プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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音楽を聴きたくなった。

piano001.jpg

かつて
ヴィバルディのヴァイオリン協奏曲を
バッハがチェンバロのためのそれに
編曲していましたけれど

メロディラインは、殆ど変わっていない
ですが言語がまったく異なっていて

そして
その違いが美し過ぎて。


音色とは
文字通り
音の色彩ですが

その感覚

その”響き”には
思想が内包されていると
気付いたのは

まさに
この”美しき違い”によってだったのです。



部分的に引用するつもりが、全部引用となってしまった。
『編曲者 バッハが教えてくれたこと』~エストリルのクリスマスローズより

わたしも以前から編曲の妙には酔いしれていた。
そんな機会は突然やって来る。
日曜美術館をぼんやり見ていたら、ヘンデルのフルートソナタをバイオリンに代えた演奏が流れて来て完全に感覚が音楽に集中してしまったり、、、。日常生活の中で偶然遭遇することがわたしの場合多い。

この美しいズレを愉しんではいたが、引用文にあるような洞察には至らなった。
意識的に原曲と編曲を比較して聴くという経験はしてこなかったと思う。
それに原曲と編曲の両方をよく知っていることは少ないと言える。
実際、編曲を原曲と思い込んで聴いて馴染んでいたりすることも少なくない。

印象派のピアノ曲はよく管弦楽に編曲されていて子供のころから聴いてはいた。
ドビュッシーの幾つもの曲、ラヴェル(特に「亡き王女のためのパヴァーヌ」)、サティも「ジムノペディ」がドビュッシーによって管弦楽に編曲されている、、、挙げればきりがないが、、、「美しき違い」を単に楽しんでいたような。
(特に印象派の音はとてもカラフルで流暢であり、、、)。
いま思うとわたしは、ほとんど音楽を分析的に聴いた経験がないようだ。
(分析というと語弊がある。この記事からすれば直覚的に洞察を得るであろうか)。

最近わたしも音楽の分析に興味をもち、「ビートルズの新しい解析のページ」にも度々お邪魔している。
(宇多田ヒカルの「初恋」の分析をいきなりお願いしてしまった)。


「メロディラインは、殆ど変わっていない
ですが言語がまったく異なっていて」
というところはとても共感できる。
本当にそうだと思う。
その言語~差異(響き)こそ、その音楽家の思想~身体性なのだ。

示唆に富んだ記事に触れ、思わず何か喋ってみたくなったのだが、それよりも音楽を聴きたくなる。
そんな気持ちに導かれるハッとする記事であった。
(いつもながら)。

piano.jpg


リディバイダー

Kill Switch002

Kill Switch
2017年
アメリカ、オランダ

ティム・スミット監督・製作
チャーリー・キンディンガー、オミッド・ノーシン脚本

ダン・スティーヴンス 、、、ウィル
ベレニス・マルロー 、、、アビゲイル
ティゴ・ヘルナント 、、、マイケル
チャリティー・ウェイクフィールド 、、、ミア


蔦屋で新作コーナーを眺めていたら、「こういうアイデアがあったとは!」という専門家(わたしは知らないが)の驚きのコメントがあったので、どんなアイデアかと思い、試しに借りてみることにした。
ユーチューブで公開されたティム・スミット監督のショート・フィルムが原案となっているそうだ。
それも探して観てみたが、本作のエコーワールドのシーンと同じ感覚の映像形式であった。
FPS(ファーストパーソン・シューター)の演出である。
ゲームではシューティング・ゲーム等に顕著にみられるものだ。

つまりこの映画、こちらの世界は普通の(客観的な)映画撮りであるが、コピーされたエコーワールド(パラレル地球)の場面は、主人公のAR(拡張現実)の主観世界となる、、、のだがその主人公の主観がこちらの主観には到底重ならない。
(最近こういう演出の映画が多い)。

Kill Switch004Kill Switch003
ゲーム感覚を強調しガジェットも工夫されてはいるが、それによって画面に引き込まれるかというと微妙である。
強いて言えば、単に画面が揺れるだけの観難く落ち着かない絵にずっと付き合わされることとなる。
ほとんどがエコーワールドのシーンで時折、元の地球のシーンが回想の形で挿入されながら展開する。
二種類の演出である。エコーワールドにあってはイケメン俳優のダン・スティーヴンスの顔はおろか姿も一切映されない。
全体としては観難さがずっと気にかかる。酔う人もいるかも知れない。

物語は、地球がエネルギーの枯渇に瀕し、コピーした地球~無機物のみのエコーワールドからエネルギーを搾取して問題を解決しようというもの。新たにエネルギーを宇宙に探しに出るとか、新しいエネルギーの開発ではなく、コピー世界から吸い上げるという発想なのだが、そのコピー世界の方にはエネルギー資源は潤沢に残っているのか?
ともあれシンボリックな巨大なタワーからシステムを作動させてみると、元の世界の物体が忽然と消滅する現象が頻出する。エネルギー会社は慌てて原因を調べるが、コピー世界からエネルギーを奪うと、元世界の同等の質量が奪われているらしい。つまり両者はプラスマイナスゼロの関係にあったのだ。エコーワールドではエネルギーを吸い取られた分、空から客船や飛行機や電車が落ちてきたりする。何とも、、、(絶句。

Kill Switch005

エネルギー会社に勤める元NASAのパイロットのウィルはこの異常(緊急)事態を収拾するためエコーワールドに単身赴きタワーに黒い箱を設置する任務を多大な報酬もあり引き受ける。
ただしその箱のことやその作業が何を意味するのかは機密事項として知らされない。

エコーワールドは、すべての文字が左右逆転している。しかも驚いたことに生物はコピーされないはずなのに、コピーワールドにも元世界の人々がしっかりコピーされており、そこには反乱が起きていてドローン戦闘機が人々を狩っていた。
死体が累々と横たわっている荒涼とした異様な世界なのだ。
ウィルはドローン機に幾度となく攻撃され怪我を負いながらも任務遂行のためタワーに近づいてゆく。
この行程での様々な戦闘シーンがゲームそのもののように展開し、斬新なアイデアであると謳われているようだ。

後半、主人公が渡された黒いボックスは、システムに不具合が見られたときに片方(コピー側)を消滅させて地球を防衛するリセット(爆破)装置であったことをエコーワールド側の主任から聞かされる(こちらにも同僚や仲間がいるのだが、彼らは反乱軍に加わっている。彼らは自分たちの世界を守ろうとする)。
どちらの世界の荒廃も進み異常現象も凄まじさを増し、両方の壊滅も近づく。
彼は片道切符の特攻隊員に過ぎなかった。人類のためと言われ名誉をもって引き受けたがハメられたに等しい。
それに気づいても現状を見ればもうこれを止める以外にないことが明白であり、彼は身を顧みずボックスを設置して起動ボタンを押す。
何の捻りもない恐ろしく単純な筋であり、どんでん返しも何もない。
どのキャラもほとんど身体性を感じない。誰もがコマみたいに動いていた。

コントローラーを持っていないだけの戦闘ゲームの感覚というのか?
しかしそれでは面白さも何もなかろう。
ゲームも登場人物にそれなりの感情移入が出来ないと夢中になれない。
ゲーマーの次女はその点を強調している。恐らくそうだと思う。
このストーリーとても薄く人物にも肩入れできないのだ。
ペラペラで身体性のないところに主観世界を押し付けられては揺れに酔うくらいがおちだ。
そもそも映画でゲーム感覚を味わう意味があるのか?
である。

世界観も映像演出もどちらも楽しめるものではなかった。

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