マラヴィータ

Malavita、The Family
2013年
フランス・アメリカ
リュック・ベッソン監督・脚本
マーティン・スコセッシ製作総指揮
ロバート・デ・ニーロ 、、、フレッド・ブレイク/ジョヴァンニ・マンゾーニ(元マフィアのボス)
ミシェル・ファイファー 、、、マギー・ブレイク(妻)
トミー・リー・ジョーンズ 、、、スタンスフィールド(FBI、フレッド一家の監視と保護役)
ダイアナ・アグロン 、、、ベル・ブレイク(長女)
ジョン・ディレオ 、、、ウォーレン・ブレイク(長男)
ちなみにこの一家の飼い犬が「マラヴィータ」である。
兎も角、面白い映画であった。
脚本も良いが、キャストも曲のある芸達者揃いだ。
こういう役でロバート・デ・ニーロの右に出る人はいないと思う。
(単に怖いだけの人なら他にもいるが)。
ダイアナ・アグロンの存在感もかなりのものだった(ある意味、この娘が最も怖い)。

フランス・ノルマンディーの片田舎にアメリカ人家族が引っ越してくるのだが、、、。
そのアメリカ人家族は、ブラックジョークとバイオレンスを基本とする家族と謂えるか。
ここでもロバート・デ・ニーロは、ユーモラスでペーソスある憎めない怖い人だ。
家族も全員、チャーミングで怖い。
所謂、マフィア組織の実態~秘密を全部警察に売った見返りの証人保護プログラム(WITSEC)により組織のお礼参りから守られ、別人として(当然名前を変え)別天地で暮らす一家の話だ。
アメリカのマフィアのボスだが、今はフランスでひっそりと暮らすはずなのだが。
フランス文化に取り敢えず馴染もうとしながらも、料理にいちいちケチをつけるところ、文化のギャップが随所に散りばめられていて、田舎であることからもフラストレーションがたまってゆく。
結局、自分たちのライフスタイルを変える気はない。
(何処へ行っても自分たちを通すアメリカ流といえるか)。
それに、根っからのコテコテマフィアなのだ。
人格は容易に変わりようもない。
少しでも気に障る事があると、忽ち相手は半殺しの目に逢う。
しかし一般市民として暮らす身である。
ご丁寧に、階段から落ちまして、と言って複雑骨折の重傷を負った相手を病院には担ぎ込む。
奥さんも息子も姉も皆、スウィッチが入れば相手をボコボコにしてしまう。(奥さんは爆破だが)。
フレッドは、この土地では「作家」として暮らす。
つまり彼らは作家先生の一家である。それで隣近所からは一目置かれるインテリ家庭である。
しかもこともあろうに、彼は本気で自叙伝をタイプライターで書きとめ始める。
これには奥さんもびっくりしやめさせようとする。
まさか実名で写真なんか載せたりしないわよね、、、当たり前だが死んだことにして隠れて暮らしているのだ。
「俺独りが読者の本だ。自分を知る為に書いている。安心しろ」と言って、毎日書き進めてゆく。実に危ない(笑。
こうしたなか、この一家がひっそり暮らせるはずもない。
それぞれがあちこちで暴れる。
長女は恐ろしい一途な愛を貫こうとする。純粋さと狂気は紙一重か。
大変なのは彼らの身を守る役のFBIのスタンスフィールドである。
気が気ではない。

映画上映会にゲスト(作家)として招待され、マーティン・スコセッシ監督の「グッドフェローズ」の討論会となったフレッドは、もう活き活きとその映画の登場人物の1人となって(体験談みたいに)熱く饒舌に語る。
終わると会場の人々からの拍手が鳴りやまない。
もうヒーロー気分である。
彼なりの地元の住人との交流とは言え、正体がバレないか、スタンスフィールド独りが冷や汗をかいている状況だ。
自叙伝執筆中の、昔の武勇伝の回想シーンなども残虐なのだが思わず笑ってしまう。
ほとんどギャグに近い。
ホントにデニーロが良い味出してる(笑。
そして彼らを見守るトミー・リー・ジョーンズの仕事だから仕方ないという感じのうんざり顔~とても共感できる~がとても可笑しかった。まあ、大変なお守り役である。
下の息子の一言が新聞に載ったことで、牢獄に繋がれたマフィアの目に触れ、一家の居所が殺し屋にバレてしまう。
今やマフィアの間で彼らの首にはとんでもない懸賞金がついているのだ。
終盤は殺し屋の容赦ない襲撃で、ひたすら銃器の火が噴くバイオレンスシーンの畳みかけである。
ここで気の毒にも近所の気の好い人たちや、彼らの身を守っていたFBIの護衛隊も殺されてしまう。
だが、悪運強い一家はみな無事であった。
最後に、一家はまた名を変えて、遠く離れた街に移り住むこととなる。
「また生き残った」、、、と呟くフレッドのホッとした虚しい表情が印象的、、、。
懸賞金はまた跳ね上がる。
トミー・リー・ジョーンズ~スタンスフィールドの苦労はこの先も続く、、、。

噺はとっても面白い。
これだけ見せ場があってよく出来たストーリーなら、文句はない。
