センター・オブ・ジ・アース

Journey to the Center of the Earth
2008年
アメリカ
エリック・ブレヴィグ監督
マイケル・ウェイス、ジェニファー・フラケット、マーク・レヴィン脚本
ブレンダン・フレイザー、、、トレバー・アンダーソン(大学教授)
ジョシュ・ハッチャーソン、、、ショーン・アンダーソン(トレバーの甥)
アニタ・ブリエム、、、ハンナ・アスゲリソン(山岳ガイド、火山学者シグビョルン・アスゲリソンの娘)
「地震計」繋がりである。
表の世界は退屈でも地下~垂直的世界にはきっと何かが待っている、、、。
この映画は気に入ってしまった。
ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』の香しい雰囲気が立ち籠めている。
全体のアトラクション的構成も子供のいる家族での鑑賞に最適かも。
充分に愉しめるファンタジー映画だ。

大量のダイヤをショーンが採取したところは、羨ましい。
よく地底探検の映画では、ダイヤがしこたま見られる場面がある(巨大な塊など)。
だがここでは、採取し易いかたちとサイズで、さあ持っていけとばかりに散りばめられている。
やはりファンタジーだ(笑。
光る鳥がいてもよいとわたしもずっと思ってた。
この鳥はショーンにペットとして地上に持ち帰られたがどうだろう。
どうやらペットにはなりそうもない。
ショーンの物欲はなかなかのものだ。
(わたしもダイヤは必ず持ち帰る。他に自由に持ち帰れそうなところと謂えば、超新星爆発の際の重力波衝撃で生成される星間ダイヤモンドとか。何百光年先の宇宙空間よりは、まだ地底の方が拾える確率は高い?)
かつてジュール・ヴェルヌに触発され、地底世界の発見~探検に向かったきり消息を絶った兄の遺志を継ぎ、兄の息子と兄と親交のあった火山学者の娘と共に地震計の置かれたアイスランドの火山から地底探検へと赴く。
ある意味、こういった探検物のお約束の定石コースかも知れぬが、地下空間に次々に巻き起こるハプニングがスリリングで面白くて申し分ない。
どうしても出てくるのはトロッコシーンで、スリリングな動きの要素として欠かせないのだろうが、少年期の夢想を刺激する世界にとっても必需品であるかも知れない(わたしの友人のS君の絵にもよく出てくるアイテムだ)。
地盤が白雲母であったことに気づくところや間欠泉の出る川を筏で目指す冒険などこの映画ならではのシーンも際立ち、退屈はない。ショーンが切れたマストにつかまったまま強風で飛ばされてゆくところなど見せ場も多い。
マグマの活動により、この世界を脱出しなければならないタイムリミットもあり、緊張感も充分である。

だが同時に、地下世界は実に魅惑的で幻想画のように美しい。特にアーティスティックな湖と空である。
地上とは異なる自然が支配している。
巨大キノコの化石など大小の感覚も擽る。
恐ろしい食虫植物や獰猛なピラニアや恐竜などのデンジャラスなもの達もたくさんいて命からがら逃げ惑う。
特にギガノトサウルスは迫力満点であった。3Dで映画館で観たら相当なものであろう。
その間、しっかり父の亡骸との邂逅もあり、親子と支えてくれる身近な者との関係の深まりも描写される。
こういった映画では、(特にハリウッドでは父子関係の愛情は)なくてはならぬ要素でもあるし。
これだけ凝縮した時間を共に過ごしているのだ。
探検を通して絆が深まることは、納得できる。
トレバーとハンナの間に愛が芽生えることも最初から想定されているとはいえ、予定調和の着地点としてほっとさせられるものだ(笑。
しかし最後にマグネシウムの付着する岩を発火させて砕き、水を呼び込みマグマの熱で水蒸気にして舟ごと押し上げられベスビオ火山火口から飛び出るという脱出劇はいくら何でも荒唐無稽過ぎないか、、、笑うに笑えない終盤ではあった。

親子で楽しむ映画としては最適な部類の映画である。
ジュール・ヴェルヌの香りが感じられて心地よい。