トラピスト1に寄せて
「労働疎外より人間疎外」によせて
カッシーニ グランドフィナーレ
カッシーニ グランドフィナーレⅡ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
スノーデン
シャイン
鑑定士と顔のない依頼人
英国王のスピーチ
やさしい本泥棒
末期の目
レヴェナント: 蘇えりし者
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
写真についてーⅡ
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
01 | 2019/02 | 03
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 - -

アンダー・ザ・シャドー

Under the Shadow001

Under the Shadow
2018年
イギリス・ヨルダン・カタール・イラン

ババク・アンバリ監督・脚本

ナルゲス・ラシディ、、、シデー(医学部復学を願う母)
アビ・マンシャディ、、、ドルサ(シデーの娘)
ボビー・ナデリ、、、イラジ(シデーの夫、医者)
レイ・ハラティアン、、、エブラヒム(隣人)
アラシュ・マランディ、、、シデーの元学友の医者


イランのホラー映画ということで、観てみた。
イラン・イラク戦争下のテヘランが舞台。
マンションに住む医者の一家に迫りくる得体の知れない不安と恐怖、、、。

Under the Shadow003

その一家には様々なストレスが重層していた。
イラクがいつミサイルを撃ち込んで来るか分からぬ状況。
(これは日本人には実感しにくい日々の恐怖と不安である)。
若い母親は大学の医学部に復学を熱望しているのだが、大学側がかつて学生運動に参加していた過去を理由にそれを認めない。
(戦時下において、かつての反体制活動はまさに国賊のような扱いであり、彼女にとってはこれが最も大きなストレスであろう)。
医者になる夢が絶望的なために医者の夫に対し八つ当たりをしたり、娘の養育も絡み夫婦仲もぎくしゃくしている。
娘も妙な人形に拘り、両親を戦争で亡くし近所に引き取られた緘黙の男子の影響で、”ジン”という古くからの言い伝えの精霊を観たと言って不安定になっている事から来るストレスも大きい。
(得体の知れないものが見えるという娘自身のストレスもかなりのものだ)。
合理的思考に馴染んだシデーにとってジンは、子供を怖がらせるだけの迷信に過ぎなかったが、徐々に超常現象と思しき経験~悪夢との区別が困難である経験~をするにあたり自分の信じる世界の基盤が揺らいでくる。

Under the Shadow002

マンションにミサイルが着弾するも爆発に至らなかったが、その部屋の老人がシデーの救護にも拘らず死んでしまう。
彼女は天井を突き破って着弾したミサイルによる心臓発作によるものだと断定するが、その男の娘によるとその直後は元気に話をしており、暫く後に悲鳴が聴こえて亡くなったという。ドルサが言うように誰かを観たことによる死ではないかとその娘は訝る。
シデーはそれを頑なに否定し、その件でドルサに話を聞きたがるその娘を遠ざけるが、徐々に彼女もその世界に引きずり込まれて行く。
ミサイルが呪われたジンを呼び込んだということばを話さない少年の「言葉」を信じるドルサ。
ドルサは彼らと密かに話もしており、母より彼らを選ぶというような言動もとるようになる。

Under the Shadow004

後半から只ならぬ素早く移動する人影がミサイルによって出来た天井の罅割れから降りてきたりするようになる。
これが悪夢なのか幻想か実際の何者なのかがはっきりと判断し難い。
だが、ドルサが肌身離さず持ち歩いている人形の「キミア」がいなくなり、彼女は「あの人たちが持ち去った」と主張する。
その人形を必死に探すがカギの掛かった母シデーの戸棚からバラバラになったその人形が見つかった。
シデーの毎日見て実践しているジェーン・フォンダのエアロビクスのビデオもテープを引き出されゴミ箱に捨てられている。
そういったシーンが連打されてゆく。

風に乗って移動しながら人に取り憑くジンという邪悪な精霊が見え隠れするようになる。
後半から終盤にかけてその存在が彼女らにとって最大のストレスとなる。
実際、戦争の激化によるミサイルの飛来に怯えるというより、ジンの恐怖から逃れるようにして、マンションの住人は次々に疎開して消えてゆく。
もう残っている家は夫が召集令状が出て前線に赴いている母と娘の二人だけになった彼女らだけになる。
(最後の隣人もジンにとり憑かれないようにと言い残して去って行った)。

Under the Shadow005

シーツに囚われたり黒いタールのようなものに足を取られたり、はっきりとクリーチャーのような具体物は出さず、最後まで過酷な重圧によるストレスの産物なのか実際の何者なのか分らぬうちに車で開かないガレージの扉を突き破り這う這うの体で夫の義母の家へと脱出を図る母娘の姿で終わる。

狙いは良く分かる映画であった。
だが、イライラの募るストレス一杯の家庭状況は実感できたが、得体の知れぬもののインパクトはいま一つであった。
少しずつ煽って行く心理ホラーである。
強いて言えば母シデーのヒステリックな怒りがかなり怖いものであった。
(特に夫にとっては、、、夫に共感した)。

イラン、、、というか中東ホラーは、かなり渋い。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: