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甘い生活

La dolce vita004

La dolce vita
1960年
イタリア/フランス

フェデリコ・フェリーニ監督・脚本
エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ、ブルネッロ・ロンディ脚本

マルチェロ・マストロヤンニ 、、、マルチェロ(記者)
アニタ・エクバーグ 、、、シルヴィア(ハリウッド女優)
アヌーク・エーメ  、、、マダレーナ(富豪の娘)
ウォルター・サンテッソ 、、、パパラッツォ(カメラマン)
イヴォンヌ・フルノー 、、、エマ(マルチェロの同棲相手)
マガリ・ノエル 、、、ファニー
アラン・キュニー 、、、シュタイナー(友人の文化人)
ニコ 、、、ニコ
ヴァレリア・チャンゴッティーニ、、、パオラ(カフェのウェイトレスの少女)


始まりから遊び心の感じられるヘリでイエス像を運ぶシーンで引き寄せ次々にエピソードが続いてゆく。

それにしても、この時期から、こんなに元気で鬱陶しいパパラッチがいたのか。
ローマとなれば有名芸能人の訪問は半端でなかっただろうが。

パーティやバカ騒ぎに明け暮れる、上流階級の享楽的で空疎な生活ぶりが描かれてゆく。
各エピソードが、それぞれに味わい深く、モノクロの特性を生かした格調高い造形美も印象的。

La dolce vita003  La dolce vita008

特にアニタ・エクバーグとローマのトレビの泉がこれほどマッチするとは。
背景の石像のなかのひとつがしなやかに動き出したかのような見事な優雅さを持った身体と謂えよう。

映画そのものが、絵的に実に計算された構図で構成されている。
これは言わずもがなであるが、群を抜いてる「絵」への拘りだ。
そのシルヴィアが音や気配にも敏感で、感覚を研ぎ澄ませて世界を深く楽しんでいることも分かる。
彼女が拾った猫をいとも無造作に頭の上に乗せたのにもびっくりした。
セレブの細かいことは気にせず、官能や快楽や感覚的な刺激の取入れに抵抗を持たない側面でもあるか。
その拘りの無さは、無節操で無頓着な余裕にも繋がる。
このペースで世界に受け容れられ、注目され(物質的に)豊かな生活が送れることは申し分ないことであるが、、、。
ただシルヴィアについて言えば、極めて美学的な実践を無意識的にして芸術的な生を見出しているように感じられる。
他のセレブは世界を深く享受しているようには窺えない。ただ日々を虚しくやり過ごしている面が強い。

La dolce vita001

マルチェロにしても、あっちこっちの女性に終始フラフラしているだけだったようにも想える。
その他に何かやっていたかどうか思い出せない。
確かに奔放で魅惑的な、ギリシャ彫刻が歩いているみたいなアニタ・エクバーグやこれまた蠱惑的なアヌーク・エーメ(マダレーナ)に、「反撥」でカトリーヌ・ドヌーブの姉役であったイヴォンヌ・フルノー(エマ)などが身の回りにいるのだから落ち着けるはずもない。もっともエマとは痴話げんかばかりではあったが。
更にミステリアスで可愛い頃のニコも出ている(直接な接触はなかったが)。
ともかく女性陣は豪華絢爛である。

マルチェロはかつては文学者を目指した男であり、友人のシュタイナー宅を訪れた際には、彼のような知的でストイックな生活に触発され、彼との関係を深め変わろうとしたが、最愛の子供と共に無理心中を図ってしまう。
そこでマルチェロはさらに混乱を深め虚無的で享楽的な生活に呑まれてゆく。

La dolce vita002  La dolce vita005

ジョイ・ディヴィジョンと同時期に音楽的にピークを迎えたニコも出演している。
まだこの頃は音楽活動ははじめていなかったと思う。
何かミステリアスで気ままなお姉ちゃんという感じで出ている。モデルが主な仕事であったはず。
アンディ・ウォーホルの仲介でヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストには参加するが、脚光を浴びるのはやはり70年代後半以降になろう。
そのころのカリスマ的風貌から見ると無邪気な感じで可愛らしい。謂わばセレブの不思議少女として出ている。

La dolce vita007

海岸に打ち上げられたエイ(巨大な怪魚)を眺める彼ら。
不気味な瞳が気にかかる。彼らが見ているのか、見られているのか、、、判然としなくなる。
自らの内に怪物的に膨れ上がった像を見ている~投影しているような眩暈を覚えたか、、、。
誰もが気持ちを逸らし、その場から立ち去ろうとするとき。
パオラが突然現れ、マルチェロに何かを真剣に語りかける。しかし波の音で全く聞き取れない。
彼はカフェを手伝っていたその少女にとても惹かれるものがあった。
すぐ近くなのに「水」に隔たれていて、そこにいくことも出来ない。おまけに声も聴きとれない。
まるで異世界の幻のよう。
実際、すでにお互いに別世界の住人なのだ。
この交われない~戻れない光景が、とても虚しくも哀しく美しい。
郷愁を覚えるのだ。

彼は諦めて仲間と共に、そのまま歩み去ってゆく。
(それしか出来ない)。

La dolce vita006

等質空間は存在せず、時間系もその存在ごと(時間=存在)であることが、これ程説得力をもって描かれた映画は観たことがない。
これは世界の実相だと考える。


そして、フェデリコ・フェリーニの美学が凝縮しているような映画であった。







プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
出来ればパソコン画面(PCビュー)でご覧ください。

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