O君とバイクと「ひげまんじゅう」

O君が久しぶりに、猫の縫ぐるみを沢山もって尋ねて来てくれた。
巨大な猫ひとつ。小さな猫5つ。
バイクでの訪問である。
こんなに大きな猫をよく持ってきてくれたものだ。
何と謂うか、大きい猫は、抱いて寝るにはちょっと大きすぎるくらいのサイズだ。
O君は大の猫好きである。
わたしもそうだ。大学の頃までは、常に猫と同居していた。O君は今も途切れなく同居している。
猫たちの名前(総称)は、「ひげまんじゅう」という。(株)アミューズ)
そのひげまんじゅうとは、「くちのまわりのふくふくしたひげの生えているところ」を指すらしい。
それがかれらのかわいらしさを象徴する部分で、呼び名にもなっているようだ。
個々の名前は、またそれぞれあって、「みーさま」、「黒豆」、「ふくにゃん」、「あんこ」、「まるこ」とかついている。
それぞれ顔つき~目つきが異なり、随分表情も個性的だ。
猫の特徴が可愛く抽出され柔らかく造形されている。
リンゴもいただく。
子供がアップルパイが好きだから助かる。
よくこれだけ沢山のモノをバイクで持ってこれたと感心する。
世間話をしながら七草粥と梅干、キムチ、キンピラなど極めて普通の家庭料理を振舞う。
O君が来て30分くらい経ってから娘たちが温泉から帰り、床に並んだ猫たちを見てすぐに飛びついた。
当然の如く、どちらが大きい方をもらうかで、二人の間で真剣な取引が始まった。
どうにか話が付くまでO君はそれを面白そうに見ていた。
二人とも縫ぐるみは大好きで、長女など5,6体の人形からその時々の気分で選んだものといつも一緒に寝ている。
恐らくその大きいのとも寝るのだろう。
布団に入ればよいが。
驚いたのは、それらの猫は全て彼がゲームセンターのUFOキャッチャーで獲得したものだという。
うちの娘も近頃いっちょ前にゲームセンターでお小遣いで遊ぶようになったが、何も獲得できずあっという間に終わってしまう。
ゲーマーの次女は凄いと言って、尊敬の眼でO君を見ていた(笑。
その後ふたりは、直ぐに「ゼルダ伝説」を始める。
もうゲーム中心の世界になっている気がして来る。
わたしだけがゲームをしていないような気もする、、、。
とは言え生きる事全部、ゲームと言えばゲームだ。
とてもエモーショナルなゲームを生きている。
-ハンデで始めたゲームかも知れなかった。
昔の友人と話していると、やはり記憶も呼び覚まされる。
S君の「絵」の噺と共に、その周辺を巡って、、、。
何とO君の会社でS君の絵が25枚くらいデジタルデータ化されているという。
つまりすでに画集になる品質にあるという事だ。
主要作品の四分の一ほど済んでいるというのは、いよいよだな、、、と思った。
しかし、どう出るか(展開するか)はあくまでS君の気持ち次第である。
周りがとやかくいう問題ではない。
わたしは、純粋なアートとして紹介されていけばよいな、と願っている。
O君は、大きいのをまたひとつ持ってくるね、と言い昏い闇の中をバイクで帰っていった。
O君が無類のバイク好きであることをはっきり想い出した。
大学の頃から、よく乗り回していたものだ。
うちの父もバイクを14台乗り継いだバイク好きであったが、バイクは速度をダイレクトに感じることが出来るもっとも身近なアイテムかも知れない。
存在速度を上げる恍惚感。
これはヒトにとって本質的な(郷愁に染まる)快楽のひとつだろう。